誰が彼らを止められるのか ルポ・累犯障害者たち (朝日新聞デジタルSELECT)
知的障害などのために、わるいことだとわかっていても罪を犯してしまう。
逮捕・裁判・拘留されても、釈放されればまた繰り返してしまう。
そういう人がまちがいなく存在していて、今の世の中だと「悪いことをするまでは手を差し伸べられない」
「罪をある程度の拘留でつぐなったことになれば、それ以降の福祉はすくない」ということがほとんど。
この電子書籍では、2件の実例をもとに、なぜその人は逮捕されたのか、なぜ繰り返すのか、警察・司法や福祉はどういう対応をしているのかを紹介している。
実際の事件と、裁判と、逮捕された人物の置かれている状況がそのまま書かれているので読んでて実感がわきやすい。200円程度の電子書籍だけに、短くて少し物足りない。もっといろんな事例を見たいようなきもするけど、結局いまの問題や現場で起こっていることはバリエーションなどないんじゃないかとも思う。
テキストの分量としては特集記事ぐらいかな。
でも、身近に迷惑行為を繰り返す人がいたりしない人にこそ、こういう話題に触れて欲しいと思う。
想像だけでは追いつかないと思う。文庫「累犯障害者」を読んだときのショックはなかなか大きかった。
人より、書かれてる内容について想像したことがあるほうだと思ってたけど、全然足りていなかったことを知った。もちろん障害がある人の中でも、誰にも迷惑をかけない、自分のことは自分でできる、ひっそりと生きてる人も、または活躍している人もいるだろう。
しかしこの本を読んだ後は、気軽に「親のしつけが」とか「周りは何をやってるんだ」「迷惑行為をしないのは社会人の最低必要条件」みたいなことはいえなくなる。
私たちには普段、結果としての悪いことなどが見えるばかりで、そうならないように工夫や努力をしていた福祉や家族の行動は見えてこないのだから……あとは事例を知って、理解と想像を深めないと、と感じている。
「累犯障害者」の感想はこちら。