大いにネタバレアリなのでネタバレを見たくない方は見ないでください。
すでに完結している「バクマン。」実写映画化の予定もありますね。
再読中なのでついでに感想と覚書を書いておきます。
【ネタバレあり】
漫画家について描いた漫画をコラムとして特集しようと思ったんですが、
バクマンはリアルタイムで単行本を購入して全巻持ってるけど、
読み返したことがないな……と思ってこの機会に読み返そうかと。
バクマン。 1 (ジャンプコミックス)

1巻は主人公のサイコー(真城最高)とシュージン(高木秋人)の二人が出会い、漫画を描く目標を同じくするところまで。
恋のために漫画家を目指すってのはいいですね。それぐらいはっちゃけてて、中学生らしい勢いがあるほうがいい。あと、漫画周りのネタが殺伐としてるので、恋愛周りぐらいは思い切ったフィクションがあったほうが読んでるほうも安心しますよね……
読み返してみると、フェミニストの人ならガンガン突っ込みそうなせりふがすごい出てくるなあ。
ヒロイン・亜豆美保ちゃんに対するサイコーとシュージンの会話もすごいし、基本的に「女で頭が良すぎてそつないやつは好かれない」って評価なのがすごい……デスノもそうだったもんね、一番かっこよかったナオミさんは退場しちゃったし。
見吉ちゃん(1巻の終盤で出てくる)は好きなんだけど、彼女も「オバカだけど尽くすタイプのかわいいやつ」って感じだからなあ。バクマンで好きな女性キャラは漫画家の……ってまだ先のほうで出てくるキャラでございます。
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バクマン。 (2) (ジャンプ・コミックス)

2巻。男キャラだと新妻エイジが好きだからがっつり出てきてうれしい。
見吉ちゃんもいいよね〜出てくると明るくなって。
かわりに漫画界隈は殺伐としている。アンケート重視だという現実や、漫画を描く難しさとか……
でも意外と「すげー努力してがんばった → 面白いって言われる漫画が描けた」って感じでぼかされちゃってて、具体的にどういう漫画が描かれてるかってのがわからないからちょっと残念。もちろんそういう「スゲー面白い漫画」とか、「天才が描いた漫画」とかを作品中にだすのが難しいのもわかるし、無くていいんだけど、せっかくだからソコの頭脳戦もリアルに楽しみたいきもちになっちゃう。
バクマンシリーズで一番楽しみなのは、毎回挟み込まれてる「大場ネーム → 小畑ネーム → 完成!」って言うおまけページ。あれが何より、一番漫画を描く上で参考になると思う。
大場ネームの単調でシンプルな構図(これが生きるストーリーもあるだろうけど)から、少年誌向けの迫力と動きがあって、魅力的でわかりやすい画面にどうやって変化させるのかがわかる。
「そうか〜そのコマは一つにまとめちゃっていいんだ」とか……
漫画家志望でバクマンを読んでる人がいたら、何よりも「原稿ができるまで」を熟読するといいと思います。
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バクマン。 3 (ジャンプコミックス)

表紙が新妻エイジ。いいですね。
この巻のみどころは、やっぱり新妻エイジと亜城木夢叶が出会うところかな。
天然天才キャラの新妻エイジと、大部分を計算でこなすタイプの亜城木夢叶だけど、漫画を好きな想いが一緒だからライバルでありつつも仲良くなっていく。
33歳でまだデビューできてない中井さん、だれよりもアツい福田くんも登場するね。
ヒロインのミホちゃんも声優として一歩を踏み出すし、少しずつ前に進んでいる。
進んでいるといえばシュージンと見吉の関係も……
「バクマン。」はテンポがいいから、ほとんどよりみちをしないでどんどん前に進んでいく感じ。
1巻の始まったころからは、実際の時間も1年経ってしまった。
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バクマン。 4 (ジャンプコミックス)

連載への長い道のり。
早く連載を始めたくてあせるサイコーとシュージン、じっくり育てたいと思っている担当の服部さん。
まあ大人と子どもの時間間隔はだいぶ違うからねえ。
漫画のほうは新人のライバルが出揃ってきた!
1巻の感想で言ってる、好きな女性キャラである蒼樹紅先生も登場です。
男性キャラだと、漫画家っぽくないおしゃれ(?)な福田さんもいいですよね〜。
たまにいますねこういう漫画家さん……少ないと思うけど……
エイジはあいかわらず、だけど、初登場あたりに比べるととがったところが無くなって、素直ないい子に。確かにこのタイプは自分が納得すると理解と対応が早い気がする。
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バクマン。 5 (ジャンプコミックス)

5巻。いやなタイミングで担当が替わるという、初連載だったら不安だろうなあ〜という状況に。
さらにアシスタントが三人来る。やっぱ週刊誌の連載だと3人いるか……
蒼樹先生と中井さんのコンビで描いた読みきりが好評にもかかわらず連載にならないということで、二人の仲も終了しそうになるところは燃えますね。なんとか持ち直したし、これからも信頼を深めていくけど……中井さん……かわいそうな男よ。
恋愛方面では、サイコーと亜豆ちゃんの二人にも波乱が。まあ波乱と言ってもお互いの信じて待ってる部分が揺らいだりとかそういう暗い話じゃないので安心して読めますね……結局ラブラブだし。
5巻で「オッ」と思ったのは、チーフアシスタントの小河さんが「デッサンの狂いが無いか確かめてるか」って聞くところかな。連載作家で絵がうまいというサイコーですら、「苦手な向きの顔はウラから描いてる」って言うところ。細かいところに注目するとより面白いです。
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バクマン。 6 (ジャンプコミックス)

6巻。もうずっとオツカレな目をしてたサイコーがとうとうぶっ倒れる。
入院して手術するハメになってもまだ描くという。
まあ漫画だから、そこで描いちゃう主人公でいいんだけど、体験談だったらまずい話なわけで……
ソコにフィクションらしく「仲間の漫画家たちによるボイコット」っていう非現実が飛び込んでくるところがウマイ。
ロング休載は免れたけど、せっかく再開した連載漫画の順位がやばくて連載終了の危機……
果たして会議の行方は!?というところで6巻は終わって、7巻へ強烈な引きです。
個人的見所は、担当:ミウラさんが珍しく(?)担当として頼りになったシーン。
アンケートの順位が下ってきて、何とかテコいれを……と、原作のシュージンが漫画のネタや方向性を決めるにあたってファンレターを参考にし始める。
ファンが喜んでくれる展開やキャラクターの登場ってのは、誰もが考えるところだとは思うけど。
そのネームをミウラさんはバッサリ「ダメだ!」「一番やっちゃいけないことだ」って切るところがカッコイイ。
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バクマン。 7 (ジャンプコミックス)

7巻は表紙からして、ふたりとも頭を抱え込んじゃってるモンね。苦難の7巻です。
まあ6巻で引いた連載会議の結果、「偽探偵TRAP」は連載終了(打ち切り)になったわけです。
そして次の連載の準備。けっこう慎重になるサイコー&シュージンに比べて、ガンガン行きたい担当のミウラさん。
前回けっこうかっこよかったのに、7巻では「ミウラはハズレ」って扱いに……(笑)
すったもんだとけんかしたり離れワザをしたりして、なんとか自分たちの描きたい漫画を貫こうとする二人。
恋愛関連の話も盛り上がってきていいですね。シュージンの周りは女子が多いなあ〜
蒼樹先生もぐんぐん可愛さが増していくところ。中学の同級生・岩瀬さんも再登場でど〜なることやら、って終わりです。
蒼樹さんと岩瀬さんのやりとりなんか、蒼樹先生のほうが年上なだけはあって余裕の分析ですね。
それにしてもヒロインのはずの亜豆ちゃんは出てこないねえ……設定が設定だから仕方ないし6巻で一杯出て宝いいのかな。
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バクマン。 8 (ジャンプコミックス)

いい構図の表紙ですね〜。
8巻は断然、シュージンをめぐる恋模様が見所。
蒼樹紅先生もすっかり可愛くなっちゃって……この辺からの姿を知ってると、最初のほうの蒼樹さんも可愛く見えてしかたない。
漫画のほうはギャグマンガで連載ネームを作ってるけど、苦手もあってなかなか進まないようす。
ツンツンで気に入らないキャラとして1巻に出てた才女・岩瀬さんも返り咲いてにぎやかに……
8巻序盤で(シュージンにとって)意味不明な言動をする岩瀬さんをみて蒼樹さんが「子供だこの子……」って呆れるところが好きです。デスノートの「ダメだこいつ……早くなんとかしないと」に似た雰囲気がある(笑)
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バクマン。 9 (ジャンプコミックス)

この辺面白くてガンガン読んじゃうので、感想をおいてけぼりにしそうになる。
感想を書くのが遅れて溜まっちゃうと、感想を書かなくなっちゃうから、続きを読みたいきもちは我慢して9巻の感想を。
ようやく難産だったギャグの連載が開始。評判は悪くないけど、やっぱり本来得意なものじゃないかんじ……
亜城木夢叶が連載に苦しむ様子の合間に、見吉家の父親とのエピソードが出たり、ひそかに生まれつつあるライバル・静河流の様子がはさまれたり、シュージンが結婚したり。
結局苦手な内容を無理して描いてたギャグマンガは終了させる意向で。
まあ作家が終わらせたくても終わらせられないってのはあるでしょうね……
だからって失踪したらもう二度と漫画かけないだろうし(少なくともその雑誌では……)。
影で暗躍してた服部さんも改めて協力することになって、追い風が吹いている!……と言えるのかな?
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バクマン。 10 (ジャンプコミックス)

ほぼ1巻分かけて、次の連載のためのネームを描き続けてる。
バクマンはテンポのよさはいいところですよね。ムダにエピソードにページ数を割かないところ。
見所は……やっぱ最後の方の連載会議かなあ。会議で話あってるだけだけど熱い展開に(笑)
ベタだとは思うけど……
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バクマン。 11 (ジャンプコミックス)

やっぱりまとめて四冊読んじゃったら感想書くのがしんどくなってきた。
読んだのは昨日……とかでも、そのあと続きの巻を読んだら古いほうからどんどん読んでたときの気持ちとか感想を忘れてしまうなあ。
11巻はいままでのちからを終結させた連載漫画「PCP」が開始、ほかの連載陣と直接対決が始まる。
岩瀬さんがライバルとしてガンガン打ち込んでくるところがいいな。
一瞬岩瀬さんと新妻さんのカップルが出来上がるのかとヒヤヒヤするところとかも(笑)
しかし岩瀬さんはもてなさそうですね……美人なのにね……
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バクマン。 12 (ジャンプコミックス)

12巻。
表紙は平丸さん。平丸さん好きだな〜。
「PCP」ドラマCD化に当たってとうとう亜豆ちゃんが亜城木作品のヒロインを演じることに。
しかし「PCP」はアニメにならなそう……
アシスタントの白鳥くんも活躍し始める。ほかのアシスタント二人のほうが漫画家目指してたのに、絵が描ければそれだけでいい……って言ってた白鳥君が一番に漫画家への道を進み始める(笑)
白鳥君の絵の描き方にサイコーが驚くところいいなあ。下書きをどれくらいの細かさまで描くかって人によりますよね。確かにあっさり下書きを描ければ描画スピードは上がりそう。
この先、絵の話広がったっけなあ?もっと絵を描く話も読みたかったんだけど。やっぱりストーリーの話が中心なんだよね。漫画の見せ方とかのほうももうちょっと掘り下げて欲しい。
実際のマンガの名台詞を使って盛り上げるところもありますね。
こういうところが面白いところ……で問題なところでもあると思うけど。
現実世界とリンクしてるように見せるところはずるい。面白くなってるけどずるい。
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バクマン。 13 (ジャンプコミックス)

13巻はいいですね〜。
シュージンは白鳥君にかまけっぷり……に見えて、見吉ちゃん・サイコーが不安になってくるところとか。
見吉ちゃんぐんぐん可愛くなってくるね。結婚して魅力が増したねえ……
よく考えたらメインの女性キャラには恋人がいて、読者が「俺の嫁」とか言う隙がないね(笑)
見吉はシュージンの嫁(ほんとうにw)で亜豆はサイコー(人名)の嫁って感じで。
恋愛縛りの読みきり合戦が決まって、全員が恋愛モード。
平丸さん&蒼樹さんのカップル好きだな〜。よかった中井さんに押し取られなくて。
最後には脅威の新人が登場して……続きは次巻!
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バクマン。 14 (ジャンプコミックス)

13巻の最後で出てきた新人・七峰くんが注目されてから落ちぶれるまでをこの14巻1冊で描いている。
たくさんの漫画好きが力をあわせて作ったら面白い漫画が書けそうってのはわかるけど、
だったら編集部が原作・原案として作った漫画を絵のうまい人が作画すればいいってことに
なってしまうけど、そうはならないってことはやっぱりある程度少人数で作ったほうが面白い漫画が出来るんだろうね……
14巻では中井さんがスーパーアシスタントとして復活、すがすがしいクズっぷりを見せ付けてくれます。
そんな殺伐とした中で蒼樹さん&平丸さんはほのぼのさせてくれますねえ……
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バクマン。 15 (ジャンプコミックス)

15巻。14巻に引き続き七峰君。
担当の小杉さんが出してくるのが辞職願じゃなくて異動願なところがなんかぬるい(どうせ自分で出すなら辞表じゃないのか)
そして七峰君の完全敗北、正直あっさり勝てたのですっきりはしてるけど「やった!」って感じにあまりならずに流しちゃったかな? その後の平丸さんのかっこよさで全部持っていかれてるというか。
「平丸さんかっこいい! 七峰?そんなのもあったっけね……」ぐらいのテンションに……
サイコーが小学校の同級会に行くところはなかなか。小粒なエピソードだけどこういうのいいよね。
そして連載は順調だけど、世の中では漫画のマネをするやつが現れて、作者の精神状態がピンチに。
デスノートとかもまねは出来ないまでも、いろいろ言われてたもんねえ。
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バクマン。 16 (ジャンプコミックス)

バクマンはリアルタイムで新刊を買ってたけど、読み返すのは今回が初めてなんだな。
覚えてるけどこの先がどうだったか覚えてないっていう状態がずっと続いてる……
16巻はとうとう新妻エイジ作の人気漫画「CROW」が終了。
読者としては理想の終わらせ方なんじゃ。作者じゃなくてさ。
だって面白かった漫画が最高に面白くなって終わるんでしょ。名作になりそう。
「バクマン」世界のジャンプにも、福田組以外の作家がいる(ONEPIECEとかも連載してるみたいだし)らしいけど、CROWがずっと1位、ほかの架空漫画家も上位をキープとか言われると、
ONEPIECEとかどれぐらいの順位なんだろ……ってついつい思ってしまう。
時間は2016年になってるからね。その頃に終わってるのかもしれないけど。
急に昔の漫画家が面白い話を持ち込んでくるようになって編集部があわただしくなるところで
次巻への引き。黒幕はあの人なんだろうか……
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バクマン。 17 (ジャンプコミックス)

17巻。表紙には亜豆ちゃんいるけど、ここのところ本編ではちっとも出てこない。
見吉ちゃんも出てきてはいるけどにぎやかし程度の活躍に……
恋愛方面が作品に影響するのは平丸さんと中井さんぐらいだな(笑)
岩瀬さんはよくも悪くも影響ナシというか……
七峰君が復活して、この世を金と知恵で動かそうとするけど結局うまく行かないかんじ。
こういうところはバクマンも王道だなあと思う。悪いことというか、読者が「そんなのやだなあ」と思う人は成功しないというところ。
七峰君はほんと、ジャンプにこだわらずに他紙でそれをやるか、自分の雑誌を立ち上げれば勝利できると思うんだけど……亜城木夢叶に勝つどころか、ジャンプをつぶせるかもしれないしねえ。
お世話になった編集長が去り、サイコー&シュージンが本当にヒットさせられそうな漫画を思いついたところで、18巻へ続く!
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バクマン。 18 (ジャンプコミックス)

18巻。18巻はなかなか盛りだくさんの1冊でした。
読みきり対決から、掲載誌移動までやってのけて連載開始。
ここまで読んで思うけど、漫画のつくりとしてはこの「バクマン」に描いてあるとおり、やっぱり王道なんだよね。読者の「予想を裏切る」ようなエピソードが語られつつ、読者の「期待を裏切らない」展開というか。
つまり「いままでに観たことが無い!」と思わせながら、実は「いつもの安心できるパターン」にはめているという。
この巻の見どころはやっぱり平丸さんと蒼樹さんだよね。
平丸さんのプロポーズ大作戦は、「ドラえもん」ののび太的な状態になっちゃったけど、逆に女性が読んでもなんだかほっこりして「こんな風に結婚申し込まれてみたい」って感じなんじゃないでしょうか。
「壁ドン」ばかりじゃないですよドキドキイベントは。
普通に考えると「平丸さんは蒼樹さんのどこが好きかって聞かれて『顔!』とか言ってたし、蒼樹さんが年を取ったらどうなるんだろう?」って心配しちゃうところだけど、蒼樹さんが才女でいい人だから、結局年を重ねても魅力がかわらずに、平丸さんもずっとドキドキメロメロのまんまなんじゃないだろーかという安心感がありますね……
どっちかというとサイコー&亜豆のほうが心配(笑)
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バクマン。 19 (ジャンプコミックス)

バクマン。 20 (ジャンプコミックス)

バクマン最終巻に向けたエピソードが続く、19巻と最終巻の20巻。
最初から「漫画のアニメ化、恋人の亜豆がヒロインの声を演じる」ってのが目標で、それをめざして20巻近く活動してきたわけですよ。ライバルたちとしのぎを削ったのもすべてそのため。人気を取るのもすべてそのため……
19巻では、人気を取るために考えて書いた漫画がとうとうアニメになる話が来る。
しかし、アニメに必要な「連載が続く」という条件を考えずに書いてしまったので、納得の行く終わらせ方をすると、1年程度で物語が終了してしまうという問題が発生。
……先ほどの「アニメ化だけのために」がんばってきてた姿勢と、ここはブレてるんだよなあ。
ココに来て突然「納得の行く形で連載を終了し、後に残る名作として完成させたい」ってのが、今までと別人の願いみたいに感じる。
ここまで何度も違う漫画を連載してきて、あせることもないって言う心境になったということなのかなあ……
一応「亜豆にとっても(傑作のヒロインという)代表作になってほしい」という理由付けみたいなことはあるけど。
連載が短いけどアニメ化することも落ち着いて、あとはヒロインに亜豆が選ばれれば大団円なんだけど、
ここでもひと波乱。
なんと漫画の作画担当と人気声優の純愛が発覚☆
コネなんじゃねーのかって言う疑惑がもちろん持ち上がる。
亜豆ちゃんががんばったり、周囲にも「熱い思いに答えたい」って言ういい人がいたからハッピーエンドにはなったけど、実際だったら「なんか変なうわさたっちゃったな。どんなにうまくても今後亜城木と亜豆の組み合わせは避けたほうがいいな」ってなりそうです……
この最後の展開も、王道らしい読者の期待にそった展開でよかったです。
そこに「川口たろうの日記」っていうアイテムを絡めてきたところが「なるほどな〜」って感じ。
真城さん亜豆さんおめでとうございます。
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【全20巻総括】
読み返そうと思ったきっかけは、とある人が
「高校生の息子が『バクマン。』のことを、絶対感動する、すごくいい漫画だから読んで……と薦めてきた」
と言っていたから。40代のかーちゃんに、高校生の息子が、すごくいい漫画だ、読めというほど。
私も1巻から20巻まで全部読んだけど、そんなに良かったっけ? っていうか高校生が感動するような内容だっけ? とおもって読み返して、やっぱり「わかるけどなんかイヤだなあ」とちょっと思ってしまった。
イヤだなあとおもった気持ちは具体的に語らなくても、多分高校生も、自分が大人になるか、いろんな漫画や映画や小説に触れていけば、だんだんバクマンの順位も下っていくんじゃないかって思うから大丈夫だと思うんだけど……
いえ、漫画としては良くできてるし、面白いと思いますよ。
キャラクターも魅力的。
まさに、大場つぐみさんはこのバクマンに出てくる高木(シュージン)タイプの原作者なんだと思う。
バクマンで繰り返しいわれてた、「天才じゃなくて計算するタイプ」。(天才でもあると思うけど……)
だからノンフィクション(実際にある風景、実在する人物、本当のシステム)をうまくフィクションにいれてくることで、フィクションだけでは作り出せない面白さを作ってるんですよね。
これが同じ内容でも、架空の世界で行われている架空の少年漫画で連載するための漫画家バトルとして描かれていたら、ここまで面白く感じないと思うんですよ。
そこまで計算して、ノンフィクションを混ぜ込んで「事実は小説より奇なり」ってのに価値を見出すタイプ(つまり一般の人だけど……)に受ける内容を計算していると。
あと、キャラクターを本当は大事にしていない感じが出ていて……
バクマンでも途中に「一話完結じゃない一話完結」みたいな説明が出てくるけど、「以前に張った伏線のような設定を引っ張ってくる」って言うのを、実際にバクマンの中で使っているわけですよ。
いざとなったらその設定やエピソードは使わなくて終わっちゃっても「回収されていない伏線(謎)」にならない程度のエピソードを用意しておいて、後で持ってきて「あのときの話がここで生きてるのね」って思わせるのがうまいというか。
私が「この人はキャラクターを大事にしてるな〜」って思う漫画では、同じように昔のエピソードが再び語られたりつながったりするけれど、計算じゃなくて「このキャラクターのエピソードを読者に伝えたい」って言う気持ちが伝わってきたりするんだけど、バクマンではそこも計算されているように感じてしまう。
静河くんのその後なんてムリに書かなくてもいいんですよ!
「神の視点」で物語を見てきた読者(=神)に、キャラクターのその後をとりあえず全部報告してる感じに見えてしまうというか……「あの人どうなったの、存在をわすれてるの」ってつっこまれたくないダケなんだろうかとかんぐってしまう。
考えればジャンプの漫画はそういう感じの漫画が多いかもしれない……
ワンピースで「あのときのあれがここで!」って思ってもキャラクターを大事にしてるな〜って思うことが無いというか……
同じ作者だから比べてもいいかな?ということで、
デスノートと比べると、デスノートは上記の「キャラクターを大事にしている風」が見えなくて、逆にいさぎよいところがいい。「あの人のその後」を計算で描いたり掘り起こすよりは、主人公周りの事件を決着させたらほかは言及しなくてもいいんじゃないか。
ノンフィクションをあまり混ぜ込んでこないところもいいと思う。設定をしっかりさせたフィクションのルールでどれだけやれるかっていうのはわかりやすいし、漫画というジャンルで真っ向勝負って感じがかっこいいよね。
バクマンも、「努力・友情・勝利」を描いた漫画だとは思うんだけど、努力はいまいち見えてこない感じだったかな。なんかいつの間にかスキルがあがってて、本人たちも描写的にも「天才じゃない、計算する努力タイプ」ってなってるけど、結局は天才だったのかな……って思っちゃう。
まあ、ジャンプの漫画家には天才じゃないとなれないですよ。
ジャンプに絞ってたからしょうがないけど、他にもいろんな漫画家がいて、いろんな漫画家という仕事の進め方があるって言うことも読者に伝わればよかったかな……
ぐちぐち文句ばかり言ってますけど、漫画家を描く漫画の中でも異色で面白いものだったと思います。
少年漫画らしい王道の物語で、この漫画こそが何度も作中で言われていた「王道の邪道」作品だということが一番のみどころなのです!
--------------------------------------------------2015/11/18追記
【映画版「バクマン。」感想こちらから。】ネタバレアリ。
映画版、実写のバクマン。も観てきました。
大胆な改変もいくつかあったけど、原作そのまんまなところもあってなかなか面白かったです。
特に中盤まで、映像の見せ方なども「おお〜こんな映像やストーリー、映画で観られるのか」と思うほど新鮮で面白かったです。
その分、後半でいまいち失速した感じがあるかも。
つまりピークは真城&高木がエイジとまんが対決(心理描写としての対決)するシーンがクライマックスに感じたということ。
大胆な改変はまず、亜豆ちゃんと真城の関係が変わっていること、新妻エイジの性格。
亜豆ちゃんは真城と両想いってのは変わってないのですが、亜豆ちゃんがぐんぐん立場をUPさせて引き離して行き、とうとう真城は置いていかれてしまう。かわいそう。夢に向かってがんばってたのに、カラダを壊して、落ち込んでるときに振られるっていう最悪パターンですよ。もともと、原作でも序盤はおとなしめで印象が薄めのヒロインだったのに、映画ではさらに嫌な女の子になってしまってるような……いっそ両想いでもなくするか、そもそも亜豆ちゃんを出さないってのもアリだったかもなあ。
新妻さんは、原作では「天才だけど漫画への愛ゆえに他の漫画家へのリスペクトもハンパなく、行動的で素直な性格、先の道を開拓していく先駆者」としてカリスマがあったとおもうんだけど、映画では天才にはちがいないけど嫌なやつっていうキャラになってて、まあ2時間の映画でわかりやすいライバルにするためにはそうするしかないと思うけど、エイジファンの私としてはさびしかったな。
細かいところでは、私がバクマン登場キャラで数少ない好きなキャラ・見吉ちゃんと、女流漫画家の蒼樹さんは出てこなかった。まあしょうがない。かわりに中井さんが遅咲きの漫画家に昇格していた。
ラストの展開は急な感じだったかな。あんなにがんばってアンケート1位をゲットしたけど、その後人気は急落、数ヶ月もしたら打ち切りで連載なしの無職状態に。高校も卒業だし、どうすっぺ……新作描こ!ってところで終わってるんですよ。
病院抜け出して、肝臓の数値が悪い状態を押してまでがんばったのにね……
あと、高木がなあ。原作担当はすることなさそう、な感じ? アシスタントがいない状態で描いてたから、高木がアシスタントのようなことをやらされてたし、原作は片手間にアシスタントも出来るのか〜みたいな印象に。
高木も真城も、とくになにかをやってるふうでもないのにぐんぐん上達して「短期間でうまくなってる……!」ってなるのは、原作どおりです(笑)
よかったところは、平丸先生のキャラと、服部編集担当、福田さん、中井さん、編集長のキャラ。
キャラは総じてよかったですね。川口たろうもすごくよかった。
平丸先生は原作のようなかわいさがなくて、とにかく金にうるさい芸術家みたいだったけど、それでいいんです。平丸先生のシーンは劇場で笑いが起こってた。
服部さんも、原作のようなわかりやすい熱さはないものの、マジメでキャラが立っててすごいと思った。
おまけ。藤子不二雄ファンとしては、細かい見所がいっぱいありましたね。
集英社で、ジャンプの編集部だとはっきり言っているのに、なぜか編集部内とか個人の持ち物にドラえもんやオバQ、パーマンなどがたっくさん。
「キャベツの炒め物」「毒ヘビは急がない」「オレの恋人はまんがや!」など、トキワ荘&まんが道ネタもいろいろ。
映画バクマンを観たらまんが道が読み返したくなって、いま1巻から読み返しています……
(まあ、バクマンは今年読み返したばかりだもんね。)