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映画「この世界の片隅に」11月12日より公開開始!: 漫画の感想ブログ ホンヨンダ
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http://honyonda.seesaa.net/article/444225969.html終戦の日に「この世界の片隅に」読み返しています。
せっかくだから読み込むためにも思ったことをメモしながらよむかな。
読んで知ってほしい部分はぼかすけど、ネタバレなしではないので、何も情報を得たくないという未読の方は
原作コミックを読んでからこのメモを読むように。
っていうか私のメモなんか読まなくてもいいから、わたし・藤村阿智が好きで何度も読み返してる漫画とやらを読んでみるか〜ってのでいいから
原作漫画を読んでみてね。
基本的に、読んだことのある人と一緒に読みすすめる感じの覚書です。
9月には(個人的に)呉に行くので、呉市美術館にも行く予定です。
http://www.kure-bi.jp/なんと「この世界の片隅に」上中下(全三巻)の原画が450点も展示されているらしい。
これは見に行かなくてはですよ。
もちろん、11月12日公開予定のアニメーション映画「この世界の片隅に」の予習でもあります。
http://konosekai.jp/【この世界の片隅に 上巻】
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本編の主人公、「浦野すず」(以下「すずさん」)の幼少期を、戦前の広島の様子を描きながらみせてくれるオープニングから。
バケモノにさらわれて、同じくさらわれた少年と出会い、すずさんの機転でなんとか逃れるという夢のようなファンタジーな話から始まる。
すずさんがどういう子どもかということと、出合った少年・周作さんの優しさも見られるという、短い中にいろんなものが詰まったお話。
ぼーっとしているから、夢だったのかも……と思いながらも、動かせない現実の出来事ともからんでいるし、
あれはなんだったんだろう?って思う子どものころのふしぎな想い出ってあるよね。
もしかしたらあとから脳がいろんな想い出をつないで再構築しただけかもしれないけど、なんだか不思議でほわーっとなるような。
とにかく周作さんの心の動きとか、どういう人物かとかが、複雑に伝わってきてすごい。こんなに短いのに。
動じなくて、年下の女の子の前ではいっそうしっかりしたいタイプで、ちゃっかりしてて、許容範囲が広そうで優しい……
こうの史代さんが描く男の人好きなんですけど、周作さんはいちばん好き。次が「長い道」の荘介どの。
「波のうさぎ」も幼少期のエピソード。
すずさんは絵が好きで、絵が得意で、同級生の水原さんは意地悪だけどそれだけじゃなくて……
水原さんの海への思いも記憶しておきたいところ。
★本編はここから。18年12月。
「波のうさぎ」の冒頭と、おなじコマ割り、似たシチュエーション。
成長したすずさんと、なにも変わらないすずさん、変わっていく環境がおなじコマ割りだからこそ実感できる。
日常が描かれるのかとおもいきや、「すずちゃん 大事じゃ! すぐ帰り」から事件が起こり、コマ割りも「波のうさぎ」から少しずつ変化する。
でも基本的に、この二話はおなじ構成で進んでいく。だからこそ、おなじコマにあたるシーンが構図によって意味が変わってくるのを見て、気づいて震える。
「波のうさぎ」で海苔を乾かしていた場所には大根が植えられている。
「波のうさぎ」で水原さんの背中を見つけるシーン、18年12月のおなじ場所のコマでは水原さんと反対の方向へ別れて歩いていく。
すずさんは見知らぬ男からの求婚を受けて実家に帰るところなのだ。
周作さんは、結婚相手の家に持っていくにふさわしいのかわからないけど、キャラメルをお土産に持ってきているようだ。
(お土産はそれだけじゃないのかもしれない)
と言うことは周作さんはあの夢の日のことを覚えているんだとわかりますね。
対照的にすずさんは「いやかどうかもわからん人じゃったねえ……」完全に覚えてない。
求婚の相手に会うために実家に帰ったはずなのに、寒いのに、家に入らず、嫁入り衣装の着物をかぶって海をみつめるすずさん……
海にはうさぎは跳ねていただろうか。
★19年2月
すずさんと周作さんの結婚式のようす。いつもとかわらない、フツツカな娘のすずさんですが、やっぱりお嫁に行くのは不安だったんだろうな。
意地悪そうなお姉さんはとりあえず同居じゃないし、優しそうな義理の父母に一安心といった感じですかね。
夫・周作さんはどういう人かいまいちつかめない様子……
★第三回も19年2月。
冒頭にすずさんが描く、お兄ちゃんへのはがきで新しい家族や登場人物がまるごとおさらいできるのが親切!
そして結婚式の日の……夜の……周作さんとすずさんです……
周作さん好きすぎる(私が)。
眠れてないのかもしれないすずさん、「この家の嫁になった」ことを実感するように朝から家事にいそしんで……
昨日描いたお兄ちゃんへのはがきを出そうとして、新しい苗字で名前を書いて……
オチで笑えるようになってるから、オチの前の真剣なまなざしを忘れてしまいそうになるけど、二つの意味はそのままそこにあるんだと思う。
こうのさんの漫画ではよく「意味ありげな台詞で真剣な顔をしてたけど、実はこういうことでした」って言うオチへの展開があると思うけど、
オチのほうだけじゃなくてそのまま読み取れる感情もやっぱりそこにあるんだと思う。
★第四回も19年2月。
すずさんとご近所付き合い。北條の嫁として自治体の当番に初参加。
とりもって、やらかして、でもまあなんとか受け入れられた様子のすずさん……が、夫・周作さんの登場によってより強固な共感と絆を手に入れる!
って話よね!(間違ってはいないw)
★第五回19年3月。
周作さんのおねえさんが帰って来る。都会・広島から来た割に冴えない嫁のすずさんをいびって追い出したいみたいだけど、
天然ボケばかりの周りに嫌味は通用しない!! 良いツッコミ役として定着しそうです。
お裁縫などの家事シーン好きなんだよな〜。「さんさん録」とか「長い道」「ぴっぴら帳」でも暮らしの工夫シーンが好きだ。
★第六回19年3月。
広島へ里帰り。最後まで読んでからこの辺読むとなんか切ないんだよねえ、日常の描写であればあるほど……
広島に帰ってきて、改めて広島との別れを実感するすずさん。……で、オチ(笑)
帳面にスケッチするすずさんが出てくるのはここからなのね。お父さんからもらったお小遣いで買った帳面なのかな……
★第七回19年4月。
「大和」を見るすずさんと周作さん。
そんな中、姪っ子の晴美さんは「海軍の機密」をなんとかしようと奔走する……(?)
★第八回19年5月
5月は楠公飯の回!
★第九回19年5月
お義母さんをつれて国民学校へ。
お義母さんの、大変だった昔の思い出。大事だった。……大事だと思えたあのころが懐かしいというつぶやき。
掲げられたたくさんの国旗。
★第十回19年6月
お姉さんと小松菜と、建物疎開。
お姉さんの嫌味やイジワルを、すずさんはいつもとぼけているけど全部伝わってるんだと思うんだ。
でも多分すずさんはお姉さんのことが好きで、憎めないんだろうなあ。周作さんのお姉さんだし、晴美さんを育ててるお母さんだし、
悪い人でないのはわかるのだ……
★第十一回19年7月
一家総出で防空壕を作る。
周作さんとすずさんもすっかり仲良くなって……
映画の特報で観られる印象的なキスシーンはここよ。
離縁したばかりのお姉さんには目の毒ですよ!!(夫とはずいぶん前に死に別れているとはいえ)
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【この世界の片隅に 中巻】
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★第十二回19年7月。
1ページ目のお姉さんの、着物の柄www左側はいいけどその続きで見る右側の大ゴマの着物の柄は……w
ジョブチェンジって感じです(?)
お姉さんは離縁と言っても夫が嫌いになったとかでなくて、夫を亡くして夫の両親(義実家)との離縁だったのね。
つらい。そんなお姉さんのおかれた立場や気持ちを考えて、少しでも笑いのある家庭にしようと奮闘する?すずさんが
憲兵にスパイと疑われる!!!
すずさん以外には笑える展開だったみたいだけど、よく考えたら帳面を没収されてるの?
最初に描いた広島のスケッチは……? 一緒に没収? だったらそれがいちばんつらいなぁ。
★第十三回19年8月。
貴重な砂糖 守る工夫が あだとなり
物価が急激に上がることにおびえるすずさん
「いまにお砂糖が百五十円くらいになって (略) 靴下だって三足買うたら千円にもなる時代が来やせんかね…」
(笑)(笑)
★第十四回19年8月。
闇市で砂糖をショッキングな値段で購入したすずさん、ショックのあまり(?)道に迷って知らない場所へ出る。
すいか、おしろい、きれいな服、絵の具、砂糖。
闇市で出合った素敵なものへの想いがまだ残る中で迷い込んだ町は不思議な場所。
夢と現実をつなぐような女性、リンさんとはここで初めて出会うのね。
いや、本当は初めてじゃないんだけど。
昔広島にいたことがある、リンさんの、記憶に残る着物の柄。広島のイメージ。すいかの思い出……
すずさんは優しい子。ぼーっとしてるからだれも誉めてくれないけど、すずさんに優しくされた人々は確実にすずさんとつながっていく。
ところでリンさんの好きな食べ物(絵に描いて〜といわれてすずさんが描いてあげてるらしい)、
わらびもち、ハッカ糖、……そんなもんよう絵にかかん! ムツカシイわ!
★第十五回19年9月
リンさんにであってちょっとおしゃれごころに火がついた(?)すずさんはおしろいはたいて夫の忘れ物を届けに外出……
ただのお使いかと思いきや夫婦ラブラブな展開に。
忘れ物の帳面の、背表紙が破りとられてるところは要チェックです。
その帳面を持ってきてもらう周作さん、海兵さんの集団に戸惑うすずさん、
まだ嫁に来たことが覚めてしまう夢のように感じられているすずさんと
選び取った最良の現実と言い切る周作さん……
周作&すず二人きりのシーンに橋は欠かせないイメージです。
あっちとこっちをつなげる存在が橋です。
★第十六回19年9月
リンさんに約束の絵を持ってきたすずさん。くやしいぐらいハッカ糖とわらびもちがうまそうに描けてる……!!
あいすくりんはなんだかわかんないなりに描いたためになんだかわかんないものになってる!!
そしてリンさんが大事に持ってる、「ええお客さんが書いてくれんさった、名札のお手本」
すずさんご懐妊かと婦人科へいったものの、ただつきのものが遅れてるだけと言うことでしょんぼり。
そんなすずさんに、リンさんが投げかける
「お産って楽しみなもんかね?」という疑問。
子どもができる、できない、いい子どもがうまれる、できのわるい子どもがうまれる、
いろんな不安がリンさんとのやりとりで「悩むのがあほらしう」なる。
私このシーン好きです。悩むのをあほらしうしたくなるときに読み返したい。
売られた子どもであるだろうリンさんが言う
「誰でも何かが足らんぐらいでこの世界に居場所はそうそう無うなりゃせんよ すずさん」
この漫画の最大のテーマだとおもうし、すずさんをこの先何度も救っていく言葉。
すずさんはいつでも、自分の居場所がわからないという気持ちをまとって生きているように私には思えるのだ。
【2016/11/24追記】
考えてみると、すずさんはすずさんなりに落ち込んでるんだろうけど、
遊郭の女性に「妊娠かと思ったら妊娠じゃなくて落ち込む」って話をするのはすごいことだな。
リンさんたちの仕事は、妊娠したくない仕事じゃないか。
日々処理に苦労してるんだろうし…… (読み取りとしては深く考えすぎかなあ)
すずさんのことばかりみてて、リンさんの気持ちまで考えてなかったな……
★第十七回19年10月
親戚の荷物を預かる北條家。おばさんがにおわす、周作さんに「結婚しようと思った女性」が他にもいたような過去……?
ギャグでごまかしつつも、すずさんのことを「選んだ最良の現実」「選んだ」と言ってた橋の上での会話が思い出される……
りんどうの茶碗を受け取るはずだった女性はいまどこでどうしているのか。
★第十八回19年10月
破られた帳面の裏表紙と、りんどうの茶碗と、それが似合う人、ええお客さんが書いてくれた名札の見本……のつながりにきづいてしまうすずさん……
ボーっとしたすずさんの(うごきの)被害にあうのはご近所さんと晴美さんなのであった
★第十九回19年11月
ギャグでごまかされてるけど(以下略)
「夢のような」居場所に本来は自分がいるんじゃなかったのかもと思ってるのかな……
「優しくされている」「愛されてる」のももしかしたら……
★第二十回19年11月
お姉さん回(笑)
お姉さんがどんな悩みもズバッと解決!
★第二十一回19年12月
ここで水原さんの再登場ですよ。
水兵さんという立場を利用して(?)あからさまにすずを「うちのすず」扱いする水原さん。
「普通じゃのう お前ほんまに普通じゃ」
戦争の時代に誰よりも死に近い軍人である水原さんが、死を身近に感じたときに会いたいと思ったのが
すずさんだと感じた周作さん、夜にすずさんを閉め出して水原さんと二人きりで過ごすように仕向ける……
ンモウ!周作さん!
★第二十二回19年12月
水原さんのことを待っていた、そしてこんな風に二人で過ごす夜を待っていたはずのすずさんなのに、
目に入るのはあのりんどうの茶碗。
すずさんの好きな人はやっぱり……
そして水原さんの「この世界で普通で……まともで居ってくれ」という祈りの言葉もまた、すずさんを支える言葉の一つなんじゃないか。
★第二十三回20年正月
いろはがるた。
文に沿った絵が並べられている……ようでちょっとおかしいのが混じってる。読み飛ばせない!(笑)
★第二十四回20年2月
お兄ちゃんが戦死した……という悲しい話のようで、誰も信じちゃいないね。
もしかしたら死んでないかもしれない、いや、やっぱり死んだのかもしれない。
死が少しずつ隣り合わせになってくる。
「この世界の片隅に」は、戦時中を描いた漫画なのに、死が重くない。
預かりしらんところでサクッと起こる、現実と思えない死ばかりだ。たったひとつをのぞいて。
すずさんの周りにはこれから死が多く降りかかるけど、どれも現実感がない、だからこそ、そのたったひとつが重く重く感じられるのかもしれない。
★第二十五回20年2月
雪の中、りんどうのお茶碗を「受け取るはずだった人」に渡すためでかけるすずさん。
遊郭ではリンさんに会えず、かわりに「水兵さんと心中しようとして失敗、あげく熱をだして寝込んでいる女の子」と出会う。
すずさんはこの子に少し、「水原さんと添い遂げようとした自分という架空の未来」を、踏み出さなかったその先を見たのかも知れない。深読みしすぎかな。
★第二十六回20年3月
のどかな春のきざし、でも春の空には戦争が激しくなるきざし。
「来たのう… とうとう呉へも」
★第二十七回20年3月
きわめて軽微だったはずの空襲だけど、実際の現場は軽微だなんて言える雰囲気じゃないことを知るすずさんとお姉さん。
物資不足で晴美さんの入学準備グッズもなかなか揃わない……
そんな中で見る教科書への落書きは心を和ませますね!
★第二十八回20年4月
花見にやってきた北條一家、すずさんはリンさんと再会。りんどうの茶碗はちゃんとリンさんの手に渡っていた。
またひとつ、ふっと降りかかる死のこと。
リンさんから受け取る口紅。「空襲に遭うたらキレイな死体から早う片付けて貰えるそうな」
「人が死んだら(略)秘密は無かったことになる」「それはそれでゼイタクな事かも知れんよ」……
口紅と一緒にもらった、リンさんの言葉。
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【この世界の片隅に 下巻】
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下巻は、読み終えてから表紙を見るとドキッとしてしまう。
そしてあまりにも、言葉にしたらもったいない展開が続くので、たいした内容のメモはできないかもしれない。
★第二十九回20年4月
ページの上半分は、すずさんが帳面に描いたと思われる、戦争に関するメモ。
避難時に必要な持ち物、空襲を避けるための工夫、いざと言うときの備え、敵の武器についての勉強。
下半分は、頻繁に鳴る空襲警報の中で生活する人々の日常。
なんていうか、こういうのを見ていると「日常と静かに・急速に混ざっていく戦争」を感じてしまう。
私たちだって、災害への備え工夫をこういう風にやっているだろう。よその家が空襲の標的にならないようにって壁を黒く塗り始めたら、
私もそれに倣って壁を黒く塗るだろう。
日常に戦争が混ざっていたら、自分だけ「関係ないんで」と言って好きなように、いままでと同じようにはやっぱりいられないんだと思う。
お父さんの知識自慢になごむ(笑)めっちゃ理系(笑)
★第三十回20年5月
年表で見る軍艦の発達から(違)。
戦闘機の発達も空に浮かぶ。
それを作る広工廠。
きわめて軽微な空襲は続く。帰ってこないお父さん。
★第三十一回20年5月
すずさんは小まいのう。
印象的なシーンなので、なんか小さいものを見ると「○○はこまいのう」とつい口に出したくなる私。
お父さんも帰ってこない中、家を空けなくてはならない周作さんの不安。
すずさんが小まい、とわかっていてもすずさんに家を託して出かけていく。
周作さんを忘れないように、帳面に描き留める右手。帳面を袋にしまう手。
紅をくちびるに塗る右手。
「この家を守りきれるかいの?」と問われ、握られた右手で。
★第三十二回20年6月
お父ちゃんは怪我をしてるが生きて病院に入院中と判明!
お父さんを見舞って、晴美さんをつれて息子がいる下関へいくというお姉さん。
空襲の中、防空壕でなんとかやりすごしたすずさんと晴美さんだったけど。
★第三十三回20年6月
「どこで間違ったのか」
ゆらぐ「わたしの居場所」
そして今もっとも出て行きたい場所。
★第三十四回20年7月
「この家はまだ焼けない」
度重なる空襲。
★第三十五回20年7月
すずさんは失ったものを思い出したとき、周りからの「良かった」すら歪んでいると感じてしまう。
死が当たり前になりすぎた呉と、死は近くの別世界で起きている広島の七月。
「ねえすずちゃん 広島に帰っておいでや」妹のすみちゃんが語る、もうひとつの「わたしの居場所」の可能性……
すずさんの世界は失ったものを補えず、歪んでしまっている。
★第三十六回20年7月〜第三十七回20年8月
すずさんが今までぼんやりと、自分の心の中で探してた居場所。
揺らいで、失ってしまったと思った居場所は、周作さんとお姉さんにはっきりと言葉で
「居場所はここじゃ」といわれることではっきりと見える形になっていっている気がする……
同じとき、広島のあの瞬間は、ひとつの白いコマで表現されている。
★第三十八回20年8月〜第三十九回20年8月
近くて遠い広島を想うすずさん、歪んだままの世界で何にもできない反動か、強がっているように見えてつらい……
終戦の日のすずさんはいままで見せなかった気持ちと表情でうずくまる。
でも「失ったもの」がそっとそばに寄り添ってくれているみたい。
★第四十回20年9月
戦争は終わった。でも9月はやってきたし、家はまだ壊れきってないし、手紙も届くし。
生活は続く。生きている人々の。
★第四十一回20年10月
右手が描き出す、知らないはずのリンさんの物語。もしかしたら右手は知ったのかもね。
いまだ歪んだ現実のなかにいるすずさん、右手が描き出す世界は優しい世界なのかもしれない。
★第四十二回20年11月〜第四十三回20年12月
終戦で大きく変化した日常、変わらない日常は広島での出来事がじわじわ変えていく……
死んだら消えるものと、死ななければ消えないもの。
生きてる限りあり続けるなら、生きてここにいる理由になる。
★第四十四回21年1月
広島にいる、妹のすみちゃんに会いに来たすずさん。
失ったものや変わってしまったものにあふれている広島。
最初に出会った橋の上で、これからの話をする周作さん……
右手はそんな現実の合間に物語を綴りつづける。
周作さんとすずさんを引き合わせた、夢の中の出来事のような、バケモノの背中。
あのバケモノは多分……
居場所をいまようやく言葉にできたすずさん。これからも日々が続くんですね。
★最終回は「しあはせの手紙」
右手が送ってくれる手紙。
新しい、未来へ続く出会いもあって、この世界のどこにでもある片隅に色がついていく。
資料、あとがきに描かれた挿絵……久夫さん(晴美ちゃんのお兄さん)かな?が流した船に晴美さんが乗せたシロツメクサ、
新しいこどもちゃん(最終回の子)に届いている絵になってて泣ける。
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カバーをはずした表紙も見てみると面白いですよ。
いや〜 長くなった。
もう、読んだことない人にはさっぱり伝わらないメモになってると思う。
ところどころ読み取れてなくて間違いとか思い込みもあると思う。
でも、毎回読むたびに感想とか見つけることとかが違ってくるから、2016年8月15日、今日この日のメモと言うことで、
次回読み返したときに前回とどう違って見えたかを確認できていいとも思うんですよ。
とにかくなにより映画が楽しみです。
その前に9月、美術館での展示と呉の空気をめいいっぱい堪能してこようと思います。
2015年に描いた記事もあわせてどうぞ。
2000年代の「戦争と漫画」、その一部: 漫画の感想ブログ ホンヨンダ
http://honyonda.seesaa.net/article/423683949.html■映画の感想メモも随時追記・更新中です。
http://honyonda.seesaa.net/article/444225969.html