2015年04月06日

かくかくしかじか 5巻(東村アキコ)感想【完結】


5巻で完結。

発売の前の日あたりに、「マンガ大賞2015」も受賞した話題作。

かくかくしかじか 5 (愛蔵版コミックス)
かくかくしかじか 5 (愛蔵版コミックス)

私もこのシリーズを好きで読んでいて、きちんと完結して、「アキコ」のこれまでと今が、飾りすぎることもなく書かれていたと思う。
先生の最後の言葉のくだりは泣いた。

まじめに描かれているエッセイだと思うし、思い出せないところを「思い出せない」と綴る正直さもいいと思った。
数ある「漫画家によるエッセイマンガ」の中でもいいマンガだと思う。

ただ、これで大賞を取っちゃってよかったのか?
東村さんはフィクションのマンガも描いているわけだから、エッセイという本当にあったことだからこその「話のちから」に負けないフィクションのマンガでまた大賞を狙って欲しい。

5巻は東京の風景が書かれてるコマにあまり意味を感じられなくてテンポがちょっと悪くなってるところが多くて残念だったかな。

コレまでの巻の感想も以下に書きました。

かくかくしかじか1巻(東村アキコ): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/360562367.html

かくかくしかじか(東村アキコ) 4巻: ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/403606810.html
posted by 藤村阿智 at 19:16| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月27日

祝福の歌姫(桑田乃梨子)

祝福の歌姫 (バーズコミックス スピカコレクション)
祝福の歌姫 (バーズコミックス スピカコレクション)

桑田乃梨子先生の、2014年に出た単行本。

ファンタジーです。
「オッスわたし魔女 たいていのことは歌でなんとかできます」
……と始まるとおり、歌を歌うことでさまざまな能力を発揮できる魔女の物語。

主人公の歌姫(後に名前はハニィと判明)は歌でいろんなことをなんとかできる系魔女の中でも魔力の強いほうだが、とにかく自他ともに認める音痴。

ただひとり、彼女の歌声を美しいといってくれるのはこの国の王子だけ!
ということで、めでたく王子に仕えて国を守る歌姫の座に収まるのでした(将来安泰)。
でもそれはゴールじゃなくて、物語冒頭の話。

音痴だからと一人ぼっちにされても
隣国の強い魔女(ライバル?)が現れても
歌姫を快く思わない王子の家臣がいても

これは桑田まんがなんだから、たいして大事にもならず淡々と世界はそこにあるのです。
1巻で終わっちゃってさびしい。
タグ:桑田乃梨子
posted by 藤村阿智 at 20:24| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月24日

【2015の記録】青空文庫で小説を100本読みたい【感想】

2015年の目標として、
青空文庫を100本読む」と言うのを掲げました。
毎年本に関しては「300冊読む」とか言っていて、300冊ぐらい読んでるんですけど、
青空文庫は短編もあったりと「○冊」に含めるのが難しい。
だから、今までも読んでるんですけど、ノーカウントだったのです。読書量に入れてなかった。

ということで、今年は再読含めて、青空文庫で小説を100本ぐらい読みたいと。
カウントすれば読む気も出てきそうだし。あらすじや感想は書いたり書かなかったり……ムリのないメモにしたい。


【1】株式仲介店店員(コナン・ドイル)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000009/card43497.html
赤髪連盟(赤髪同盟、赤毛連盟など)と似た話で、私の好きな「楽で儲かるけど意味のわからない仕事をさせられる」話。好きなんですよね……実生活でも、「なんだこの仕事は」って思ったときに「ホームズのアレみたい」って」つぶやいてます。

【2】藪の中(芥川龍之介)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card179.html
とある事件についていろんな人の証言を聞く。そこから見えてくる事件の本質とは。

【3】あばばばば(芥川龍之介)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card14.html
いつも買いものに行く店には無愛想なオヤジしか居なかったのに、いつのまにか女性の売り子が。別に好きでも何でもないしドジだからからかってやってただけなのに、ある日を境に姿を見なくなってしまって……

【4】走れメロス(太宰治)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/card1567.html
有名な話。中学生の頃にももちろん読んだし(私が書いたパロディ小説が学級新聞に載ったよ)
あらすじは知ってたけど、改めて読むと……細かいところに突っ込みを入れてしまう。
暴君である王様が最後に友情に感心してたけど、最初に親族など近い人間を含む大量の人間を処刑してるからね、この王様は。あとメロスも、余裕だと思ってゆっくりしてたら橋が流されてて濁流に飛び込むとか、犬を蹴っ飛ばすとか、もういろいろダメそうな感じ。

【5】予の描かんと欲する作品(夏目漱石)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/card2678.html
これはいいですね。小説書いてる人とかは一回読んで見るといいと思います、短い話だし。

【6】山地の稜(宮沢賢治)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card4469.html
これの前に読んでた文章が全然頭に入ってこなくて困っちゃったので、違うのを読もうと思ってたまたまクリックしたのがこの山地の稜。
余計に混乱したというか、さっぱり文章として理解できず、文字の羅列にしか思えなくて、余計に混乱。とうとう文章が読めなくなったのかと心配になったけど、人に読んでみてもらったら「わかんなくても普通だと思う」と言われたのでよかった……(笑)
宮沢賢治らしい雰囲気と空気はあるんだけど、まあ、残念ながらわかんないです……私、宮沢賢治合わないのかもな。

【7】階段(海野十三)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000160/card1224.html
面白かった。まじめな研究員である主人公が、他の調査の手伝いで信濃町の駅を利用する人間の数を数える。女性が苦手なのに、女性を数える担当になり、階段の端からなんとか足だけ見てやり過ごそうとするが、美しい脚に心を奪われてしまって……
とにかく脚の描写!しつこいぐらい、変態的に脚の美しさが語られる。足フェチの話で終わるかと思えば、これまた特徴的な螺旋階段のある図書室で殺人事件が起こる。主人公は自分への疑いを晴らそうと推理を始める。そしてその先に見つけた、自分に取り付いていたものとは?
そんなに長くないのに、ぎゅっと詰まって急展開する内容で面白い!オススメ

【8】日本山岳景の特色(小島 烏水 )
http://www.aozora.gr.jp/cards/000027/card644.html
登山家の一面もある小島氏(いろんなことをされてる人らしく……)による、日本の山岳風景についての話。
海外の名峰との比較もある。
山頂へ登山するというよりは、遠くから眺めたときの山のすばらしさが中心かな?
「山岳風景」だもんね。富士山の裾野の広がりのよさとか、火山があることによる山そのもののカタチのよさや湖など環境のよさも。山が風景にある土地で育った私には、山を誉める話は読んでてうれしいもの。
句読点の使い方が独特で(ひとつの文章が長い……)読みすすめるのに時間がかかってしまった。

【9】(梶井基次郎)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/card423.html
梶井基次郎、といったら「檸檬」が浮かんでくるのですが、檸檬を読もうと思って作品一覧を眺めていたら出てきたのがこの作品。ちょっとキヤク的にNGなタイトルかもしれないのでタイトルは書かない。
リンク先では別に、普通に見られます。普通の単語ですがアカウントが停止になるといううわさでして(笑)
猫が深夜に抱き合って、何をするでもなく抱擁しているのを眺める話と、河鹿がまさに生命のいとなみを行うのをみて命の輝きを感じるという話。短いけどどちらもなかなかよかった。オススメです

【10】醜い家鴨の子(アンデルセン ハンス・クリスチャン )
http://www.aozora.gr.jp/cards/000019/card42386.html
みにくいアヒルの子、もちろん昔からストーリーは知ってますが、どういう風にかかれたお話なのかは知らなかった。なので読んでみた。
まあ、流れは記憶のとおりで、特に「ええええ本当はこんなふうなんだ?」って驚くこともなく、
アヒルの子どもたちの中にすごく醜いヒナが混ざってた。
醜さのあまりみんなにいじめられる。
本当は白鳥だった。
ってハナシなんですが、容赦ないですね……結局見た目なんですね重要なのは。
醜いアヒルだったときの、自己嫌悪とか、諦観とか、周りのいじめっぷりは本当にひどいね。
いじめられる理由が「醜い」だからね。本人も醜いから仕方ないな〜って感じで。
白鳥に憧れてたけど、冬を越してみたら自分も白鳥だった上に、白鳥の中でも美しいほうだったので
白鳥にも人間にもモテるようになった。幸せ。って事なんだもん……

【11】赤いくつ(アンデルセン ハンス・クリスチャン )
http://www.aozora.gr.jp/cards/000019/card42378.html
歌の赤いくつとなんか関係があるかと思ってましたが違う話でした。
少女は貧しかったけど赤いくつをもらう。そのおかげでいいことがあるが、
安っぽいくつだということで捨てられてしまう。
赤いくつに魅せられた少女は次も赤いくつを履くが、呪われていて、履かずにおれないし履くと踊ってしまうし脱げないし……
赤いくつを履いて踊ってたせいで生活もままならないし、恩人の死に目にも会えなくて、ほとほとイヤになって首を切る職業の人に頼んで足ごと赤いくつを切り離してもらって一件落着……?
足のないまま家政婦として働き出して、懸命に働いて周りにも慕われるようになった少女(だった女性)は、ようやく寺(教会かな?)に立ち入ることができ、天使につれられて天へ召されるのでした……
って、怖いよ〜。少女になんの落ち度もないところが怖い。そういう、童話にありがちな「○○のバツで、悲しい目にあったのです」って話じゃないんだよね。でもこっちのほうがいいかな。どんな人にも悲しいことは降りかかるし、けして本人が悪いばかりじゃないんだというお話。オススメ

【12】ニャルラトホテプ(ラヴクラフト ハワード・フィリップス)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001699/card56839.html
初めてのラヴクラフト。「ラヴクラフトとか好きそう」といわれながら読んだことがなかった。
というか名前すら知らなかったんだけど、いま興味がある。本を買ってみよう。と思いながら検索したら、
青空文庫でこちらだけ読めた。とっても短いのですぐに読めちゃう。
いいですね、ほかのも買って読んでみよう。

posted by 藤村阿智 at 17:22| 小説・エッセイなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月16日

くちびるに歌を 小説、映画、コミック全三巻(原作:中田永一 マンガ:モリタイシ)の紹介と感想

【2015年3月16日映画の感想に追記しました(2度目鑑賞)】
【2015年3月6日映画の感想に追記しました】
【2015年1月29日映画の感想を追記ました!】
【2014年12月25日原作の感想、映画のことを追記しました!】
【2014年10月18日三巻の感想を追記しました!】

モリタイシ先生の単行本は全部持っている私。
新作も毎回楽しみにしてる。

でも「くちびるに歌を」を買ってなかった。なぜなら原作付き作品だから。
なんとなく、原作があるならそれはモリ先生のいつものマンガと違うんじゃないか?
と、小説もマンガも原作主義の私は思ってしまって、敬遠していたのだ。

「くちびるに歌を」2巻が発売されてから、毎日のようにtwitterでつぶやかれる感想ツイートを
モリ先生自らがリツイートしていて、それを読んでいるうちに
「私の心配は杞憂なんじゃないか?」という判断に。さっそく購入。
一時は品切れになってて、ちょっと手に入れるまで時間がかかってしまった。
以下感想。ネタバレありだからまだ読んでない人はマンガを先に読んでね! 面白いよ!

--------------------------------------------------
くちびるに歌を 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
くちびるに歌を 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

長崎の島が舞台。方言女子かわいい。
美人の柏木先生が、産休の先生の代わりに学校にやってきて、合唱部の顧問に。
女子しかいなかった合唱部には、先生目当ての男子がたくさん入部。
桑原サトルくんはその生い立ちから教室では透明を決め込んでたし、中三にして人生をあきらめているようだったけど、
ひょんなことから合唱部に入ることになって、そこから彼の生活は姿を変えていく。

モリ先生はモテそうなイメージなんですが、なぜかこういう「もてない、根暗、引っ込み思案」な少年キャラを描くとその描写はピカイチですね。
1巻はキャラそれぞれの立ち居地と相関図、それぞれの悩みや謎になっている部分の洗い出し。
物語は始まって、一気に厚みを増す。
いままでの作品と違って原作があるからか、1巻で見えてくる情報量の多さと、舞台設定の輪郭のはっきりする感じが新しい。

--------------------------------------------------
くちびるに歌を 2 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
くちびるに歌を 2 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

2巻は物語に厚みを増すようなエピソードと、新しい関係が作り出した新しい悩みと、過去の出来事に決着をつけるための戦いの前夜。
↑上手に言えてないんだけど……

元からいた合唱部の女子と、不順な動機で入部した男子の対立。
美人の柏木先生は、対立すらも暖かく(?)見守っている様子。
それぞれの行動が、どういう考えから来るものなのかが丁寧に描かれている。
伏線が、この先、事件が起きることを予感させる。

メインの女の子たちが全員かわいいなあ。
柏木先生ももちろんいいし(巨乳美人なのにサバサバした姉御肌!)
部長のメガネもまじめさもキレっぷりも友達になりたい勢いだし
長谷川さんのある意味あぶなっかしいところも魅力的だし
ナズナちゃんのかませいぬっぷりもまた……

モリ先生は人の心の動きを描写するのが、本当にうまい漫画家さんなので、
こういう青春群像劇がすごくあってるんじゃないかと思う。
人の二面性とか、押し殺した本音とか、絵と構成で魅せてくるよね〜。

3巻で完結らしい。
2巻で起きたいろいろな事柄、心配事、きっちり3巻で読めると思うと楽しみ。

あと、おまけマンガも毎回楽しみ(笑)
--------------------------------------------------

こちらが原作。マンガが完結したら読む!
くちびるに歌を (小学館文庫)
くちびるに歌を (小学館文庫)

【三巻発売で最後まで読んでの感想。ネタばれもあるので未読の方は注意】
--------------------------------------------------

くちびるに歌を 3 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
くちびるに歌を 3 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

三巻読んだ。
三巻買ってから、感想書くまでに時間がかかったのは、「読むなら一気に読み返したいな……」と思ってたから。この内容で、三巻というボリュームはちょうどいい。一気に読めるし、できれば続けて読んだほうがいいと思うから。

三巻は最終巻だけど、物語の収束は見事だった。
束ねるというよりも開放という言葉のほうがあってるかもしれない。
登場人物たちがそれぞれ、生きてきた15年の日々、いままでにあったつらいことやうれしいこと、それらが複雑に絡み合って「今」になっているという「本当のところ」が描かれていたと思う。
「柏木先生の色気が目当てで入部した男子が合唱を本気でやるようになる」という小さな「きっかけからは変わった現在」をはじめとして、最初は確かに違う理由だったのかもしれない。でも今はそうじゃない、という希望がいくつもあった。

モリ先生の絵や構成も流石だった。もちろん大事なセリフで語られることもあるけど、表情ひとつでたくさんのことを伝えてくる。
いろんな人が感想で言っていたけど、最後の合唱で見せたサトルの歌う表情は輝いていた。
おとなしくて主張しないタイプだったサトルが、合唱コンクールやひみつの共有を経て、
特別な人に「優しくするのはあなたが特別だから」とちゃんと言えるところとかカッコイイ。
そのあとの、外で合唱を聞くアキオ兄さんの表情もいいなあ。アキオ兄さんのために、と始めた合唱のさなかに、ナズナちゃんが救われるのもすごい。


原作付でもそうじゃなくても、モリタイシ作品の登場人物は「この先も幸せになって欲しい」と思わせる存在感があると思う。

あとはもう、女の子がほんとにかわいい(笑)
さすがアイドル好きなモリ先生。女の子の魅力的な部分ってのを変態的野生の感覚で受信して出力できる稀有な存在だと思います!(誉めてます!)
とくに長谷川さんは好みにどんぴしゃなんだよ〜
モリ先生の描く黒髪黒めがち美少女たまんないよ〜

私もざくっと描いてみた、けど……やっぱ遠く及ばない
m_kotomi.jpg

--------------------------------------------------
【12月25日追記】

原作小説も読んだ!

くちびるに歌を (小学館文庫)
くちびるに歌を (小学館文庫)

(ちょっと読んでから感想書くまで時間が空いちゃったので細かいところが原作・コミックごっちゃになってしまったのですが……)

各種レビューで読んだとおり、コミック版は原作にかなり忠実だったんだな〜と思います。
コミックのオマケ漫画でも、モリ先生が原作を読み込んでから書いたこと、原作の中田先生には「好きに描いてください」と言ってもらってたこと、コミック化にあたって変えたこと……など書かれていましたが、大筋は原作のままでした。

原作と比べてコミックの「漫画だからこそ」の表現は、やっぱりサトルが合唱コンクールで歌ったときの表情だな。小説でも映画でもだせない(漫画ならではの)魅力だと思う。


さて、そんな「くちびるに歌を」が映画化。2015年には公開されます。
http://kuchibiru.jp/
予告編が発表されてすぐに動画を観たんだけど、うーん、ちょっと不安かな?
もう一回見返してみようかと思ったら今はロングバージョンになってますね。(公式サイトで見られる予告編)
最初の予告編は、最後に「この春、一番泣ける」と言ってたと思うんですけど、「泣ける推し」はいやだなあと……
今の予告編は「この感動は生涯忘れない」になってますね。これもちょっとなあ。

新垣さんの演じる柏木先生がなんかふてくされた感じでいやだなと思ってたんだけど、
やっぱり柏木先生が主人公のようなもので、さらにちょっと不幸が増えてそれを感動につなげようとしてるのかな?っていうシーンがチラチラ……
原作も、コミックも、サトルとナズナが中心の群像劇みたいになってるところが、明るさと、少年少女ならではの不安定さとめまぐるしさがあってよかったと思ってるので、柏木先生中心になったところですでに別物なのかもしれないですね。
ナズナが書いてサトルが手を加えた、柏木先生のオリジナル曲は原作にも歌詞が出てこないけどどうするんだろう?と思ったけど、そこははしょられるのかな?
うーん。原作そのまんまの、サバサバした都会帰りの女であっけらかんと明るくて友人の心配しかしてない柏木先生が映像化されたらすごく見たいんだけどな。(笑)実際はどうだろうな?

予告編はこちら。


このブログサービスの、seesaaがやってる懸賞の映画試写会プレゼントに応募します。当選したらいいな〜。

映画『くちびるに歌を』一般試写会プレゼント: 懸賞 - Seesaa プレゼント
http://present.seesaa.net/article/410924606.html

--------------------------------------------------


「くちびるに歌を」映画の試写会見てきました。感想書きます。

結果、映画は映画で完成していてすごくよかった。

まず、原作からの変更点はかなり多い。
原作ではあくまで脇役だった柏木先生が主人公になっているのが一番大きい。
ポスター、チラシのイメージには柏木先生のアップの横に
「大っ嫌いだったあなたたちがおしえてくれたこと」とコピーが書いてあって、まさに映画の内容もそんな感じ。

原作から変更されてる映画でいい思いしたことがほとんどないから、すごく警戒していた。別物で、原作とコミックを見て「いいな」って思った人は嫌な気持ちになるんじゃないかと。

でも実際に映画を見たら「こんなに大胆に変更・再構築して、いい感じになっている実写化はめずらしいな」って思った。

原作、コミックで読んでる人にはネタバレも何もないし、
もともとミステリーとかじゃない内容なので、あらすじがわかったからと言って面白みが減るわけではないと思うけど、なんの予備知識も要らない人はこの先読まないでおいてね。

【映画の感想】

・原作はサトル、ナズナという二人の15歳の目線で交互に綴ることで、同じ学校、合唱部の内部や舞台とそれぞれの悩みや葛藤を見せていく手法だった。
 映画では柏木先生目線でつむがれていく。並行・交差していたサトル、ナズナの間に柏木先生がいて、二人の悩みや葛藤を受け取って、自分の「今」とくっつけていく感じ。
 だから柏木先生は、悩める15歳を見守る役でなく、子どもたちの中心で自分も悩み葛藤する大人の役割をしている。
 原作ではあくまで子どもたちは自分で「15歳」から前進していく感じだったけど、映画は柏木先生と絡むことで自分を見つめたりちからを与え合ったりしている様子。

・原作ではたぶん、一番サトルの立場がつらかったんだけど、映画ではそんな感じはない。相対的にナズナと柏木先生の悩みが重くなってる。

・ナズナの父さんが原作とかなり違う人物になってて、これは救われないな……ナズナには忘れて強く生きて欲しい

・中学生少年少女の恋愛はバッサリカットされている。でも、大人の恋が変わりに入ってるわけではないところは好感! この映画は恋愛モノではない。
 原作を読んでいれば、登場人物の動きに「あっ、やっぱちょっと好きなのかな?」って感じはあるけど、知らなければ気がつかないぐらい。

・つまり、辻エリは影が薄い(映画版の部長はナズナ)。長谷川コトミちゃんも、バッサリカット。
 コミックでオッパイ星人になった関谷は映画版では女の子に……めがねでかわいい女の子に……

・アキオとナズナのつながりエピソードとか、形を変えても重要なところはきっちり残ってる。これはすごい。
 伏線もちゃんと張って回収している。
 アキオの描写もよかったとおもう。長所の表現もさりげなかったし、ラストにうまくつながってた。
 エピソードはよかったけど、アキオの設定とか雰囲気はコミックのほうが大げさじゃなくてよかったかな……
 どちらもあるだろうから、より強調したのかもしれないけど。

・なにより一番は風景がキレイ〜。これは小説、漫画とはまたちがった映画ならではの魅力。
 音もね。曲を「手紙」に絞って、うまくテーマにしてたと思う。
 もう一曲のキーワード曲「マイバラード」も合唱曲の定番ですね。これも合唱というテーマに沿った
 すごくいい歌だし、多くの人が聞いたことのあるいい歌だと思う。
マイバラード 中五島中学合唱部による女声二部合唱


・一番私が見てて「すごいな」とおもったのは、桑原サトルの存在。原作もコミックもすごかったけど、映画でもすごい存在感と演技力。イメージする桑原サトルそのまんまが実写に。
 下田翔大くんか……まだ12歳?すごすぎる。覚えておこう。

・一番残念だったのは、「15の僕からの手紙」の扱い。
 原作・コミックでは、みんなそれぞれ書いていて、誰が書いたかほとんど明かされないけど
 読者にはそっとわかる仕組みになってる。その内容で書いた子の悩みがわかったり、
 向井ケイスケの「手紙」なんか、まんまと騙されたし、コトミちゃんとサトルのひみつの共有にもつながったよね。
 でも、映画版では手紙はサトル以外書いてないことになってて、残念。
 しかもその手紙が先生に提出されている(いたよね?)のはもっと残念。
 そんな軽く、誰かに伝えられる悩みじゃないはずなのにね。
 (2回目観た)渡したわけじゃなくて、偶然ノートに挟まってたのを見つけたみたいだけど、
 そのノートがなんで柏木先生のところにあるかわかりにくかった。
 たまたま提出ノートにはさんでいたってこと? うーん?

--------------------------------------------------

総合的には映画「くちびるに歌を」よかった。試写会の帰りも、周りの人の感想はみんな「よかった」というもの。
だからこそ宣伝で「泣ける!」を前面に出しすぎないでほしいかな。
この少年少女たちと先生が「いまを見つめて前進する」所を観にいって欲しい。

私としては、モリタイシ先生の漫画版「くちびるに歌を」がなかったら、この映画も見に行っていないので、ぜひ映画と一緒に原作・コミックス版も楽しんで欲しいな。映画より先に読んでおいても問題ないと思います。

  

原作は文庫の新装が2月に出るらしい。

posted by 藤村阿智 at 14:51| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月09日

聖☆おにいさん11巻(中村光)

聖☆おにいさん(11) (モーニング KC)
聖☆おにいさん(11) (モーニング KC)

11巻。

10巻の発売から1年近く間があいてたのですが、たまたま最近読み返したばかりだったんですよ。
発売は読み返した直後ぐらいに知って「ちょうどよかった」って感じで。

まとめて読むほうが楽しいと思います。
前回だったかもっと前の巻だったか、久しぶりに新刊で読んだら、
細かいキャラクターを忘れちゃってて? キャラクターたちが内輪だけで楽しんでるように感じちゃって、
読者としてさびしい気持ちになったから……

続けて読むとキャラクターが把握できてて楽しいです。
久しぶりに読むときはざっと読み返したほうがよさそう。

スタバやきのこの山やらイングレスやら、最近の流行や実際にあるものをどんどん取り入れてきますね……
本来ならそういう俗っぽいものにかかわりのないハズの聖人たちが流行モノに振り回されてる感じがたのしいところでもあるんですが、イングレスやってないからいまいち乗れなかったかな?

不思議だな〜と思うのは、「それ知らないんですけど……」っていうネタでも、面白い漫画と面白くない漫画の違いはなんだろうって事。
「なんかよくわかんないけどマニアックなこと言ってるんでしょww」って笑えるギャグの漫画もあるけど、
「えーっとごめんよくわかんないや?」ってしらけてしまうギャグもあると思う……
聖☆おにいさんは結構、後者の「ごめんよくわかんない」になっちゃうことが多いかも。

個人的に前者の「なんかよくわかんないけど笑えるww」は久米田康治先生の漫画のギャグで多くて、すごいな〜って思う。藤子・F・不二雄先生の漫画でも「わからないけど笑える」に支えられて、子どもでも楽しめて大人になってから「あれか」って二度楽しめたんだよなあ。

イングレスも、周りにやってる人が多いからわかる部分もあるんだけど、
やってる人たちをはたから見てて「輪に入れない……」ってのと同じ疎外感が……
ブッダという、同じくやってない人もその場にいるのに、うまく読者である私とつながらないというか。


11巻で好きなのは自撮りの話と、即身仏の話です!
posted by 藤村阿智 at 18:23| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月20日

3月のライオン10巻(羽海野チカ)

3月のライオン 10 (ジェッツコミックス)
3月のライオン 10 (ジェッツコミックス)

ようやく購入できて、読みました。
いいですね〜10巻。
9巻から間が開いちゃって、読み返さないと前の巻がどういう風に終わったか忘れちゃったな……と思うのですが
10巻もあるとなかなか読み返すのにも時間がかかりそうで、とりあえず10巻だけ読んでみました。
そうだそうだ、ひなちゃんがいじめられたりしてつらい展開があったんだわ。

ひなちゃんもめでたく高校入学。零くんと同じ高校に無事入学できたようでよかった。
学校にいるひなちゃんを眺める零くんはなんだかいい感じですね。学校に新しい、そしてすばらしい楽しみができたわけじゃないですか〜。

零くんが昔すんでた家へ訪問するハナシも、後半のあかりさんひなちゃんモモちゃんの父親が訪ねてくるハナシもきついですね。
羽海野センセの物語はこういうのがあるから……いや好きですけどね
そこ一部分だけ見たら救いがない。でも、自分がかかわるものはそれだけじゃない、手に入れてるものもなくしてるものもひとつだけじゃない。そういう支えが描かれてるからいいよね。

三姉妹の父親のはなしは、「ひどい父親だけどやっぱり父親だから……」って展開になるのかなと心配したけど、間違いなく予想通りに根っから嫌えそうなタイプで逆に安心した。
「この展開だと零くん、父親はああ言ってくるだろうけどどうするのかな?」って思いながら読んでたらやっぱり父親から突込みが入って、んで言い切ったね! かっこいい。
将棋の面でも零くんは超人だから、空気なんか読まずに戦局だけを読んでいるよ。もう着々と、それこそ1巻からこの盤にコマを並べ続けていたんだし、父親なんか身一つで飛び込んできた王将のようなもので弱いもんですよ……

「三月のライオン」に出てくる大人は一人ひとりが偏っててなかなかいいオトナがいないわけだけど、
そんな中では先生が好きかな。
「風と木の詩」でもパスカルが好きな私が好きそうなキャラでしょ(笑)
「残酷な神が支配する」だとリンドン。
「ハチミツとクローバー」の花本先生も近いんだけど、あの人は自分も渦の中にいて、冷静と距離を自分で意識して作ってる人だからちょっと違うよな。

続きが気になる終わり方だったので11巻が出るのも楽しみです。
posted by 藤村阿智 at 12:07| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月05日

プロチチ(逢坂みえこ)

プロチチ(1) (イブニングKC)
プロチチ(1) (イブニングKC)

1巻をようやく読みました。
逢坂みえこさんといえば、「永遠の野原」文庫版の感想をこのブログに書いたのももう9年前ですか。

永遠の野原(逢坂みえこ): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/22533510.html

「プロチチ」はそのタイトルのとおり、育児するお父さん……つまりプロのお父さん!
この主人公がプロのお父さんというわけではなくて、お父さんというのは皆プロのお父さんだということなのですよ。そしてそうなりたいと思うお父さんの物語。

主人公、徳田直には妻・花歩との間に息子がいる。花歩は育休を終え、仕事へ復帰する。
直は息子を育てる。家事を中心にやる専業主夫になる。……会社をやめていまは無職だから。

これは育児に奮闘するパパの話なんだけど、パパ自体に少し変わったところがある。
こまかいところへのこだわり、コミュニケーションのとりづらさ、婉曲表現の不理解、
……これは発達障害のようである、と自分で気づく。

気づいてからはその特徴を把握して、花歩も「ちょっとズレてるダンナ」から意識をちょっと変えて、
伝わる接し方や行動の理解につなげていく。
発達障害・自閉傾向ならではのこだわりが、育児の細かい内容を紹介するのにも役立っているし、
どの辺りがやりすぎになってしまうのかなども少しずつ考えているところなど物語としての懐が深いなと。
一番懐が深いのは妻の花歩ちゃんですけどね。いい妻だ。細かくなりすぎる夫の軌道修正もできるバランスのいい妻だよ〜。

逢坂さんの絵はすっきりしていて、背景なども必要最小限でみせてくるんだけど、
精神状態や心理描写などの具体化は本当にすごいなと。

話が進んでいくと赤ちゃんも大きく成長してきます。2巻以降も楽しみ。読んだら感想を追記していく予定です。
タグ:育児
posted by 藤村阿智 at 11:46| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月14日

僕だけがいない街1巻(三部けい)

僕だけがいない街(1) (角川コミックス・エース)
僕だけがいない街(1) (角川コミックス・エース)

あちこちで「気になる」「面白い」漫画として紹介されてたので、ずっと欲しい本リストに入れていたのですが
先日ようやく購入しました。

WEBで表紙を見てて、「たぶん『おしん』みたいな話なんだろう。何かを背負った苦労してそうな赤いはんてんを着た女の子が雪の中に立っているし。私の好きなタイプの話じゃなさそうだな」っておもってたんですが……

ぜんぜんちがいますね……思い込みって怖い〜(ひとごと)


しかしまだ1巻なので、面白さの判別はできない。私は慎重派なのだ。
1巻を読んだ時点で「2巻以降が気になる!」のは間違いない。
最初に引き込まれることもなかったし、ちょっと読みにくくてわかりづらいんだけど、
1巻の後半からぐっと展開して、2巻へ続くあたりで大きな動きがある。そしてまだいろいろがわからない。
でも、2巻から読んでいけば謎はどんどん解けそうな予感がして、「続きが気になる!」と思うんだろう。


主人公は、デビューしたものの売れてない漫画家・藤沼悟28歳。
バイトしながら「うまくいかない」現実にいろいろなことをあきらめかけているけど、
ひとつだけ人と違う能力がある――不幸を察知すると時間が逆戻りする。誰かが「お前が防げ」と言っているかのように。それが「再上映(リバイバル)」だ!
藤沼の心をつかめなくしているものは過去の出来事なのか、今までの自分なのか、今起こった出来事なのか。それを知ることはできるのか。

……とここまで知らなかったら買わなかったかもしれない。実際は知らずに買ったけど、それは信頼できる漫画好きの人たちが「面白い」って言ってたから。

取り急ぎ次の巻以降も注文したので届いたら読んで感想書きます。
posted by 藤村阿智 at 12:46| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月10日

とめはねっ!13巻(河合克敏)

とめはねっ!鈴里高校書道部 13 (ヤングサンデーコミックス)
とめはねっ!鈴里高校書道部 13 (ヤングサンデーコミックス)

13巻。
久しぶりの新刊のような気がする。
12巻までの展開をわすれかけてて、どこからだっけ?と思ったけど読むうちに思い出してくる。

恋も書も盛り上がってくる。
縁の気持ちを周りも知ってきて、(というかやっぱり気づいている)
ひとつの恋は終わったり、伝えることで動かしたり。
ごまかしている場合じゃないぐらいライバルも攻撃的。

気づかないのはヒロイン望月さんばかり。
もう時間は残されていない。恋も書も気持ちをこめていかなくてはいけない。

……ネタバレしたくないなあ〜と思ったらふんわりした内容しか書けないよ。


縁は書に気持ちをこめるためと、ライバルへの気持ちの整理のために
「尊敬する先生が、かなわないと思った人の書」を観ようと考える。
しかしその書のショックは大きいものだった……
ここで提示される書は本当にすごい。観てしまったからには忘れられないだろう。
その衝撃を縁はどう受け止めて、自分なりの表現を見つけるんだろう?

これまで12巻かけて、書とはなにか、文字を書いて表現するとはどういうことなのかをじっくりかき続けてきた「とめはねっ!」。まさにクライマックスにふさわしい、すごい書が出てきた。ここまで読んだ読者なら、書道をやっていなくてもこの書が伝えようとするもの、どうして伝わってくるのかを少しは理解できるようになっていると思う。改めてこのまんがはすごい。そして実際にこの書を見てみたい。

絵画でこういうまんががないかな……いろんなジャンルの名画が伝えてくるものは一体なんなのかを知りたいんだけど、なかなか言葉にできないから。


いや〜すごくいいまんがで、ずっと読み続けて行きたいんだけど、次巻14巻が最終巻らしい。
とうとう終わってしまう。
絵、テーマ、ストーリー、すべての面ですごく良い漫画作品だと思う。
最終巻も楽しみです。
posted by 藤村阿智 at 18:38| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月05日

おひとりさま出産(七尾ゆず)

おひとりさま出産 (集英社クリエイティブコミックス)
おひとりさま出産 (集英社クリエイティブコミックス)

年収200万以下で独身でアラフォーの女性が、子供が欲しい一念で
結婚せずに妊活・妊娠するというエッセイマンガ。

漫画家の収入で食べていけないということで、バイトを何本も掛け持ちしてるし、貯金はないし、
あからさまにダメンズなパートナーとは結婚もできず、でも年齢は出産のタイムリミットに近づいていき……
と、本当に思い切る必要のある条件下での妊娠はすごいとおもう。

賛否両論いろいろ出てるみたいだけど、私は作者の七尾さんを考えナシとか楽観的すぎるとか言うことはできない。
同世代として、本当に気持ちはわかるし、決めてがんばろうとしている人は応援したい。
私が同じ立場だったらうじうじしそうだな……っていうか今でもうじうじしてる部分もあるし。
子どもが欲しいと思ったときに求められる条件が、今は厳しすぎるよ。
こういう風に「子どもが産みたい」と思う女性が、子どもを産んで、さらに育てられるような環境になって欲しいと思う。
七尾さんの立場と条件の女性から生まれた子どもでも、「なんとかなる」世界が一番いいと思うんだけど。

漫画としては、絵もコマも読みやすいし、明るいタッチでまじめな話も客観的に描かれてて楽しめる。
しかしダーリンはひどすぎる。でも私の場合血縁に似た感じの男がいるものであまりきつく言えない……
お母様も厳しいなあ。心配なら「なんとかなる」で支えて欲しいと思うんだけど。血縁だからといって支える必要はないとおもうので、気に入らないなら放っておいてほしいと思ってしまう私。

どういったことにどれぐらいのお金がかかるとか、どういう条件の人ならどんな支援が使えるのかなども多少は書いてあるけど、流石におひとりさま出産ガイドとして使えるほどの情報ではないのが惜しいかなあ。でもエッセイ漫画だから「あくまで作者の場合」として、必要な人は自分で調べてみるほうがいいですね。「なにか使える制度があるかも」と読者が問い合わせてみるきっかけになればいいね。
ちゃんと編集者が一緒に調査・取材するような、出産準備レポートになっていれば一番よかったのだけど。だから単純に「エッセイ」として読む、ということを忘れないようにしたほうがいい。

一番残念だったのは、やっぱり出産していないところ(で終わってること)かな……
ほかの人のレビューにもあったとおり、無事出産されたのか、その後どうなってるのかが気になります。
お金のために体力の限界ちかくまでがんばってるみたいな印象を受けるし……気になりすぎる。
2巻または「おひとりさま育児」などの続編を希望。

この単行本に重版がかかって、少しでも育児の足しになればいいなあと思うのです。

posted by 藤村阿智 at 00:06| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月26日

げんしけん17巻二代目の八(木尾士目)

読んだ!! 感想を書こう。


げんしけん 二代目の八(17) (アフタヌーンKC)
げんしけん 二代目の八(17) (アフタヌーンKC)


【以下多少ネタバレあり!】

17巻まで来てまだまだ面白い。すごいことだ。
二代目が始まったころは「これが『2』か……いったん終わった作品が続いたっていいこと無いよなあ、もとのげんしけんメンバー好きだったのにほとんど居なくなっちゃったし」って思ってたのに、ココ最近の「斑目モテキ」で完全に燃え上がってますな。

もともと私がオタクということもあって、オタク語りやあるある、ナイナイ、そのへんを楽しんでいたのに、すでに自分もげんしけんの一員かのように登場人物を見守ってしまう。

いまはとにかく斑目だね。斑目がもともと好きなので、ここ数巻の盛り上がりは「オオオッ!」といった感じ。周りの「ちょっと斑目に気があるんじゃね?」って娘がこぞって斑目の周りを固め始める。
全員が少しずつ、自分の気持ちを自覚して前にジリジリ進んでくる。斑目も斑目で、それぞれを正面から……斜めから……みつめ始めたかな?と。

17巻はページをめくるたび、各方面の胸キュン(?)が展開してどきどきしっぱなしでした。
斑目周辺だけでなく、矢島っちのきもちとか。
いまのところ掻き回し要員のスーも、これから盛り上がりが有りそうだし(いままでの展開の感じを見ると、スーをそのままほっぽいたりしないだろう)楽しみ。

いやぁ……それにしてもラストの笹妹ターンは燃えたね。私が誘われてる気分でどきどきしながら読んでしまった。結局斑目がキレイなまんま(笑)で、ほっとしたような、残念なような……
笹妹、二人っきりになったときからちゃんと「斑目」って呼んでるんだね。オマケ四コマの内容も含め、まだまだひと悶着ありそう。

これからの展開も楽しみすぎるシリーズであります。

追記
書くの忘れてた。ぷくーって膨れる斑目マジ総受
posted by 藤村阿智 at 00:58| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月14日

こいつら100%伝説(岡田あーみん)

ちょくちょく読み返してるけど、また読み返したので感想をメモしておく。

子どもの頃りぼん読者だった30代〜40代あたりを中心に、伝説になってるのが岡田あーみんという漫画家。
少女マンガ雑誌「りぼん」に載っていたギャグマンガがその作品だけど、
他にない強烈な印象と想い出を残している漫画だっていう人も多いんじゃないでしょうか。

私も数々のギャグマンガを、新旧問わず読んでいると思うけど、
ギャグマンガは奥が深いな……
笑える漫画、という共通点があるのに、作品はそれぞれ独立したジャンルに思えるものが多い。
岡田あーみんもすでに岡田あーみんというジャンルと言える。と思う。

こいつら100%伝説 (1) (りぼんマスコットコミックス (530))
こいつら100%伝説 (1) (りぼんマスコットコミックス (530))

「こいつら100%伝説」は、時は戦国時代、とあるお城のお姫様はその身分から命を狙われがち。
そこで忍者の少年たちと、その師匠がすむ屋敷に姫をかくまうことになった……というお話なんですが、
基本的に時代考証なんかどうでもいい、時代劇のアイテムやギャップすらギャグのネタに
してしまうという貪欲さ。途中からそういう設定なのもわすれがちだし。

とにかくギャグの密度が高い。くだらないものからハイセンスなものまで、ガンガン出してくる。
惜しみない。
テンポがいい。

岡田あーみん氏は「普通」をちゃんとわかっていて、そこからちょっとずれることで生まれるおかしさを、
きちんと漫画にして見せてくれるギャグマンガ家だと私は思っている。

ゴルゴに似た感じの「未来から来たサイボーグ・ターミネーター」が暴れた上にレギュラーキャラになるとか、
麻は燃やすとやばいガスがでて悪い作用があるから読者は真似しちゃいけないということをちゃんと伝えるこの漫画はえらい!
とか、90年代だから出来た少女マンガらしくないネタも盛りだくさんだと思う。

作者のあーみん自身が忍者たちと一緒に活躍する回なんかはメタ発言通り越しすぎてて笑うしかないもんね。
集英社の兵士たちが侵入を防止しようと「ジャンプ」して飛んでくるんだけど
「ビジネスジャーンプ うわー失敗した」ってくだりは大丈夫なのか心配になってきますが……って
ギャグマンガをテキストで説明することほどばからしいものはない。それぞれ読んでくれ。

私がリアルタイムで読んでた頃一番笑ったのは、お姫はんが極丸に「スキです極丸さん」って告白したって回かな。読んだことのあるひとなら「あれかww」ってなると思うけど。

とくにまとまりもなく感想終了。
この漫画のすごさは、25年ちかくたった今でも、通常コミックスが在庫ありで手にはいるところですよ。
(それだけ重版されてるってこと)
文庫化、愛蔵版化のスキなし!

こいつら100%伝説 (2) (りぼんマスコットコミックス (577))
こいつら100%伝説 (2) (りぼんマスコットコミックス (577))

こいつら100%伝説 (3) (りぼんマスコットコミックス (642))
こいつら100%伝説 (3) (りぼんマスコットコミックス (642))
posted by 藤村阿智 at 15:11| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月12日

進撃の巨人15巻(諌山創)

【ネタバレいやな人は見ないでね、たいしたネタバレもしないけど】

進撃の巨人(15) (講談社コミックス)
進撃の巨人(15) (講談社コミックス)

進撃の巨人15巻購入。気軽に感想書いちゃうよ。

13巻、14巻あたりの感想はいまいちな感じになってたけど、

進撃の巨人13巻(諫山創): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/394786096.html
進撃の巨人14巻(諌山創): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/403664618.html

15巻はなかなか面白かった。
アクションは控えめだけど、ちょっと「ちりばめられた謎」の回収があって、
読者に見えてこなかった作戦も進んできたし、大きな動きがあったね。

巻のラストも、次巻であのなぞがとうとう明らかになるのか!?って感じの
引きで、実に楽しみ。数巻ぶりにテンポのいい展開でした。

ハンジさん好きには、カッコイイ登場のハンジさんが見られてうれしい。
相変わらず暴力ばかりで気持ちを伝えようとするリヴァイ兵長ですが、
ハンジさんという通訳が居なくてもなんとかやっていけてる感じ。
部下の皆さんとだいぶ信頼関係が築けたようでよかったです。

とりあえず16巻も楽しみ。
posted by 藤村阿智 at 12:15| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月11日

アオハライド1巻(咲坂伊緒)


アオハライド 1 (マーガレットコミックス)
アオハライド 1 (マーガレットコミックス)

珍しく最近の少女マンガを読んだ。
最近の少女マンガ、というか女性向け(BLにアラズ)は「ちはやふる」ぐらいしか読んでないなあ。

1巻はまだ本当に序章といった感じ。
ちょっと気になる男の子、恋ときづいた頃には遠くへ行ってしまったけど、
しばらくして再会。でも全然違う人みたいになっちゃってて……、という始まり。

1巻だけの感想なので、この先ラブが展開していくのかもしれないけど、
1巻での注目は主人公の双葉ちゃんと、他の女の子たちとのかかわり。
私みたいに「女子とは気が合わなくていつのまにか一匹狼タイプだったな」みたいな学生時代だった人は共感するんじゃないでしょうか!
私は高校時代は結構女子の友達も多くなって、いつも一緒にいたり遊びに行ったりする子も何人も居ましたけどね。そうなるまではこういうのがあるよね。
人に嫌われたくないって理由で、人を嫌ったり、Aに嫌われたくないからBとは仲良く出来ないみたいな気持ちは、アホらしいんだけどしょうがないこと。子どものころはAに嫌われないだけで精一杯だもんね……

その辺の「友達ってなんだろ」みたいなところをまじめに描いてるところがいいなあと。
posted by 藤村阿智 at 14:14| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月10日

アオイホノオ(島本和彦)

先日ドラマ化して、最初の予想とちがって面白く最後までみちゃったアオイホノオ
昔から「燃えよペン」「吼えろペン」と読んだので、アオイホノオもそういう感じかなと思って読んでいなかったのですが……
「島本先生の漫画は漫画らしい漫画なんだからドラマにしたらつまんなくなっちゃうだろ」って思って観てたらドラマががんばった作りで面白かったので、原作にも興味がわきました。
でもドラマとか映画とかで話題になってるときに買うのイヤなんですよね、ひねくれてるので。
そんな時Twitterでドラマ化したのに原作が売れてない!と先生がつぶやいてるのを見かけて、「あ、じゃあ、買おう」と思ったわけです(ひどい……)

アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)
アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)

エッセイ風ギャグコメディなので、どこまでがほんとにあった話でどこがフィクションなのかがわからないんですが、今までの焔燃ものもそんな感じなので、まあ本当にいる人もチラチラ出てくる、当時の雰囲気を描き出した漫画だと思うと一番楽しめそうです。
島本先生のおおげさな展開とか表現好きです。

1巻は、大学に入学した焔くんが、どういう状況に置かれてるのかの舞台が紹介され、同級生たちと出会い、どんな漫画や人にふれてどう感じたかが中心(ひどい説明になってしまった……)

私は世代がひとまわり以上も下なので、具体的に80年代の記憶があるわけではないのですが、90年代に80年代の古雑誌を読み漁ったり、サンデーが好きでサンデーの漫画を中心に読んでいたり、もともと藤子不二雄が好きでトキワ荘周辺の話に詳しかったりするので、わかる分だけほかの人より読んでて楽しいんだと思う。
さらに、やっぱりどうしても実感できない「リアルタイムの感覚」が伝わってきてすごい。
あだち充は、私が知ったときにはすでに超人気作家で(ちょうど七色とうがらしのころサンデーを読んでた)、焔くんみたいに「俺だけは認めてやろう」みたいに思う時期はなかったわけだからね。
焔くんのその言動も、オタクならだれでも通る「本当はもう人気があって認められているのに、自分だけがこの魅力に気づいているかわいそうな漫画だと思ってひそかに応援する」という状況で、自分を省みてもこっぱずかしくなって来る……ところがいい……

【以下、続巻を読んだら更新するかも】
posted by 藤村阿智 at 10:16| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月06日

散歩もの(原作・久住昌之、作画・谷口ジロー)

文房具で検索していたら出てきた本。

孤独のグルメ」で人気の久住昌之さん原作、おなじく谷口ジローさん作画の黄金コンビの作品。(と裏表紙にも描いてある)

散歩もの (扶桑社文庫)
散歩もの (扶桑社文庫)

裏表紙のあらすじにもはっきり
文具メーカー勤務のサラリーマン・上野原が、勤務中や休日に歩いた都内の風景の数々。
と書いてあるのだけど、これまた文房具に一切関係ない漫画(笑)

上野原さんは文具メーカーに勤務していて、「うちあたり小さいから いつも崖っぷち」って感じなのに商品開発会議のため品川に外出したり、日曜も市場調査をしたり、実務は若い者に任せたりしている。
やっぱり会社の規模がいまいちわからない。
とりあえず文具の話はちっともでてこない。


ま、この漫画の面白いところに文具メーカー勤務はほとんど関係ないからね。
とにかく仕事もそれなりにやってる中年男の、地味な趣味が散歩で、読者は上野原さんと一緒に都内を散歩しましょうということです。

散歩に向いてると有名な場所が出てくるわけでもない。本当に日常にふらっと立ち寄るような、生活感のある路地や商店街を歩く上野原さん。
散歩しようかな、という気持ちにもきっかけがあって、その気持ちのまま雑貨を見つけたりおいしい店に入ったり、路地を歩いたり、絵本や祭りに出会ったりすることで、想いも発展していく。

短い話が8話。二度目以降、最終回を読むと泣くようになってしまった。

文庫でも漫画は80ページもないのですぐに読めてしまう。何度か読んでも、書き込みの中に新しいものを見つけられて楽しいから繰り返し読むのをオススメ。
巻末には、漫画にならなかった取材を取り上げて「こういうふうに取材している」と原作の久住さんが案内するコーナーも。しかも個人的によく知ってる中野だったのでうれしい。

久住さんが一話ずつ、漫画につけた解説も収録。
作画についても細かく言及されていて、なかなか原作者が作画をどう思ってるかって話は聞けないので貴重。
でも作画が谷口ジローさんだから、そりゃもうすごいにきまってるよね。



文庫版の「散歩もの」、ぱっとどのページでも開けばびっくりすると思う。
なんか普通の漫画と違う画面の雰囲気。
細かく書かれた絵柄もあるんだけど、ベタがほとんどないのにメリハリもある作画にびっくりするんです。
これは作品解説でも久住さんが語っていて、薄墨やグラデーションが文庫サイズで出るか心配したというエピソードが。
そうなんですよ、漫画の印刷って結構難しくて、何でも描いたものは印刷に原稿のまま出るわけではなく、キレイに印刷してもらおうと思ったら原稿の制作にも高い技術が必要になるんです。
薄いところをはっきりさせようとすると、線が太くなってしまったり、細かいところがつぶれたり。
線を細くしようとすると、薄いところや細い線がかすれて飛んでしまったり。
特に縮小率の高い文庫化では、繊細な画風の漫画だと台無しになったりするのです……

印刷所の方が原稿の再現をがんばってくれた。そのおかげですごくキレイな文庫版ができたと、あとがきで久住さんは印刷所の技術を称えました。

amazonレビューによると、電子書籍版はそのがんばりが台無しになってしまっているようです。
たしかに紙からスキャンするのも技術がいるからな〜、せめて原稿を版下にするときのようなスキャンデータを利用できれば良いんだろうけど。
タグ:文房具漫画
posted by 藤村阿智 at 12:30| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月26日

愛しき駄文具(きだてたく)

文具仮面ブログの記事を再掲載です

買った! 読んだ!

愛しき駄文具
愛しき駄文具

発売日に発注して翌日とどく。ネット書店ありがとう。
いえ普通の街の書店も駅前の大型書店もありがとう。

届いたら想像していたより小さめの本だった。
勝手にB6サイズ以上を想像していたけど新書版だった。

中身はまさに、愛しい駄文具たちの図鑑そのもの。
きだてさんがこれまでのイベントや雑誌などで紹介し続けてきた
コレクションの中からよりすぐりの愛しい文具たちがてんこもり。
写真が大きめなのも、実際のスケールを感じながら見られていいですね。

いままでちゃんと言ってこなかったけど、きだてさんの文章が好きなんです。
私は色物文具専門サイトイロブンの結構昔からの読者で、まだお会いするよりずっと前から読んでいたんですが、
ちょうどそのころ私が文具店で働いていたこともあり、
信頼文具舗さんとイロブンさんの文章を読んで文房具を研究し、
「この人たちの文章を読んでいると、いままで知らなかった、まだ手にとってもいない文房具がとってもステキでほしいもののように思えてくる。すごい。こんな紹介を私もできたらいいな!」
とずっとあこがれていたのです(*^-^*)
ほんとに、「なにそれ!」と思いつつも商品の魅力が伝わってくるのを感じるんですよ。


個人的には、こういう写真と文字で楽しめるような本は、寝る前の読書に最適なので
枕元に置いて眠れない夜に再読しようと思います。
どこから開いても楽しめそうだし、途中で眠ってもいい文具の夢見られそうだもん。

--------------------------------------------------

コレクターのお二人との対談記事も面白い。
消しゴム収集家のケシマニさんがおっしゃる、「消せる素材じゃないと興味が持てない、コレクションなのに使いたい(消したい)衝動がある」って話は、すごくわかります。えーと、つまり「収集したくなる消しゴムは消しゴムとして機能するもの」ということだと思うんですが、同じような気持ちになったことがあります。

私も変な電卓を集めているわけですが、これはちょっと違うんです。

★使える電卓だけど見た目や機能が変 → 便利なのか不便なのかわかんない、なんでこれを作ったのか、
 そういう疑問が所有欲をそそる

★壊れちゃってもう動かない、変な電卓 → 動いてた、作られたことに価値があるので問題ない
 (いや、動いていれば一番いいんですけどね)

★もともと動かない、電卓の形や柄がついただけのアイテム → だれがこれを喜ぶと思ったのかと
 考えると私が喜んでしまう


って感じで、結構「動かない電卓」ってのにも興味はあるわけですよ。

しかし、機能がもともと無いものだととたんに魅力がなくなってしまうものがある。
マグネット、消しゴムもおなじだと思う。これらはもともとの自由度が高いのだ。
たとえば、モノ消しゴムと同じ形の、固いプラスチックのフィギュアを作ったとしよう。
これはモノというブランドや形状のパロディということで、コレクションアイテムになりうる。
じゃあ……たとえば四角くて大きさがちょうどいいからと言ってマージャンパイを集めたくなるだろうか。
さらに関係ない、さわり心地がいいけど消せないゴム製の富士山の置物が欲しくなるだろうか。
私だったらならない!(欲しくはなるかもしれないけどコレクションの仲間じゃない)

15年前にテレカ・プリペイドカードを集めていたんですよ。今も当時のコレクションは持ったままだし、
たまには増やしてる。
このジャンルの人なら、機能が重要なのはびしっとわかってくれると思う。
500円の価値がある金券だからではない。
テレカ、プリペイドカードとして使うことを目的として作られたカードだから集めているのだ。
コレクターの中には使用済みでもかまわず集めている人もいる。
でも、そのコレクターが「もう金券として価値のない、グラビアアイドルの写真が印刷された使用済みプリペイドカード」に1000円払ったとして、「最初からプリペイド機能のない、プラスチックにグラビアアイドルの写真が印刷されたカード」を購入することはないのであるよ。
(まったく無いわけじゃないけど、やはりテレカコレクションではない)

いまや、テレホンカードが使えるシーンもなくなってきたし、私が持ってる未使用のオレンジカード(そろそろ使えなくなってきた)やイオカード、Jスルーカードなんかは金券としての価値も無いけど、金券の機能を持たされた! 役割のあるカード! それがあってこそ、表面に印刷された柄が重要になってくるのです!

話が長くなりましたが、つまり消しゴムもマグネットも、それらの機能が最初から与えられてない場合にコレクション対象にならないのは、機能を持った、働くアイテムとしてのバリエーションを楽しんでるからじゃないでしょうか。
働くアイテムは働かせてあげたい。電卓だって無駄な計算をさせたりするし、きっとマグネットも金属の板に貼ったり、くっついてる感を感じながらはがしたりするのが楽しいはず。
消しゴムは消したらミントがグッドぐらいに下っちゃうから(コレクションの状態を表す用語wミントは「キズなし、新品同様」みたいな状態でグッドは「中古ですけど良いです」ぐらい)働かせたいけど使用済みと未使用に大きな差が出ちゃう場合はつらそうですね。働いてるところ見たいのにね。


すっごいずれて、本の感想に乗っかって違う話をしてしまいましたが
とにかく変な文房具たちは眺めてるだけでも楽しいです。
誰かがこれらに、便利な機能をつけて、働くアイテムにして売っているんだよ。買う人と使う人がいるんだよ。変な文房具の魅力もそこだと思うのです。
posted by 藤村阿智 at 10:12| 小説・エッセイなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月23日

中年スーパーマン左江内氏/未来の想い出(藤子・F・不二雄)


藤子・F・不二雄大全集 中年スーパーマン左江内氏/未来の想い出
藤子・F・不二雄大全集 中年スーパーマン左江内氏/未来の想い出

BlackStrawberry.net日記の再掲です

■藤子・F・不二雄先生の命日です。
毎年、何か読み返すことにしているのですが、今年は「中年スーパーマン左江内氏」を読みました。
あ、読み返しじゃなくて初めて読みました。
藤子・F・不二雄大全集を買ったので、たぶんうちにほとんどの藤子F作品があるわけですが、そうなると読んだことのないものも あるのですよ……買ったんだからちゃんと読まないとね。ついついもう読んだことのある好きな本から読んでしまう。

中年スーパーマン左江内氏
--------------------------------------------------
「左江内氏」面白かった。45歳のサラリーマン、係長にはなったけどその後の出世は伸び悩み、後輩が課長になったりして。 まじめなタイプで職場では好かれても嫌われてもいない、そして期待されてもいない。
家庭ではぱっとしない普通のオヤジとして、奥さんとはまさに家族以上のなんでもないし、大きくなった娘や息子からは いまいち尊敬されてもいない感じ……
そんな無害で小市民なところが見込まれて、ある日スーパーマンスーツを受け継ぐことに。
身の回りの揉め事を、解決できるときだけ適当に解決してやってよ……程度のゆるい感じで引き受ける。

■そんな中年向けSFコメディなわけですが、この作品のすごさはギャグとか設定とかじゃないんですよ。
そんなゆる〜いスーパーマンとしての活躍、だれの記憶にも残らない活劇、ヒーローとしていまいちぱっとしない活動の中で! 少しずつ左江内氏の日常が、好転して行っているように見えるのです。
直接じゃないけど結果的に見直されたり。存在を再確認されたり。ヒーローとして、人を「ほっとけない」という動機だけで助けてきた 報いが、ほんの少し左江内氏の人生を、明るく豊かなものに変えてくれそうな予感が全体ににじんでいて、読んでいて楽しい。
最終回は急展開。このあとどうなったのかは見られなくてもいい終わり方だったけど、日常が変化してしまうのかが心配になってしまうな。



未来の想い出

ネタバレあり!
--------------------------------------------------
元は売れっ子漫画家だった納戸理人(なんど・りひと)だが、最近は新作も落ち目でいまいちぱっとしない。
そして突然の死……

振り返るように、納戸氏の人生がつづられていく。
きっかけ、喜び、失敗、決断、成功、没落……
途中で納戸氏は気づく。ちょっと先の「未来の想い出」が自分の中に存在していることに。
この人生は死の瞬間からループしているんじゃないか?
だったら未来の想い出を次のループへ持っていけば、もっとうまく、あの失敗をなくすことさえ出来るんじゃないか……

そして記憶にもある死の瞬間を迎え、きづいたときにはすべて既知の状態で新しい人生を歩みだすことに成功していた!
この後はなぞって、失敗を回避して、つじつまあわせをクリアして幸福をつかむだけ……だがそんなにカンタンには行かないのだった。

はらはらしつつ最後まで気持ちよく読んでしまった。皮肉もいっぱい詰め込まれているけど、さすがとしか言いようのないムダのなさ、スマートさがすごい。
(いまとなっては)よくあるループもの、になりそうだけど、ループものの王道としてきっちり読者の欲望も満たしてくれる内容だと思う。

もしも私が自分の人生の記憶を持ってもう一度やり直すとして、うまくできるだろうか。ぜったいうまく出来ない自信だけはある……
posted by 藤村阿智 at 00:00| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月19日

大人のカバンの中身講座 (玄光社MOOK)

大人のカバンの中身講座 (玄光社MOOK)
大人のカバンの中身講座 (玄光社MOOK)


自サイトの日記と同内容です

9月18日に、玄光社さんからムック「大人のカバンの中身講座」が発売されました。

この中に、私も4ページのイラストコラムを描いています。
「えらべばえらぶほど」というタイトルで、選べば選ぶほど、カバンの中身や持ち物はどうなっていくのかを描いたコラムです。
コラムというよりもうポエムに近いかもしれないけど、ふんわりしてなくて意外に主張が強いからやっぱりコラムかもしれない。
描いてあるものは基本的に私の持ち物。

愛用の筆箱、愛用のペンたち、愛用のPHS端末、愛用の牛革ブックカバー。
イラストはClipStudioPaintPROで描いています。最近お気に入りの、ブラシをテクスチャに見立てたり、紙質を強調したりして 手書きらしく見えるように。やっぱり商業印刷は色がきれいに出ますね。私が考えて描いた混色とかがそのまま出てくれるとうれしいです。
絵描きは色にうるさいって言うけど、やっぱりそこになにか想いがあってその色を塗ったり、違うと思ってやり直したりしたところが、 印刷などの要因で変色しちゃうと「ああ……!!」って悔しい思いをするじゃないですか(笑)
とくにデジタルは、がんばってモニタを色調整しないと、印刷と大幅に違ってしまうから難しい。環境によって見える色が変わってくるんだもんね。

私が描いてる部分以外でも、いろんな人が「どうしてそれ(物)を持って歩くのか」というこだわりが見えて楽しいです。
自分が困ってるところとかも、人の工夫を聞けば解決することもありそう。
低血糖でよくフラフラする私には、ラムネを持ち歩くと言う話が目からうろこだった。チョコ・アメとか、ブドウ糖そのものは持ち歩いたりもしたけど、 ケースがついてるラムネってのはいいかもしれない。試してみる。
「講座」とはいえ、「これがマストアイテム!」みたいな押し付けるものではなく、あくまで「こういう理由でこれを選んで持っている」という話を たくさん聞けることで、自分が物を選ぶときの参考にしようという話。
「あ、そうすればいいんだ」って参考になったり、「この不満はその工夫で解決か」とわかったり。
気になったところだけぱらっとめくるのでも、長く楽しめそうですよ〜。
私のイラストも箸休めぐらいの気持ちで楽しんでね!
posted by 藤村阿智 at 13:50| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月16日

神々の山嶺(原作夢枕獏・作画谷口ジロー)漫画版文庫サイズ【完結】

神々の山嶺(いただき) (1) (集英社文庫―コミック版 (た66-1))
神々の山嶺(いただき) (1) (集英社文庫―コミック版 (た66-1))

「神々の山嶺」は同名の小説を漫画家した作品。文庫版で5巻完結。

昔はまったく山の漫画に興味が無かったんだけど、いまはいろんなメディアの山ものを読んだり見たりしているところ。
そしたら山ものの名作と言われているこの漫画を読むしか!

ネパールと日本を舞台に、伝説級のアルピニスト・マロニーが残したカメラと、それを自分のものだと言うなぞの男・ビカール・サン。主人公の深町はそれを追っていくうちに、カメラをめぐる事件から、ビカール・サンの正体だと思われる日本人「羽生丈二」のことを調べ始める……

神々の山嶺(いただき) (2) (集英社文庫―コミック版 (た66-2))
神々の山嶺(いただき) (2) (集英社文庫―コミック版 (た66-2))

1巻、2巻では山岳カメラマン深町と謎の男・羽生の出会い、羽生という男のこれまでを取材し、追って行く。
エベレストへの人類初の登頂は、マロリーが達成していたのか? 羽生が持っていたカメラがマロリーのものならその中に、登頂の証拠が残っているのではないか?

羽生を追いながら深町は、羽生という男のことが気にかかってくる。
なぜネパールにいるのか。なにを目指しているのか……

神々の山嶺(いただき) (3) (集英社文庫―コミック版 (た66-3))
神々の山嶺(いただき) (3) (集英社文庫―コミック版 (た66-3))

そしてとうとうネパールで、深町と羽生の恋人涼子は羽生に会う。カメラは手にはいるのか。なぜ羽生はネパールにいるのか。その理由もわかって来る。

神々の山嶺(いただき) (4) (集英社文庫―コミック版 (た66-4))
神々の山嶺(いただき) (4) (集英社文庫―コミック版 (た66-4))

神々の山嶺(いただき) (5) (集英社文庫―コミック版 (た66-5))
神々の山嶺(いただき) (5) (集英社文庫―コミック版 (た66-5))

4巻、5巻はエベレストへの最後の挑戦。
羽生も深町も命がけでエベレストへ登り、羽生はとうとう帰ってこなかった。
生存は絶望視され、深町も日本に戻ったが、羽生の山に向かう想いが深町から離れなかった。そしてその想いは深町をエベレストへ再度いざなう。


全巻通して、山男の山へ向かう想いと挑戦する心、山の厳しさと美しさ、わくわくするミステリーが楽しめた。4巻〜5巻のような山のシーンは、読んでるだけでのどが渇いて呼吸が苦しくなるようだった。

途中深町が女のことでもんもんとするシーンもなかなか楽しい(笑)羽生のストイックさを、同じ山男であるのにまじめすぎない深町が和らげつつ引き立ててくれて、そこも見所。
涼子さんも美人だし、無茶するけど「助けられるヒロイン」ってだけじゃない強さを終盤に見せてくれてよかった。
posted by 藤村阿智 at 15:40| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする