
「神々の山嶺」は同名の小説を漫画家した作品。文庫版で5巻完結。
昔はまったく山の漫画に興味が無かったんだけど、いまはいろんなメディアの山ものを読んだり見たりしているところ。
そしたら山ものの名作と言われているこの漫画を読むしか!
ネパールと日本を舞台に、伝説級のアルピニスト・マロニーが残したカメラと、それを自分のものだと言うなぞの男・ビカール・サン。主人公の深町はそれを追っていくうちに、カメラをめぐる事件から、ビカール・サンの正体だと思われる日本人「羽生丈二」のことを調べ始める……
神々の山嶺(いただき) (2) (集英社文庫―コミック版 (た66-2))

1巻、2巻では山岳カメラマン深町と謎の男・羽生の出会い、羽生という男のこれまでを取材し、追って行く。
エベレストへの人類初の登頂は、マロリーが達成していたのか? 羽生が持っていたカメラがマロリーのものならその中に、登頂の証拠が残っているのではないか?
羽生を追いながら深町は、羽生という男のことが気にかかってくる。
なぜネパールにいるのか。なにを目指しているのか……
神々の山嶺(いただき) (3) (集英社文庫―コミック版 (た66-3))

そしてとうとうネパールで、深町と羽生の恋人涼子は羽生に会う。カメラは手にはいるのか。なぜ羽生はネパールにいるのか。その理由もわかって来る。
神々の山嶺(いただき) (4) (集英社文庫―コミック版 (た66-4))

神々の山嶺(いただき) (5) (集英社文庫―コミック版 (た66-5))

4巻、5巻はエベレストへの最後の挑戦。
羽生も深町も命がけでエベレストへ登り、羽生はとうとう帰ってこなかった。
生存は絶望視され、深町も日本に戻ったが、羽生の山に向かう想いが深町から離れなかった。そしてその想いは深町をエベレストへ再度いざなう。
全巻通して、山男の山へ向かう想いと挑戦する心、山の厳しさと美しさ、わくわくするミステリーが楽しめた。4巻〜5巻のような山のシーンは、読んでるだけでのどが渇いて呼吸が苦しくなるようだった。
途中深町が女のことでもんもんとするシーンもなかなか楽しい(笑)羽生のストイックさを、同じ山男であるのにまじめすぎない深町が和らげつつ引き立ててくれて、そこも見所。
涼子さんも美人だし、無茶するけど「助けられるヒロイン」ってだけじゃない強さを終盤に見せてくれてよかった。