フランスを舞台にした、王家の姫が時代と性に翻弄されつつも強く生きている物語。
ただ時代を嘆くだけでなく、自分の手で動かしたいと強く思うお姫様だからマルゴは好きだなあ。
それにしても5巻は最初から最後まで人が死にすぎ。
マルゴに近い人もどんどん死んでいく。
敵も味方も死んでいく。愛する人もにくい人も死んでいく。
もう誰が生きるのを許されているのかわからない、というか、まあ生きるのを許された人などはおらず、たまたま生き残っただけなんだと思うとぞっとする。宗教の戦争は怖い。
ただの人殺しを宗教の戦争に見せかけようという人間もいるのが怖い。
私は敵をたくさん殺した勇者だ!と叫んだ男が、そう叫ぶしかなかったということ、もう私は人を殺したくないと嘆き、正義と友のために無抵抗のまま殺されていく姿も……
戦う死、虫けら以下に扱われる死、都合の良い死……君臨しても避けられない病死。
とにかく死、死、死の前に人はただ「死なないという偶然」を祈るばかりだ。
もう、母后がぺージに登場するたび怖くなってきた。
この気持ち、あれだ、「残酷な神が支配する」でグレッグが出てくると同じ気持ちになってたよ……
マルゴとナヴァルの王アンリが出てるとなんか安心する。