2015年03月27日

祝福の歌姫(桑田乃梨子)

祝福の歌姫 (バーズコミックス スピカコレクション)
祝福の歌姫 (バーズコミックス スピカコレクション)

桑田乃梨子先生の、2014年に出た単行本。

ファンタジーです。
「オッスわたし魔女 たいていのことは歌でなんとかできます」
……と始まるとおり、歌を歌うことでさまざまな能力を発揮できる魔女の物語。

主人公の歌姫(後に名前はハニィと判明)は歌でいろんなことをなんとかできる系魔女の中でも魔力の強いほうだが、とにかく自他ともに認める音痴。

ただひとり、彼女の歌声を美しいといってくれるのはこの国の王子だけ!
ということで、めでたく王子に仕えて国を守る歌姫の座に収まるのでした(将来安泰)。
でもそれはゴールじゃなくて、物語冒頭の話。

音痴だからと一人ぼっちにされても
隣国の強い魔女(ライバル?)が現れても
歌姫を快く思わない王子の家臣がいても

これは桑田まんがなんだから、たいして大事にもならず淡々と世界はそこにあるのです。
1巻で終わっちゃってさびしい。
タグ:桑田乃梨子
posted by 藤村阿智 at 20:24| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月24日

【2015の記録】青空文庫で小説を100本読みたい【感想】

2015年の目標として、
青空文庫を100本読む」と言うのを掲げました。
毎年本に関しては「300冊読む」とか言っていて、300冊ぐらい読んでるんですけど、
青空文庫は短編もあったりと「○冊」に含めるのが難しい。
だから、今までも読んでるんですけど、ノーカウントだったのです。読書量に入れてなかった。

ということで、今年は再読含めて、青空文庫で小説を100本ぐらい読みたいと。
カウントすれば読む気も出てきそうだし。あらすじや感想は書いたり書かなかったり……ムリのないメモにしたい。


【1】株式仲介店店員(コナン・ドイル)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000009/card43497.html
赤髪連盟(赤髪同盟、赤毛連盟など)と似た話で、私の好きな「楽で儲かるけど意味のわからない仕事をさせられる」話。好きなんですよね……実生活でも、「なんだこの仕事は」って思ったときに「ホームズのアレみたい」って」つぶやいてます。

【2】藪の中(芥川龍之介)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card179.html
とある事件についていろんな人の証言を聞く。そこから見えてくる事件の本質とは。

【3】あばばばば(芥川龍之介)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card14.html
いつも買いものに行く店には無愛想なオヤジしか居なかったのに、いつのまにか女性の売り子が。別に好きでも何でもないしドジだからからかってやってただけなのに、ある日を境に姿を見なくなってしまって……

【4】走れメロス(太宰治)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/card1567.html
有名な話。中学生の頃にももちろん読んだし(私が書いたパロディ小説が学級新聞に載ったよ)
あらすじは知ってたけど、改めて読むと……細かいところに突っ込みを入れてしまう。
暴君である王様が最後に友情に感心してたけど、最初に親族など近い人間を含む大量の人間を処刑してるからね、この王様は。あとメロスも、余裕だと思ってゆっくりしてたら橋が流されてて濁流に飛び込むとか、犬を蹴っ飛ばすとか、もういろいろダメそうな感じ。

【5】予の描かんと欲する作品(夏目漱石)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/card2678.html
これはいいですね。小説書いてる人とかは一回読んで見るといいと思います、短い話だし。

【6】山地の稜(宮沢賢治)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card4469.html
これの前に読んでた文章が全然頭に入ってこなくて困っちゃったので、違うのを読もうと思ってたまたまクリックしたのがこの山地の稜。
余計に混乱したというか、さっぱり文章として理解できず、文字の羅列にしか思えなくて、余計に混乱。とうとう文章が読めなくなったのかと心配になったけど、人に読んでみてもらったら「わかんなくても普通だと思う」と言われたのでよかった……(笑)
宮沢賢治らしい雰囲気と空気はあるんだけど、まあ、残念ながらわかんないです……私、宮沢賢治合わないのかもな。

【7】階段(海野十三)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000160/card1224.html
面白かった。まじめな研究員である主人公が、他の調査の手伝いで信濃町の駅を利用する人間の数を数える。女性が苦手なのに、女性を数える担当になり、階段の端からなんとか足だけ見てやり過ごそうとするが、美しい脚に心を奪われてしまって……
とにかく脚の描写!しつこいぐらい、変態的に脚の美しさが語られる。足フェチの話で終わるかと思えば、これまた特徴的な螺旋階段のある図書室で殺人事件が起こる。主人公は自分への疑いを晴らそうと推理を始める。そしてその先に見つけた、自分に取り付いていたものとは?
そんなに長くないのに、ぎゅっと詰まって急展開する内容で面白い!オススメ

【8】日本山岳景の特色(小島 烏水 )
http://www.aozora.gr.jp/cards/000027/card644.html
登山家の一面もある小島氏(いろんなことをされてる人らしく……)による、日本の山岳風景についての話。
海外の名峰との比較もある。
山頂へ登山するというよりは、遠くから眺めたときの山のすばらしさが中心かな?
「山岳風景」だもんね。富士山の裾野の広がりのよさとか、火山があることによる山そのもののカタチのよさや湖など環境のよさも。山が風景にある土地で育った私には、山を誉める話は読んでてうれしいもの。
句読点の使い方が独特で(ひとつの文章が長い……)読みすすめるのに時間がかかってしまった。

【9】(梶井基次郎)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/card423.html
梶井基次郎、といったら「檸檬」が浮かんでくるのですが、檸檬を読もうと思って作品一覧を眺めていたら出てきたのがこの作品。ちょっとキヤク的にNGなタイトルかもしれないのでタイトルは書かない。
リンク先では別に、普通に見られます。普通の単語ですがアカウントが停止になるといううわさでして(笑)
猫が深夜に抱き合って、何をするでもなく抱擁しているのを眺める話と、河鹿がまさに生命のいとなみを行うのをみて命の輝きを感じるという話。短いけどどちらもなかなかよかった。オススメです

【10】醜い家鴨の子(アンデルセン ハンス・クリスチャン )
http://www.aozora.gr.jp/cards/000019/card42386.html
みにくいアヒルの子、もちろん昔からストーリーは知ってますが、どういう風にかかれたお話なのかは知らなかった。なので読んでみた。
まあ、流れは記憶のとおりで、特に「ええええ本当はこんなふうなんだ?」って驚くこともなく、
アヒルの子どもたちの中にすごく醜いヒナが混ざってた。
醜さのあまりみんなにいじめられる。
本当は白鳥だった。
ってハナシなんですが、容赦ないですね……結局見た目なんですね重要なのは。
醜いアヒルだったときの、自己嫌悪とか、諦観とか、周りのいじめっぷりは本当にひどいね。
いじめられる理由が「醜い」だからね。本人も醜いから仕方ないな〜って感じで。
白鳥に憧れてたけど、冬を越してみたら自分も白鳥だった上に、白鳥の中でも美しいほうだったので
白鳥にも人間にもモテるようになった。幸せ。って事なんだもん……

【11】赤いくつ(アンデルセン ハンス・クリスチャン )
http://www.aozora.gr.jp/cards/000019/card42378.html
歌の赤いくつとなんか関係があるかと思ってましたが違う話でした。
少女は貧しかったけど赤いくつをもらう。そのおかげでいいことがあるが、
安っぽいくつだということで捨てられてしまう。
赤いくつに魅せられた少女は次も赤いくつを履くが、呪われていて、履かずにおれないし履くと踊ってしまうし脱げないし……
赤いくつを履いて踊ってたせいで生活もままならないし、恩人の死に目にも会えなくて、ほとほとイヤになって首を切る職業の人に頼んで足ごと赤いくつを切り離してもらって一件落着……?
足のないまま家政婦として働き出して、懸命に働いて周りにも慕われるようになった少女(だった女性)は、ようやく寺(教会かな?)に立ち入ることができ、天使につれられて天へ召されるのでした……
って、怖いよ〜。少女になんの落ち度もないところが怖い。そういう、童話にありがちな「○○のバツで、悲しい目にあったのです」って話じゃないんだよね。でもこっちのほうがいいかな。どんな人にも悲しいことは降りかかるし、けして本人が悪いばかりじゃないんだというお話。オススメ

【12】ニャルラトホテプ(ラヴクラフト ハワード・フィリップス)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001699/card56839.html
初めてのラヴクラフト。「ラヴクラフトとか好きそう」といわれながら読んだことがなかった。
というか名前すら知らなかったんだけど、いま興味がある。本を買ってみよう。と思いながら検索したら、
青空文庫でこちらだけ読めた。とっても短いのですぐに読めちゃう。
いいですね、ほかのも買って読んでみよう。

posted by 藤村阿智 at 17:22| 小説・エッセイなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月16日

くちびるに歌を 小説、映画、コミック全三巻(原作:中田永一 マンガ:モリタイシ)の紹介と感想

【2015年3月16日映画の感想に追記しました(2度目鑑賞)】
【2015年3月6日映画の感想に追記しました】
【2015年1月29日映画の感想を追記ました!】
【2014年12月25日原作の感想、映画のことを追記しました!】
【2014年10月18日三巻の感想を追記しました!】

モリタイシ先生の単行本は全部持っている私。
新作も毎回楽しみにしてる。

でも「くちびるに歌を」を買ってなかった。なぜなら原作付き作品だから。
なんとなく、原作があるならそれはモリ先生のいつものマンガと違うんじゃないか?
と、小説もマンガも原作主義の私は思ってしまって、敬遠していたのだ。

「くちびるに歌を」2巻が発売されてから、毎日のようにtwitterでつぶやかれる感想ツイートを
モリ先生自らがリツイートしていて、それを読んでいるうちに
「私の心配は杞憂なんじゃないか?」という判断に。さっそく購入。
一時は品切れになってて、ちょっと手に入れるまで時間がかかってしまった。
以下感想。ネタバレありだからまだ読んでない人はマンガを先に読んでね! 面白いよ!

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くちびるに歌を 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
くちびるに歌を 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

長崎の島が舞台。方言女子かわいい。
美人の柏木先生が、産休の先生の代わりに学校にやってきて、合唱部の顧問に。
女子しかいなかった合唱部には、先生目当ての男子がたくさん入部。
桑原サトルくんはその生い立ちから教室では透明を決め込んでたし、中三にして人生をあきらめているようだったけど、
ひょんなことから合唱部に入ることになって、そこから彼の生活は姿を変えていく。

モリ先生はモテそうなイメージなんですが、なぜかこういう「もてない、根暗、引っ込み思案」な少年キャラを描くとその描写はピカイチですね。
1巻はキャラそれぞれの立ち居地と相関図、それぞれの悩みや謎になっている部分の洗い出し。
物語は始まって、一気に厚みを増す。
いままでの作品と違って原作があるからか、1巻で見えてくる情報量の多さと、舞台設定の輪郭のはっきりする感じが新しい。

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くちびるに歌を 2 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
くちびるに歌を 2 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

2巻は物語に厚みを増すようなエピソードと、新しい関係が作り出した新しい悩みと、過去の出来事に決着をつけるための戦いの前夜。
↑上手に言えてないんだけど……

元からいた合唱部の女子と、不順な動機で入部した男子の対立。
美人の柏木先生は、対立すらも暖かく(?)見守っている様子。
それぞれの行動が、どういう考えから来るものなのかが丁寧に描かれている。
伏線が、この先、事件が起きることを予感させる。

メインの女の子たちが全員かわいいなあ。
柏木先生ももちろんいいし(巨乳美人なのにサバサバした姉御肌!)
部長のメガネもまじめさもキレっぷりも友達になりたい勢いだし
長谷川さんのある意味あぶなっかしいところも魅力的だし
ナズナちゃんのかませいぬっぷりもまた……

モリ先生は人の心の動きを描写するのが、本当にうまい漫画家さんなので、
こういう青春群像劇がすごくあってるんじゃないかと思う。
人の二面性とか、押し殺した本音とか、絵と構成で魅せてくるよね〜。

3巻で完結らしい。
2巻で起きたいろいろな事柄、心配事、きっちり3巻で読めると思うと楽しみ。

あと、おまけマンガも毎回楽しみ(笑)
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こちらが原作。マンガが完結したら読む!
くちびるに歌を (小学館文庫)
くちびるに歌を (小学館文庫)

【三巻発売で最後まで読んでの感想。ネタばれもあるので未読の方は注意】
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くちびるに歌を 3 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
くちびるに歌を 3 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

三巻読んだ。
三巻買ってから、感想書くまでに時間がかかったのは、「読むなら一気に読み返したいな……」と思ってたから。この内容で、三巻というボリュームはちょうどいい。一気に読めるし、できれば続けて読んだほうがいいと思うから。

三巻は最終巻だけど、物語の収束は見事だった。
束ねるというよりも開放という言葉のほうがあってるかもしれない。
登場人物たちがそれぞれ、生きてきた15年の日々、いままでにあったつらいことやうれしいこと、それらが複雑に絡み合って「今」になっているという「本当のところ」が描かれていたと思う。
「柏木先生の色気が目当てで入部した男子が合唱を本気でやるようになる」という小さな「きっかけからは変わった現在」をはじめとして、最初は確かに違う理由だったのかもしれない。でも今はそうじゃない、という希望がいくつもあった。

モリ先生の絵や構成も流石だった。もちろん大事なセリフで語られることもあるけど、表情ひとつでたくさんのことを伝えてくる。
いろんな人が感想で言っていたけど、最後の合唱で見せたサトルの歌う表情は輝いていた。
おとなしくて主張しないタイプだったサトルが、合唱コンクールやひみつの共有を経て、
特別な人に「優しくするのはあなたが特別だから」とちゃんと言えるところとかカッコイイ。
そのあとの、外で合唱を聞くアキオ兄さんの表情もいいなあ。アキオ兄さんのために、と始めた合唱のさなかに、ナズナちゃんが救われるのもすごい。


原作付でもそうじゃなくても、モリタイシ作品の登場人物は「この先も幸せになって欲しい」と思わせる存在感があると思う。

あとはもう、女の子がほんとにかわいい(笑)
さすがアイドル好きなモリ先生。女の子の魅力的な部分ってのを変態的野生の感覚で受信して出力できる稀有な存在だと思います!(誉めてます!)
とくに長谷川さんは好みにどんぴしゃなんだよ〜
モリ先生の描く黒髪黒めがち美少女たまんないよ〜

私もざくっと描いてみた、けど……やっぱ遠く及ばない
m_kotomi.jpg

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【12月25日追記】

原作小説も読んだ!

くちびるに歌を (小学館文庫)
くちびるに歌を (小学館文庫)

(ちょっと読んでから感想書くまで時間が空いちゃったので細かいところが原作・コミックごっちゃになってしまったのですが……)

各種レビューで読んだとおり、コミック版は原作にかなり忠実だったんだな〜と思います。
コミックのオマケ漫画でも、モリ先生が原作を読み込んでから書いたこと、原作の中田先生には「好きに描いてください」と言ってもらってたこと、コミック化にあたって変えたこと……など書かれていましたが、大筋は原作のままでした。

原作と比べてコミックの「漫画だからこそ」の表現は、やっぱりサトルが合唱コンクールで歌ったときの表情だな。小説でも映画でもだせない(漫画ならではの)魅力だと思う。


さて、そんな「くちびるに歌を」が映画化。2015年には公開されます。
http://kuchibiru.jp/
予告編が発表されてすぐに動画を観たんだけど、うーん、ちょっと不安かな?
もう一回見返してみようかと思ったら今はロングバージョンになってますね。(公式サイトで見られる予告編)
最初の予告編は、最後に「この春、一番泣ける」と言ってたと思うんですけど、「泣ける推し」はいやだなあと……
今の予告編は「この感動は生涯忘れない」になってますね。これもちょっとなあ。

新垣さんの演じる柏木先生がなんかふてくされた感じでいやだなと思ってたんだけど、
やっぱり柏木先生が主人公のようなもので、さらにちょっと不幸が増えてそれを感動につなげようとしてるのかな?っていうシーンがチラチラ……
原作も、コミックも、サトルとナズナが中心の群像劇みたいになってるところが、明るさと、少年少女ならではの不安定さとめまぐるしさがあってよかったと思ってるので、柏木先生中心になったところですでに別物なのかもしれないですね。
ナズナが書いてサトルが手を加えた、柏木先生のオリジナル曲は原作にも歌詞が出てこないけどどうするんだろう?と思ったけど、そこははしょられるのかな?
うーん。原作そのまんまの、サバサバした都会帰りの女であっけらかんと明るくて友人の心配しかしてない柏木先生が映像化されたらすごく見たいんだけどな。(笑)実際はどうだろうな?

予告編はこちら。


このブログサービスの、seesaaがやってる懸賞の映画試写会プレゼントに応募します。当選したらいいな〜。

映画『くちびるに歌を』一般試写会プレゼント: 懸賞 - Seesaa プレゼント
http://present.seesaa.net/article/410924606.html

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「くちびるに歌を」映画の試写会見てきました。感想書きます。

結果、映画は映画で完成していてすごくよかった。

まず、原作からの変更点はかなり多い。
原作ではあくまで脇役だった柏木先生が主人公になっているのが一番大きい。
ポスター、チラシのイメージには柏木先生のアップの横に
「大っ嫌いだったあなたたちがおしえてくれたこと」とコピーが書いてあって、まさに映画の内容もそんな感じ。

原作から変更されてる映画でいい思いしたことがほとんどないから、すごく警戒していた。別物で、原作とコミックを見て「いいな」って思った人は嫌な気持ちになるんじゃないかと。

でも実際に映画を見たら「こんなに大胆に変更・再構築して、いい感じになっている実写化はめずらしいな」って思った。

原作、コミックで読んでる人にはネタバレも何もないし、
もともとミステリーとかじゃない内容なので、あらすじがわかったからと言って面白みが減るわけではないと思うけど、なんの予備知識も要らない人はこの先読まないでおいてね。

【映画の感想】

・原作はサトル、ナズナという二人の15歳の目線で交互に綴ることで、同じ学校、合唱部の内部や舞台とそれぞれの悩みや葛藤を見せていく手法だった。
 映画では柏木先生目線でつむがれていく。並行・交差していたサトル、ナズナの間に柏木先生がいて、二人の悩みや葛藤を受け取って、自分の「今」とくっつけていく感じ。
 だから柏木先生は、悩める15歳を見守る役でなく、子どもたちの中心で自分も悩み葛藤する大人の役割をしている。
 原作ではあくまで子どもたちは自分で「15歳」から前進していく感じだったけど、映画は柏木先生と絡むことで自分を見つめたりちからを与え合ったりしている様子。

・原作ではたぶん、一番サトルの立場がつらかったんだけど、映画ではそんな感じはない。相対的にナズナと柏木先生の悩みが重くなってる。

・ナズナの父さんが原作とかなり違う人物になってて、これは救われないな……ナズナには忘れて強く生きて欲しい

・中学生少年少女の恋愛はバッサリカットされている。でも、大人の恋が変わりに入ってるわけではないところは好感! この映画は恋愛モノではない。
 原作を読んでいれば、登場人物の動きに「あっ、やっぱちょっと好きなのかな?」って感じはあるけど、知らなければ気がつかないぐらい。

・つまり、辻エリは影が薄い(映画版の部長はナズナ)。長谷川コトミちゃんも、バッサリカット。
 コミックでオッパイ星人になった関谷は映画版では女の子に……めがねでかわいい女の子に……

・アキオとナズナのつながりエピソードとか、形を変えても重要なところはきっちり残ってる。これはすごい。
 伏線もちゃんと張って回収している。
 アキオの描写もよかったとおもう。長所の表現もさりげなかったし、ラストにうまくつながってた。
 エピソードはよかったけど、アキオの設定とか雰囲気はコミックのほうが大げさじゃなくてよかったかな……
 どちらもあるだろうから、より強調したのかもしれないけど。

・なにより一番は風景がキレイ〜。これは小説、漫画とはまたちがった映画ならではの魅力。
 音もね。曲を「手紙」に絞って、うまくテーマにしてたと思う。
 もう一曲のキーワード曲「マイバラード」も合唱曲の定番ですね。これも合唱というテーマに沿った
 すごくいい歌だし、多くの人が聞いたことのあるいい歌だと思う。
マイバラード 中五島中学合唱部による女声二部合唱


・一番私が見てて「すごいな」とおもったのは、桑原サトルの存在。原作もコミックもすごかったけど、映画でもすごい存在感と演技力。イメージする桑原サトルそのまんまが実写に。
 下田翔大くんか……まだ12歳?すごすぎる。覚えておこう。

・一番残念だったのは、「15の僕からの手紙」の扱い。
 原作・コミックでは、みんなそれぞれ書いていて、誰が書いたかほとんど明かされないけど
 読者にはそっとわかる仕組みになってる。その内容で書いた子の悩みがわかったり、
 向井ケイスケの「手紙」なんか、まんまと騙されたし、コトミちゃんとサトルのひみつの共有にもつながったよね。
 でも、映画版では手紙はサトル以外書いてないことになってて、残念。
 しかもその手紙が先生に提出されている(いたよね?)のはもっと残念。
 そんな軽く、誰かに伝えられる悩みじゃないはずなのにね。
 (2回目観た)渡したわけじゃなくて、偶然ノートに挟まってたのを見つけたみたいだけど、
 そのノートがなんで柏木先生のところにあるかわかりにくかった。
 たまたま提出ノートにはさんでいたってこと? うーん?

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総合的には映画「くちびるに歌を」よかった。試写会の帰りも、周りの人の感想はみんな「よかった」というもの。
だからこそ宣伝で「泣ける!」を前面に出しすぎないでほしいかな。
この少年少女たちと先生が「いまを見つめて前進する」所を観にいって欲しい。

私としては、モリタイシ先生の漫画版「くちびるに歌を」がなかったら、この映画も見に行っていないので、ぜひ映画と一緒に原作・コミックス版も楽しんで欲しいな。映画より先に読んでおいても問題ないと思います。

  

原作は文庫の新装が2月に出るらしい。

posted by 藤村阿智 at 14:51| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月09日

聖☆おにいさん11巻(中村光)

聖☆おにいさん(11) (モーニング KC)
聖☆おにいさん(11) (モーニング KC)

11巻。

10巻の発売から1年近く間があいてたのですが、たまたま最近読み返したばかりだったんですよ。
発売は読み返した直後ぐらいに知って「ちょうどよかった」って感じで。

まとめて読むほうが楽しいと思います。
前回だったかもっと前の巻だったか、久しぶりに新刊で読んだら、
細かいキャラクターを忘れちゃってて? キャラクターたちが内輪だけで楽しんでるように感じちゃって、
読者としてさびしい気持ちになったから……

続けて読むとキャラクターが把握できてて楽しいです。
久しぶりに読むときはざっと読み返したほうがよさそう。

スタバやきのこの山やらイングレスやら、最近の流行や実際にあるものをどんどん取り入れてきますね……
本来ならそういう俗っぽいものにかかわりのないハズの聖人たちが流行モノに振り回されてる感じがたのしいところでもあるんですが、イングレスやってないからいまいち乗れなかったかな?

不思議だな〜と思うのは、「それ知らないんですけど……」っていうネタでも、面白い漫画と面白くない漫画の違いはなんだろうって事。
「なんかよくわかんないけどマニアックなこと言ってるんでしょww」って笑えるギャグの漫画もあるけど、
「えーっとごめんよくわかんないや?」ってしらけてしまうギャグもあると思う……
聖☆おにいさんは結構、後者の「ごめんよくわかんない」になっちゃうことが多いかも。

個人的に前者の「なんかよくわかんないけど笑えるww」は久米田康治先生の漫画のギャグで多くて、すごいな〜って思う。藤子・F・不二雄先生の漫画でも「わからないけど笑える」に支えられて、子どもでも楽しめて大人になってから「あれか」って二度楽しめたんだよなあ。

イングレスも、周りにやってる人が多いからわかる部分もあるんだけど、
やってる人たちをはたから見てて「輪に入れない……」ってのと同じ疎外感が……
ブッダという、同じくやってない人もその場にいるのに、うまく読者である私とつながらないというか。


11巻で好きなのは自撮りの話と、即身仏の話です!
posted by 藤村阿智 at 18:23| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする