2017年06月26日

「ワンピース」読み返している

漫画「ワンピース」読み返しているよ。
とはいっても、だいぶ長い間新刊を買うのをさぼってて、70巻までも持ってないんだけど……

いま66巻あたりを読み返しているところ。

読んでて「うーん」と思っちゃったところをメモしておく。
べつに悪いマンガじゃないと思うしすごいな〜わたしには描けないな〜って思いますけれど。
それでもなんか「うーん?」と思っちゃうことがある。

その正体の一部にちょっと気が付いたというか。個人的な好みの問題なんだけど。
とくにこの61巻から66巻まであたりの、深海にもぐって人魚・魚人となんやかやあるところね。
私は置いてけぼりになっちゃってるというか。
ルフィたちのすごさがよくわかんなくなっちゃった。
敵も味方も限界とか体力・ダメージゲージがわからない戦いを見ている感じか。

麦わらの一味は2年間それぞれ修行して強くなったわけで、まだその強さの全貌はわからない。
そして、いまのところ弱点は無いように見える。
ピンチなんて、「私のしらないなにか」で解決しちゃうんでしょ。という感じ。
アーロンパークあたりですでに、ルフィたちのすごさは言葉で解説されるようになってきてて、読者としてはあまり実感や考察をしなくても「ルフィはすげえんだ。まわりがみんなびっくりしてるもんな」と思いながら読んでいたように思う。

何がダメージだったのか、どこまでダメージを与えればいいのかわかんないけどとにかくちょうどいい感じに敵を倒した。という展開が続いている気がする……
昔はもうちょっと、「この敵はこういうすげえ奴だからルフィの能力じゃかなわないんじゃ……!」っていうハラハラがあったよね。

序盤のほうだからネタバレにはならないと思うんだけど、クロコダイル戦はもうすべてがよかったな〜と思うんだ。
クロコダイルは強い。ルフィがどんなに力任せにやっても、暖簾に腕押し、砂にパンチよ。
でもクロコダイルも濡れると塊ができるわけね。
それに、血が出るほどダメージを受けたルフィだからこそ気づけるの。

あとは、ナミとダブルフィンガー戦もよかったな。
いちばん弱いナミだけど、いちばん頭のいいメンバーでもある。だからこそ知恵を使って、あるものと持った知識で戦って勝つ!かっこいい。
ナミが戦ったりピンチを切り抜けるところ好きだった。
ウソップもチョッパーも同じ。

でも、修行から帰ってきたら、チョッパーの技の弱点や危うさも消えちゃってるし、ナミはなんだか説明の出来ない技を使って戦うようになっちゃったし、ウソップもまだまだ知らない謎のアイテムを使えそうで……
「読者が予想したピンチを丁寧に解決していく」ところは見られないのかもしれない。

インペルダウン編あたりではバギー船長のエピソードが好きだな。
たいして強くもないバギーが、周りの勘違いで勝手にのし上がっちゃうの。
こういう解決は好きよ。


今後の、新世界以降のルフィたちは、もうちからは強いもんだという前提で、何を選んでいくのかを楽しみに見たらいいのかな。でもそしたらバトルシーンは結局面白くならないのか……
posted by 藤村阿智 at 13:13| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月13日

【PR記事だよ!】文房具の漫画いろいろ

わたしも描いている文房具まんが
「文房具の漫画なんて珍しい〜」と……思うかもしれませんが、いまや文房具まんがはブームなのですよブーム!野球漫画とかサッカー漫画より連載作品数が多いんじゃないか??
同時に何作連載してると思います!?実はわたしも把握できてませんよ!抜けがあったら作者さんに申し訳ないから言えませんよ!

そんな文房具まんが、私も2005年から!2008年まで!描いていたんです。(同人誌ですけどね!)
(ただしくは今もいろいろ描いてるんですけど……ちゃんと発表していない……)
んで去年はエッセイマンガを描くはなしもあったんですよ、ぽしゃったけど!!
だからいまたくさん文房具まんががあるのが悔しい!私の文具漫画を差し置いて!
でも文房具漫画人気に便乗するから私の電子書籍も読んでください!!

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まかせて!文具仮面
文房具でなんでも解決!なヒーローギャグ漫画「文具仮面」販売中。読み終える頃にはちょっと文具に詳しくなれるかもしれない!


amazon キンドル
https://www.amazon.co.jp/dp/B0717762RB
ブックウォーカー
https://bookwalker.jp/deb23c2c12-4cf3-4486-950d-0b15fc20c536/
★電子書籍の試し読みはこちらから♪
http://www.blackstrawberry.net/book/e_index.html
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フウ……


自作のPRはここまで。
ここから世の中にある文房具の漫画を紹介しています。
嫉妬で最近のは読めていません。珍しかったころは前のめりで読んでたんですけど……

【夕焼けロケットペンシル】全3巻 あさのゆきこ 2010年〜


文具店をきりもりする小学生の奮闘記。淡い恋も。あさの先生の年の差カップル好きですし、万引きエピソードは文具店で働いていた私の嫌な思い出を思い出させます……文房具って誰もが買いに来て、こうやって周りと触れ合えるツールでもあるよね〜ということを実感します。


【文具天国 黒田の逆襲】そにしけんじ2006年



これが発売された時の衝撃と言ったら……
黒田!?コクヨの社長!?……とは関係ないみたいです(笑)
今読んでも面白いですよ。小学生の男の子、たかしくんの持ち物である文具たちの、悲哀と言うか……
文房具の商品名とかウンチクとかじゃない、どんな文房具にも共通してあるような出来事がギャグになってます。
小学館に公式サイトが今でもあった。文具天国のページ

【ケシカスくん】村瀬 範行2004〜


ケシカスのはなしかな〜と思うと、まあ、消しゴムが主人公ではあるんですが、大体下ネタですね!
なんちゅうか下ネタですよ!


【ケシゴムライフ】羽賀翔一 2011年



漫画を描いている、友達がいない少年が主人公。唯一の友達だったじいちゃんは死んじゃった。そのじいちゃんが教えてくれた言葉、「人生にはケシゴムが必要なんだ……」「ケシゴムの本当の役割は間違いを消すことじゃなくて」

【文房具ワルツ】河内 遙


買ってあるんだけど、なんどか読み始めたんですけどまだ読み進めてない……すいません


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ここからは連載中の作品。

【文野さんの文具な日常】榎本あかまる


【ぶんぐりころころ】安藤 正基



【文具少女ののの】星屑七号



まだコミックス化していない作品も。

【きまじめ姫と文房具王子】藤原嗚呼子
↑公式サイトで1話が読めますよ。


海産物さんによるTwitter連載
「#漫画家さんと文房具屋さん」


これもか〜
「文具を買うなら異世界で」
とよだたつき(漫画) / 海産物(漫画) / 高畑正幸(文具監修)

ケシカスくんも連載中ですね。

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なんか忘れてるような気もしますがとりあえず。
思い出したら追加します。
同人誌でも文房具まんがって……いっぱいあるんですよいまは……
タグ:文房具 漫画
posted by 藤村阿智 at 13:37| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月18日

【この世界の片隅に】すずさんと劣等感

最近思いついて、だんだん「ああ〜そうなのかもな」と深まっていた考えを
忘れないうちにメモしたいと思う。

ほんとに個人的な、思い付きなので、「全然そんなことないだろ」とか
考えすぎているところとか
的外れなこともあると思います。
こういった見方もあるんだな〜ということで読んでみてください。

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その他の関連長文メモ
映画「この世界の片隅に」感想(随時加筆)
http://honyonda.seesaa.net/article/444225969.html


この世界の片隅に(こうの史代)読み返し感想・メモ
http://honyonda.seesaa.net/article/441069333.html

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■すずさんと劣等感

ふと、「この世界の片隅に」は、すずさんが劣等感から少しずつ救われる話なのかもしれないな、と思い立った。
そんな風に思いたくなったのは、私がそもそも劣等感の塊を抱えたまま40年近く生きてきて、まだその塊が消えていなくて、「この世界の片隅に」に心がひきつけられる理由は、「すずさん」に似たものを勝手に見出したせいなんじゃないかと考えてしまったから。
(物語の感想で「キャラクターに感情移入できた・できない」は嫌いな視点なのだけれど。)
単純な「感情移入」じゃなくて、実際にそうなんじゃないかと思ったところをメモしてまとめてみる。

★ぼーっとした子

原作だと「冬の記憶」の最後に「わたしはよく人からぼうっとしていると言われるので」とモノローグ、
映画だと冒頭で「うちは よう ぼーっとした子じゃあ言われとって」冬の記憶の終わりは「うちはぼうっとしとるけえ、あの日の事も」で結ばれる。

映画のほうはより強調されているけど、「ぼーっとしている」をいい意味で言う人はいないと思うし、
何度も言われてるうちにすずさんは「わたしはぼーっとしているんだ」と思い込んでいるんだろう。
映画の後のセリフは自分で自分の「タイプ」を断言しているように聞こえる。

★鬼ぃちゃん

鬼ぃちゃん(お兄ちゃん)は妹であるすずを、ことあるごとに怒鳴り散らしているようだ。
原作や映画で見られるように、怖いけど一理もあるという、叱られてもしょうがない状態にすずさんがいるように見える。反論せずとも「そうかもな、自分がわるかったところで叱られてるんならしょうがない」と何度も思っているんじゃないだろうか。

★すみちゃん

かわいくて、次女だし、活発そうでできもよさそうな一つ年下の妹のすみちゃん。
比べられることもあったかもしれない。
北條家から結婚を申し込まれた時も、「すみちゃんかもしれない(私が選ばれるはずがない)」と思ってる節がある。

★ふつつか

結婚するとなってもすずさんは親に「ほんまにふつつかじゃ、大丈夫かね」と心配される。
すずさんは社交辞令でなく、「ふつつかものですが……」と自分のことを思い込んでいるかも。

★径子おねえさん

義理のお姉さんにも冴えない、気遣いがない、と叱られてばっかり。
(径子さんも実際はあんまり家事が得意じゃないようだ)
モガで、自分のことは何でも自分で決めて、行動力のあるお姉さんを素敵だと憧れつつ、
やはり自分は冴えないのだと再確認させられるような存在なんじゃないか。

★化粧慣れしてないすずさん

自分に自信がないと化粧やみなりがおろそかになるというのがあって、
すずさんは無頓着なだけ……と言うのもキャラクターづくりとしてはあるとおもうけど、
「うちがきれいにしたって……」と言う気持ちもあったりしないかな?
子どものころから周りよりおしゃれ(流行の恰好)をしてないようだし、化粧をして出かける、
年相応の恰好をするなどは苦手なようだ。
そんなすずさんが、紅を引くきっかけはいつもリンさんから。


すずさんがとくに主張もなく知らない家にお嫁に来たり、粛々と苦手な家事をこなしたり、
嫌味を言われてもとっさに怒りを表現できなかったり(たぶん怒りに気づいてすらいない)
得意な絵も描かなくなっていくのは、「自分は大したものじゃない」と思い込んでいるからなんじゃないか?
子どものころに「そんなことじゃ嫁にいかれんで」と言われ続けたら
「そうか、嫁に行かれんのか、じゃあそうなのかもな」と思っているんじゃないか?


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■すずさんが救われるシーン

やはり、そういう救いや癒しのシーンは印象的に描かれていると思うし、
観た人の心に残る演出があると思う。

★周作さんの存在

「冬の記憶から」「しあはせの手紙」まで、ずっとずっと夫の周作さんはすずさんを救って癒し続けている。
できんことをできんと言われ、笑われることもあっても、できると思ってなかったことも
どんどん見つけてくれているんじゃないか。必要として、求めてくれる初めての人になっているんですよ。
それもどうやら便利な嫁としてじゃないようで、ことあるごとに「最良の選択」「選んだ」「楽しい」と伝えてくれる。

私、知ってるんですよ……一度劣等感の塊を持ってしまうと、なにか自分を肯定するような出来事があっても、
その「いいこと」はすぐに蒸発して薄れていくのに、手元に劣等感の塊は存在していて、「あ、やっぱだめだ私って」ってなっちゃうんで、何度でも、何度も何度も、同じような「必要だ」「ほしい人間だ」と言うようなことを表明してくれないと、劣等感の塊に自分が勝てないんですよ。「自己を肯定する・認めてくれる塊」も出来上がってこなくちゃ、いつまでもつらいんですよ。
そこから抜け出し始めた状態が「ありがとう、この世界の片隅にうちを見つけてくれて」なんですよ。いままで自分でも存在を感じられなかったこの世界で、ようやく誰かに「自分がそこにいる」ことを見つけてもらえたということを言葉にできたんですよ……

★スイカ、「優しいね」といわれた想い出

夏の日に、祖母から言われた「すずちゃんは優しいねえ」という一言が、どんなにすずさんを救ってきたか。
おばあちゃんは「それではお嫁にいけない」と言い放った人でもあるけど、きっとすずさんはこの想い出を大事にしていたんだろう。

★絵を描いて喜ばれた記憶

水原さんの絵を代わりに描いてあげた時も喜ばれたんだろうけど、うまいねえと言われながらも鬼ぃちゃんからは「落書きせにゃぁすむ話」とバッサリだし、賞を取った絵は水原さんが描いたことになってたから本人は褒められなかっただろう。
そこでリンさんの登場ですよ。あんなにイラストの甘味に興奮して次々絵をねだる!絵描きにはうれしい反応です!
同じくテルちゃんの反応もね、喜んでもらえたという自信につながると思うのです。
また、喜んでいたと伝えてくれるリンさんもいいですね。

★この世界に居場所はそうそう無うなりゃせんよ

これは誰がどう見ても。
そして初めて見た時から、すずさんより私が救われてしまった言葉だけれども。
こんなに一番下のほうから救い上げてくれる言葉はあるでしょうか……


★「普通じゃ」という水原さんの「誉め言葉」

「すずさんは普通の女性なんかじゃない。一般より優れた女性だ」という感想も見かけたけど、ここはすずさんが一般的な女性と比べて普通かどうかと言う問題じゃなく、すずさんが自分をどう思っているかと言う視点から考えてみる。
いままで述べてきた通り、すずさんは自分を「冴えない、できない」と思っているようだ。
そんなすずさんには、水原さんによる「普通じゃのう、お前ほんまに普通じゃ」という評価はうれしかったんじゃないだろうか。落ちこぼれじゃない、なんかが立派だというとにわかに信じられないかもしれないが、とにかく普通であると。
「私でも人並みかな?」って言うのはうれしいことだと思うのだ……しかも、昔さんざん悪態をつきあっただろう水原さん、ちょっと好きだった水原さん、自分を選んでくれなかった水原さんが会いに来てくれた上に「普通だよ」って好意を込めて言ってくれるなんてすごく癒されませんか。
うれしかったと思うなあ。
でもそれ以上に周作さんとの関係、北條家に嫁に来たことで得た自己肯定感が、水原さんに向けて放り投げられた(ような気がした)ことで周作さんへの怒りが勝っちゃうシーンでもありました。
それでも「それもまた普通だ」と言ってくれる、水原さんもなかなかの男です。


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■うがった見方で……



すずさんが(無意識に)劣等感から解き放たれたんじゃないかと思った箇所


★北條家の家事の中心は自分であるという使命感と責任感

義理の母のサンさんは足を痛めていて(おそらく一過性のものではなく)家事が思うようにできない。
お義姉さんはお嫁にいきんさって家におらん。
ほかに女手なし。
張り切って、生き生きと工夫しながら家事を楽しもうと思えるのは、一番元気で動けるのが自分だ、頼りにされているという高揚もあるんじゃないか。


★みんな死んでいく

本当に、こんな風に言うことは悪いのかもしれないけど、
すずさんより強かった人たちがだんだん周りからいなくなっていくんですよね。
すずさんが自覚しているのは「鬼ぃちゃんが死んでよかったと思ってしまっている」という歪みだけだけど……
もしかするとその後の、広島にあったことはさらに心を動かしたかもしれない。
だからこその「強くなりたい、暴力に屈しない」かも。映画のほうだと「暮らすのがうちらの戦い」とまで言うのが本当に怖く感じてしまう。

いわゆる「闇落ち」状態にすずさんが一番なっていたのは、晴美さんを失い、けがをした自分が生活の何も思うようにできず、自分を肯定できるようになってきたすずさんからまたたくさんのものが奪われて、怖くなった時なんじゃないか。
実家方面の悲劇のあとは、すずさんは(きっと心が高ぶって)人が一時変わったようになる。


いろんな意味で……「かなわない」人がいなくなった時が、劣等感からの解放につながるんじゃないか?

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だらだらと書いた上に最後はかなり穿った見方になってしまった。
そんなんじゃないかもしれないし、少しはあるのかもしれない。


「夕凪の街 桜の国」でも皆実さんは、自分だけ生き残ったことに罪悪感を感じて、
人並みの幸せを手に入れることを躊躇している。
「長い道」の道さんは、過去の「幸せになれなかった・否定された」経験から、自分は幸せになってはいけないと思い込んでいるのか、あまり自分を大事にしていないように見える。

そういう人たちが過去から解き放たれて、少し前を見れるように、自分の好きに生きることを考えられるようになったところで物語は終わっている。

同じものが「この世界の片隅に」に見えてきても不思議じゃないと思ってしまう。


posted by 藤村阿智 at 17:29| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月31日

映画「この世界の片隅に」感想(随時加筆)(3/31追記・修正)

公開から100日おめでとう!(2017/2/19)
suzusan170219.jpg
↑記念イラスト描いてみました(すずさんパッケージのセーラー万年筆ジェントルインクを使って、つけペンと水筆で描きました)。


(記事は2016年11月23日に作成、その後思ったことなどを随時追記しています)
11月12日公開の映画「この世界の片隅に」初日に2回、そのあと9回(3/31時点)見ました。
(いろんな劇場の違いを試してるうちにこんな回数に…… 17/2/17追記)

気持ちが落ち着くまで感想なんてかけないんじゃないか、と思うんですが、
いつまでも落ち着かないのでとっちらかしてもなんかメモっておこうと思います。

まず、映画とても良かったです。
何度も観たい映画です。
どういう気持ちで監督が原作をアニメ化していったのかを追いかけていたから、
その結果 こういうアニメが出来上がるんだというところまで見ることができました。
作品と観客に誠実になったら、ここまでできるということを知ってしまった。
私ももの描きのはしくれとして、この映画を観たことで、いままでとは自分の作品制作に向かう気持ちが違ってしまった。
私もいままでよりもっといいものがつくりたい。すぐにはできなくても、少しずついいものにしていきたい。
そんな風に思いました。


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では、原作ファンである私がこの映画を観て思ったこと・かんじたことなど
メモしていきますよ。まとまりはないですよ。
まだまだ全部は出てこないし、思ってるけど消化できないことなどいろいろありますが
随時追記していこうと思います。
(ネタバレあるかも……とにかく観た人向け。
 観てない人がこれから観るかどうかの参考になるようなことは書かないし、かけないし、
 あらすじとかも書かないと思う)


■(2016/12/8)この映画で体験したことは、映画を観ながらすずさんたち家族の一員になったみたいな気持ちなのかもしれない。私は実体を持たずにタイムスリップして、すずさんたちに気づかれないまま、その世界の片隅を見ている。

■(2016/12/8)ストーリーの説明には公式サイドも苦労していると思うんだけど、多分観た人も
「どういうお話なの?」と聞かれて応えられないんじゃないか。
ストーリーっぽい「話の流れ」を説明すると映画の本質とはちょっとずれてしまうから。
とにかく、その人がどういう人で、どう生きて、どう存在しているかを描いているというか。

原作も1話完結の漫画の集合なんだし、たとえばこち亀ってどういうストーリー?と聞かれても
「はちゃめちゃなおまわりさんがなんかいろんなことに挑戦して周りを振り回すお話だよ」と
説明したところで、なんか違うじゃないですか。「ストーリー」とか「あらすじ紹介文」がかけないのは
しょうがないですよ。

■(2016/12/8)ストーリーで泣けたというよりは、動いて喋るすずさんたちを見て、「ドラえもん」でのび太がタイムマシンでおばあちゃんに会いに行って(4巻186P)「生きてる。歩いてる!」って泣いたときみたいな気持ちになったの。

■(2016/12/8)原作ファンとしてちょっとさびしいのは、わかりやすくなってるところ。
わかりやすいのはいいんだけど、ほら漫画とか小説とか読んでて
「あっ!ここってこういうことか」と気づくことができて「もしかして気づいたの私だけかも」と思うのって
ほくほくするじゃないですか。
映画のほうはかなりそういうのがはっきり描かれたり、強調されたりしていて、
「あーっ! わかりやすすぎる、あとで気づいたときの感動がなくなるんじゃ!?」と心配になるけど、
わかりにくくて「なーんかわかんねえな」って思われるよりはいいんだろう……
ゼイタクな悩みかもしれんよ……

■(2016/12/8)声優さんみんなよかった。誰一人「え、この人こんな声だったんだ?」って思う声がなく、
その人から出そうな声でしゃべってるのがすごい。
もちろんすずさん役ののんちゃんもすごい。後半になるとさらに冴えてくるというか……

■(2016/11/20)ロフトプラスワンのイベントにて、
北條サンさん(周作さんのおかあさん)役の新谷真弓さん、黒村径子さん(お姉さん)役の尾身美詞さんのお二人が「本当の親子のように聞こえる声で、すずさんの外から来たお嫁さんって感じがより際立ってよかった」というお話もありました。確かに。

■(2016/12/8)虫や鳥がたくさん出てくるのもいいですね。植物もぎっしり。生えるところには生える。
飛び去っていくたくさんの赤とんぼのシーンはきれいでしたね……
よりそうように咲く黄色と白のタンポポ2つも見所。

■(2016/12/8)とにかく音もすごい(普段の生活音もそうだけど、空襲なども)ので、
劇場で観ておいた方がいいですよ。あとでDVDとかで家で見るのはだいぶ違うんじゃないか。
立川シネマシティの極上音響上映でも観たんですが、最後の方でハエの羽音が後ろからも聞こえてリアルすぎて「うおっ!」となりました。他の劇場ではどうだったかな〜。
(2016/12/11)12月10日の舞台あいさつによれば、料理シーンの音には菜ばしも楽器として使ってるとのこと。声の録音もこだわって、普通のマイクじゃなくて斜め上から録ったため、動いてアフレコができなくてのんちゃんは大変だったとか。(動いて演技しようと思ってたそうで)

■(2016/12/8)原作でいう「そすそすそす」ってうごきのすずさんが好きなんですが、映画では原作の二箇所に加えてもう一箇所そすそすしてましたね。

■(2016/12/8)この映画には猫が結構出てくるけど、犬が出てこないのは、もしかして……という話に
「犬も最初の方に出るよ」と。たしかに、すずさん幼少期の江波に犬の姿がありました。

■(2016/12/11)里帰りしたすずさんが実家の家族と夕飯食べるシーンで、鬼いちゃんの分の食事も用意されているのを見つけたけど、公式ガイドブックによれば(円太郎さんが帰ってこなくなったあたりで)ご飯をいない人の分まで用意することで無事を祈っているとか。

■(2016/12/8)リンさんのエピソードのこと
このブログにも、検索ワードに「リンさん」を入れて来る方が多いみたいで、大きくはしょられたエピソードのことについて人の意見が聞きたいと思うんでしょうね……
いや〜8月の原作感想メモのときにも書きましたけどね、リンさんとすずさんのやり取りですごく好きなシーンがあったわけですよ。
あのエピソードが映画になってないと言うことですごく残念だったんですよ。
すずさんを形成する悩みのひとつと、すずさんを支えていく大事なことばと。
いつの時代でも「性が女である」ということの揺らぎと軸のなさを、そっと支えてくれるような……

で、まあ残念だったんだけど、確かに入れるとなると他のシーンもいろいろ追加になるからどんどん長くなるし、監督は重要なシーンだからこそ……と映画に入れなかった理由を「ユリイカ」16年11月号で言及しているし、もしかしたら映像化されるかもしれないしね。
あと、他のファンの人が面白い読み取りをしていて、そうか、そう考えるとあのシーンが描かれなかったのも、それはそれでゼイタクな事かも知れんと思い直したのです。

■(2016/12/8)水原さんは死んだのか ……というキーワードで捜している人もいるみたいだ。
帰ってきて青葉をみつめているのでした。水原さんが笑って思い出しているのは先に行ってしまった同期たちでしょうか……それともお兄さんでしょうか。

■(2016/12/8)原作で感じていた「すずさん」という人物と、映画で観られる「すずさん」という人物に少し違いを感じたりしませんか。私はちょっと「原作で思ってたすずさんと違うな」と感じたのですが、
劇場パンフのインタビューによると
監督とのんちゃんは「すずさんが子供であるという魂を持ったまま、どういうふうに大人になっていくかと言う話なのだという解釈」で一致していて、
こうのさんは「原作では少女のまま嫁いできたとは思ってなくて、わりと大人の女性として描いていた」と言っているので、その辺の違いをまさに感じ取ったからなのかなと思いました。

■(2016/12/8)もう一度関連書籍とかインタビューとか見返せばどこかで言及してるのかもしれないけど、原作からの変更で、ラスト近くクライマックスのすずさんの慟哭、セリフが追加されていましたよね。
私は少し違和感がありまして……すずさんは、どこでそんな話を知ったんだろう。
そこまで淡々と、すずさんに見えたものだけを綴っていたからこそ「急に出てきた台詞」と感じてしまいました。どこかで描写されていただろうか……次見るときは気をつけてみてみよう。
(2016/12/9)Facebookに公式が掲載したトークショー書き起こしで言及されてました。なるほど。
(2016/12/10)闇市で海外の米を売ってるシーンがあったね。あと、自分の読みがちがっていて、「暴力で従えてた」のは日本が日本国民を、という理解だったので、そこですでにずれてたんですね……

■(2016/12/8)あと、右手が慰めるタイミングは原作のほうが好きかなあ。映画のほうもそれはそれでいいけど。

■(2016/12/8)「近年のほかの作品に比べると作画は落ちる」みたいな話を見るんですが、他の作品と同じように比べるのも間違ってるし、ぜんぜん落ちていない上にどちらかというと神がかっているので、作画うんぬん言う人は見る目と好みが違うことに気づけてないだけなんだろうなあと思っております。私は普段から絵を描いたりもしていますが、自分であのように描くことを考えたら、すげえ、すげえの連続です。
丁寧に作られたアニメーションは、もう存在しないものを存在するように・古くなってしまったものを新しかったときの姿で描くことができるんですね……

■(2016/12/11)原作の感想のほうでも書いたけど、右手はすずさんと別れた後いろいろ「知った」んだとおもう。それまですずさんが体験したことを描いていた物語だったのに、終盤はすずさんは知らないはずのいくつかの物語を描く。
原爆投下時の広島の描写がリアルでない、という話もみたのだけど、すずさんの体験からすると「その時の広島」は見ていないわけで、つまり右手が語る描写で、必要最低限の部分をまるめて切り取ったある種のフィクション(しかも入れ子になっていて、フィクション内フィクション)と言うことだ……
原作の方では、ラストの「しあはせの手紙」は右手が描いていくとある少女のエピソードが終わって、すずさんのいる「いま」とつながるともう一度「左手で描いた絵みたいに歪んだ世界」に戻るんですよ。そして本当の、最後の最後にもう一度右手が世界を描き出して、とうとうすずさんは歪んでいない世界に帰ってきたように見えるのですよ……
映画のほうだと、どこですずさんが「帰ってきた」かは描写されていたかな。また今度注意してみてみよう……

■(16/12/15)ほんとに?とにわかに信じられないんだけど、映画「この世界の片隅に」を観て、原爆投下時のリアルな広島も描かれていると思ってる人もいるみたいなはなしを読んだ。
あれは右手(すずさんにかぎらない)が描いた広島だと思うのです。
私は二度、広島の平和記念公園と資料館に行っており、その他の原爆を扱った作品や資料を見ているし、当時の写真や動画もいくつか見ています。ぜひそれらも一度みてみてください。

■(16/12/15)原作を読むとこの辺のことがよりよくわかるよ!
☆リンさんとお友達になったすずさん
☆すずさんが周作さんを送り出すときにさした紅の持ち主
☆径子さんのさらなる魅力
☆お義父さん(円太郎さん)の理系オタクッぷり

■(17/2/17)なんだかんだで10回も観ちゃった。
ロングラン上映になったし、あちこちの行ったことがなかった映画館で上映しているのもうれしい。
とくに、音響がいいと聞くと行ってみたくなる。
みなさん、いいとか悪いとかじゃなくて、劇場によって聞こえる音が全然違いますよ……
多分座席の位置でも違うんだろうけど。

■(17/2/17)そんな、映画の音のメモ。
音楽もきれいだけど、普段は音楽だけじゃなく生活音や環境音がつねにありつづけている。
昼間は昼間のにぎやかさ(鳥・虫・風、光の音!)があるし、夜は静かだ。
やっぱり人や生き物が生活して、動いてどこかで音を立てているというのはにぎやかなもんなんだね。
(※光の音というのはなんとなく、私が感じたものなのでそんなものを入れ込んではいないのかもしれません。でも、どんなに音がなくても、やっぱり昼よりは夜のほうが静かですよね?そういう感じです)
水の流れる音が聞こえる。
重力と地面や床の素材を感じる、足音が聞こえる。
夜、水原さんと二人きりのシーン、布の厚みが伝わる音がする……
髪の毛を櫛ですく音も……
煮干しの頭をとったり、煮てあたたかい料理を作ってる音もいいですね。

■(17/2/17)日本語字幕上映も観に行きましたよ。
原作も読んでいるので、そんなに「そこはこう言ってたのか」って箇所はなかったのですが、
「あ、そこ小林のおじさんが言ってたのか」とか、「この子に名前があったのか!」とか、
そういう発見はありました。メインキャラクターの声と被ってなければ、モブの言葉も文字になっているので
聞き取るには小さい音声も意味が分かっていい感じです。キャラが歌う歌の歌詞とか。
ラストの歌のあたりは、歌とセリフを同時に展開するのはむつかしいらしく、
歌詞が抜けてしまっているのが残念でした。まあ、両方出たら追うのも大変だし、
そもそも音声でも聞き取れてないからね。同じことかもしれない。
一か所「(ハエの羽音)」って書いてあるところがあって、エッ!と思ったけどやっぱ聞こえなかった、よく聴けば聴こえるのかな。もう一か所ハエの羽音はあって、そっちははっきり聞こえるんだけど。

■(2017/3/18)新宿ピカデリー舞台あいさつ付き上映を見てきました。
おわりの監督の言葉にほろりとしてしまいました……
今日の鑑賞で見つけたもの
●S19年すずさん実家のふすま(壁かも)補修にバケモンの絵が使われてる
●周作さんの机にじゃがいもの花っぽいものが飾ってあってかわいい
●屋根裏にいる幼い日のリンさんの隣にネズミもいた

■(2017/3/19)第二弾クラウドファンディングには参加してなくて、
その分映画館で映画を見ようと思ってました。
もうクラウドファンディングに参加するよりお金かけていっぱい見てしまった(笑)
でも最初のクラウドファンディングに参加したからこそ、繰り返し見る気持ちにもなったし、
その後の活躍をみまもる気持ちになれたし、人にも進めるきっかけになったと思います。
「紹介されたので映画を見ました!」っていう人が少なくとも2人名乗り出てくれてて、
その人達も数回見てくれていて、うちの両親も2度観に行ったと言っていたし、
私も少しは動員数に貢献できたのではないかと思います……
ただの「おすすめの映画」というだけではない説得力が、クラウドファンディング参加によって
付加されたのかもな〜と私については思っています。
以下の座談会に参加しています。
「この世界の片隅に」あなたはなぜ出資したんですか?(前編) | 文春オンライン
http://bunshun.jp/articles/-/1717

「この世界の片隅に」あなたはなぜ出資したんですか?(後編) | 文春オンライン
http://bunshun.jp/articles/-/1718


■(2017/3/31)批評記事を読みました。
『この世界の片隅に』と凶器としての「普通」 - messy|メッシー
http://mess-y.com/archives/42351

しっかりした批評だった。
しかし!この人が感じたもやもやは!ご指摘の通りワザとであって、すべて織り込み済み(もやもやするところまでがこの作品)なのであった。
こうの先生の他の作品を読むと、こういう「いい話……なのか?」っていうもやもやを必ず含ませているのだから。
「よかった」って物語もキャラも読者もなっている裏で作者は舌を出しているんじゃないか、真顔なんじゃないかってぞっとするところも含めてこうの作品の魅力だと思っている。
「私は常に真の栄誉を隠し持つ人間を書きたいと思っている」で作られた作品だと思いながら読むといくつもの感想が出てくるんじゃないだろうか。
(もちろん、他の作品や作者のことを絡めずに作品単体での批評も重要だからそれはそれで良いと思う)



【関連商品も続々購入している】
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【この世界の片隅に 公式アートブック】

呉市立美術館で注文して、その後届いた「この世界の片隅に」公式アートブック。
原作の描写を中心に、アニメではどう描かれたかを紹介していく。
本のサイズが大きいのがうれしい。原作のカラーイラストも、断ち切り(トンボ)より外までそのまま収録されているので、他の出版物では切れているところまで見られて嬉しい。


【この世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック】

キャラの立ち姿(設定資料)や服装についてのページも見所。
用語解説や実際に作中の料理などを作ってみた写真も掲載。
チラシ集があるのもいいな。配る期間や貼り出す期間が終了したら見られなくなるものですしね。


【絵コンテ集】
購入済みだけどまだ手元に届いていない。
●11/25 届いた!
ぶあつい!! カットの解説が巻末にまとまっていて、
・ここのカットは原作ではこうだったが調べたらこうだったのでこうした。
・ここはこうの史代さんの作風に合わせてこうした。
・ここはこう書いてあるが最終的にはこうした。
などのコメントがすごく読み応えあるし「なるほど」「へ〜!」の連続よ。
実際に作業で使われた絵コンテと言うわけではないらしい(どういうことだろう)。
まだ全部はとてもじゃないけど見切れてい無いので、映画を思い出しつつじっくり読みたい。



【ユリイカ2016年11月号 こうの史代特集】
単行本未収録の短編も掲載されていて、こうのfanで同人誌までは追いかけてない人におすすめ。
私は同人誌で持ってるものもありますけど、なかなかまとめて見る機会ないですからね。
片渕監督のインタビュー記事も。
(まだ全部読めてない)



【サウンドトラック】

サントラはジャケ絵からしてもうすばらしい。
でも、映画を観てから購入して、聴いてみるまで実は
「この映画に音楽って流れてたかな?」って思っちゃったんですよ。
歌が入ってる曲は流石に覚えてるけど、他にこんなにたくさんあったかなって……
聞いてみたら映像が見えるように「あのシーンだ」って思い出せてびっくりした。
確かに流れてたんだな。
しみじみ聞く主題歌「みぎてのうた」「たんぽぽ」いいですね。
もちろん「悲しくてやりきれない」フルバージョンも。
「みぎてのうた」はこんな変わった展開の曲が主題歌になって、こんなに沁みるんだな〜と思うと偉大……
展開がある曲好きなんですよ。たった5分弱の曲なのに始まりから最後まででどんどん変わっていくのがいい。

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【このブログ内の関連記事】

この世界の片隅に(こうの史代)読み返し感想・メモ: 漫画の感想ブログ ホンヨンダ
http://honyonda.seesaa.net/article/441069333.html

映画「この世界の片隅に」11月12日より公開開始!: 漫画の感想ブログ ホンヨンダ
http://honyonda.seesaa.net/article/443793825.html

2000年代の「戦争と漫画」、その一部: 漫画の感想ブログ ホンヨンダ
http://honyonda.seesaa.net/article/423683949.html


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【メモしておきたい外部の記事】※監督インタビュー中心

「この世界の片隅に」は、一次資料の塊だ:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/120600064/?P=1
「本来は、アニメは1人で作れるものです」:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/120600065/?P=1

『この世界の片隅に』監督が語る、映画に仕込んだ“パズル”(上) 片渕須直・『この世界の片隅に』監督インタビュー|情熱クロスロード〜プロフェッショナルの決断|ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/110768
『この世界の片隅に』監督が語る、映画に仕込んだ“パズル”(下) 片渕須直・『この世界の片隅に』監督インタビュー|情熱クロスロード〜プロフェッショナルの決断|ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/110798

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【メモしておきたい感想記事など】

『この世界の片隅に』と、「右手」が持つ魔法の力 - 日々の音色とことば
http://shiba710.hateblo.jp/entry/2016/12/01/144225

アニメーション版「この世界の片隅に」を捉え直す(1)「姉妹は物語る」 – マンバ通信
https://magazine.manba.co.jp/2016/11/28/hosoma-konosekai01/
posted by 藤村阿智 at 11:17| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月11日

映画「この世界の片隅に」11月12日より公開開始!

映画「この世界の片隅に」が11月12日より公開されます!

地域によっては日程が違いますが、順次公開されていく予定です。
劇場情報など詳しくは公式サイトをどうぞ!

11月12日(土)全国公開 劇場用長編アニメ「この世界の片隅に」公式サイト
http://konosekai.jp/


私もメッセージカードを配ったりして
直前の応援をがんばりました……少しでも多くの人が見に行ってくれたらいいな〜。

konosekai.jpg

けっこう漫画を読んでいる方だと思うのですが、
好きな漫画を5つあげろといわれたら「この世界の片隅に」が入るんじゃないかと思うほど
好きな漫画がこの映画の原作です。

ほかの4つをあげろといわれたらまた悩みますけどね。
順位のつけられない、まったく別の理由で好きな漫画ってたくさんあるじゃないですか……
だから5つといいながらたくさんあげてしまいそうですけど、
とにかく好きなんですよ!

この世界の片隅に(こうの史代)読み返し感想・メモ: 漫画の感想ブログ ホンヨンダ
http://honyonda.seesaa.net/article/441069333.html


今年の8月に、読み返してメモした記事もあるんで、読んだことのある人は一緒に
読み返して「ふむふむ〜」って記事を読んでください。
ネタバレがあるので未見の方は注意です。


思えば2011年に「この世界の片隅に」がドラマ化して、ドラマは「ぜったいドラマ化ムリだよ……」と
思ったので最初から見る気がなかった。
どうだったんでしょうね。あまりいい評判聞かないけど。


アニメ化の話が出たときも「またか〜、だから漫画以外ではムリだって!」と思ったのですが。
冷ややかな目で、横目で、その話題を見ていたのですが。

あるときアニメ化の話を思い出して、「そういえばあれどうなったのかな」と検索してみたら
片渕監督のコラムを発見しまして。
1300日の記録[片渕須直] | WEBアニメスタイル
http://animestyle.jp/column/1300/


読んでみたら、もうすごかった。
え!ここまで読み込んで調べてる人が作ってるの!? ってかんじで。
紹介されているアニメのキャラクターデザインもこうの先生の絵柄のままで嬉しくなった。
このコラムを読めば読むほどアニメへの期待が膨らむ。
いつできるんだよ〜!ってもどかしい感じはずっとあったけど、
急いでやっつけでできるよりはじっくり作って欲しいと思った。

私はこの映画の完成がとても楽しみで、
時には(映画とは関係ない、ふだんの生活の中で)憂鬱になって落ち込んだりすることもあったのだけど、
あの映画を観るまでは死ねないんだからがんばろう、映画を観るってだけでも結構人生が楽しみだなっていう心の支えに(勝手に)してきたのでした。

そして2015年にクラウドファンディングに参加。
これは、その話をキャッチしてくれて、「ふたりで参加しよう!」と言って背中を押してくれた夫に感謝です。その後も夫婦で応援しています。
エンドロールに名前が出るはずなんだけど(まだ映画を見ていない)、せっかく夫婦で参加しているし……ということで本名でのクレジットです。藤村阿智(ペンネーム)じゃありません。
たくさんの人が参加してるはずだから、自分の名前が見つけられるかな?初回は見つけてる余裕がないかもね。

このクラウドファンディングも、「見返りを期待してじゃなく、純粋に応援して欲しい」と言うことでたいして見返りがない……と主催側は言ってますが、も〜〜私にとっては参加してほんとに良かったと思える内容でしたよ。
主人公・すずさんから季節のおたよりもあったし、ファンミーティングや約60回送付されてる制作支援メンバーズ通信メルマガも嬉しかったけど、
映画が完成する最後の最後まで、監督はじめ制作側のひとたちが、クラウドファンディングで参加したファンのことを忘れずにいてくれて、いまでも大事に思ってくれているのが伝わってくる。

試写の機会もありましたが、ぜひ1回でもおおくお金を払って観たいという気持ちもあって、
明日(11月12日)の初日に初めて観ます!

ぜひ!これを読んだ皆さんも劇場へ足を運んでください。


そして、「マイマイ新子と千年の魔法」のときのように、ラピュタ阿佐ヶ谷で上映会やりませんかね?
行きやすいので開催されたらうれしいのです(笑)
マイマイ〜のときはまだ存在を知らなかった!
先日発売されたブルーレイは購入しました!

アートブックは購入した。映画観てからじっくり読もうと思ってまだ読んでない!


その他の関連本も続々購入予定です。







サントラはジャケ絵からしてもうすばらしい。




ついでに、私の好きな「長い道」も5分間アニメシリーズとかで
アニメ化しないかな?

posted by 藤村阿智 at 12:44| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月20日

メシマズ……というか料理が苦手なキャラがいる漫画

おととい、昨日あたりに立て続けに「メシマズ」の話題を読みまして。
いわゆる「メシマズ」は「料理が苦手な人」ということにとどまらず、
「独自解釈で良かれと思ってアレンジを加える人、思い込みが激しく、しかも出来上がりに違和感を持たない人」
って感じなんでしょうか……賞味期限が切れている、どう考えても合わない食材をあわせる、ほかと違うことはイイコトだと思ってるというか。

私もおおざっぱで、レシピ見ないし目分量ですが、冒険しないし最小限の味付けしかしないので、メシマズにはならずにすんでいるようです(……と思いたい)。


もちろん漫画にもキョーレツなメシマズ系キャラがいますね。
でも考えてみたけど意外と思い出せないもので、とりあえず読んだことある漫画のキャラで思い出せるものを紹介してみます。

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【独創的すぎる奇跡の料理タイプ】
エスパー魔美 1 (藤子・F・不二雄大全集)


まずはやっぱり私の大好きな「エスパー魔美」から、主人公の魔美くんを。
「缶詰をあける」以外の手順がある食事は、インスタントラーメンですら不味く出来上がるほどの腕前。
魔美くんの作ったサンドイッチを見た高畑さんの感想、「ギハハハ、巨大!」「にぎやかだね。なにが入ってるの?」って食べ物に向けた言葉じゃない!!(笑)
魔美くんのざんねんなところは、そんな腕前なのに料理が好きだということ、「料理は女性がやるもの」というこだわりをなぜか持っちゃってるところ、レシピどおりにやって失敗してもレシピがおかしいと言い張るところ、かな……
でも途中のエピソードでは、料理が爆発した挙句に味見で自分がぶっ倒れて、高畑さんのおいしいご飯に涙したり、お母さんの言うレシピをきちんと守って「食べられる料理」を作ろうと少しずつ成長してるから、大人になったころには上手に出来るようになるんじゃないかな。


【自分の好きなものは皆好きだと思うのかなタイプ】
ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックスDIGITAL)


ハチクロはね、……はぐちゃんと山田さんがね。両方すごくてね。
ミントのおにぎりとかね。フルーツがご飯に絡まる系とかね。隠し味のチョコが勝ってる系とかね。
本人たちは結構「あらおいしい!」みたいな反応なのもすごいね。生半可なメシマズじゃないですよ。
きっと結構食べられる味なんだろうなあとは思う。パインラーメンみたいな? 男子が食わず嫌いをしているだけでさ!

【何が入ってるか不安系】
ドラえもん(13) (てんとう虫コミックス)


こちらもチャレンジ精神がありすぎて不安になる系。有名な「ジャイアンシチュー」の回が収録されているのは13巻でございます。
ジャイアンは曲を作る、歌う、リサイタルを開催する、ファッションモデルやアーティストにも興味のある、好奇心旺盛なタイプですが、料理にも食材ですらない「セミのぬけがら」を入れてきたり、すでに完成している食べ物「大福」「しおから」もつっこむというすごい独創性です。まさにオリジナル。
英語で煮込み料理の総称だという「シチュー」を料理名に入れてくるあたり、これが「ごった煮」であることを自覚しているとしか思えない。
ジャイアンは各方面でオリジナリティが「サービスを受ける人々」に違和感を与えてしまっていますが、本人の「おもてなしの心」は間違いなく存在している……と思うのですがいかが?
全部自分でやろうとせずに、それぞれをプロに任せる支配人のような仕事に向いてそう。旅館やホテルなど。

ジャイアンさんの魅力については別サイトでさんざん語っています。
よろしければソチラも見てみてください。
ジャイアン心の友の会
http://www.blackstrawberry.net/g/g.html


【荒っぽささえなおせばなんとか……】
パーマン 1 (藤子・F・不二雄大全集)


藤子F先生作品には料理が苦手? なキャラがいっぱいいるんですな……
ちなみに出木杉くんは料理が上手で、のび太も「くやしいけどうまい」って言うぐらいですよ。
「パーマン」ではパー子が料理苦手キャラです。炊飯器でご飯を炊いても炭のかたまりに。なんつうか料理がちからまかせ。
でも正直パー子はまだ小学生だし、普段はスーパーアイドルとして多忙な毎日を送ってるし、「うちではお手伝いさんがやってくれますの」なんてふざけたように言ってるけど実際そうだろうし……

藤子先生の漫画は、女の子キャラたちがみんな魅力的で、なのにステロタイプな「女の子はこうあるべき、男から見た・大人からみた良い女の子はこれ」っていう押さえつけの表現は無いんですよ。たとえそういう風に言ってくる状況やキャラがいても、それは脇役たちで、メインの少年少女はそんなものには反発してのびのびやりたいと思ってる。
藤子F先生自身、3人の娘さんに囲まれて、女の子の生き生きとした姿を間近で見ていたんだろうなあと思う。


いでじゅう!(10) (少年サンデーコミックス)


「いでじゅう!」はヒロインの桃里ちゃんは料理が上手なタイプ。
10巻の夏合宿の回、女子バレー部と一緒にご飯を作るエピソードで、バレー部の後輩・山咲ちゃんが見事なメシマズっぷりを見せてくれる。具のはみ出した餃子。シャクッとなぞのアクセントがたまらない茹でじゃがいもっていう、微妙なラインで料理が出来ない人がやりがちな失敗を出してくるところがさすがモリタイシ先生!
山咲ちゃんも多分、私とおなじで「まいっか」で生きてるタイプ!

【ちょっとずれてるだけタイプ】
イタズラなKiss (1) (集英社文庫―コミック版)


主人公・琴子も、ドジでダメな女の子だから、当然のように料理が上手じゃない。
でもさ、「お弁当にネギ」「卵焼きにカラ」「焦げてる」程度はもうたいした問題じゃないよ。
あとちょっとのテクニックが必要なだけ。
素敵な専業主婦のお義母さんもついててくれるし、お父さんは板前だし、入江くんも料理上手だし。
そんな中で自分も料理したい、上手になりたいってがんばるところがえらいですよねえ。
イタkissで好きなシーンは、入江くんに「コーヒー入れるのだけはコイツ(琴子)がうまいから」ってぽそっといわれるところですよ。読んでて「琴子!よかったね!入江くんいい男だね!」って琴子の友達かのようにはしゃいでしまう。


【味覚が合わないタイプ】
うる星やつら〔新装版〕(1) (少年サンデーコミックス)


ラムちゃんが作る料理も、食べられない系ですね。
しかしこれはなんつうか……宇宙の食い物だから……
ラムちゃんの故郷はとにかく味付けが辛いらしい。あと見た目はとがってるね。
ラムちゃん自身は地球の食べ物も問題なく食べられるみたいだし(辛さを足してるときもあるけど)
まさか自分の星の食べ物が地球人に合わないとは想像できないんだろう。
だからそのうち改善するんじゃないか。
テンちゃんには「うちらの食べ物を地球の生き物にあげちゃダメだっちゃ」みたいに叱ってるのにね(笑)多分味以外は地球人にも害がない食べ物……をチョイスしているんだろう。うん。



【ある意味忘れられない食べ物】
ピューと吹く!ジャガー (3) (ジャンプ・コミックス)


それはピューと吹く!ジャガー3巻に登場する食べ物だ……
ピヨ彦の実家から巨大なマツタケが送られてきた……興奮するいつもの仲間たち……
めったに手にはいらない代物、高級食材、ありがたいもの、マツタケ……
ジャガーさんが自信マンマンに「一番マツタケを堪能できる料理を作る」と言い切った……
ワクワクテカテカして待つ一同の下に運ばれてきたマツタケ料理とは……

ガム……
巨大なガム……


確かにマツタケを堪能することが出来たのであった……


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結局藤子ネタが多くなってしまった。
同時に「うまそうなご飯を作るキャラが出る漫画(グルメ漫画以外で)」と言うのを書こうと思ってたけど
いまいち面白くならなそうなのでやめときます。
posted by 藤村阿智 at 13:06| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月06日

2000年代の「戦争と漫画」、その一部

2000年代にも第二次世界大戦の漫画はいろいろ出ている。
全部読めてるわけじゃないから、私が読んだ一部の漫画しか紹介できないけど、
少しずつ思うところと漫画の紹介を書こうと思う。

昭和の時代には戦争を描いた漫画はたくさんあった。
悲惨な状況を体験した作者自らが描いているものも多く、戦争がどうやって人を殺したかを伝えていた。
私も子どもの頃からそういう漫画、絵本、小説、映画……たくさん観てきた。
戦争は怖い。私たちのこの世界と違う。違う世界の違う場所でこんなことが今でも起こっていて、私たちの日常もある日突然戦争に変わるかもしれない。
という恐怖を持ったまま大人になった気がする。

大人になってから初めて出会った戦争関連の漫画はこれだ。
夕凪の街 桜の国 (双葉文庫)
夕凪の街 桜の国 (双葉文庫)

2003年の作品。
オビに「賞をとった漫画」と書いてあったし、私は漫画好きで漫画を描いたりもしているので、そんないい漫画なら読んでおかなくちゃ。と思って購入した。

いままで読んでいた戦争、広島、原爆……を扱った漫画とはだいぶ違っていた。
そもそも舞台が戦後、昭和三十年である。
特にショックだったのは33ページ(文庫は持ってなくて、ページ数が違うかも)の、何も絵がないページ(皆実さんの主観だということがあらわされている)に描かれた台詞。

「嬉しい?」「十年経ったけど 原爆を落とした人はわたしを見て 「やった!またひとり殺せた」 とちゃんと思うてくれとる?」

いままでアメリカ(国)が日本(国)に原爆を落としたんだと、どこかで思っていたのだけれど、
この「夕凪の街 桜の国」の皆実さんの台詞には、ひとが、ひとに。だれかが、わたしに。 どうしてだれが、なんでわたしが? という想いが、憎いとか悲しいとかそういう次元と別のところに存在しているんだなあと……私は初めて思い至ったわけで……
主人公の皆実さんはたくさんの身内を「あの日」失ったけど、戦争や爆弾を憎む様子を見せるでもなく、身内を思って悲しむ姿を見せるわけでもなく、十年間戸惑って、理不尽に死んだ人と、偶然に生きている自分との違いもわからないまま暮らしていたんだと。

後半の「桜の国」のほうではほとんど原爆も広島も影をひそめ、薄まって、当事者にすらなにが因果や影響を残しているのかもう判断もつかないのに、いまだぼんやりと……時々見える影をそばに置いたまま暮らしていく不思議さとちょっとした戸惑いと、
あとは間違いなくあの日からも同じ世界が続いているということ。

「夕凪の街」と「桜の国」は、後半のほうで同じ場所を旭さんが尋ねたり、過去の風景が重なるようだったりする直接的な描写もあるけれど、同じコマ運びだったり、なぞるような描写に、時を越えたリンクを感じられる仕掛けもあって、漫画としてもテクニックがすごいんですよ……

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あとかたの街(1)
あとかたの街(1)

2015年現在も連載中。4巻まで出ている。(私は今日の時点でまだ3巻までしか読んでいない)
この次に紹介する「凍りの掌」が先にあって、そちらはシベリア抑留を体験された、作者:おざわゆきさんのお父さんのことを描いた本。
続いて、こちら「あとかたの街」は、名古屋の空襲を体験されたお母さんの話をベースに描かれている。

いままでいろんな「戦争の本」を見てきたけど、シベリア抑留・名古屋空襲まではしらなかった。
シベリア抑留も「なんかシベリアに行って仕事してた人たちがいたらしい」ともんやりイメージしただけで、ソコの気候や待遇、それどころか具体的に「人が」そこにいたことすらあやふやだった……

「あとかたの街」では、お母様の少女時代、戦時中の抑圧された生活の中でもささやかな楽しみを胸に、つらい中も工夫して生活を続けている様子が描かれている。

戦時中の暮らしや「ソコにいた人」は感じられるけど、どこか「私とは違う」人のように読んでしまってる気がする。この感じ方の違いは不思議だ。

4巻も近々購入予定。また感想が変わってくるかもしれない。

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新装版 凍りの掌 シベリア抑留記 (KCデラックス BE LOVE)
新装版 凍りの掌 シベリア抑留記 (KCデラックス BE LOVE)

「あとかたの街」と同じく、おざわゆきさんの漫画。

私は最初、この「凍りの掌」を同人誌で読んだ。続巻が出るたび購入して、その後小池書院から出た商業版も購入した。上記リンクは先月発売されたばかりの、講談社から出ている新装版だけど、さすがに三種類買うのはためらわれて、私は同人誌版と小池書院版だけを持っている。

これも最初に読んだとき衝撃を受けた。
私にとっておざわゆきさんは築地グルメ漫画の人でおなじみで、私も参加している同人誌即売会コミティアで見かける、カワイイ絵のレポートとおいしそうなご飯の絵が印象的な作家さんだったから、
まさかその人のお父さんがシベリア抑留でこんな壮絶な体験をしてきているとは。

また、お父さんが語り部に合うというか、本人がどんどん前に出るタイプでなく、強い思いや気持ちをもちろん心に秘めつつも、冷静に「その場にいた」事実を語っている様子が、読者に「伝えるちから」を大きくしているんだと思う。
あのときどこにでもいた普通の青年が、戦争に巻き込まれていく描写は、読者と同じ目線でその場を伝えていく。作者のおざわさんのちからだとおもう。
つらい中でも、たべものをたべたり、ソビエトの人と交流したり、花が咲いたりっていう救いが出てくるのもいい。

「あとかたの街」「凍りの掌」両方に共通して思うのは、
この体験をした方々が今も生きて暮らしているということ。
戦後70年? なにも遠い話じゃない。 私たちだって70年後に、もしかしたら何かを語っているかもしれないじゃないか。
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フイチン再見! 1 (ビッグコミックス)
フイチン再見! 1 (ビッグコミックス)

こちらも2015年現在連載中。
女流漫画家・上田トシコさんは、2008年に90歳で亡くなった。第二次世界大戦の戦時中を駆け抜けた人だ。

この漫画も私にとってはあたらしい目線をくれる漫画。
トシコがお嬢様なのである。
いままで戦時中の話といえば、物資がない〜情報はない〜抑圧されててぜいたくは敵〜隣組〜みたいなイメージ一辺倒だったけど、トシコはお金持ちの家庭に生まれて、なに不自由ない上品な暮らしを送っていたわけです。
開戦の一報を銀座のパーラーでランチにホットケーキをほおばりながら聞いたり、
おニューの真っ赤なコートをきこんで顰蹙を買ったり、パーマを禁止されたり、終戦のやけくそでケーキを食べようとしたりする。そもそも、戦争中に一番生活に関係ない「芸術」に一所懸命な若者たち。
いままでの「戦時中の暮らし」とイメージが違う……!

でもこの感じは親近感がより強くて、「あれ? 戦時中でもおいしいもの食べるのが楽しみって人もいたり、おしゃれをつらぬこうとしたり、お金に困ってなかったりするんだな?」って思うと、いろんな人がいる中に私もいるという感じになれる。

あとは当時のハルピンのひとたちね。トシコ一家がいろんな人に好かれて、また、一家が好きだった外国の人たちや町並みや文化が確かにあって、戦争はあったけど支えあえる友人もいたということ。

それぞれの巻の感想も書いてます。
フイチン再見!(村上もとか)1巻〜5巻: 漫画の感想ブログ ホンヨンダ
http://honyonda.seesaa.net/article/413881232.html

私は上田トシコさんの「フイチンさん」も読んでいて、あちらはハルピンのおぼっちゃんが、金持ちを鼻にかけた性格だったのに使用人の娘「フイチン」と出会ってからどんどんいい子になっていく話なんですよ。トシコさんのハルピンへの思いや、楽しかった記憶がふんだんに詰め込まれている感じ。

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この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)
この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)

この世界の片隅に(後編) (アクションコミックス)
この世界の片隅に(後編) (アクションコミックス)

2007年〜2009年連載作品。前出の「夕凪の街 桜の国」とおなじく、こうの史代さんの漫画。

お恥ずかしい話、私は「この世界の片隅に」を読むまで、戦時中に人間が生きて暮らしてたことを知らなかったんですよ。さすがにそれは言い過ぎかもしれないけど、それぐらい曇った目で「戦時中」を見ていた。
戦争の間につらい思いをした人たちって言う、私には関係のない、住む世界が違う、別人がいたと思っていたんじゃないか。


主人公の「すず」さんたちは、普通に平凡に毎日暮らしていて、働いたり、さぼったり、仲良くしたりけんかしたり。強くて、弱くて、叫ばず、主張しすぎず、絵が好きで、フロをわかしてご飯を準備して節約して工夫してその分楽しんで……
今現在の私たちとなにも変わらない、ひとりの人間とその隣にあった戦争とっていう話で……
戦争が終わった後も生活は続いていく。

私だって、この2015年を普通にいろいろしながら生きているけど、未来に振り返ってみれば
「あのときはもう、戦争が始まってたね」
といわれるのかもしれないと思うと、すずさんがあんなに普通の女の子だってことが怖くなってくる。
普通の人が生きていたということは、普通の私もそこに居るかもしれないからだ。

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「この世界の片隅に」はそんなわけで私にとって特別な漫画。
「すずさんかわいい、萌え〜」で十分なので読んだことない人はぜひ読んでみてください。
漫画の表現としてもいろんな仕掛けや挑戦がふんだんにあって、何度読んでも楽しい。

私はこないだ、「全部読んだ人には、最初の方で出てくるバケモノの正体がわかる――」という話を聞いて、
「え!!! (「冬の記憶」というエピソードの)バケモノの正体とか、考えたことなかった! もちろんわかってない!!」ということで読み返したんですよ。
うわ〜見逃してた。気づかなかった。はっきり明言してるわけでもないし、そもそも「冬の記憶」自体がファンタジーな存在で、「あれはなんだったんだろうなあ」という子どものころの夢のような雰囲気がいいところなんだけど、そういう解釈もほんわかしていいですね。
「すずさんなりの解釈による創作」だったとしても、それはそれでいろいろ深い。改めてキュンとしてしまった。

【この世界の片隅に アニメ映画を応援しています】

2016年秋公開予定とのこと。
特報映像が好評なので見てみてください。
漫画は知ってて、映画化を知らなかった人は今日から公開を心待ちにしつつ一緒に応援してください。
漫画も知らない人はぜひ読んでみてください。



映画「この世界の片隅に」公式サイト
http://www.konosekai.jp/


映画をきっかけに、現在出てる文庫版だけじゃなくて
前の「上中下」3巻も復刊したらいいのに。全部読んでから3巻の表紙を改めてみたときの
ゾクッとする感じ、すごく良かったから。

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戦争のことを考えたとき、とくに近頃思うのは、たくさんの人が自分と同じようにこの世界で生きているということ。
少なくとも私は、相手の名前を呼びながら殺すことは出来そうにない。
ならばみんなが少しずつ、知らない人を知っていけばいいんじゃないか。

紛争が起こってるその場所でも、誰かが楽しいことをしたり、明日の準備をしたり、行事をこなしたりしていると知れば、恨みでもない限り死んで欲しいとは思えない。

第二次世界大戦のとき、アメリカの兵士は、日本人が怖くて同じ人間だと思えなかった……という話を読んだ。言葉も通じないし、肌の色もちがうし、なんと自爆する。理解できない。殺さないとこっちがやられると思った……という話で、確かに、自分と違う生き物を殺すのであればためらいも少なくなるだろうと思った。
戦争はそうやって「あのかたまりは自分とは違う」と人を誘導するところから始まるんじゃないか。


私は知らない土地のニュースを見ると、その地域の気候や人口密度、ストリートビューや航空写真を積極的に見るようにしている。
異国の商店街や看板、バイクにのった人、黒いごみ袋、手入れされた庭、飼われてる動物……などなど見ていると同じ世界でそれぞれの「暮らし」があることを実感できる。そして普段異国の住人を、国の名前だけで認識していることがよくわかる。

今後、もし私たちに敵が出来るとしたら、戦わせたい人たちは相手ひとりひとりの暮らしを伝えず、名前を奪って、別の名前でひとからげにしてくるだろう。
私が人を殺さない方法はひとりひとりの顔と名前を思い浮かべることで、死なないためには、それまでに出来るだけ多くの人に「私はこの世界の片隅に生きている」と伝えることなんじゃないだろうか。
posted by 藤村阿智 at 14:55| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月06日

桑田乃梨子先生と愛猫にょろりさんの話

先日発売された、「だめっこどうぶつ」7巻をさっそく買いました。
桑田乃梨子さんの漫画は発売されたらすべて買うのです。



だめっこどうぶつ」は、生き物(その種族)としてどこかダメなやつが集まる森で繰り広げられる、
着ぐるみキャラたちの四季の楽しみや、ぐでぐでしたりほのぼのしたりねたみうらみしたりって言う様子を描いた四コマ漫画です。もう10年も続いている長期連載作品ですよ。
7巻も変わらず面白かった。


でも、7巻を読み始める前にカバー折り返しの「作者自画像&コメント」をチラッと見ちゃったんですよ……
!!
っと私が激しく動揺してしまいました。
涙する桑田先生のイラストと、いつも傍らに描かれている愛猫「にょろり」の姿がないのを見てしまったのです……。



中学生の頃に桑田漫画に出合ってから20年以上、ずっとファンで漫画はすべて買って読んでいるのです。
1999年発売の「飼うか飼われるか」という動物エッセイも発売してすぐ買って読みました。
「飼うか飼われるか」は作者が飼っている動物のエピソードではなくて、読者投稿や作者が取材に行ったペット関連施設や動物園・水族館などのレポート漫画が収録されています。

しかしその「飼うか飼われるか」の執筆中(1997年ごろ)に、桑田先生が迷いネコを拾います。
飼い主が現れず、そのまま桑田先生んちのネコになった「にょろり」さん。
とまどいながらも溺愛する様子が少しずつかかれるようになります。



「飼うか飼われるかR」として復刊してるので今もそのエピソードは読むことが出来ます。
元の本より収録が増えているので前の本を持ってる人にもいいかも。

その後発売される単行本の、最後にいつも収録されている「おまけまんが」の中にも毎回にょろりさんは登場するようになります。
にょろりさんが来てから描かれた「真夜中猫王子」は、いままでよりいっそう猫の描写が愛らしくなって、さすが猫を飼うと違うな〜と感じます。



にょろりさんと桑田先生、というエッセイも。
「日々是敗北」


さらに「にょろりがもしかしたら執事のように考え、行動しているのかもしれない……」と
ある意味妄想のような、いやいやエッセイで事実のような、不思議な「現実逃避漫画」である
「ねこしつじ」シリーズもあります。
   


4冊も。



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桑田先生のマンガについて書き込む2ちゃんねるのスレ(@少女漫画板、最近見てないな……)でも、
以前からおまけ漫画を読んだ人が「にょろり元気そうでよかった」とか「にょろりの近況が気になってオマケ漫画から先に見てしまう」という書き込みをしていました。
「にょろりがシニア向けフードを食べるようになったとあって心配。でも15歳だもんな」って書き込みも見た記憶があります。
あそこの住人のみんなは今どういうことを書いてるのかな。(だからといって見に行く気も起きない……よけい悲しくなりそうで)
読者の多くがにょろりさんのことを気にしていたんだと思います。


私はここ数年、猫のことを考えれば、にょろりさんは20歳近くになっているのだからお別れのときが来るのかもしれない。と思って、おまけ漫画を読むのも勇気がいるようになってました。

なのに「だめっこどうぶつ」7巻では(この記事の最初に描いたとおり)手が滑って本編を読むより先に知ってしまい……
「えっ!! 今回のオマケ漫画にはなんと描いてあるのだろう」と、単行本の最後を見ましたが、7巻にはオマケ漫画はありませんでした。
かわりに、カバーを取った(本体のほうの)表紙に、にょろりさんが旅立ったことがそっと描かれていました。

いち読者にすぎない私がこんなにさびしいなんて、実際に18年も一緒に過ごしていた桑田先生の寂しさは想像しきれません……


改めて、いろんな桑田本のオマケ漫画にすこしずつ描かれているにょろりさんのことを読み返したりしています。



posted by 藤村阿智 at 14:44| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月18日

犯罪と本

最近、神戸連続児童殺傷事件の加害者が手記を出版したとかで、話題になってます。
神戸連続児童殺傷事件 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E6%88%B8%E9%80%A3%E7%B6%9A%E5%85%90%E7%AB%A5%E6%AE%BA%E5%82%B7%E4%BA%8B%E4%BB%B6

私も出るって聞いたときは読みたいと思ったんですけど、
「出るからには被害者遺族の了解を得たものだろう」と信じて疑わなかったんですよ。
毎年、事件がおこった時期になるとその後の話を気にしていて、毎年出される被害者遺族の方のコメントを欠かさず読んでいた。

今年のコメント内容も届いた加害者からの手紙についてだったけど、いままでとちょっと違っていた。

だからこそ、「被害者遺族の方へ送った手紙のような内容で出るのか」と思ったのだけれど
被害者遺族からは怒りの声が上がっていた。
そんな、被害者遺族の感情が傷つけられるような本は、私は手に取る気になれない。
個人的な感情を抜きにすれば、その本が出ることは禁じられたことでもないし、そこも自由であるとは思う。

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加害者が書いた本といえば永山則夫元死刑囚が書いた小説がいくつもありますね。
永山則夫 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E5%B1%B1%E5%89%87%E5%A4%AB
神戸の事件と同じく少年犯罪、しかしこちらは死刑が確定し、神戸の事件が起きて逮捕された直後に死刑が執行されたという人物です。
Wikipediaにも書いてありますが、逮捕されて獄中で執筆した本ということもあって、印税は遺族への支払いに当てられたようです。

あとはパリ人肉事件の加害者、佐川氏も本をよく出していましたね……
不起訴になって帰国後で、被害者遺族が他国だから問題にならないんですかね。

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私が読んだ本の中からも、犯罪関連のものをいくつか。
けっこう読んでるんですが、手元に置いておかずに処分してしまうことが多いジャンルなので、いまも手元にあるものを……

加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)
加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)

良書です。加害者の家族たちが、事件発覚後にどういう扱いを受けるか。何を思うか。実際どうなったか。
仮名のエピソードから、多くの人が知っている事件の加害者の家族も。
東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の家族たちが、事件のあとどうなったか。事件の前はどうだったのか。
家族と親しかった記者によるレポートもあります。
神戸の事件の加害者家族も出てきます。そのエピソードで心に残るのは、加害者の親が警察に「被害者の名前をご存知ですか?」と問われて答えられなかったという話。(71P)

普段連絡を取り合ってても疎遠でも、もし家族がいるなら、
自分が犯罪を犯さなくても「加害者家族」になる可能性はある。
そのときどうなるのか。家族は何を思うのか。家族の責任はどこまで? 加害者家族はどう生きればいいのか。
そんなことを考えながら読める本です。

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「連続殺人犯」の心理分析
「連続殺人犯」の心理分析

天才少年、ジェイソン・モス氏による本。
アメリカの犯罪者の中でも、かなり凄惨な殺人事件の加害者であるシリアルキラーたちと、
ジェイソン・モス氏が文通して分析した……という内容。
他に類のない本なので(いまはもう死刑になった加害者とのやり取りがたくさん)保存してある。もう新刊で買えないし。
それぞれの加害者についての紹介と、意外と普通の内容の文通。

最終的にはジョン・ウェイン・ゲーシーと文通の末、面会に行ってしまう。
ちょっとでもアメリカの犯罪について知ってたら名前だけ聞いても震えちゃう感じの恐ろしい人物です……。
で、面会室で二人きりになってしまい、モス氏はゲーシーに首を絞められる。危ういところで流石に助けが入ったけど、もう少しであたらしい犠牲者になってしまうところだった。
ひどい目に遭った。殺人犯との文通はもうやめる。
……というところで本は終わる。

著者のジェイソン・モス氏がなくなったというニュースがあったときは驚いた。
リアルタイムでニュースを見て「えっ!?あのジェイソンくん?」ってなった。
まだ20代だったはず……この本が出版されてから5年後ぐらいですね。

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死刑囚 最後の晩餐
死刑囚 最後の晩餐

これは気軽な読み物です。
うーん、いくらなんでもそんな言い方するのは抵抗があるな……
でも本当に。

アメリカでは死刑の前に食べたいものをリクエストできる制度があるそうで、
死刑囚たちも「これから死刑だけどなんか食べておきたいものある?」って聞かれたら
好きなものを食べたり
別に何でも良かったり
それぞれの個性がここでも見えてくるわけですよ。

本の中身はその死刑囚の紹介と、犯罪の内容の紹介、死刑の方法と。
「トーマス・グラッソ 蒸したムール貝12個、バーガーキングのダブルチーズバーガー、ミートボール、スパゲティ、マンゴー、ホイップクリームを添えたパンプキンパイ、イチゴミルクシェイク」
「ハロルド・マックィーン 2種のこだわりチーズケーキ(丸ごと2個)」
って感じで最後にリクエストして食べたものがカンタンなイラストつきで紹介されています。

上の本でも出てきたゲーシーは、これから死ぬのにカロリーを気にしてダイエットコークを頼んだりって所がまたぞっとして……

巻末には、「犯罪を犯すなら、どの州で実行するか考えたほうがいい。刑務所ミシュラン」みたいな企画もあって、アメリカってすげーなと思いました

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あんまり手元に持って無かったです。
事故のルポルタージュはあまり処分しないのですが、犯罪関連はルポルタージュでも著者と意見が合わないと読んでてつらくなってしまう。出来事だけ淡々と知りたいならネットのほうが私には合ってる。
だから、どこか遠いところの話のような気がしているアメリカの本が二冊もあるのかもしれない。

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アイシテル~海容~前編 (KCデラックス BE LOVE)
アイシテル~海容~前編 (KCデラックス BE LOVE)

フィクションで漫画です。

突然小さな子どもの命を奪われた一家。
親が目を話した責任を問う声、マスコミだけでなく一般人からもひどい扱いを受ける被害者家族。
そして家族を殺されてしまったという悲しみ、事件の真相を知りたいきもちがつのる。

犯人は捕まったが、意外な人物だった……
犯人側の家族も巻き込まれ、後悔と贖罪の中で初めてお互いを知り合う。

とにかくどちらの家庭もつらい話。
キレイにまとまりすぎているかもしれないけど、それでもつらいのには変わりない。

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重大事件と本とのかかわりが、今後どうなっていくのか見守っていたいです。

posted by 藤村阿智 at 13:00| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月11日

好きな漫画ベスト10【完結】【個人的おすすめ】

Twitterで「#自分の人生においてトップ10に入る漫画をあげてけ」ってハッシュタグが流行って……

普段から、そういうのでリストをぱっと挙げるのが苦手なんですよ。
一番好きな食べ物は? って聞かれても、3番目ぐらいに好きな食べ物を「うーん、○○かな」って答えちゃって、後から「あああ!! ○○よりももっと好きで数日に一回は必ず食う、食いすぎるから我慢してるってぐらいのがあった!」って思い出したり……

しかし自分は漫画好きだとおもってたけど、読んでる人に比べたら全然読んでなくて、このハッシュタグを見てても
「読んだことがある」漫画ってほとんどない……なんなんだ私は、ほんとに漫画好きなのか?

しかも、定義が難しいよね。ついつい「ベスト」って考えたときに、いままでいろんな基準で考えたベストがごちゃ混ぜになってしまう。
・他人にはわかってもらえる気がしないがとにかく自分好みの漫画
・コレを読んで○○したから人生に影響を与えたといえる漫画
・とにかく薦めたい、面白い漫画・すばらしい漫画を読みたいのならこれを読めといいたい漫画
それぞれ違うじゃないですか……でも分けられるものでもないし……

ということで前置きが長くなりましたが(あとがきも長いよ)、
いろんな基準をごちゃ混ぜにした上での超個人的トップ10を。

【順不同】
・1作者/1作品で選びました。そうじゃないと作者が偏ってしまう。
・完結していない作品は選べない。終わらせ方ふくめ、全体を通して読んだときに好きかどうかが重要。
・作者名の後ろに(★)とついている場合は、作家買いしている作者の作品
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【残酷な神が支配する:萩尾望都(★)】
残酷な神が支配する (1) (小学館文庫)
残酷な神が支配する (1) (小学館文庫)

イギリス・アメリカを舞台に、悪魔のような義父からゆがんだ愛を押し付けられた少年・ジェルミの犯した罪への断罪と、壊れた心の救済を模索する話。(まるめすぎ?)

いまだ繰り返し読み続けている名作。重いテーマゆえ、オススメしたくても気軽にオススメできない場合が多い。
いずれがっつりと骨太レビューを書きたい、とおもいつつ書ける気がしなくて先延ばし中……


【エスパー魔美:藤子・F・不二雄(★)】
エスパー魔美 1 (藤子・F・不二雄大全集)
エスパー魔美 1 (藤子・F・不二雄大全集)

ある日超能力に目覚めた中学生の少女、佐倉魔美。超能力を磨きつつ、困っている人は放っておけない性格のために、毎日おせっかいや人助けに奔走する。

毎回ミステリー仕立てであったり、おせっかいな魔美の少女らしい善意や、善意だけでは解決しない出来事、人を助けるということの難しさがわかるところがすごい。あと個人的に藤子F漫画の登場人物の中で一番高畑さんが好きなんだ。
子どものころは蛍光ペンで乳首に色を塗ったりした。あとマロングラッセなる食べ物が食べてみたくてしょうがなかった。
アニメの印象しかない人は特に原作を読んでみてほしいし、青年コミックって言ってもいいぐらいすべての話がしっかりしていて、作画もストーリーもとにかくレベルが高い! ひれ伏すしかない!


【N・Y小町:大和和紀】
N.Y.小町(1) (講談社漫画文庫)
N.Y.小町(1) (講談社漫画文庫)

時は明治。16歳まで男として育てられた小間物問屋の娘・志乃は、あとつぎたる弟がうまれたことで父から「今日限り男を捨て、女として生きよ」と告げられてしまう。しかも婚約者(幼馴染の退屈男)まで用意された……とあっては、家を飛び出すしかない。 途中で出会った開拓使のアメリカ人、ダニエル・アーヴィングと話をしたことで、女性も活躍できる国・アメリカへ行ってみたいという夢を持つ……

とにかく主人公の志乃ちゃんがイイ。どっちかというとイケメン系着物ヒロインで、武道にたけててアクションをこなし男と対等にやりあい、ずる賢く、でも一途なところが最強。舞台は開拓時の北海道、人種差別バリバリのアメリカ、花の東京……って感じでそのあたりの雰囲気が好きな人もうれしいんじゃない?
マスコット的に途中から現れるぶさいくなネコ・ポテ次も大好き。不細工なところがかわいい。
志乃ちゃんは女写真家として活躍するんだけど、その辺も見所。


【この世界の片隅に:こうの史代(★)】
この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)
この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)

昭和19年、広島・呉に嫁いだ女性「すず」は、不器用ながらも日々の暮らしを乗り越えていく。
戦時中ではあるけれど、そこには毎日の食事、毎日の着る服、毎日の仕事、人とのおつき合い・出会い・別れ……どの時代でも人が生きている限り変わらない日常が、めぐってくるのです。

こうの史代さんの漫画はほとんど好きで、中でもトップクラスに好きな「長い道」「夕凪の街・桜の国」という作品もあるのだけど、やっぱり「この世界の片隅に」がちょっと飛びぬけているかな。
戦争。悲惨。非日常。繰り返してはならない。……というような、普段わたしが触れている戦争への語り口を、極力排除したような戦時中の日常漫画で、「あ、戦争してたときも、国民全員が戦って殺しあってたわけじゃなくて、戦争をとなりに置いたまま人々は日常を生きていたのか」という、ある意味当たり前のことを、戦争に本当のイメージが沸かない世代のわたしに気づかせてくれた漫画なのである。
http://honyonda.seesaa.net/article/109324250.html (2008年の上巻の感想)


【男の華園〜A10大学男子新体操部〜:桑田乃梨子(★)】
男の華園―A10大学男子新体操部 (第1巻) (白泉社文庫 (く-3-9))
男の華園―A10大学男子新体操部 (第1巻) (白泉社文庫 (く-3-9))

大学に入学したばかりの青年・ユカリは、小説家になりたいとほのかな夢を抱きつつ、気になる女の子もできて、これから大学生活を楽しむんだ〜!と思っていたのに、たまたまユカリの運動神経を見出した「男子新体操部」というマイナーな競技の部活に引きずり込まれてしまったのだ……先輩5人、新入生1人という状況で先輩たちに振り回されっぱなしのユカリ。小説は書けるのか。バイトはこなせるのか。好きなあの子とは接点が増えるのか?

私の好きな、ダラダラ部活動いりびたり系コメディ!!
桑田乃梨子先生のまんがは全部大好きだけど、一番私の心をつかんではなさないのは「男の華園」!タイトルはもともと「A10大学男子新体操部」にする予定だったけど、編集サイドから「男の華園」の提案があったそうで。
桑田作品には、多くの「学校=楽園」というテーマが下敷きにある漫画があるのだけど、この「男の華園」は読者(桑田ファン)にも作者にも、それが強く感じられた最初の作品じゃないかな。
消えてしまってからも愛おしく感じる、まさに「日常」だったことが懐かしく胸を締め付けるような……あの時ずっと一緒にいた人たちは消えたわけではない、でも関係性は変化して、日常は緩やかに変わってしまった。今も過去からの続きとして、楽しくやっているけれど、思い出すとあのころは「楽園」だったと気づくような経験がある人はより心に残るんじゃないか。


【ルナティック雑技団:岡田あーみん】
ルナティック雑技団 (1) (りぼんマスコットコミックス (721))
ルナティック雑技団 (1) (りぼんマスコットコミックス (721))

両親の海外赴任のため、ひとり日本に残ることになった中学生・夢実。 生活の面倒を見てくれる「お父さんの部下の家」はなんと、学校一のカリスマハンサムボーイ(?)天湖森夜の家だった! 天湖くんに憧れる(男女問わない)生徒たちからの嫉妬、夢実に想いを寄せる学園のアイドルだけでも大変なのに、天湖家の母親もキョーレツな個性。夢実は森夜と友達になれるのか?そもそも生きて無事に帰れるのか?(笑)

伝説級の「りぼん」掲載少女向けギャグマンガ。
岡田あーみんと駆け抜けた青春。
不条理なギャグが多いような気持ちでいたけど、ちゃんと読むと王道ギャグだし、いろんな文化に触れるとさらに楽しめるパロディも多いし、恋愛を軸にして少女マンガとしてもがっつり読めるし、森夜がとにかく魅力的。2015年7月には新装版が発行されるとのことで楽しみ!


【イタズラなkiss:多田かおる(★)】
イタズラなKiss (1) (集英社文庫―コミック版)
イタズラなKiss (1) (集英社文庫―コミック版)

主人公・琴子は学校一のハンサム入江直樹に告白すべくラブレターを渡そうとするが、受け取ってももらえず玉砕。その傷もいえないのに、今度は新築の自宅が欠陥住宅のため地震で全壊してしまう。緊急で同居させてもらうことになった、父の友達の家とは……なんと入江家だった!!

あれ、「ルナティック〜」と似たあらすじ紹介になっちゃったよ。
私「同居モノ」すきなんですよね……「イタkiss」は比較的最近の少女マンガの中で一番好き。やっぱり、ガッツリ「両家の家族」が絡んでくるところがいい。家族がちっとも見えないマンガは(特に長期連載の作品では)好きじゃない。入江家もいいし、琴子のお父ちゃんも親戚もみんないいよね。
このトップ10リストの中では、唯一未完の作品。あと少しで終わるところだったろうに、多田先生が事故でお亡くなりになってしまったから。でもムリにほかの人の手で終わらせたりしないで、このままにしておいてほしいというきもちが強い。
1〜6巻の感想かいてます。
http://honyonda.seesaa.net/article/388814804.html


【まんが道:藤子不二雄A(★)】
まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)
まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)

少年・満賀道雄は引っ込み思案で内気だけど、絵を描くのが得意な少年。授業の合間にも絵を描いていたら、同じクラスの才野茂が声をかけてきた。才野も絵を描くのが好きで、将来は漫画家になりたい!と夢を熱く語る。漫画家の夢は持っていなかった満賀も、少しずつ漫画への情熱を持ち始めて……

有名な作品。「藤子不二雄」と名乗る二人組みの漫画家の、幼少期から青年期までの体験を基にしたノンフィクション風漫画。エッセイや自伝ではないところがポイント。あくまで実際にあったエピソードや出合った人物をモデルに再構築した漫画ということ。しかし読むたびアツくなる。とくに、満賀はいつも才野に劣等感を感じているところがリアル。二人の天才がいた……という話になってしまわず、満賀は「なにも漫画家をめざさなくとも」やっていけそうな人間関係とキャリアを築き始めるところなんか、本当にドキドキする。
具体的な漫画の技術・見せ方の話も充実してるし、自分でも出来そうな漫画の工夫・生活の工夫・食べてみたい食べ物が続々出てくるので、多方面から楽しめるところも「何度も読んじゃう」理由かも……


【動物のお医者さん:佐々木倫子】
動物のお医者さん (第1巻) (白泉社文庫)
動物のお医者さん (第1巻) (白泉社文庫)

H大学の理系を受験しよう。と思ってたぐらいで将来のことを考えるまでにはいたってなかった高校生のハムテルと二階堂。学校からの帰り道、近道をしようと通り抜けた大学の敷地内で「追われている子犬」を助け、教授には「キミは将来獣医になる」「このカシオミニを賭けてもいい」と断言されてしまう。
犬を飼うつもりも獣医になるつもりもなかったのに、流されるように犬を飼い獣医への道を進むハムテル……変態教授をはじめ、個性豊かすぎる人々(&動物)との戦いがはじまるのであった!

好き。何度も読んでるしどこからでも読めるしなぜか細部まで記憶している。
油断してると頭の中に「フースフフースフス」とか浮かんでくるけど、いまだに何のことだかわからん。
(試験前に学生たちがつぶやいている。語呂合わせのようなものらしい)
個性豊かなキャラクターがいい……とかいったって、それぞれ超能力があるわけでもないし、ぶっ飛んでる変人なわけでもない。少しずつ「ほかの人とは違う、この人だけの」何かがあるという微妙なラインなんだけど、文庫の8巻を読み終える頃には「あの人ならこう言いそう」「これ好きそう」と、実際に身の回りにいる人のように親しんでしまう。今日もハムテル、二階堂、菱沼さんとチョビは大学にたむろしてるのかな〜とか想像する。
あと、私のリアル動物嫌いが緩和された気がする。テレビ、本、写真で見るのは好きなんだけど、実際に触ったり近寄ったりするのは苦手なんだ……でも「動物のお医者さん」読んだらちょっと平気になってきた。不思議。


【風の谷のナウシカ:宮崎駿】
風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)
風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)

人を寄せ付けない毒の森・腐海のほとりに生きる風の谷の人々。やがて毒に犯され死んでいく運命を背負って、それでも長い年月を森と共存してきた。しかし大国たちは小国も巻き込んで、領土を求めて戦争を始める。望む・望まないにかかわらず戦いの渦に飛び込んでいく人々。ナウシカも小国の長の娘として戦いに赴くが、腐海が存在する意味に少しずつ気づいていく。

漫画版を説明しようとすると、よく知られた映画版と違う話みたいになってしまう。
中学生ぐらいのときに初めて読んで、まだ全巻出てなかったし、戦争部分は難しすぎてよくわからないまま読んでいたと思うけど、当時から好きだったなあ。大人になってから読むと、戦争部分もそんなに難しいことは無かった。これも重いテーマで、善も悪もすべての人間が併せ持っていて、すっきり解決なんてことは出来ないことを知らされながらも、やっぱり日々は続いていって、生も続いていくということを実感する。


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以上です。
やっぱり10本選ぶのは難しい。ハンパに多い。
3本とか5本なら、ズバッと選べそうなんだけど、10本選ぼうとすると「同順位ぐらいに好きな漫画が他にも……」ってのが出てきちゃうんですよ。
「これをあげてコレを入れないなんて……」とか。

今回あげたものより、読み返した回数では勝ってる漫画もあるんですよ。
でも読み返した回数ではなく……冷静に、かつ熱く、考えた結果のTOP10というか……
1位から10位に並べろって言われると余計に困っちゃうのでやめておきます。
(ランキングではありません)
それぞれ全然別物だから、基準が無いようなものなので順位がつきません。

また、好きすぎてほとんどレビュー書いたことのない作品ばかりになってしまいました。
とてもじゃないけど、感想としてこの「好きなきもち」をまとめることが出来るとは思えない。
上記の紹介文は「これが好きだ!……アッ、こっちも、好きだ!」って感じでうきうきしながらしゃべってるとおもって読んでください。

「ハマって、同人活動をしたことがある漫画」もいくつか存在はするのですが、上記のTOP10には入りませんでした。
次点にもほとんど入ってないな……不思議。同人活動をするかどうかってのが、必ずしも「一番好きな漫画」ではないということでしょうかね。好きには違いないけど。あと、リアルタイムで読んでてはまって、人気作品のために引き伸ばされて、最後までついていけなかったり、終わりのほうはいまいち好きになれなかったという理由もあるかもしれません。


posted by 藤村阿智 at 16:02| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月26日

発達障害の人のことを描いた漫画(最近読んだものから)

発達障害のことが話題になっている。

私も日ごろから、発達障害のことをもっと知りたくて、そしてたくさんの人が知ったらいいと思っている。

最近読んだ本の中から、発達障害や「生きにくさ」を感じている人が出てくる漫画をご紹介。

ニトロちゃん: みんなと違う、発達障害の私 (知恵の森文庫)
ニトロちゃん: みんなと違う、発達障害の私 (知恵の森文庫)

作者を投影したキャラクター、ニトロちゃんは発達障害らしく、人と違ってて生きづらい毎日を送っている。
普通と違う反応のせいで、友達をびっくりさせたり、親を困らせたり、先生に嫌われてしまったり。

エッセイ形式というよりは、「ニトロちゃん」を客観的に見守りながら、起こった出来事を綴ったり、ニトロちゃんがそのときどういう気持ちだったのかを描いていく。
だからこそ、押し付けにならず、読んだ人はニトロちゃんのことを考えられるようになっていると思う。
人と違うことを打ち明けることは、甘えているわけではないことがわかる。

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母親やめてもいいですか
母親やめてもいいですか

待ち望んで妊娠→出産した愛する子どもの様子がちょっと変わっているので調べてみると、
発達障害だと判明して、発達障害と闘おうと情報をあさり、戦い、疲れ、母親をやめてしまった人のエッセイ。
発達障害の子どもとどう向き合うか、そして自分がどうなってしまったのかが赤裸々に綴られている。

最後の最後で描かれている「広汎性発達障害がなくなるようにと願って、それが娘への愛だと信じていたけど、見知らぬ子が娘の身体を引き継いで、娘の魂は天に召されるとしたら……いやだ!」ということにたどり着くまで、苦労も悲しみも、取り戻せない結果もたくさんありすぎて、読者として私の胸につらい気持ちが残る。

ちょうど一年ぐらい前に書いた感想もあります。
http://honyonda.seesaa.net/article/398261436.html

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プロチチ(1) (イブニングKC)
プロチチ(1) (イブニングKC)

人とのコミュニケーションが上手に出来ず、会社を辞めてしまった直(ナオ)は、産休が明ける妻と入れ替わりで主夫&育児をすることに。育児初日でテンパりつつも、自分がいろんなことをうまく出来ないのはアスペルガー・高機能自閉症・発達障害といわれる特徴のせいだと思いあたる……ところからはじまる、「プロチチ」として育児をやりながら直が生きる力を獲得していく物語。

妻の花歩とも、幼い息子の太郎や周りの人間とぶつかることもあるけれど、自分を自覚してからの直はめげない。周りも少しずつ理解して協力してくれる。
いごこちのいい職場も見つけ、自分のできること・得意なことを少しずつ活用できるようになって行く……

読者に伝えるちからは、さすがベテラン漫画家:逢坂みえこ先生のすごいところ。
1巻の感想はこちらにも。
http://honyonda.seesaa.net/article/413544775.html
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発達障害は、本人も周りの人も、どちらも「発達障害とはどういうものなのか」を少し勉強するだけで、格段に生きやすい環境になるんじゃないか。ある程度のパターンというかメカニズムが共通しているのだから、自分がなぜイライラしてしまうのか、なぜ相手に伝わらないのか、それを知るだけで今後変えていくことが出来る。
だからこそ、いろんな漫画・書籍・ネットの記事などで、伝え方や考え方を知ることはいいことだと思う。
発達障害ではない人に対してだって、誤解のないように伝えたり、敏感に空気を読める人でないと対処できないようなことを減らしたりできると思うんだよな。いろんな人とのかかわり方を知ることで、普段の人間関係がもっと円滑になっていくと思う。

posted by 藤村阿智 at 14:02| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする