2015年06月02日

とめはねっ!14巻(河合克敏)

とめはねっ!鈴里高校書道部 14 (ヤングサンデーコミックス)
とめはねっ!鈴里高校書道部 14 (ヤングサンデーコミックス)

楽しみに読んでいた漫画の最終巻。
とてもいいシリーズでした。

よく「登場人物の成長物語で〜」ってあらすじをいわれる話はあるけど、
「とめはねっ!」は本当に、登場人物たちが成長していく話だったと思う。
しかも、不良がいい人間になる。とか落ちこぼれが立派に成功する。とかそんな話ではなく、
普通に成長期の少年少女が、周りのいい大人たちに導かれ、自ら体験して発見して学んで、数々の知識や技術を得て成長していくという話で、だからこそ一見しただけでは地味に見えても、とてもいい漫画になっているのではと感じます。

望月さんと縁くんの二人は、高校に入学したときはまだ書道に触れてもいなかった。それが賞をとるほどの腕前になる成長ぶりを、確かな説得力で語っていく。
縁くんの片思いのゆくえも気になるところで、書道の面白さだけじゃない魅力も。

私自身、絵を描いているわけですが、書についての話や、技術と練習と作品と伝えられるもの……というたくさんのポイントが、書と絵に共通するんだなあと思いながら読みました。
また、作者・河合先生の画面構成というか、白黒のコントラストは、書に通じるバランスがあると思うんですよねえ。


14巻は、170話の最後で縁くんの渾身の書がついに完成するシーンから、171話はずっと泣きながら読んでしまった。173話の、三輪ちゃんの入れ知恵で望月さんが大人を丸め込もうとするシーンで笑って元通りに。

最後まで恋の行方ははっきりしないながらも、ま、あとはうまくやってくださいよ!と素直に応援できる終わり方でした。


また最初から通して読もうかな。
最近、もういちど通して読みたい漫画がいろいろ増えてしまった。
まだ読んでない方も、とめはねっ!の14巻はいいボリュームでどんどん読めちゃうと思うのでお勧めです!
完結したこのチャンスにぜひ。


13巻の感想もあります。
http://honyonda.seesaa.net/article/412122950.html
ラベル:オススメ
posted by 藤村阿智 at 14:34| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月01日

でぃす×こみ1巻(ゆうきまさみ)

でぃす×こみ 1 (ビッグコミックススペシャル)
でぃす×こみ 1 (ビッグコミックススペシャル)

ゆうきまさみ先生の漫画を読むのは久しぶり。


私が好きで読んでいる「漫画家漫画」ジャンルとして購入しました。
・漫画家が漫画描いているところのエッセイ
・漫画家が主人公・中心人物の漫画

これに当てはまる漫画はけっこう読んでいます……


「でぃす×こみ」は、少年漫画家をめざしている高校生の女の子・渡瀬かおるちゃんが主人公。
かおるちゃんはめでたく新人賞を受賞した……はずで、その授賞式から始まるんだけど、ようすがおかしい。
じつは受賞作「でぃす×こみ」というまんがは、かおるちゃんが描いたものではなく、兄の弦太郎が描いて勝手にかおるの名前で投稿した漫画だった!しかもBL(ボーイズラブ)!

と、いうわけで、その事実を隠したままプロデビュー・漫画執筆をすべく、妹と兄の二人三脚で漫画制作が始まったのである。


……という出だし。
やっぱりいいキャラはおにいちゃんだな〜。ゆうきまさみ先生の漫画っぽいキャラクター。主人公じゃないところがさすが。主人公は振り回される立ち位置が一番いいですよね。
編集さんとの打ち合わせとか、漫画を良くするために手を加えていくところとか、漫画を描くに当たって参考になるシーンも盛りだくさん。もちろん漫画を描いたことなんてなくても楽しめると思う。

1話ごとにはさまれている、「表紙のラフ案」もすごく参考になる。
どれも(上記に画像がある)実際の1巻の表紙にはちょっと「足りない」かんじがいい。なるほど、それよりこういう風に変更して最終的にこの表紙になったのか……と。
悩みながら描いてる女子高生。本当に受賞した漫画を描いたのはだれ? いまはどういう関係?
っていうのを表紙イラストで魅力的に伝えようとモサクした結果、この表紙になったんだなと。すばらしい。


描いている漫画の内容も、ボーイズラブだって言うのがひとくせあっていいですね。
まったく「腐女子(ボーイズラブを愛好し、すぐにひとの関係性をボーイズラブ化するような女性のこと)」ではないかおるちゃんと、なぜか「セツなくも美しい物語」をつきつめたらボーイズラブにいたってしまったおにいちゃんの弦太郎がコンビになっているところがいい。
弦太郎のほうも「腐男子」じゃないので、練った結果(投稿作のアイディアに)ボーイズラブになっちゃったわけでしょう。だから、これからあたらしく描く作品もボーイズラブを描くなら、「萌え」じゃなくて「計算」でつむいでいかなくちゃいけない。そこが、「BL!俺がBL!」ってゆうき先生が悩みながら描いているのとリンクして面白くなってるのかもしれない。
ラベル:漫画家漫画
posted by 藤村阿智 at 12:07| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月29日

おまかわ ─お前らの可愛いところなんていくらでも─ (栗原まもる)

おまかわ ─お前らの可愛いところなんていくらでも─ (マーガレットコミックス)
おまかわ ─お前らの可愛いところなんていくらでも─ (マーガレットコミックス)

漫画家・栗原まもる先生と一緒に暮らしている二匹の猫さんたちを描いた猫マンガ(エッセイ)。

いや〜もちろん、猫たちのかわいいところとか、面白いエピソードとかがたっぷりつまった一冊なんですけど、ほかの漫画と違うところといえば飼い主の様子まで楽しめちゃう所ですかね!

ジムさん、リリーさんももちろんかわいいですよ。
しかし栗原先生の「おまえらかわいいっ!」っていうポイントが面白すぎる。
ジムさんとの出会い・そしてお迎えにいたったエピソードとか。
癒されポイント、ソコ!?……ってかんじになることまちがいなし。

私はもともと、普段はストーリーマンガを描いている人のエッセイマンガはコマ運びや構図がダイナミックで楽しいと思ってるのですが、「おまかわ」も例に漏れず猫エッセイとは思えないダイナミックさ。

2匹の猫がまるっきり違う個性なのも、2匹いるからこそ比較できて、くっきりわかって面白い。
病院へ連れて行くときに、ジムさんには苦労し、リリーさんは楽だという話なんか、実際に猫を飼っている人には「うちもそうなのよね〜」と共感できる、あるあるポイントなのでは?

へんな場所に入っちゃってる、外にはばたこうとする、大事なものをぶっこわす、一緒に寝てくれない、えさをねだるばかり……と猫と暮らしていると起こる困難もすべて「かわいさ」で吹っ飛ぶというところが猫のすごいところ……というか「かわいい!」で最終的には許しちゃう、飼い主の栗原先生の様子を遠巻きに眺めたい。そして眺められるのがこのマンガ、ということでw
「猫として間違ってるリリー 可愛いリリー」……親バカ!!眺めたい!

ジムさんはスコティッシュフォールドだとおもわれるので、スコ飼ってる人にはしぐさや性格などをより楽しめるのでは。
実際、本を購入した人の感想で「表紙のスコちゃんが可愛くて買いました」って方もいらっしゃったし、猫を飼っていると同じ種類の猫だというだけで親近感がわくんでしょうね。リリーさんはなんて種類の猫さんだろう?
【追記】リリーさんはブリティッシュショートヘアーという種類とのこと、調べてみたらこれまた可愛い写真がいっぱい……結局わたしも猫好きなのかw

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電子版もあります。
内容は同じとのことです。

おまかわ -お前らの可愛いところなんていくらでも- 2匹との出逢い編 (マーガレットコミックスDIGITAL)
おまかわ -お前らの可愛いところなんていくらでも- 2匹との出逢い編 (マーガレットコミックスDIGITAL)

おまかわ -お前らの可愛いところなんていくらでも- 可愛いは正義編 (マーガレットコミックスDIGITAL)
おまかわ -お前らの可愛いところなんていくらでも- 可愛いは正義編 (マーガレットコミックスDIGITAL)
posted by 藤村阿智 at 12:51| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月26日

発達障害の人のことを描いた漫画(最近読んだものから)

発達障害のことが話題になっている。

私も日ごろから、発達障害のことをもっと知りたくて、そしてたくさんの人が知ったらいいと思っている。

最近読んだ本の中から、発達障害や「生きにくさ」を感じている人が出てくる漫画をご紹介。

ニトロちゃん: みんなと違う、発達障害の私 (知恵の森文庫)
ニトロちゃん: みんなと違う、発達障害の私 (知恵の森文庫)

作者を投影したキャラクター、ニトロちゃんは発達障害らしく、人と違ってて生きづらい毎日を送っている。
普通と違う反応のせいで、友達をびっくりさせたり、親を困らせたり、先生に嫌われてしまったり。

エッセイ形式というよりは、「ニトロちゃん」を客観的に見守りながら、起こった出来事を綴ったり、ニトロちゃんがそのときどういう気持ちだったのかを描いていく。
だからこそ、押し付けにならず、読んだ人はニトロちゃんのことを考えられるようになっていると思う。
人と違うことを打ち明けることは、甘えているわけではないことがわかる。

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母親やめてもいいですか
母親やめてもいいですか

待ち望んで妊娠→出産した愛する子どもの様子がちょっと変わっているので調べてみると、
発達障害だと判明して、発達障害と闘おうと情報をあさり、戦い、疲れ、母親をやめてしまった人のエッセイ。
発達障害の子どもとどう向き合うか、そして自分がどうなってしまったのかが赤裸々に綴られている。

最後の最後で描かれている「広汎性発達障害がなくなるようにと願って、それが娘への愛だと信じていたけど、見知らぬ子が娘の身体を引き継いで、娘の魂は天に召されるとしたら……いやだ!」ということにたどり着くまで、苦労も悲しみも、取り戻せない結果もたくさんありすぎて、読者として私の胸につらい気持ちが残る。

ちょうど一年ぐらい前に書いた感想もあります。
http://honyonda.seesaa.net/article/398261436.html

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プロチチ(1) (イブニングKC)
プロチチ(1) (イブニングKC)

人とのコミュニケーションが上手に出来ず、会社を辞めてしまった直(ナオ)は、産休が明ける妻と入れ替わりで主夫&育児をすることに。育児初日でテンパりつつも、自分がいろんなことをうまく出来ないのはアスペルガー・高機能自閉症・発達障害といわれる特徴のせいだと思いあたる……ところからはじまる、「プロチチ」として育児をやりながら直が生きる力を獲得していく物語。

妻の花歩とも、幼い息子の太郎や周りの人間とぶつかることもあるけれど、自分を自覚してからの直はめげない。周りも少しずつ理解して協力してくれる。
いごこちのいい職場も見つけ、自分のできること・得意なことを少しずつ活用できるようになって行く……

読者に伝えるちからは、さすがベテラン漫画家:逢坂みえこ先生のすごいところ。
1巻の感想はこちらにも。
http://honyonda.seesaa.net/article/413544775.html
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発達障害は、本人も周りの人も、どちらも「発達障害とはどういうものなのか」を少し勉強するだけで、格段に生きやすい環境になるんじゃないか。ある程度のパターンというかメカニズムが共通しているのだから、自分がなぜイライラしてしまうのか、なぜ相手に伝わらないのか、それを知るだけで今後変えていくことが出来る。
だからこそ、いろんな漫画・書籍・ネットの記事などで、伝え方や考え方を知ることはいいことだと思う。
発達障害ではない人に対してだって、誤解のないように伝えたり、敏感に空気を読める人でないと対処できないようなことを減らしたりできると思うんだよな。いろんな人とのかかわり方を知ることで、普段の人間関係がもっと円滑になっていくと思う。

posted by 藤村阿智 at 14:02| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月25日

岡崎に捧ぐ1巻(山本さほ)

岡崎に捧ぐ 1 (コミックス単行本)
岡崎に捧ぐ 1 (コミックス単行本)

岡崎に捧ぐ|山本さほ|note
https://note.mu/sahoobb/m/m6d7f0f032e74

上記のnoteで1話や最新話など数話が読める。

発売前日に初めて読んだ1話、2話の岡崎さんエピソードにすっかりやられて、即単行本1巻を購入ですよ!

結果としては、1話と2話の雰囲気と、それ以降の雰囲気はだいぶ(印象と)違ったんだけど、全編楽しめました。私としては作者の山本さんみたいに子ども時代をすごせてたらよかったなあと……
内容は山本さんの小学生の頃の思い出エッセイです。
べったりくっついてた友人の岡崎さんとの思い出がたくさん。

どのエピソードが面白かったかってあげるの難しいなあ。こまごまと、面白いところがたくさんあったからなあ。
一番最後の、ちょっと遠くまで冒険する話がよかったかな。
山本さんの子ども時代の懐かしい文化もいいんだけど、ちょっと私と時代がずれてるせいか、文化が関係ない話のほうが心に残る感じ。
しかし私が同じクラスにいたら、多分変人枠で変な同級生ネタとしてキャラにされるほうだな……


文具好きの私としては「文房具という免罪符でおもちゃ(的な文房具)を学校に持ち込む」って所とかぐっときました。(笑)
あとはかみつきばあちゃん? あれは売り物ではなくて景品だったと思うけど……でもそういうエピソード出てくると「オッ」て思う。

2巻以降も楽しみ。
posted by 藤村阿智 at 14:04| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月03日

深海生物大事典

深海生物大事典
深海生物大事典

図鑑、データ関連の本を読むの大好きです。このブログでもいくつか紹介しています。

粘菌―驚くべき生命力の謎: ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/401597222.html

見つけよう信州の昆虫たち(信濃毎日新聞社): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/133028110.html

日本の毒きのこ (きのこ図鑑): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/130046933.html

いろいろたまご図鑑: ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/17753210.html


などなど。

深海生物の本も、今までにもいろいろ出てはいるのですが、やはりまだ研究が進んでない分野と言うこともあって写真が不鮮明だったりしたのですが、この本は断然きれいな写真がふんだんに使われてて、みているだけでも相当たのしい。

写真につけられた文章も興味深いものばかり。普段見慣れている生物とかけ離れた生態や、エピソードなど。

やっぱりまだ未知の部分も多くて、何を食べて生きているのかわからなかったりもしますが、
どのくらいの深さに住んでいるか・大きさはどれぐらいかがわかるだけでも充分想像を働かせられる。

見開きで1種を紹介するのが基本。
本の大きさも大きくて、厚みがあって重いので、私が図鑑でよくやる「寝る前の読書」にはちょっと向いてない。ハードカバーだったらうれしかったけど、それは私の個人的な事情と好みです(笑)


深海生物に興味があるけどまだ何の本も持ってないのよね〜という人にはとくにオススメの本です!
posted by 藤村阿智 at 01:14| 図鑑・データ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月21日

Spotted Flower 1巻(木尾士目)

Spotted Flower 1
Spotted Flower 1

「げんしけん」シリーズの作者、木尾士目先生が「楽園」で連載している漫画。
連載自体も知らなかったけど、コミックスの発売も知らなかったから情報ゲットしてさっそく購入。

帯に「そんな未来」って書いてある。
内容のほうでも、はっきりと名言はしていないけど、この二人はげんしけんの「あのひととあのひと」に見える。

作品の中ではこの「新婚夫婦」の名前は明かされない。
妻のほうは妊娠しているようだ。
夫は重度のオタクのようだ。
妻はオタクじゃないようだ……でも理解はありそうだ。

と、いうわけで、「げんしけん」を読んでる人には「公式パラレル同人誌」のように楽しめるのがこの本。

新婚でラブラブで妻がえっちすぎるだろ(笑)
……好物です

妻の友人のあの人(と思われる巨乳お母さん)がどうどうと、どばーんと、見せてくれるところも見所です。
個人的にはおばあちゃんに名づけを頼みに行く回がお気に入り(笑)
posted by 藤村阿智 at 13:25| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月20日

誰が彼らを止められるのか ルポ・累犯障害者たち (朝日新聞デジタルSELECT)

ここ数年気になってるテーマ。

誰が彼らを止められるのか ルポ・累犯障害者たち (朝日新聞デジタルSELECT)



知的障害などのために、わるいことだとわかっていても罪を犯してしまう。
逮捕・裁判・拘留されても、釈放されればまた繰り返してしまう。
そういう人がまちがいなく存在していて、今の世の中だと「悪いことをするまでは手を差し伸べられない」
「罪をある程度の拘留でつぐなったことになれば、それ以降の福祉はすくない」ということがほとんど。

この電子書籍では、2件の実例をもとに、なぜその人は逮捕されたのか、なぜ繰り返すのか、警察・司法や福祉はどういう対応をしているのかを紹介している。

実際の事件と、裁判と、逮捕された人物の置かれている状況がそのまま書かれているので読んでて実感がわきやすい。200円程度の電子書籍だけに、短くて少し物足りない。もっといろんな事例を見たいようなきもするけど、結局いまの問題や現場で起こっていることはバリエーションなどないんじゃないかとも思う。
テキストの分量としては特集記事ぐらいかな。


でも、身近に迷惑行為を繰り返す人がいたりしない人にこそ、こういう話題に触れて欲しいと思う。
想像だけでは追いつかないと思う。文庫「累犯障害者」を読んだときのショックはなかなか大きかった。
人より、書かれてる内容について想像したことがあるほうだと思ってたけど、全然足りていなかったことを知った。もちろん障害がある人の中でも、誰にも迷惑をかけない、自分のことは自分でできる、ひっそりと生きてる人も、または活躍している人もいるだろう。
しかしこの本を読んだ後は、気軽に「親のしつけが」とか「周りは何をやってるんだ」「迷惑行為をしないのは社会人の最低必要条件」みたいなことはいえなくなる。
私たちには普段、結果としての悪いことなどが見えるばかりで、そうならないように工夫や努力をしていた福祉や家族の行動は見えてこないのだから……あとは事例を知って、理解と想像を深めないと、と感じている。



「累犯障害者」の感想はこちら。
posted by 藤村阿智 at 15:58| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月16日

進撃の巨人16巻(諌山創) 感想

【注意:多少ネタバレあり!】

進撃の巨人(16) (講談社コミックス)
進撃の巨人(16) (講談社コミックス)

15巻に続いて、なぞが明かされていく展開ですね!
「巨人のちから」について・グリシャ父さんがあのとき何をしたのかについて・レイス家について・謎の黒髪の女性について、などなど……

それにしてもヒストリアとエレンはつらい立場ですね。エレンの絶望っぷりってば。ヒストリアのたくましさが余計に浮き彫りになるんだけど、エレンはいつも周りの女性の強さ・美しさを引き立ててばかりだな!
でもそれぞれの女性に、以前に「エレンに救われた記憶」みたいなのが残ってるから、一見ヘタレでも愛すべき存在のエレン。こういうところうまいなあと思う。
ジャンの「てめぇ一回だって自分の力一つで何とかできたことあったかよ?」って突込みが厳しいw
posted by 藤村阿智 at 18:27| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月07日

ヤマノススメの山のススメ

ヤマノススメの山のススメ (NEKO MOOK)
ヤマノススメの山のススメ (NEKO MOOK)

アニメ「ヤマノススメ」をセカンドシーズンまで観たので購入。
ヤマノススメで登った山やキャラクターの紹介はもちろん、これから山に登る人向けの初心者用読本としても楽しいと思う。

とくにヤマノススメをみるまで山に登ったことがなくて、かわいい女の子が出てくるからアニメを見てたけど、山に登ってみたいな〜とちょっと思った人……には実用性もあるのでは?
私自身は山育ちで、結構高い山にも登山したことがあるけど、子どもの頃の話だから、いま再び登ろうと思うとちょっとハードル高いなあ〜って思ってるので、こういう感じで必要なものや上りやすい山が紹介されてるのはうれしい。
アニメ自体も、まるっきり登山初心者の少女・あおいちゃんが、経験者の友達に引っ張られるように山を楽しんでいくって言うストーリーだったから、まさにそんな感じの雰囲気のムック。

アニメファン向けにも、舞台になった飯能の実在する場所や、声優さんへのインタビュー、キャラクターの話、ポスター、原作者インタビューなど盛りだくさんだから、別に山に登る気はないけど〜って人に向けたファンブックとしてもなかなかボリュームのある読み物だと思いました。
posted by 藤村阿智 at 12:01| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月06日

かくかくしかじか 5巻(東村アキコ)感想【完結】


5巻で完結。

発売の前の日あたりに、「マンガ大賞2015」も受賞した話題作。

かくかくしかじか 5 (愛蔵版コミックス)
かくかくしかじか 5 (愛蔵版コミックス)

私もこのシリーズを好きで読んでいて、きちんと完結して、「アキコ」のこれまでと今が、飾りすぎることもなく書かれていたと思う。
先生の最後の言葉のくだりは泣いた。

まじめに描かれているエッセイだと思うし、思い出せないところを「思い出せない」と綴る正直さもいいと思った。
数ある「漫画家によるエッセイマンガ」の中でもいいマンガだと思う。

ただ、これで大賞を取っちゃってよかったのか?
東村さんはフィクションのマンガも描いているわけだから、エッセイという本当にあったことだからこその「話のちから」に負けないフィクションのマンガでまた大賞を狙って欲しい。

5巻は東京の風景が書かれてるコマにあまり意味を感じられなくてテンポがちょっと悪くなってるところが多くて残念だったかな。

コレまでの巻の感想も以下に書きました。

かくかくしかじか1巻(東村アキコ): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/360562367.html

かくかくしかじか(東村アキコ) 4巻: ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/403606810.html
posted by 藤村阿智 at 19:16| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月27日

祝福の歌姫(桑田乃梨子)

祝福の歌姫 (バーズコミックス スピカコレクション)
祝福の歌姫 (バーズコミックス スピカコレクション)

桑田乃梨子先生の、2014年に出た単行本。

ファンタジーです。
「オッスわたし魔女 たいていのことは歌でなんとかできます」
……と始まるとおり、歌を歌うことでさまざまな能力を発揮できる魔女の物語。

主人公の歌姫(後に名前はハニィと判明)は歌でいろんなことをなんとかできる系魔女の中でも魔力の強いほうだが、とにかく自他ともに認める音痴。

ただひとり、彼女の歌声を美しいといってくれるのはこの国の王子だけ!
ということで、めでたく王子に仕えて国を守る歌姫の座に収まるのでした(将来安泰)。
でもそれはゴールじゃなくて、物語冒頭の話。

音痴だからと一人ぼっちにされても
隣国の強い魔女(ライバル?)が現れても
歌姫を快く思わない王子の家臣がいても

これは桑田まんがなんだから、たいして大事にもならず淡々と世界はそこにあるのです。
1巻で終わっちゃってさびしい。
ラベル:桑田乃梨子
posted by 藤村阿智 at 20:24| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月24日

【2015の記録】青空文庫で小説を100本読みたい【感想】

2015年の目標として、
青空文庫を100本読む」と言うのを掲げました。
毎年本に関しては「300冊読む」とか言っていて、300冊ぐらい読んでるんですけど、
青空文庫は短編もあったりと「○冊」に含めるのが難しい。
だから、今までも読んでるんですけど、ノーカウントだったのです。読書量に入れてなかった。

ということで、今年は再読含めて、青空文庫で小説を100本ぐらい読みたいと。
カウントすれば読む気も出てきそうだし。あらすじや感想は書いたり書かなかったり……ムリのないメモにしたい。


【1】株式仲介店店員(コナン・ドイル)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000009/card43497.html
赤髪連盟(赤髪同盟、赤毛連盟など)と似た話で、私の好きな「楽で儲かるけど意味のわからない仕事をさせられる」話。好きなんですよね……実生活でも、「なんだこの仕事は」って思ったときに「ホームズのアレみたい」って」つぶやいてます。

【2】藪の中(芥川龍之介)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card179.html
とある事件についていろんな人の証言を聞く。そこから見えてくる事件の本質とは。

【3】あばばばば(芥川龍之介)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card14.html
いつも買いものに行く店には無愛想なオヤジしか居なかったのに、いつのまにか女性の売り子が。別に好きでも何でもないしドジだからからかってやってただけなのに、ある日を境に姿を見なくなってしまって……

【4】走れメロス(太宰治)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/card1567.html
有名な話。中学生の頃にももちろん読んだし(私が書いたパロディ小説が学級新聞に載ったよ)
あらすじは知ってたけど、改めて読むと……細かいところに突っ込みを入れてしまう。
暴君である王様が最後に友情に感心してたけど、最初に親族など近い人間を含む大量の人間を処刑してるからね、この王様は。あとメロスも、余裕だと思ってゆっくりしてたら橋が流されてて濁流に飛び込むとか、犬を蹴っ飛ばすとか、もういろいろダメそうな感じ。

【5】予の描かんと欲する作品(夏目漱石)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/card2678.html
これはいいですね。小説書いてる人とかは一回読んで見るといいと思います、短い話だし。

【6】山地の稜(宮沢賢治)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card4469.html
これの前に読んでた文章が全然頭に入ってこなくて困っちゃったので、違うのを読もうと思ってたまたまクリックしたのがこの山地の稜。
余計に混乱したというか、さっぱり文章として理解できず、文字の羅列にしか思えなくて、余計に混乱。とうとう文章が読めなくなったのかと心配になったけど、人に読んでみてもらったら「わかんなくても普通だと思う」と言われたのでよかった……(笑)
宮沢賢治らしい雰囲気と空気はあるんだけど、まあ、残念ながらわかんないです……私、宮沢賢治合わないのかもな。

【7】階段(海野十三)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000160/card1224.html
面白かった。まじめな研究員である主人公が、他の調査の手伝いで信濃町の駅を利用する人間の数を数える。女性が苦手なのに、女性を数える担当になり、階段の端からなんとか足だけ見てやり過ごそうとするが、美しい脚に心を奪われてしまって……
とにかく脚の描写!しつこいぐらい、変態的に脚の美しさが語られる。足フェチの話で終わるかと思えば、これまた特徴的な螺旋階段のある図書室で殺人事件が起こる。主人公は自分への疑いを晴らそうと推理を始める。そしてその先に見つけた、自分に取り付いていたものとは?
そんなに長くないのに、ぎゅっと詰まって急展開する内容で面白い!オススメ

【8】日本山岳景の特色(小島 烏水 )
http://www.aozora.gr.jp/cards/000027/card644.html
登山家の一面もある小島氏(いろんなことをされてる人らしく……)による、日本の山岳風景についての話。
海外の名峰との比較もある。
山頂へ登山するというよりは、遠くから眺めたときの山のすばらしさが中心かな?
「山岳風景」だもんね。富士山の裾野の広がりのよさとか、火山があることによる山そのもののカタチのよさや湖など環境のよさも。山が風景にある土地で育った私には、山を誉める話は読んでてうれしいもの。
句読点の使い方が独特で(ひとつの文章が長い……)読みすすめるのに時間がかかってしまった。

【9】(梶井基次郎)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/card423.html
梶井基次郎、といったら「檸檬」が浮かんでくるのですが、檸檬を読もうと思って作品一覧を眺めていたら出てきたのがこの作品。ちょっとキヤク的にNGなタイトルかもしれないのでタイトルは書かない。
リンク先では別に、普通に見られます。普通の単語ですがアカウントが停止になるといううわさでして(笑)
猫が深夜に抱き合って、何をするでもなく抱擁しているのを眺める話と、河鹿がまさに生命のいとなみを行うのをみて命の輝きを感じるという話。短いけどどちらもなかなかよかった。オススメです

【10】醜い家鴨の子(アンデルセン ハンス・クリスチャン )
http://www.aozora.gr.jp/cards/000019/card42386.html
みにくいアヒルの子、もちろん昔からストーリーは知ってますが、どういう風にかかれたお話なのかは知らなかった。なので読んでみた。
まあ、流れは記憶のとおりで、特に「ええええ本当はこんなふうなんだ?」って驚くこともなく、
アヒルの子どもたちの中にすごく醜いヒナが混ざってた。
醜さのあまりみんなにいじめられる。
本当は白鳥だった。
ってハナシなんですが、容赦ないですね……結局見た目なんですね重要なのは。
醜いアヒルだったときの、自己嫌悪とか、諦観とか、周りのいじめっぷりは本当にひどいね。
いじめられる理由が「醜い」だからね。本人も醜いから仕方ないな〜って感じで。
白鳥に憧れてたけど、冬を越してみたら自分も白鳥だった上に、白鳥の中でも美しいほうだったので
白鳥にも人間にもモテるようになった。幸せ。って事なんだもん……

【11】赤いくつ(アンデルセン ハンス・クリスチャン )
http://www.aozora.gr.jp/cards/000019/card42378.html
歌の赤いくつとなんか関係があるかと思ってましたが違う話でした。
少女は貧しかったけど赤いくつをもらう。そのおかげでいいことがあるが、
安っぽいくつだということで捨てられてしまう。
赤いくつに魅せられた少女は次も赤いくつを履くが、呪われていて、履かずにおれないし履くと踊ってしまうし脱げないし……
赤いくつを履いて踊ってたせいで生活もままならないし、恩人の死に目にも会えなくて、ほとほとイヤになって首を切る職業の人に頼んで足ごと赤いくつを切り離してもらって一件落着……?
足のないまま家政婦として働き出して、懸命に働いて周りにも慕われるようになった少女(だった女性)は、ようやく寺(教会かな?)に立ち入ることができ、天使につれられて天へ召されるのでした……
って、怖いよ〜。少女になんの落ち度もないところが怖い。そういう、童話にありがちな「○○のバツで、悲しい目にあったのです」って話じゃないんだよね。でもこっちのほうがいいかな。どんな人にも悲しいことは降りかかるし、けして本人が悪いばかりじゃないんだというお話。オススメ

【12】ニャルラトホテプ(ラヴクラフト ハワード・フィリップス)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001699/card56839.html
初めてのラヴクラフト。「ラヴクラフトとか好きそう」といわれながら読んだことがなかった。
というか名前すら知らなかったんだけど、いま興味がある。本を買ってみよう。と思いながら検索したら、
青空文庫でこちらだけ読めた。とっても短いのですぐに読めちゃう。
いいですね、ほかのも買って読んでみよう。

ラベル:青空文庫 小説
posted by 藤村阿智 at 17:22| 小説・エッセイなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月16日

くちびるに歌を 小説、映画、コミック全三巻(原作:中田永一 マンガ:モリタイシ)の紹介と感想

【2015年3月16日映画の感想に追記しました(2度目鑑賞)】
【2015年3月6日映画の感想に追記しました】
【2015年1月29日映画の感想を追記ました!】
【2014年12月25日原作の感想、映画のことを追記しました!】
【2014年10月18日三巻の感想を追記しました!】

モリタイシ先生の単行本は全部持っている私。
新作も毎回楽しみにしてる。

でも「くちびるに歌を」を買ってなかった。なぜなら原作付き作品だから。
なんとなく、原作があるならそれはモリ先生のいつものマンガと違うんじゃないか?
と、小説もマンガも原作主義の私は思ってしまって、敬遠していたのだ。

「くちびるに歌を」2巻が発売されてから、毎日のようにtwitterでつぶやかれる感想ツイートを
モリ先生自らがリツイートしていて、それを読んでいるうちに
「私の心配は杞憂なんじゃないか?」という判断に。さっそく購入。
一時は品切れになってて、ちょっと手に入れるまで時間がかかってしまった。
以下感想。ネタバレありだからまだ読んでない人はマンガを先に読んでね! 面白いよ!

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くちびるに歌を 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
くちびるに歌を 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

長崎の島が舞台。方言女子かわいい。
美人の柏木先生が、産休の先生の代わりに学校にやってきて、合唱部の顧問に。
女子しかいなかった合唱部には、先生目当ての男子がたくさん入部。
桑原サトルくんはその生い立ちから教室では透明を決め込んでたし、中三にして人生をあきらめているようだったけど、
ひょんなことから合唱部に入ることになって、そこから彼の生活は姿を変えていく。

モリ先生はモテそうなイメージなんですが、なぜかこういう「もてない、根暗、引っ込み思案」な少年キャラを描くとその描写はピカイチですね。
1巻はキャラそれぞれの立ち居地と相関図、それぞれの悩みや謎になっている部分の洗い出し。
物語は始まって、一気に厚みを増す。
いままでの作品と違って原作があるからか、1巻で見えてくる情報量の多さと、舞台設定の輪郭のはっきりする感じが新しい。

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くちびるに歌を 2 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
くちびるに歌を 2 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

2巻は物語に厚みを増すようなエピソードと、新しい関係が作り出した新しい悩みと、過去の出来事に決着をつけるための戦いの前夜。
↑上手に言えてないんだけど……

元からいた合唱部の女子と、不順な動機で入部した男子の対立。
美人の柏木先生は、対立すらも暖かく(?)見守っている様子。
それぞれの行動が、どういう考えから来るものなのかが丁寧に描かれている。
伏線が、この先、事件が起きることを予感させる。

メインの女の子たちが全員かわいいなあ。
柏木先生ももちろんいいし(巨乳美人なのにサバサバした姉御肌!)
部長のメガネもまじめさもキレっぷりも友達になりたい勢いだし
長谷川さんのある意味あぶなっかしいところも魅力的だし
ナズナちゃんのかませいぬっぷりもまた……

モリ先生は人の心の動きを描写するのが、本当にうまい漫画家さんなので、
こういう青春群像劇がすごくあってるんじゃないかと思う。
人の二面性とか、押し殺した本音とか、絵と構成で魅せてくるよね〜。

3巻で完結らしい。
2巻で起きたいろいろな事柄、心配事、きっちり3巻で読めると思うと楽しみ。

あと、おまけマンガも毎回楽しみ(笑)
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こちらが原作。マンガが完結したら読む!
くちびるに歌を (小学館文庫)
くちびるに歌を (小学館文庫)

【三巻発売で最後まで読んでの感想。ネタばれもあるので未読の方は注意】
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くちびるに歌を 3 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
くちびるに歌を 3 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

三巻読んだ。
三巻買ってから、感想書くまでに時間がかかったのは、「読むなら一気に読み返したいな……」と思ってたから。この内容で、三巻というボリュームはちょうどいい。一気に読めるし、できれば続けて読んだほうがいいと思うから。

三巻は最終巻だけど、物語の収束は見事だった。
束ねるというよりも開放という言葉のほうがあってるかもしれない。
登場人物たちがそれぞれ、生きてきた15年の日々、いままでにあったつらいことやうれしいこと、それらが複雑に絡み合って「今」になっているという「本当のところ」が描かれていたと思う。
「柏木先生の色気が目当てで入部した男子が合唱を本気でやるようになる」という小さな「きっかけからは変わった現在」をはじめとして、最初は確かに違う理由だったのかもしれない。でも今はそうじゃない、という希望がいくつもあった。

モリ先生の絵や構成も流石だった。もちろん大事なセリフで語られることもあるけど、表情ひとつでたくさんのことを伝えてくる。
いろんな人が感想で言っていたけど、最後の合唱で見せたサトルの歌う表情は輝いていた。
おとなしくて主張しないタイプだったサトルが、合唱コンクールやひみつの共有を経て、
特別な人に「優しくするのはあなたが特別だから」とちゃんと言えるところとかカッコイイ。
そのあとの、外で合唱を聞くアキオ兄さんの表情もいいなあ。アキオ兄さんのために、と始めた合唱のさなかに、ナズナちゃんが救われるのもすごい。


原作付でもそうじゃなくても、モリタイシ作品の登場人物は「この先も幸せになって欲しい」と思わせる存在感があると思う。

あとはもう、女の子がほんとにかわいい(笑)
さすがアイドル好きなモリ先生。女の子の魅力的な部分ってのを変態的野生の感覚で受信して出力できる稀有な存在だと思います!(誉めてます!)
とくに長谷川さんは好みにどんぴしゃなんだよ〜
モリ先生の描く黒髪黒めがち美少女たまんないよ〜

私もざくっと描いてみた、けど……やっぱ遠く及ばない
m_kotomi.jpg

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【12月25日追記】

原作小説も読んだ!

くちびるに歌を (小学館文庫)
くちびるに歌を (小学館文庫)

(ちょっと読んでから感想書くまで時間が空いちゃったので細かいところが原作・コミックごっちゃになってしまったのですが……)

各種レビューで読んだとおり、コミック版は原作にかなり忠実だったんだな〜と思います。
コミックのオマケ漫画でも、モリ先生が原作を読み込んでから書いたこと、原作の中田先生には「好きに描いてください」と言ってもらってたこと、コミック化にあたって変えたこと……など書かれていましたが、大筋は原作のままでした。

原作と比べてコミックの「漫画だからこそ」の表現は、やっぱりサトルが合唱コンクールで歌ったときの表情だな。小説でも映画でもだせない(漫画ならではの)魅力だと思う。


さて、そんな「くちびるに歌を」が映画化。2015年には公開されます。
http://kuchibiru.jp/
予告編が発表されてすぐに動画を観たんだけど、うーん、ちょっと不安かな?
もう一回見返してみようかと思ったら今はロングバージョンになってますね。(公式サイトで見られる予告編)
最初の予告編は、最後に「この春、一番泣ける」と言ってたと思うんですけど、「泣ける推し」はいやだなあと……
今の予告編は「この感動は生涯忘れない」になってますね。これもちょっとなあ。

新垣さんの演じる柏木先生がなんかふてくされた感じでいやだなと思ってたんだけど、
やっぱり柏木先生が主人公のようなもので、さらにちょっと不幸が増えてそれを感動につなげようとしてるのかな?っていうシーンがチラチラ……
原作も、コミックも、サトルとナズナが中心の群像劇みたいになってるところが、明るさと、少年少女ならではの不安定さとめまぐるしさがあってよかったと思ってるので、柏木先生中心になったところですでに別物なのかもしれないですね。
ナズナが書いてサトルが手を加えた、柏木先生のオリジナル曲は原作にも歌詞が出てこないけどどうするんだろう?と思ったけど、そこははしょられるのかな?
うーん。原作そのまんまの、サバサバした都会帰りの女であっけらかんと明るくて友人の心配しかしてない柏木先生が映像化されたらすごく見たいんだけどな。(笑)実際はどうだろうな?

予告編はこちら。


このブログサービスの、seesaaがやってる懸賞の映画試写会プレゼントに応募します。当選したらいいな〜。

映画『くちびるに歌を』一般試写会プレゼント: 懸賞 - Seesaa プレゼント
http://present.seesaa.net/article/410924606.html

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「くちびるに歌を」映画の試写会見てきました。感想書きます。

結果、映画は映画で完成していてすごくよかった。

まず、原作からの変更点はかなり多い。
原作ではあくまで脇役だった柏木先生が主人公になっているのが一番大きい。
ポスター、チラシのイメージには柏木先生のアップの横に
「大っ嫌いだったあなたたちがおしえてくれたこと」とコピーが書いてあって、まさに映画の内容もそんな感じ。

原作から変更されてる映画でいい思いしたことがほとんどないから、すごく警戒していた。別物で、原作とコミックを見て「いいな」って思った人は嫌な気持ちになるんじゃないかと。

でも実際に映画を見たら「こんなに大胆に変更・再構築して、いい感じになっている実写化はめずらしいな」って思った。

原作、コミックで読んでる人にはネタバレも何もないし、
もともとミステリーとかじゃない内容なので、あらすじがわかったからと言って面白みが減るわけではないと思うけど、なんの予備知識も要らない人はこの先読まないでおいてね。

【映画の感想】

・原作はサトル、ナズナという二人の15歳の目線で交互に綴ることで、同じ学校、合唱部の内部や舞台とそれぞれの悩みや葛藤を見せていく手法だった。
 映画では柏木先生目線でつむがれていく。並行・交差していたサトル、ナズナの間に柏木先生がいて、二人の悩みや葛藤を受け取って、自分の「今」とくっつけていく感じ。
 だから柏木先生は、悩める15歳を見守る役でなく、子どもたちの中心で自分も悩み葛藤する大人の役割をしている。
 原作ではあくまで子どもたちは自分で「15歳」から前進していく感じだったけど、映画は柏木先生と絡むことで自分を見つめたりちからを与え合ったりしている様子。

・原作ではたぶん、一番サトルの立場がつらかったんだけど、映画ではそんな感じはない。相対的にナズナと柏木先生の悩みが重くなってる。

・ナズナの父さんが原作とかなり違う人物になってて、これは救われないな……ナズナには忘れて強く生きて欲しい

・中学生少年少女の恋愛はバッサリカットされている。でも、大人の恋が変わりに入ってるわけではないところは好感! この映画は恋愛モノではない。
 原作を読んでいれば、登場人物の動きに「あっ、やっぱちょっと好きなのかな?」って感じはあるけど、知らなければ気がつかないぐらい。

・つまり、辻エリは影が薄い(映画版の部長はナズナ)。長谷川コトミちゃんも、バッサリカット。
 コミックでオッパイ星人になった関谷は映画版では女の子に……めがねでかわいい女の子に……

・アキオとナズナのつながりエピソードとか、形を変えても重要なところはきっちり残ってる。これはすごい。
 伏線もちゃんと張って回収している。
 アキオの描写もよかったとおもう。長所の表現もさりげなかったし、ラストにうまくつながってた。
 エピソードはよかったけど、アキオの設定とか雰囲気はコミックのほうが大げさじゃなくてよかったかな……
 どちらもあるだろうから、より強調したのかもしれないけど。

・なにより一番は風景がキレイ〜。これは小説、漫画とはまたちがった映画ならではの魅力。
 音もね。曲を「手紙」に絞って、うまくテーマにしてたと思う。
 もう一曲のキーワード曲「マイバラード」も合唱曲の定番ですね。これも合唱というテーマに沿った
 すごくいい歌だし、多くの人が聞いたことのあるいい歌だと思う。
マイバラード 中五島中学合唱部による女声二部合唱


・一番私が見てて「すごいな」とおもったのは、桑原サトルの存在。原作もコミックもすごかったけど、映画でもすごい存在感と演技力。イメージする桑原サトルそのまんまが実写に。
 下田翔大くんか……まだ12歳?すごすぎる。覚えておこう。

・一番残念だったのは、「15の僕からの手紙」の扱い。
 原作・コミックでは、みんなそれぞれ書いていて、誰が書いたかほとんど明かされないけど
 読者にはそっとわかる仕組みになってる。その内容で書いた子の悩みがわかったり、
 向井ケイスケの「手紙」なんか、まんまと騙されたし、コトミちゃんとサトルのひみつの共有にもつながったよね。
 でも、映画版では手紙はサトル以外書いてないことになってて、残念。
 しかもその手紙が先生に提出されている(いたよね?)のはもっと残念。
 そんな軽く、誰かに伝えられる悩みじゃないはずなのにね。
 (2回目観た)渡したわけじゃなくて、偶然ノートに挟まってたのを見つけたみたいだけど、
 そのノートがなんで柏木先生のところにあるかわかりにくかった。
 たまたま提出ノートにはさんでいたってこと? うーん?

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総合的には映画「くちびるに歌を」よかった。試写会の帰りも、周りの人の感想はみんな「よかった」というもの。
だからこそ宣伝で「泣ける!」を前面に出しすぎないでほしいかな。
この少年少女たちと先生が「いまを見つめて前進する」所を観にいって欲しい。

私としては、モリタイシ先生の漫画版「くちびるに歌を」がなかったら、この映画も見に行っていないので、ぜひ映画と一緒に原作・コミックス版も楽しんで欲しいな。映画より先に読んでおいても問題ないと思います。

  

原作は文庫の新装が2月に出るらしい。

posted by 藤村阿智 at 14:51| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月09日

聖☆おにいさん11巻(中村光)

聖☆おにいさん(11) (モーニング KC)
聖☆おにいさん(11) (モーニング KC)

11巻。

10巻の発売から1年近く間があいてたのですが、たまたま最近読み返したばかりだったんですよ。
発売は読み返した直後ぐらいに知って「ちょうどよかった」って感じで。

まとめて読むほうが楽しいと思います。
前回だったかもっと前の巻だったか、久しぶりに新刊で読んだら、
細かいキャラクターを忘れちゃってて? キャラクターたちが内輪だけで楽しんでるように感じちゃって、
読者としてさびしい気持ちになったから……

続けて読むとキャラクターが把握できてて楽しいです。
久しぶりに読むときはざっと読み返したほうがよさそう。

スタバやきのこの山やらイングレスやら、最近の流行や実際にあるものをどんどん取り入れてきますね……
本来ならそういう俗っぽいものにかかわりのないハズの聖人たちが流行モノに振り回されてる感じがたのしいところでもあるんですが、イングレスやってないからいまいち乗れなかったかな?

不思議だな〜と思うのは、「それ知らないんですけど……」っていうネタでも、面白い漫画と面白くない漫画の違いはなんだろうって事。
「なんかよくわかんないけどマニアックなこと言ってるんでしょww」って笑えるギャグの漫画もあるけど、
「えーっとごめんよくわかんないや?」ってしらけてしまうギャグもあると思う……
聖☆おにいさんは結構、後者の「ごめんよくわかんない」になっちゃうことが多いかも。

個人的に前者の「なんかよくわかんないけど笑えるww」は久米田康治先生の漫画のギャグで多くて、すごいな〜って思う。藤子・F・不二雄先生の漫画でも「わからないけど笑える」に支えられて、子どもでも楽しめて大人になってから「あれか」って二度楽しめたんだよなあ。

イングレスも、周りにやってる人が多いからわかる部分もあるんだけど、
やってる人たちをはたから見てて「輪に入れない……」ってのと同じ疎外感が……
ブッダという、同じくやってない人もその場にいるのに、うまく読者である私とつながらないというか。


11巻で好きなのは自撮りの話と、即身仏の話です!
posted by 藤村阿智 at 18:23| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月20日

3月のライオン10巻(羽海野チカ)

3月のライオン 10 (ジェッツコミックス)
3月のライオン 10 (ジェッツコミックス)

ようやく購入できて、読みました。
いいですね〜10巻。
9巻から間が開いちゃって、読み返さないと前の巻がどういう風に終わったか忘れちゃったな……と思うのですが
10巻もあるとなかなか読み返すのにも時間がかかりそうで、とりあえず10巻だけ読んでみました。
そうだそうだ、ひなちゃんがいじめられたりしてつらい展開があったんだわ。

ひなちゃんもめでたく高校入学。零くんと同じ高校に無事入学できたようでよかった。
学校にいるひなちゃんを眺める零くんはなんだかいい感じですね。学校に新しい、そしてすばらしい楽しみができたわけじゃないですか〜。

零くんが昔すんでた家へ訪問するハナシも、後半のあかりさんひなちゃんモモちゃんの父親が訪ねてくるハナシもきついですね。
羽海野センセの物語はこういうのがあるから……いや好きですけどね
そこ一部分だけ見たら救いがない。でも、自分がかかわるものはそれだけじゃない、手に入れてるものもなくしてるものもひとつだけじゃない。そういう支えが描かれてるからいいよね。

三姉妹の父親のはなしは、「ひどい父親だけどやっぱり父親だから……」って展開になるのかなと心配したけど、間違いなく予想通りに根っから嫌えそうなタイプで逆に安心した。
「この展開だと零くん、父親はああ言ってくるだろうけどどうするのかな?」って思いながら読んでたらやっぱり父親から突込みが入って、んで言い切ったね! かっこいい。
将棋の面でも零くんは超人だから、空気なんか読まずに戦局だけを読んでいるよ。もう着々と、それこそ1巻からこの盤にコマを並べ続けていたんだし、父親なんか身一つで飛び込んできた王将のようなもので弱いもんですよ……

「三月のライオン」に出てくる大人は一人ひとりが偏っててなかなかいいオトナがいないわけだけど、
そんな中では先生が好きかな。
「風と木の詩」でもパスカルが好きな私が好きそうなキャラでしょ(笑)
「残酷な神が支配する」だとリンドン。
「ハチミツとクローバー」の花本先生も近いんだけど、あの人は自分も渦の中にいて、冷静と距離を自分で意識して作ってる人だからちょっと違うよな。

続きが気になる終わり方だったので11巻が出るのも楽しみです。
posted by 藤村阿智 at 12:07| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月05日

プロチチ(逢坂みえこ)

プロチチ(1) (イブニングKC)
プロチチ(1) (イブニングKC)

1巻をようやく読みました。
逢坂みえこさんといえば、「永遠の野原」文庫版の感想をこのブログに書いたのももう9年前ですか。

永遠の野原(逢坂みえこ): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/22533510.html

「プロチチ」はそのタイトルのとおり、育児するお父さん……つまりプロのお父さん!
この主人公がプロのお父さんというわけではなくて、お父さんというのは皆プロのお父さんだということなのですよ。そしてそうなりたいと思うお父さんの物語。

主人公、徳田直には妻・花歩との間に息子がいる。花歩は育休を終え、仕事へ復帰する。
直は息子を育てる。家事を中心にやる専業主夫になる。……会社をやめていまは無職だから。

これは育児に奮闘するパパの話なんだけど、パパ自体に少し変わったところがある。
こまかいところへのこだわり、コミュニケーションのとりづらさ、婉曲表現の不理解、
……これは発達障害のようである、と自分で気づく。

気づいてからはその特徴を把握して、花歩も「ちょっとズレてるダンナ」から意識をちょっと変えて、
伝わる接し方や行動の理解につなげていく。
発達障害・自閉傾向ならではのこだわりが、育児の細かい内容を紹介するのにも役立っているし、
どの辺りがやりすぎになってしまうのかなども少しずつ考えているところなど物語としての懐が深いなと。
一番懐が深いのは妻の花歩ちゃんですけどね。いい妻だ。細かくなりすぎる夫の軌道修正もできるバランスのいい妻だよ〜。

逢坂さんの絵はすっきりしていて、背景なども必要最小限でみせてくるんだけど、
精神状態や心理描写などの具体化は本当にすごいなと。

話が進んでいくと赤ちゃんも大きく成長してきます。2巻以降も楽しみ。読んだら感想を追記していく予定です。
ラベル:育児
posted by 藤村阿智 at 11:46| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月14日

僕だけがいない街1巻(三部けい)

僕だけがいない街(1) (角川コミックス・エース)
僕だけがいない街(1) (角川コミックス・エース)

あちこちで「気になる」「面白い」漫画として紹介されてたので、ずっと欲しい本リストに入れていたのですが
先日ようやく購入しました。

WEBで表紙を見てて、「たぶん『おしん』みたいな話なんだろう。何かを背負った苦労してそうな赤いはんてんを着た女の子が雪の中に立っているし。私の好きなタイプの話じゃなさそうだな」っておもってたんですが……

ぜんぜんちがいますね……思い込みって怖い〜(ひとごと)


しかしまだ1巻なので、面白さの判別はできない。私は慎重派なのだ。
1巻を読んだ時点で「2巻以降が気になる!」のは間違いない。
最初に引き込まれることもなかったし、ちょっと読みにくくてわかりづらいんだけど、
1巻の後半からぐっと展開して、2巻へ続くあたりで大きな動きがある。そしてまだいろいろがわからない。
でも、2巻から読んでいけば謎はどんどん解けそうな予感がして、「続きが気になる!」と思うんだろう。


主人公は、デビューしたものの売れてない漫画家・藤沼悟28歳。
バイトしながら「うまくいかない」現実にいろいろなことをあきらめかけているけど、
ひとつだけ人と違う能力がある――不幸を察知すると時間が逆戻りする。誰かが「お前が防げ」と言っているかのように。それが「再上映(リバイバル)」だ!
藤沼の心をつかめなくしているものは過去の出来事なのか、今までの自分なのか、今起こった出来事なのか。それを知ることはできるのか。

……とここまで知らなかったら買わなかったかもしれない。実際は知らずに買ったけど、それは信頼できる漫画好きの人たちが「面白い」って言ってたから。

取り急ぎ次の巻以降も注文したので届いたら読んで感想書きます。
posted by 藤村阿智 at 12:46| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月10日

とめはねっ!13巻(河合克敏)

とめはねっ!鈴里高校書道部 13 (ヤングサンデーコミックス)
とめはねっ!鈴里高校書道部 13 (ヤングサンデーコミックス)

13巻。
久しぶりの新刊のような気がする。
12巻までの展開をわすれかけてて、どこからだっけ?と思ったけど読むうちに思い出してくる。

恋も書も盛り上がってくる。
縁の気持ちを周りも知ってきて、(というかやっぱり気づいている)
ひとつの恋は終わったり、伝えることで動かしたり。
ごまかしている場合じゃないぐらいライバルも攻撃的。

気づかないのはヒロイン望月さんばかり。
もう時間は残されていない。恋も書も気持ちをこめていかなくてはいけない。

……ネタバレしたくないなあ〜と思ったらふんわりした内容しか書けないよ。


縁は書に気持ちをこめるためと、ライバルへの気持ちの整理のために
「尊敬する先生が、かなわないと思った人の書」を観ようと考える。
しかしその書のショックは大きいものだった……
ここで提示される書は本当にすごい。観てしまったからには忘れられないだろう。
その衝撃を縁はどう受け止めて、自分なりの表現を見つけるんだろう?

これまで12巻かけて、書とはなにか、文字を書いて表現するとはどういうことなのかをじっくりかき続けてきた「とめはねっ!」。まさにクライマックスにふさわしい、すごい書が出てきた。ここまで読んだ読者なら、書道をやっていなくてもこの書が伝えようとするもの、どうして伝わってくるのかを少しは理解できるようになっていると思う。改めてこのまんがはすごい。そして実際にこの書を見てみたい。

絵画でこういうまんががないかな……いろんなジャンルの名画が伝えてくるものは一体なんなのかを知りたいんだけど、なかなか言葉にできないから。


いや〜すごくいいまんがで、ずっと読み続けて行きたいんだけど、次巻14巻が最終巻らしい。
とうとう終わってしまう。
絵、テーマ、ストーリー、すべての面ですごく良い漫画作品だと思う。
最終巻も楽しみです。
posted by 藤村阿智 at 18:38| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月05日

おひとりさま出産(七尾ゆず)

おひとりさま出産 (集英社クリエイティブコミックス)
おひとりさま出産 (集英社クリエイティブコミックス)

年収200万以下で独身でアラフォーの女性が、子供が欲しい一念で
結婚せずに妊活・妊娠するというエッセイマンガ。

漫画家の収入で食べていけないということで、バイトを何本も掛け持ちしてるし、貯金はないし、
あからさまにダメンズなパートナーとは結婚もできず、でも年齢は出産のタイムリミットに近づいていき……
と、本当に思い切る必要のある条件下での妊娠はすごいとおもう。

賛否両論いろいろ出てるみたいだけど、私は作者の七尾さんを考えナシとか楽観的すぎるとか言うことはできない。
同世代として、本当に気持ちはわかるし、決めてがんばろうとしている人は応援したい。
私が同じ立場だったらうじうじしそうだな……っていうか今でもうじうじしてる部分もあるし。
子どもが欲しいと思ったときに求められる条件が、今は厳しすぎるよ。
こういう風に「子どもが産みたい」と思う女性が、子どもを産んで、さらに育てられるような環境になって欲しいと思う。
七尾さんの立場と条件の女性から生まれた子どもでも、「なんとかなる」世界が一番いいと思うんだけど。

漫画としては、絵もコマも読みやすいし、明るいタッチでまじめな話も客観的に描かれてて楽しめる。
しかしダーリンはひどすぎる。でも私の場合血縁に似た感じの男がいるものであまりきつく言えない……
お母様も厳しいなあ。心配なら「なんとかなる」で支えて欲しいと思うんだけど。血縁だからといって支える必要はないとおもうので、気に入らないなら放っておいてほしいと思ってしまう私。

どういったことにどれぐらいのお金がかかるとか、どういう条件の人ならどんな支援が使えるのかなども多少は書いてあるけど、流石におひとりさま出産ガイドとして使えるほどの情報ではないのが惜しいかなあ。でもエッセイ漫画だから「あくまで作者の場合」として、必要な人は自分で調べてみるほうがいいですね。「なにか使える制度があるかも」と読者が問い合わせてみるきっかけになればいいね。
ちゃんと編集者が一緒に調査・取材するような、出産準備レポートになっていれば一番よかったのだけど。だから単純に「エッセイ」として読む、ということを忘れないようにしたほうがいい。

一番残念だったのは、やっぱり出産していないところ(で終わってること)かな……
ほかの人のレビューにもあったとおり、無事出産されたのか、その後どうなってるのかが気になります。
お金のために体力の限界ちかくまでがんばってるみたいな印象を受けるし……気になりすぎる。
2巻または「おひとりさま育児」などの続編を希望。

この単行本に重版がかかって、少しでも育児の足しになればいいなあと思うのです。

posted by 藤村阿智 at 00:06| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする