2017年06月10日

とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話(佐倉色)

とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話(佐倉色)



読みました!

編集部と新人漫画家である作者さんのやり取りが語られて……
細かいトラブルがどんどん積み重なる。
なんというか、この「大したことじゃないんじゃないかな?」「うまくこの嫌な気持ちを人に伝えられない」という感覚わかります。しかし、この漫画の内容は「大したことじゃない」なんてことありませんよ。

すべてがどちらかが一方的に悪いということは無いと思うのですが、ほんと、今の漫画の出版についてはいろいろ変わるべきところがあると思っています。
昔みたいに「職人になりたいなら身を削って頑張って、そして憧れの舞台に立てよ」というのはもう通じなくなっているというか、漫画やクリエーター、そして発表する媒体と言うのはもうひとつ上のランクに行かなくちゃいけないんじゃないか。

つまり、「なりたいなら」「好きでやってることなんだから」「人気商売」と言うことで、作家が何かを我慢しながら必死でやるのが「美しい話」ではいけないということ。
ちゃんと仕事したぶんの報酬がもらえて、その仕事と発表・広報を媒体が支えて、読者が喜ぶかたちで届けるという環境になかなかなっていない……
イラストレーターだったら、カットが一点追加されても別料金を頂戴するのに、漫画は表紙のイラストを描いても予告カットを書いても無報酬と言うことが多いようで。
漫画家が本当に「個人事業主」なら、もっと自由に発表できたり、仕事相手を選んだりということができればいいと思う。

この「とある新人漫画家〜」では、そのような編集者や編集部とのトラブルを暴露するだけでなく、担当者一人が作家の窓口になっている現状を変えて、作家がもっと複数の窓口を持てるようなホットラインの設置を提案したり、無償でやるのが慣例となっている仕事について問題提起したりという点もあることがいいと思う。
いろいろトラブルはあっても、相手を人として憎みきれないのもわかる……。そういう複雑な気持ちが書いてあるのもいいですね。

文字が多くて漫画としては読むのが大変だと思うけどそれは仕方ないかな。
絵はすごく読みやすくてかわいくていいと思う。ほかの作品も読みたくなった。



本書で語られているネットメディアで漫画が無断掲載されているという話、
この通りのやり取りならひどいなと思うし、それもありそうだと思うんだけど、
わたしの作品が同じメディアで取り上げられたときはちゃんとライターさんが事前に連絡をくださって、掲載不可なら載せませんと言ってくださったので、本当にメディアや編集と言うのは担当によって違いが出るなあと……同じ媒体でもですよ。
私も編集さんとやり取りして、とてもお世話になった編集さんと、なんじゃこりゃー!と困ったことになった編集さんと、いろいろ個別に違いますからね……担当さんやメディアに不信感があるとき、ちゃんと別のアプローチから対応してもらえる、自分も移動できたり交渉できるようにどんどんなってほしいです。

(2017/6/12追記:メディア側から見解が出たのでリンクしておきます。)
漫画『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』について、編集部の見解 - ねとらぼ
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1706/10/news018.html

posted by 藤村阿智 at 11:54| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする