2015年06月30日

銀の匙13巻(荒川弘)

銀の匙 Silver Spoon 13 (少年サンデーコミックス)
銀の匙 Silver Spoon 13 (少年サンデーコミックス)

【ネタバレ少しあり】

13巻は細かいエピソードの積み重ね巻といった感じ。
とくになにか大きな出来事があるわけじゃないけど、
いままでの行動が少しずつ結果になって進んでいく様子を見せている。

馬術部での部活動の集大成として大会出場。
勉強の成果あって御影ちゃんも大学の推薦を受けられる(?)ように。
八軒と大川先輩の会社も少しずつテストを重ねてる。
それぞれの卒業後の進路も固まりつつある……

13巻の最後では駒場からのなにかありそうな連絡、で14巻に引き!
posted by 藤村阿智 at 11:24| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月29日

親なるもの 断崖(曽根 富美子)第一部、第二部【完結】

WEB広告で気になっていた漫画をとうとう買って読んでしまった。
「親なるもの 断崖」
昭和初期、北海道・室蘭に生きた女郎たちの話。
広告を目にした人は多いのでは……「しこめの女郎が誕生した」っていうなんか怖そうなバナー画像が印象的なもの。





広告自体は「まんが王国」のものなんですが、スマホ用の漫画サイトなのね。
読みたいな〜って思ったけどスマホで漫画読むの好きじゃない。好きな漫画の二冊目・電子版をスマホで見るってのはやるけど、初めて買う漫画はせめてPCで見たい。

……と思ってたら、まんが王国で人気が出て、書籍が復刊するんですって。
でも書籍はまだ発売されてなかったし、値段も高めになっちゃうので、kindleで購入。
一気によみました。

いや、一気によまざるをえない。
以前ケッチャムの「隣の家の少女」を読み始めたときに、あまりにも悲惨な描写が続くので「物語を終わりまで見届けることで、この話から脱出したい」と思ったときと同じきもちになっていた。悲惨だな〜と思ったときに途中でやめられる人すごいなって思う。結末すら悲惨だった場合でも、物語が終わってないと悲惨な状況がずっと続いているような気がして……(「隣の家の少女」感想はこちら


以下、「親なるもの 断崖」のあらすじ、感想など。ネタバレありだと思います。
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開拓使、軍事需要でたくさんの人が流れ込んできた北海道。室蘭は断崖に囲まれた町で、人々は鉄工所で働き、線路を引き、森を切り開いた。
同じ頃日本中で農民は貧困の中にいた。「親に売られる少女」が続出、物語の中心になる四人の少女も貧困のために生まれ故郷を離れ、室蘭の遊郭で「女」を売るためにつれてこられた。

……とまあ最初の設定から暗く重い話です。第一部はとくに、笑えるところもなくてずっと重い。
松恵、梅の姉妹は器量よしで人気が出ると思われたが、すでに16歳になっていた松恵は初日から「客を取らされる」。そしてショックで首をつってしまう……
残された梅は大好きだった姉ちゃんの分まで働く、と11歳にして女郎になり、あっという間に一番人気の女郎に。

小学校を出ていて教養と品のある13歳、武子はカラダを売る女郎ではなく、芸を売る芸妓に。

だれよりもまっすぐに、貧困で苦しんでいる親を楽にさせたいと、カラダで役に立ちたいと思っていた道子は器量がわるいという理由で女郎にもなれず下働きに。


吉原とか、京都とか大阪の遊郭のイメージはちょっとはあったけど、室蘭の遊郭ってワタシにはイメージが無くて……もともと都だとか人がたくさん暮らしている都会の「遊び場」と違って、男たちもひどい環境で働いている中で、ストレスを発散するために設置されている遊郭だからなのか、このまんがの舞台になっている遊郭は本当に環境がひどい。

さらに遊郭にもレベルがあって、四人が来た遊郭は「幕西」でも上級な場所。もっと悪い場所がたくさんあるらしい。
ずっと下働きをさせられている道子は、自分もきれいに着飾って客を取りたい。男に必要とされたい。と、下級の女郎に成り下がって壮絶な環境に自ら落ちていく。
でもこの物語の中で、一番笑顔のたえないのは道子なんだよね……


さらに戦争がはじまり、戦争は日常を大きく変え、戦争が去った後にはほとんど何も残らなかった。
でも室蘭の断崖を親とし、その懐で生き、子でありながらまた親となっていくという生き様が描かれていました。


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戦争の話や、歴史の話では、ちょっといまだ論争が続いている部分を断定している描写もあって
素直に「歴史の中にはふだん語られることの無い、こんなことがあったんだ〜」と思い切れないところもある。
第二部はとくに、同じ苦しみと問いかけが何度も繰り返されるので、読んでて混乱するというか「進まない」感じがあるかも。
ラストは見事でした。救いがないと途中で読むのをやめちゃうよりは最後まで読んだほうが読者は救われるだろうね。

あと、広告を見て「こういう内容のまんがかな」って思うと多分違います……
少なくとも「しこめの女郎が誕生した」っていうのが内容ってことはないです。
お梅ちゃん(美人の女郎さん)は脇役で、しこめの道子ちゃんが悲惨な目に遭う話なのかと思ったら、もうずっとお梅ちゃんが主役のようにハードモードでキツイ話でした。
なんか広告でも道子ちゃんがぶさいくぶさいく言われて見世物になってるようでかわいそうよ。いい子なのに。

amazonレビューには「男がクズばかり。もっといい男もいるとおもうけど」ってあったけど、場所や環境を考えるとこういう人ばかりでも不思議じゃないし、そもそも女郎が人間として扱われてないんだからこうなってもしょうがないだろうなと思う……
男の中では、茂世さんはいい男ですね。
タグ:女性 完結
posted by 藤村阿智 at 11:33| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月18日

犯罪と本

最近、神戸連続児童殺傷事件の加害者が手記を出版したとかで、話題になってます。
神戸連続児童殺傷事件 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E6%88%B8%E9%80%A3%E7%B6%9A%E5%85%90%E7%AB%A5%E6%AE%BA%E5%82%B7%E4%BA%8B%E4%BB%B6

私も出るって聞いたときは読みたいと思ったんですけど、
「出るからには被害者遺族の了解を得たものだろう」と信じて疑わなかったんですよ。
毎年、事件がおこった時期になるとその後の話を気にしていて、毎年出される被害者遺族の方のコメントを欠かさず読んでいた。

今年のコメント内容も届いた加害者からの手紙についてだったけど、いままでとちょっと違っていた。

だからこそ、「被害者遺族の方へ送った手紙のような内容で出るのか」と思ったのだけれど
被害者遺族からは怒りの声が上がっていた。
そんな、被害者遺族の感情が傷つけられるような本は、私は手に取る気になれない。
個人的な感情を抜きにすれば、その本が出ることは禁じられたことでもないし、そこも自由であるとは思う。

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加害者が書いた本といえば永山則夫元死刑囚が書いた小説がいくつもありますね。
永山則夫 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E5%B1%B1%E5%89%87%E5%A4%AB
神戸の事件と同じく少年犯罪、しかしこちらは死刑が確定し、神戸の事件が起きて逮捕された直後に死刑が執行されたという人物です。
Wikipediaにも書いてありますが、逮捕されて獄中で執筆した本ということもあって、印税は遺族への支払いに当てられたようです。

あとはパリ人肉事件の加害者、佐川氏も本をよく出していましたね……
不起訴になって帰国後で、被害者遺族が他国だから問題にならないんですかね。

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私が読んだ本の中からも、犯罪関連のものをいくつか。
けっこう読んでるんですが、手元に置いておかずに処分してしまうことが多いジャンルなので、いまも手元にあるものを……

加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)
加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)

良書です。加害者の家族たちが、事件発覚後にどういう扱いを受けるか。何を思うか。実際どうなったか。
仮名のエピソードから、多くの人が知っている事件の加害者の家族も。
東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の家族たちが、事件のあとどうなったか。事件の前はどうだったのか。
家族と親しかった記者によるレポートもあります。
神戸の事件の加害者家族も出てきます。そのエピソードで心に残るのは、加害者の親が警察に「被害者の名前をご存知ですか?」と問われて答えられなかったという話。(71P)

普段連絡を取り合ってても疎遠でも、もし家族がいるなら、
自分が犯罪を犯さなくても「加害者家族」になる可能性はある。
そのときどうなるのか。家族は何を思うのか。家族の責任はどこまで? 加害者家族はどう生きればいいのか。
そんなことを考えながら読める本です。

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「連続殺人犯」の心理分析
「連続殺人犯」の心理分析

天才少年、ジェイソン・モス氏による本。
アメリカの犯罪者の中でも、かなり凄惨な殺人事件の加害者であるシリアルキラーたちと、
ジェイソン・モス氏が文通して分析した……という内容。
他に類のない本なので(いまはもう死刑になった加害者とのやり取りがたくさん)保存してある。もう新刊で買えないし。
それぞれの加害者についての紹介と、意外と普通の内容の文通。

最終的にはジョン・ウェイン・ゲーシーと文通の末、面会に行ってしまう。
ちょっとでもアメリカの犯罪について知ってたら名前だけ聞いても震えちゃう感じの恐ろしい人物です……。
で、面会室で二人きりになってしまい、モス氏はゲーシーに首を絞められる。危ういところで流石に助けが入ったけど、もう少しであたらしい犠牲者になってしまうところだった。
ひどい目に遭った。殺人犯との文通はもうやめる。
……というところで本は終わる。

著者のジェイソン・モス氏がなくなったというニュースがあったときは驚いた。
リアルタイムでニュースを見て「えっ!?あのジェイソンくん?」ってなった。
まだ20代だったはず……この本が出版されてから5年後ぐらいですね。

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死刑囚 最後の晩餐
死刑囚 最後の晩餐

これは気軽な読み物です。
うーん、いくらなんでもそんな言い方するのは抵抗があるな……
でも本当に。

アメリカでは死刑の前に食べたいものをリクエストできる制度があるそうで、
死刑囚たちも「これから死刑だけどなんか食べておきたいものある?」って聞かれたら
好きなものを食べたり
別に何でも良かったり
それぞれの個性がここでも見えてくるわけですよ。

本の中身はその死刑囚の紹介と、犯罪の内容の紹介、死刑の方法と。
「トーマス・グラッソ 蒸したムール貝12個、バーガーキングのダブルチーズバーガー、ミートボール、スパゲティ、マンゴー、ホイップクリームを添えたパンプキンパイ、イチゴミルクシェイク」
「ハロルド・マックィーン 2種のこだわりチーズケーキ(丸ごと2個)」
って感じで最後にリクエストして食べたものがカンタンなイラストつきで紹介されています。

上の本でも出てきたゲーシーは、これから死ぬのにカロリーを気にしてダイエットコークを頼んだりって所がまたぞっとして……

巻末には、「犯罪を犯すなら、どの州で実行するか考えたほうがいい。刑務所ミシュラン」みたいな企画もあって、アメリカってすげーなと思いました

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あんまり手元に持って無かったです。
事故のルポルタージュはあまり処分しないのですが、犯罪関連はルポルタージュでも著者と意見が合わないと読んでてつらくなってしまう。出来事だけ淡々と知りたいならネットのほうが私には合ってる。
だから、どこか遠いところの話のような気がしているアメリカの本が二冊もあるのかもしれない。

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アイシテル~海容~前編 (KCデラックス BE LOVE)
アイシテル~海容~前編 (KCデラックス BE LOVE)

フィクションで漫画です。

突然小さな子どもの命を奪われた一家。
親が目を話した責任を問う声、マスコミだけでなく一般人からもひどい扱いを受ける被害者家族。
そして家族を殺されてしまったという悲しみ、事件の真相を知りたいきもちがつのる。

犯人は捕まったが、意外な人物だった……
犯人側の家族も巻き込まれ、後悔と贖罪の中で初めてお互いを知り合う。

とにかくどちらの家庭もつらい話。
キレイにまとまりすぎているかもしれないけど、それでもつらいのには変わりない。

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重大事件と本とのかかわりが、今後どうなっていくのか見守っていたいです。

posted by 藤村阿智 at 13:00| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月11日

好きな漫画ベスト10【完結】【個人的おすすめ】

Twitterで「#自分の人生においてトップ10に入る漫画をあげてけ」ってハッシュタグが流行って……

普段から、そういうのでリストをぱっと挙げるのが苦手なんですよ。
一番好きな食べ物は? って聞かれても、3番目ぐらいに好きな食べ物を「うーん、○○かな」って答えちゃって、後から「あああ!! ○○よりももっと好きで数日に一回は必ず食う、食いすぎるから我慢してるってぐらいのがあった!」って思い出したり……

しかし自分は漫画好きだとおもってたけど、読んでる人に比べたら全然読んでなくて、このハッシュタグを見てても
「読んだことがある」漫画ってほとんどない……なんなんだ私は、ほんとに漫画好きなのか?

しかも、定義が難しいよね。ついつい「ベスト」って考えたときに、いままでいろんな基準で考えたベストがごちゃ混ぜになってしまう。
・他人にはわかってもらえる気がしないがとにかく自分好みの漫画
・コレを読んで○○したから人生に影響を与えたといえる漫画
・とにかく薦めたい、面白い漫画・すばらしい漫画を読みたいのならこれを読めといいたい漫画
それぞれ違うじゃないですか……でも分けられるものでもないし……

ということで前置きが長くなりましたが(あとがきも長いよ)、
いろんな基準をごちゃ混ぜにした上での超個人的トップ10を。

【順不同】
・1作者/1作品で選びました。そうじゃないと作者が偏ってしまう。
・完結していない作品は選べない。終わらせ方ふくめ、全体を通して読んだときに好きかどうかが重要。
・作者名の後ろに(★)とついている場合は、作家買いしている作者の作品
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【残酷な神が支配する:萩尾望都(★)】
残酷な神が支配する (1) (小学館文庫)
残酷な神が支配する (1) (小学館文庫)

イギリス・アメリカを舞台に、悪魔のような義父からゆがんだ愛を押し付けられた少年・ジェルミの犯した罪への断罪と、壊れた心の救済を模索する話。(まるめすぎ?)

いまだ繰り返し読み続けている名作。重いテーマゆえ、オススメしたくても気軽にオススメできない場合が多い。
いずれがっつりと骨太レビューを書きたい、とおもいつつ書ける気がしなくて先延ばし中……


【エスパー魔美:藤子・F・不二雄(★)】
エスパー魔美 1 (藤子・F・不二雄大全集)
エスパー魔美 1 (藤子・F・不二雄大全集)

ある日超能力に目覚めた中学生の少女、佐倉魔美。超能力を磨きつつ、困っている人は放っておけない性格のために、毎日おせっかいや人助けに奔走する。

毎回ミステリー仕立てであったり、おせっかいな魔美の少女らしい善意や、善意だけでは解決しない出来事、人を助けるということの難しさがわかるところがすごい。あと個人的に藤子F漫画の登場人物の中で一番高畑さんが好きなんだ。
子どものころは蛍光ペンで乳首に色を塗ったりした。あとマロングラッセなる食べ物が食べてみたくてしょうがなかった。
アニメの印象しかない人は特に原作を読んでみてほしいし、青年コミックって言ってもいいぐらいすべての話がしっかりしていて、作画もストーリーもとにかくレベルが高い! ひれ伏すしかない!


【N・Y小町:大和和紀】
N.Y.小町(1) (講談社漫画文庫)
N.Y.小町(1) (講談社漫画文庫)

時は明治。16歳まで男として育てられた小間物問屋の娘・志乃は、あとつぎたる弟がうまれたことで父から「今日限り男を捨て、女として生きよ」と告げられてしまう。しかも婚約者(幼馴染の退屈男)まで用意された……とあっては、家を飛び出すしかない。 途中で出会った開拓使のアメリカ人、ダニエル・アーヴィングと話をしたことで、女性も活躍できる国・アメリカへ行ってみたいという夢を持つ……

とにかく主人公の志乃ちゃんがイイ。どっちかというとイケメン系着物ヒロインで、武道にたけててアクションをこなし男と対等にやりあい、ずる賢く、でも一途なところが最強。舞台は開拓時の北海道、人種差別バリバリのアメリカ、花の東京……って感じでそのあたりの雰囲気が好きな人もうれしいんじゃない?
マスコット的に途中から現れるぶさいくなネコ・ポテ次も大好き。不細工なところがかわいい。
志乃ちゃんは女写真家として活躍するんだけど、その辺も見所。


【この世界の片隅に:こうの史代(★)】
この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)
この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)

昭和19年、広島・呉に嫁いだ女性「すず」は、不器用ながらも日々の暮らしを乗り越えていく。
戦時中ではあるけれど、そこには毎日の食事、毎日の着る服、毎日の仕事、人とのおつき合い・出会い・別れ……どの時代でも人が生きている限り変わらない日常が、めぐってくるのです。

こうの史代さんの漫画はほとんど好きで、中でもトップクラスに好きな「長い道」「夕凪の街・桜の国」という作品もあるのだけど、やっぱり「この世界の片隅に」がちょっと飛びぬけているかな。
戦争。悲惨。非日常。繰り返してはならない。……というような、普段わたしが触れている戦争への語り口を、極力排除したような戦時中の日常漫画で、「あ、戦争してたときも、国民全員が戦って殺しあってたわけじゃなくて、戦争をとなりに置いたまま人々は日常を生きていたのか」という、ある意味当たり前のことを、戦争に本当のイメージが沸かない世代のわたしに気づかせてくれた漫画なのである。
http://honyonda.seesaa.net/article/109324250.html (2008年の上巻の感想)


【男の華園〜A10大学男子新体操部〜:桑田乃梨子(★)】
男の華園―A10大学男子新体操部 (第1巻) (白泉社文庫 (く-3-9))
男の華園―A10大学男子新体操部 (第1巻) (白泉社文庫 (く-3-9))

大学に入学したばかりの青年・ユカリは、小説家になりたいとほのかな夢を抱きつつ、気になる女の子もできて、これから大学生活を楽しむんだ〜!と思っていたのに、たまたまユカリの運動神経を見出した「男子新体操部」というマイナーな競技の部活に引きずり込まれてしまったのだ……先輩5人、新入生1人という状況で先輩たちに振り回されっぱなしのユカリ。小説は書けるのか。バイトはこなせるのか。好きなあの子とは接点が増えるのか?

私の好きな、ダラダラ部活動いりびたり系コメディ!!
桑田乃梨子先生のまんがは全部大好きだけど、一番私の心をつかんではなさないのは「男の華園」!タイトルはもともと「A10大学男子新体操部」にする予定だったけど、編集サイドから「男の華園」の提案があったそうで。
桑田作品には、多くの「学校=楽園」というテーマが下敷きにある漫画があるのだけど、この「男の華園」は読者(桑田ファン)にも作者にも、それが強く感じられた最初の作品じゃないかな。
消えてしまってからも愛おしく感じる、まさに「日常」だったことが懐かしく胸を締め付けるような……あの時ずっと一緒にいた人たちは消えたわけではない、でも関係性は変化して、日常は緩やかに変わってしまった。今も過去からの続きとして、楽しくやっているけれど、思い出すとあのころは「楽園」だったと気づくような経験がある人はより心に残るんじゃないか。


【ルナティック雑技団:岡田あーみん】
ルナティック雑技団 (1) (りぼんマスコットコミックス (721))
ルナティック雑技団 (1) (りぼんマスコットコミックス (721))

両親の海外赴任のため、ひとり日本に残ることになった中学生・夢実。 生活の面倒を見てくれる「お父さんの部下の家」はなんと、学校一のカリスマハンサムボーイ(?)天湖森夜の家だった! 天湖くんに憧れる(男女問わない)生徒たちからの嫉妬、夢実に想いを寄せる学園のアイドルだけでも大変なのに、天湖家の母親もキョーレツな個性。夢実は森夜と友達になれるのか?そもそも生きて無事に帰れるのか?(笑)

伝説級の「りぼん」掲載少女向けギャグマンガ。
岡田あーみんと駆け抜けた青春。
不条理なギャグが多いような気持ちでいたけど、ちゃんと読むと王道ギャグだし、いろんな文化に触れるとさらに楽しめるパロディも多いし、恋愛を軸にして少女マンガとしてもがっつり読めるし、森夜がとにかく魅力的。2015年7月には新装版が発行されるとのことで楽しみ!


【イタズラなkiss:多田かおる(★)】
イタズラなKiss (1) (集英社文庫―コミック版)
イタズラなKiss (1) (集英社文庫―コミック版)

主人公・琴子は学校一のハンサム入江直樹に告白すべくラブレターを渡そうとするが、受け取ってももらえず玉砕。その傷もいえないのに、今度は新築の自宅が欠陥住宅のため地震で全壊してしまう。緊急で同居させてもらうことになった、父の友達の家とは……なんと入江家だった!!

あれ、「ルナティック〜」と似たあらすじ紹介になっちゃったよ。
私「同居モノ」すきなんですよね……「イタkiss」は比較的最近の少女マンガの中で一番好き。やっぱり、ガッツリ「両家の家族」が絡んでくるところがいい。家族がちっとも見えないマンガは(特に長期連載の作品では)好きじゃない。入江家もいいし、琴子のお父ちゃんも親戚もみんないいよね。
このトップ10リストの中では、唯一未完の作品。あと少しで終わるところだったろうに、多田先生が事故でお亡くなりになってしまったから。でもムリにほかの人の手で終わらせたりしないで、このままにしておいてほしいというきもちが強い。
1〜6巻の感想かいてます。
http://honyonda.seesaa.net/article/388814804.html


【まんが道:藤子不二雄A(★)】
まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)
まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)

少年・満賀道雄は引っ込み思案で内気だけど、絵を描くのが得意な少年。授業の合間にも絵を描いていたら、同じクラスの才野茂が声をかけてきた。才野も絵を描くのが好きで、将来は漫画家になりたい!と夢を熱く語る。漫画家の夢は持っていなかった満賀も、少しずつ漫画への情熱を持ち始めて……

有名な作品。「藤子不二雄」と名乗る二人組みの漫画家の、幼少期から青年期までの体験を基にしたノンフィクション風漫画。エッセイや自伝ではないところがポイント。あくまで実際にあったエピソードや出合った人物をモデルに再構築した漫画ということ。しかし読むたびアツくなる。とくに、満賀はいつも才野に劣等感を感じているところがリアル。二人の天才がいた……という話になってしまわず、満賀は「なにも漫画家をめざさなくとも」やっていけそうな人間関係とキャリアを築き始めるところなんか、本当にドキドキする。
具体的な漫画の技術・見せ方の話も充実してるし、自分でも出来そうな漫画の工夫・生活の工夫・食べてみたい食べ物が続々出てくるので、多方面から楽しめるところも「何度も読んじゃう」理由かも……


【動物のお医者さん:佐々木倫子】
動物のお医者さん (第1巻) (白泉社文庫)
動物のお医者さん (第1巻) (白泉社文庫)

H大学の理系を受験しよう。と思ってたぐらいで将来のことを考えるまでにはいたってなかった高校生のハムテルと二階堂。学校からの帰り道、近道をしようと通り抜けた大学の敷地内で「追われている子犬」を助け、教授には「キミは将来獣医になる」「このカシオミニを賭けてもいい」と断言されてしまう。
犬を飼うつもりも獣医になるつもりもなかったのに、流されるように犬を飼い獣医への道を進むハムテル……変態教授をはじめ、個性豊かすぎる人々(&動物)との戦いがはじまるのであった!

好き。何度も読んでるしどこからでも読めるしなぜか細部まで記憶している。
油断してると頭の中に「フースフフースフス」とか浮かんでくるけど、いまだに何のことだかわからん。
(試験前に学生たちがつぶやいている。語呂合わせのようなものらしい)
個性豊かなキャラクターがいい……とかいったって、それぞれ超能力があるわけでもないし、ぶっ飛んでる変人なわけでもない。少しずつ「ほかの人とは違う、この人だけの」何かがあるという微妙なラインなんだけど、文庫の8巻を読み終える頃には「あの人ならこう言いそう」「これ好きそう」と、実際に身の回りにいる人のように親しんでしまう。今日もハムテル、二階堂、菱沼さんとチョビは大学にたむろしてるのかな〜とか想像する。
あと、私のリアル動物嫌いが緩和された気がする。テレビ、本、写真で見るのは好きなんだけど、実際に触ったり近寄ったりするのは苦手なんだ……でも「動物のお医者さん」読んだらちょっと平気になってきた。不思議。


【風の谷のナウシカ:宮崎駿】
風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)
風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)

人を寄せ付けない毒の森・腐海のほとりに生きる風の谷の人々。やがて毒に犯され死んでいく運命を背負って、それでも長い年月を森と共存してきた。しかし大国たちは小国も巻き込んで、領土を求めて戦争を始める。望む・望まないにかかわらず戦いの渦に飛び込んでいく人々。ナウシカも小国の長の娘として戦いに赴くが、腐海が存在する意味に少しずつ気づいていく。

漫画版を説明しようとすると、よく知られた映画版と違う話みたいになってしまう。
中学生ぐらいのときに初めて読んで、まだ全巻出てなかったし、戦争部分は難しすぎてよくわからないまま読んでいたと思うけど、当時から好きだったなあ。大人になってから読むと、戦争部分もそんなに難しいことは無かった。これも重いテーマで、善も悪もすべての人間が併せ持っていて、すっきり解決なんてことは出来ないことを知らされながらも、やっぱり日々は続いていって、生も続いていくということを実感する。


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以上です。
やっぱり10本選ぶのは難しい。ハンパに多い。
3本とか5本なら、ズバッと選べそうなんだけど、10本選ぼうとすると「同順位ぐらいに好きな漫画が他にも……」ってのが出てきちゃうんですよ。
「これをあげてコレを入れないなんて……」とか。

今回あげたものより、読み返した回数では勝ってる漫画もあるんですよ。
でも読み返した回数ではなく……冷静に、かつ熱く、考えた結果のTOP10というか……
1位から10位に並べろって言われると余計に困っちゃうのでやめておきます。
(ランキングではありません)
それぞれ全然別物だから、基準が無いようなものなので順位がつきません。

また、好きすぎてほとんどレビュー書いたことのない作品ばかりになってしまいました。
とてもじゃないけど、感想としてこの「好きなきもち」をまとめることが出来るとは思えない。
上記の紹介文は「これが好きだ!……アッ、こっちも、好きだ!」って感じでうきうきしながらしゃべってるとおもって読んでください。

「ハマって、同人活動をしたことがある漫画」もいくつか存在はするのですが、上記のTOP10には入りませんでした。
次点にもほとんど入ってないな……不思議。同人活動をするかどうかってのが、必ずしも「一番好きな漫画」ではないということでしょうかね。好きには違いないけど。あと、リアルタイムで読んでてはまって、人気作品のために引き伸ばされて、最後までついていけなかったり、終わりのほうはいまいち好きになれなかったという理由もあるかもしれません。


posted by 藤村阿智 at 16:02| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月04日

うちの妻ってどうでしょう?7巻(福満しげゆき)

うちの妻ってどうでしょう?(7) (アクションコミックス)
うちの妻ってどうでしょう?(7) (アクションコミックス)

福満しげゆき氏の、愛妻を観察した四コマ風エッセイまんが。7巻。最新刊にして最終巻になってしまった。

年に一冊ずつぐらいだけど、出るのを本当に楽しみにしてたんですよね……
「僕の小規模な生活」のほうも6巻で止まっちゃってたので、題材の似たこちらも楽しみにしてたというか。
ほかのも買いましたよ。
福満しげゆきのほのぼのゲームエッセイマンガ (ファミ通クリアコミックス)
福満しげゆきのほのぼのゲームエッセイマンガ (ファミ通クリアコミックス)
こちらとか。

「うちの妻ってどうでしょう」6巻ではとうとう家を買い、子どもも二人になって、ほんとに……
「僕の小規模な失敗」から見守ってきたわけですよ……
同世代で、自分と似たところがあるというか……学歴が高いわけじゃないけどなんか自分は賢いような気がしているのに、本物の高学歴よりやっぱり劣ってることにうちのめされたりとか……あと……生活力のとぼしさとか……

文体まで福満氏っぽくなってしまった。

最初は「なんだこの四コマ風になってるけど四コマずつじゃない漫画は!」って思ってたし今も思ってますけど、でも楽しみにしてたし読み返しもしてたんですよ。

7巻は、もう早いうちから終了が決定していたようで、そこに向かってちょっといままでの形式を変えてみたり、漫画が終わることへの不安を綴ってみたり、いつもどおりといえばいつもどおりですけど、さらに光る何かがあったように思います。

妻の描き方について某先生からも指摘があったとのことで、ちょっと初期の描き方にもどす感じになってます。正直うれしい。妻かわいいよ。妻〜

「ボクとゾンビ」というテーマから、あの「新作ドラマの設定が福満氏の漫画に似てる」騒動の悲哀まで描かれているのですが、字が多い(笑)

7巻で好きなエピソードは

■176話のあのメニューが夕食に並ぶときに必ず言う言葉
 こういうの好き(笑)一見つながりがないところがまたいい。

■178話〜179話の盛り土のはなし 家の周りに突如謎の盛り土が置かれるように……
 原因には早い段階で「アレじゃないかな……」と思い当たりましたが(ワタシには身近な話だったので)、ミステリー仕立てで怖さが伝わってきて良い!

■193話の奥浩哉先生がストーリーを考えてくれる話
 奥先生のすごさを感じる回……!
 しかし「GANTZが植田まさし先生の絵柄だったら……成立するだろうか」っての、なにそれ読みたいよむしろ読みたいよ!

で、ほんとに終わってしまったわけですが、
「それでも日々は続きます」(オビの言葉より)ってことなんですよねえ。

またどこかでエッセイ描いてください。WEB連載でも最終的に紙本で出すタイプの媒体とかだとうれしいなあ。

ほかの福満しげゆき作品の感想もあります。

僕の小規模な生活(福満しげゆき): 漫画の感想ブログ ホンヨンダ
http://honyonda.seesaa.net/article/403974268.html

僕の小規模な失敗 福満しげゆき: 漫画の感想ブログ ホンヨンダ
http://honyonda.seesaa.net/article/114635781.html
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2015年06月02日

とめはねっ!14巻(河合克敏)

とめはねっ!鈴里高校書道部 14 (ヤングサンデーコミックス)
とめはねっ!鈴里高校書道部 14 (ヤングサンデーコミックス)

楽しみに読んでいた漫画の最終巻。
とてもいいシリーズでした。

よく「登場人物の成長物語で〜」ってあらすじをいわれる話はあるけど、
「とめはねっ!」は本当に、登場人物たちが成長していく話だったと思う。
しかも、不良がいい人間になる。とか落ちこぼれが立派に成功する。とかそんな話ではなく、
普通に成長期の少年少女が、周りのいい大人たちに導かれ、自ら体験して発見して学んで、数々の知識や技術を得て成長していくという話で、だからこそ一見しただけでは地味に見えても、とてもいい漫画になっているのではと感じます。

望月さんと縁くんの二人は、高校に入学したときはまだ書道に触れてもいなかった。それが賞をとるほどの腕前になる成長ぶりを、確かな説得力で語っていく。
縁くんの片思いのゆくえも気になるところで、書道の面白さだけじゃない魅力も。

私自身、絵を描いているわけですが、書についての話や、技術と練習と作品と伝えられるもの……というたくさんのポイントが、書と絵に共通するんだなあと思いながら読みました。
また、作者・河合先生の画面構成というか、白黒のコントラストは、書に通じるバランスがあると思うんですよねえ。


14巻は、170話の最後で縁くんの渾身の書がついに完成するシーンから、171話はずっと泣きながら読んでしまった。173話の、三輪ちゃんの入れ知恵で望月さんが大人を丸め込もうとするシーンで笑って元通りに。

最後まで恋の行方ははっきりしないながらも、ま、あとはうまくやってくださいよ!と素直に応援できる終わり方でした。


また最初から通して読もうかな。
最近、もういちど通して読みたい漫画がいろいろ増えてしまった。
まだ読んでない方も、とめはねっ!の14巻はいいボリュームでどんどん読めちゃうと思うのでお勧めです!
完結したこのチャンスにぜひ。


13巻の感想もあります。
http://honyonda.seesaa.net/article/412122950.html
タグ:オススメ
posted by 藤村阿智 at 14:34| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月01日

でぃす×こみ1巻(ゆうきまさみ)

でぃす×こみ 1 (ビッグコミックススペシャル)
でぃす×こみ 1 (ビッグコミックススペシャル)

ゆうきまさみ先生の漫画を読むのは久しぶり。


私が好きで読んでいる「漫画家漫画」ジャンルとして購入しました。
・漫画家が漫画描いているところのエッセイ
・漫画家が主人公・中心人物の漫画

これに当てはまる漫画はけっこう読んでいます……


「でぃす×こみ」は、少年漫画家をめざしている高校生の女の子・渡瀬かおるちゃんが主人公。
かおるちゃんはめでたく新人賞を受賞した……はずで、その授賞式から始まるんだけど、ようすがおかしい。
じつは受賞作「でぃす×こみ」というまんがは、かおるちゃんが描いたものではなく、兄の弦太郎が描いて勝手にかおるの名前で投稿した漫画だった!しかもBL(ボーイズラブ)!

と、いうわけで、その事実を隠したままプロデビュー・漫画執筆をすべく、妹と兄の二人三脚で漫画制作が始まったのである。


……という出だし。
やっぱりいいキャラはおにいちゃんだな〜。ゆうきまさみ先生の漫画っぽいキャラクター。主人公じゃないところがさすが。主人公は振り回される立ち位置が一番いいですよね。
編集さんとの打ち合わせとか、漫画を良くするために手を加えていくところとか、漫画を描くに当たって参考になるシーンも盛りだくさん。もちろん漫画を描いたことなんてなくても楽しめると思う。

1話ごとにはさまれている、「表紙のラフ案」もすごく参考になる。
どれも(上記に画像がある)実際の1巻の表紙にはちょっと「足りない」かんじがいい。なるほど、それよりこういう風に変更して最終的にこの表紙になったのか……と。
悩みながら描いてる女子高生。本当に受賞した漫画を描いたのはだれ? いまはどういう関係?
っていうのを表紙イラストで魅力的に伝えようとモサクした結果、この表紙になったんだなと。すばらしい。


描いている漫画の内容も、ボーイズラブだって言うのがひとくせあっていいですね。
まったく「腐女子(ボーイズラブを愛好し、すぐにひとの関係性をボーイズラブ化するような女性のこと)」ではないかおるちゃんと、なぜか「セツなくも美しい物語」をつきつめたらボーイズラブにいたってしまったおにいちゃんの弦太郎がコンビになっているところがいい。
弦太郎のほうも「腐男子」じゃないので、練った結果(投稿作のアイディアに)ボーイズラブになっちゃったわけでしょう。だから、これからあたらしく描く作品もボーイズラブを描くなら、「萌え」じゃなくて「計算」でつむいでいかなくちゃいけない。そこが、「BL!俺がBL!」ってゆうき先生が悩みながら描いているのとリンクして面白くなってるのかもしれない。
タグ:漫画家漫画
posted by 藤村阿智 at 12:07| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする