2014年12月12日

進撃の巨人15巻(諌山創)

【ネタバレいやな人は見ないでね、たいしたネタバレもしないけど】

進撃の巨人(15) (講談社コミックス)
進撃の巨人(15) (講談社コミックス)

進撃の巨人15巻購入。気軽に感想書いちゃうよ。

13巻、14巻あたりの感想はいまいちな感じになってたけど、

進撃の巨人13巻(諫山創): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/394786096.html
進撃の巨人14巻(諌山創): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/403664618.html

15巻はなかなか面白かった。
アクションは控えめだけど、ちょっと「ちりばめられた謎」の回収があって、
読者に見えてこなかった作戦も進んできたし、大きな動きがあったね。

巻のラストも、次巻であのなぞがとうとう明らかになるのか!?って感じの
引きで、実に楽しみ。数巻ぶりにテンポのいい展開でした。

ハンジさん好きには、カッコイイ登場のハンジさんが見られてうれしい。
相変わらず暴力ばかりで気持ちを伝えようとするリヴァイ兵長ですが、
ハンジさんという通訳が居なくてもなんとかやっていけてる感じ。
部下の皆さんとだいぶ信頼関係が築けたようでよかったです。

とりあえず16巻も楽しみ。
posted by 藤村阿智 at 12:15| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月11日

アオハライド1巻(咲坂伊緒)


アオハライド 1 (マーガレットコミックス)
アオハライド 1 (マーガレットコミックス)

珍しく最近の少女マンガを読んだ。
最近の少女マンガ、というか女性向け(BLにアラズ)は「ちはやふる」ぐらいしか読んでないなあ。

1巻はまだ本当に序章といった感じ。
ちょっと気になる男の子、恋ときづいた頃には遠くへ行ってしまったけど、
しばらくして再会。でも全然違う人みたいになっちゃってて……、という始まり。

1巻だけの感想なので、この先ラブが展開していくのかもしれないけど、
1巻での注目は主人公の双葉ちゃんと、他の女の子たちとのかかわり。
私みたいに「女子とは気が合わなくていつのまにか一匹狼タイプだったな」みたいな学生時代だった人は共感するんじゃないでしょうか!
私は高校時代は結構女子の友達も多くなって、いつも一緒にいたり遊びに行ったりする子も何人も居ましたけどね。そうなるまではこういうのがあるよね。
人に嫌われたくないって理由で、人を嫌ったり、Aに嫌われたくないからBとは仲良く出来ないみたいな気持ちは、アホらしいんだけどしょうがないこと。子どものころはAに嫌われないだけで精一杯だもんね……

その辺の「友達ってなんだろ」みたいなところをまじめに描いてるところがいいなあと。
posted by 藤村阿智 at 14:14| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月10日

アオイホノオ(島本和彦)

先日ドラマ化して、最初の予想とちがって面白く最後までみちゃったアオイホノオ
昔から「燃えよペン」「吼えろペン」と読んだので、アオイホノオもそういう感じかなと思って読んでいなかったのですが……
「島本先生の漫画は漫画らしい漫画なんだからドラマにしたらつまんなくなっちゃうだろ」って思って観てたらドラマががんばった作りで面白かったので、原作にも興味がわきました。
でもドラマとか映画とかで話題になってるときに買うのイヤなんですよね、ひねくれてるので。
そんな時Twitterでドラマ化したのに原作が売れてない!と先生がつぶやいてるのを見かけて、「あ、じゃあ、買おう」と思ったわけです(ひどい……)

アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)
アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)

エッセイ風ギャグコメディなので、どこまでがほんとにあった話でどこがフィクションなのかがわからないんですが、今までの焔燃ものもそんな感じなので、まあ本当にいる人もチラチラ出てくる、当時の雰囲気を描き出した漫画だと思うと一番楽しめそうです。
島本先生のおおげさな展開とか表現好きです。

1巻は、大学に入学した焔くんが、どういう状況に置かれてるのかの舞台が紹介され、同級生たちと出会い、どんな漫画や人にふれてどう感じたかが中心(ひどい説明になってしまった……)

私は世代がひとまわり以上も下なので、具体的に80年代の記憶があるわけではないのですが、90年代に80年代の古雑誌を読み漁ったり、サンデーが好きでサンデーの漫画を中心に読んでいたり、もともと藤子不二雄が好きでトキワ荘周辺の話に詳しかったりするので、わかる分だけほかの人より読んでて楽しいんだと思う。
さらに、やっぱりどうしても実感できない「リアルタイムの感覚」が伝わってきてすごい。
あだち充は、私が知ったときにはすでに超人気作家で(ちょうど七色とうがらしのころサンデーを読んでた)、焔くんみたいに「俺だけは認めてやろう」みたいに思う時期はなかったわけだからね。
焔くんのその言動も、オタクならだれでも通る「本当はもう人気があって認められているのに、自分だけがこの魅力に気づいているかわいそうな漫画だと思ってひそかに応援する」という状況で、自分を省みてもこっぱずかしくなって来る……ところがいい……

【以下、続巻を読んだら更新するかも】
posted by 藤村阿智 at 10:16| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月06日

散歩もの(原作・久住昌之、作画・谷口ジロー)

文房具で検索していたら出てきた本。

孤独のグルメ」で人気の久住昌之さん原作、おなじく谷口ジローさん作画の黄金コンビの作品。(と裏表紙にも描いてある)

散歩もの (扶桑社文庫)
散歩もの (扶桑社文庫)

裏表紙のあらすじにもはっきり
文具メーカー勤務のサラリーマン・上野原が、勤務中や休日に歩いた都内の風景の数々。
と書いてあるのだけど、これまた文房具に一切関係ない漫画(笑)

上野原さんは文具メーカーに勤務していて、「うちあたり小さいから いつも崖っぷち」って感じなのに商品開発会議のため品川に外出したり、日曜も市場調査をしたり、実務は若い者に任せたりしている。
やっぱり会社の規模がいまいちわからない。
とりあえず文具の話はちっともでてこない。


ま、この漫画の面白いところに文具メーカー勤務はほとんど関係ないからね。
とにかく仕事もそれなりにやってる中年男の、地味な趣味が散歩で、読者は上野原さんと一緒に都内を散歩しましょうということです。

散歩に向いてると有名な場所が出てくるわけでもない。本当に日常にふらっと立ち寄るような、生活感のある路地や商店街を歩く上野原さん。
散歩しようかな、という気持ちにもきっかけがあって、その気持ちのまま雑貨を見つけたりおいしい店に入ったり、路地を歩いたり、絵本や祭りに出会ったりすることで、想いも発展していく。

短い話が8話。二度目以降、最終回を読むと泣くようになってしまった。

文庫でも漫画は80ページもないのですぐに読めてしまう。何度か読んでも、書き込みの中に新しいものを見つけられて楽しいから繰り返し読むのをオススメ。
巻末には、漫画にならなかった取材を取り上げて「こういうふうに取材している」と原作の久住さんが案内するコーナーも。しかも個人的によく知ってる中野だったのでうれしい。

久住さんが一話ずつ、漫画につけた解説も収録。
作画についても細かく言及されていて、なかなか原作者が作画をどう思ってるかって話は聞けないので貴重。
でも作画が谷口ジローさんだから、そりゃもうすごいにきまってるよね。



文庫版の「散歩もの」、ぱっとどのページでも開けばびっくりすると思う。
なんか普通の漫画と違う画面の雰囲気。
細かく書かれた絵柄もあるんだけど、ベタがほとんどないのにメリハリもある作画にびっくりするんです。
これは作品解説でも久住さんが語っていて、薄墨やグラデーションが文庫サイズで出るか心配したというエピソードが。
そうなんですよ、漫画の印刷って結構難しくて、何でも描いたものは印刷に原稿のまま出るわけではなく、キレイに印刷してもらおうと思ったら原稿の制作にも高い技術が必要になるんです。
薄いところをはっきりさせようとすると、線が太くなってしまったり、細かいところがつぶれたり。
線を細くしようとすると、薄いところや細い線がかすれて飛んでしまったり。
特に縮小率の高い文庫化では、繊細な画風の漫画だと台無しになったりするのです……

印刷所の方が原稿の再現をがんばってくれた。そのおかげですごくキレイな文庫版ができたと、あとがきで久住さんは印刷所の技術を称えました。

amazonレビューによると、電子書籍版はそのがんばりが台無しになってしまっているようです。
たしかに紙からスキャンするのも技術がいるからな〜、せめて原稿を版下にするときのようなスキャンデータを利用できれば良いんだろうけど。
ラベル:文房具漫画
posted by 藤村阿智 at 12:30| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月26日

愛しき駄文具(きだてたく)

文具仮面ブログの記事を再掲載です

買った! 読んだ!

愛しき駄文具
愛しき駄文具

発売日に発注して翌日とどく。ネット書店ありがとう。
いえ普通の街の書店も駅前の大型書店もありがとう。

届いたら想像していたより小さめの本だった。
勝手にB6サイズ以上を想像していたけど新書版だった。

中身はまさに、愛しい駄文具たちの図鑑そのもの。
きだてさんがこれまでのイベントや雑誌などで紹介し続けてきた
コレクションの中からよりすぐりの愛しい文具たちがてんこもり。
写真が大きめなのも、実際のスケールを感じながら見られていいですね。

いままでちゃんと言ってこなかったけど、きだてさんの文章が好きなんです。
私は色物文具専門サイトイロブンの結構昔からの読者で、まだお会いするよりずっと前から読んでいたんですが、
ちょうどそのころ私が文具店で働いていたこともあり、
信頼文具舗さんとイロブンさんの文章を読んで文房具を研究し、
「この人たちの文章を読んでいると、いままで知らなかった、まだ手にとってもいない文房具がとってもステキでほしいもののように思えてくる。すごい。こんな紹介を私もできたらいいな!」
とずっとあこがれていたのです(*^-^*)
ほんとに、「なにそれ!」と思いつつも商品の魅力が伝わってくるのを感じるんですよ。


個人的には、こういう写真と文字で楽しめるような本は、寝る前の読書に最適なので
枕元に置いて眠れない夜に再読しようと思います。
どこから開いても楽しめそうだし、途中で眠ってもいい文具の夢見られそうだもん。

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コレクターのお二人との対談記事も面白い。
消しゴム収集家のケシマニさんがおっしゃる、「消せる素材じゃないと興味が持てない、コレクションなのに使いたい(消したい)衝動がある」って話は、すごくわかります。えーと、つまり「収集したくなる消しゴムは消しゴムとして機能するもの」ということだと思うんですが、同じような気持ちになったことがあります。

私も変な電卓を集めているわけですが、これはちょっと違うんです。

★使える電卓だけど見た目や機能が変 → 便利なのか不便なのかわかんない、なんでこれを作ったのか、
 そういう疑問が所有欲をそそる

★壊れちゃってもう動かない、変な電卓 → 動いてた、作られたことに価値があるので問題ない
 (いや、動いていれば一番いいんですけどね)

★もともと動かない、電卓の形や柄がついただけのアイテム → だれがこれを喜ぶと思ったのかと
 考えると私が喜んでしまう


って感じで、結構「動かない電卓」ってのにも興味はあるわけですよ。

しかし、機能がもともと無いものだととたんに魅力がなくなってしまうものがある。
マグネット、消しゴムもおなじだと思う。これらはもともとの自由度が高いのだ。
たとえば、モノ消しゴムと同じ形の、固いプラスチックのフィギュアを作ったとしよう。
これはモノというブランドや形状のパロディということで、コレクションアイテムになりうる。
じゃあ……たとえば四角くて大きさがちょうどいいからと言ってマージャンパイを集めたくなるだろうか。
さらに関係ない、さわり心地がいいけど消せないゴム製の富士山の置物が欲しくなるだろうか。
私だったらならない!(欲しくはなるかもしれないけどコレクションの仲間じゃない)

15年前にテレカ・プリペイドカードを集めていたんですよ。今も当時のコレクションは持ったままだし、
たまには増やしてる。
このジャンルの人なら、機能が重要なのはびしっとわかってくれると思う。
500円の価値がある金券だからではない。
テレカ、プリペイドカードとして使うことを目的として作られたカードだから集めているのだ。
コレクターの中には使用済みでもかまわず集めている人もいる。
でも、そのコレクターが「もう金券として価値のない、グラビアアイドルの写真が印刷された使用済みプリペイドカード」に1000円払ったとして、「最初からプリペイド機能のない、プラスチックにグラビアアイドルの写真が印刷されたカード」を購入することはないのであるよ。
(まったく無いわけじゃないけど、やはりテレカコレクションではない)

いまや、テレホンカードが使えるシーンもなくなってきたし、私が持ってる未使用のオレンジカード(そろそろ使えなくなってきた)やイオカード、Jスルーカードなんかは金券としての価値も無いけど、金券の機能を持たされた! 役割のあるカード! それがあってこそ、表面に印刷された柄が重要になってくるのです!

話が長くなりましたが、つまり消しゴムもマグネットも、それらの機能が最初から与えられてない場合にコレクション対象にならないのは、機能を持った、働くアイテムとしてのバリエーションを楽しんでるからじゃないでしょうか。
働くアイテムは働かせてあげたい。電卓だって無駄な計算をさせたりするし、きっとマグネットも金属の板に貼ったり、くっついてる感を感じながらはがしたりするのが楽しいはず。
消しゴムは消したらミントがグッドぐらいに下っちゃうから(コレクションの状態を表す用語wミントは「キズなし、新品同様」みたいな状態でグッドは「中古ですけど良いです」ぐらい)働かせたいけど使用済みと未使用に大きな差が出ちゃう場合はつらそうですね。働いてるところ見たいのにね。


すっごいずれて、本の感想に乗っかって違う話をしてしまいましたが
とにかく変な文房具たちは眺めてるだけでも楽しいです。
誰かがこれらに、便利な機能をつけて、働くアイテムにして売っているんだよ。買う人と使う人がいるんだよ。変な文房具の魅力もそこだと思うのです。
posted by 藤村阿智 at 10:12| 小説・エッセイなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月23日

中年スーパーマン左江内氏/未来の想い出(藤子・F・不二雄)


藤子・F・不二雄大全集 中年スーパーマン左江内氏/未来の想い出
藤子・F・不二雄大全集 中年スーパーマン左江内氏/未来の想い出

BlackStrawberry.net日記の再掲です

■藤子・F・不二雄先生の命日です。
毎年、何か読み返すことにしているのですが、今年は「中年スーパーマン左江内氏」を読みました。
あ、読み返しじゃなくて初めて読みました。
藤子・F・不二雄大全集を買ったので、たぶんうちにほとんどの藤子F作品があるわけですが、そうなると読んだことのないものも あるのですよ……買ったんだからちゃんと読まないとね。ついついもう読んだことのある好きな本から読んでしまう。

中年スーパーマン左江内氏
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「左江内氏」面白かった。45歳のサラリーマン、係長にはなったけどその後の出世は伸び悩み、後輩が課長になったりして。 まじめなタイプで職場では好かれても嫌われてもいない、そして期待されてもいない。
家庭ではぱっとしない普通のオヤジとして、奥さんとはまさに家族以上のなんでもないし、大きくなった娘や息子からは いまいち尊敬されてもいない感じ……
そんな無害で小市民なところが見込まれて、ある日スーパーマンスーツを受け継ぐことに。
身の回りの揉め事を、解決できるときだけ適当に解決してやってよ……程度のゆるい感じで引き受ける。

■そんな中年向けSFコメディなわけですが、この作品のすごさはギャグとか設定とかじゃないんですよ。
そんなゆる〜いスーパーマンとしての活躍、だれの記憶にも残らない活劇、ヒーローとしていまいちぱっとしない活動の中で! 少しずつ左江内氏の日常が、好転して行っているように見えるのです。
直接じゃないけど結果的に見直されたり。存在を再確認されたり。ヒーローとして、人を「ほっとけない」という動機だけで助けてきた 報いが、ほんの少し左江内氏の人生を、明るく豊かなものに変えてくれそうな予感が全体ににじんでいて、読んでいて楽しい。
最終回は急展開。このあとどうなったのかは見られなくてもいい終わり方だったけど、日常が変化してしまうのかが心配になってしまうな。



未来の想い出

ネタバレあり!
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元は売れっ子漫画家だった納戸理人(なんど・りひと)だが、最近は新作も落ち目でいまいちぱっとしない。
そして突然の死……

振り返るように、納戸氏の人生がつづられていく。
きっかけ、喜び、失敗、決断、成功、没落……
途中で納戸氏は気づく。ちょっと先の「未来の想い出」が自分の中に存在していることに。
この人生は死の瞬間からループしているんじゃないか?
だったら未来の想い出を次のループへ持っていけば、もっとうまく、あの失敗をなくすことさえ出来るんじゃないか……

そして記憶にもある死の瞬間を迎え、きづいたときにはすべて既知の状態で新しい人生を歩みだすことに成功していた!
この後はなぞって、失敗を回避して、つじつまあわせをクリアして幸福をつかむだけ……だがそんなにカンタンには行かないのだった。

はらはらしつつ最後まで気持ちよく読んでしまった。皮肉もいっぱい詰め込まれているけど、さすがとしか言いようのないムダのなさ、スマートさがすごい。
(いまとなっては)よくあるループもの、になりそうだけど、ループものの王道としてきっちり読者の欲望も満たしてくれる内容だと思う。

もしも私が自分の人生の記憶を持ってもう一度やり直すとして、うまくできるだろうか。ぜったいうまく出来ない自信だけはある……
posted by 藤村阿智 at 00:00| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月19日

大人のカバンの中身講座 (玄光社MOOK)

大人のカバンの中身講座 (玄光社MOOK)
大人のカバンの中身講座 (玄光社MOOK)


自サイトの日記と同内容です

9月18日に、玄光社さんからムック「大人のカバンの中身講座」が発売されました。

この中に、私も4ページのイラストコラムを描いています。
「えらべばえらぶほど」というタイトルで、選べば選ぶほど、カバンの中身や持ち物はどうなっていくのかを描いたコラムです。
コラムというよりもうポエムに近いかもしれないけど、ふんわりしてなくて意外に主張が強いからやっぱりコラムかもしれない。
描いてあるものは基本的に私の持ち物。

愛用の筆箱、愛用のペンたち、愛用のPHS端末、愛用の牛革ブックカバー。
イラストはClipStudioPaintPROで描いています。最近お気に入りの、ブラシをテクスチャに見立てたり、紙質を強調したりして 手書きらしく見えるように。やっぱり商業印刷は色がきれいに出ますね。私が考えて描いた混色とかがそのまま出てくれるとうれしいです。
絵描きは色にうるさいって言うけど、やっぱりそこになにか想いがあってその色を塗ったり、違うと思ってやり直したりしたところが、 印刷などの要因で変色しちゃうと「ああ……!!」って悔しい思いをするじゃないですか(笑)
とくにデジタルは、がんばってモニタを色調整しないと、印刷と大幅に違ってしまうから難しい。環境によって見える色が変わってくるんだもんね。

私が描いてる部分以外でも、いろんな人が「どうしてそれ(物)を持って歩くのか」というこだわりが見えて楽しいです。
自分が困ってるところとかも、人の工夫を聞けば解決することもありそう。
低血糖でよくフラフラする私には、ラムネを持ち歩くと言う話が目からうろこだった。チョコ・アメとか、ブドウ糖そのものは持ち歩いたりもしたけど、 ケースがついてるラムネってのはいいかもしれない。試してみる。
「講座」とはいえ、「これがマストアイテム!」みたいな押し付けるものではなく、あくまで「こういう理由でこれを選んで持っている」という話を たくさん聞けることで、自分が物を選ぶときの参考にしようという話。
「あ、そうすればいいんだ」って参考になったり、「この不満はその工夫で解決か」とわかったり。
気になったところだけぱらっとめくるのでも、長く楽しめそうですよ〜。
私のイラストも箸休めぐらいの気持ちで楽しんでね!
posted by 藤村阿智 at 13:50| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月16日

神々の山嶺(原作夢枕獏・作画谷口ジロー)漫画版文庫サイズ【完結】

神々の山嶺(いただき) (1) (集英社文庫―コミック版 (た66-1))
神々の山嶺(いただき) (1) (集英社文庫―コミック版 (た66-1))

「神々の山嶺」は同名の小説を漫画家した作品。文庫版で5巻完結。

昔はまったく山の漫画に興味が無かったんだけど、いまはいろんなメディアの山ものを読んだり見たりしているところ。
そしたら山ものの名作と言われているこの漫画を読むしか!

ネパールと日本を舞台に、伝説級のアルピニスト・マロニーが残したカメラと、それを自分のものだと言うなぞの男・ビカール・サン。主人公の深町はそれを追っていくうちに、カメラをめぐる事件から、ビカール・サンの正体だと思われる日本人「羽生丈二」のことを調べ始める……

神々の山嶺(いただき) (2) (集英社文庫―コミック版 (た66-2))
神々の山嶺(いただき) (2) (集英社文庫―コミック版 (た66-2))

1巻、2巻では山岳カメラマン深町と謎の男・羽生の出会い、羽生という男のこれまでを取材し、追って行く。
エベレストへの人類初の登頂は、マロリーが達成していたのか? 羽生が持っていたカメラがマロリーのものならその中に、登頂の証拠が残っているのではないか?

羽生を追いながら深町は、羽生という男のことが気にかかってくる。
なぜネパールにいるのか。なにを目指しているのか……

神々の山嶺(いただき) (3) (集英社文庫―コミック版 (た66-3))
神々の山嶺(いただき) (3) (集英社文庫―コミック版 (た66-3))

そしてとうとうネパールで、深町と羽生の恋人涼子は羽生に会う。カメラは手にはいるのか。なぜ羽生はネパールにいるのか。その理由もわかって来る。

神々の山嶺(いただき) (4) (集英社文庫―コミック版 (た66-4))
神々の山嶺(いただき) (4) (集英社文庫―コミック版 (た66-4))

神々の山嶺(いただき) (5) (集英社文庫―コミック版 (た66-5))
神々の山嶺(いただき) (5) (集英社文庫―コミック版 (た66-5))

4巻、5巻はエベレストへの最後の挑戦。
羽生も深町も命がけでエベレストへ登り、羽生はとうとう帰ってこなかった。
生存は絶望視され、深町も日本に戻ったが、羽生の山に向かう想いが深町から離れなかった。そしてその想いは深町をエベレストへ再度いざなう。


全巻通して、山男の山へ向かう想いと挑戦する心、山の厳しさと美しさ、わくわくするミステリーが楽しめた。4巻〜5巻のような山のシーンは、読んでるだけでのどが渇いて呼吸が苦しくなるようだった。

途中深町が女のことでもんもんとするシーンもなかなか楽しい(笑)羽生のストイックさを、同じ山男であるのにまじめすぎない深町が和らげつつ引き立ててくれて、そこも見所。
涼子さんも美人だし、無茶するけど「助けられるヒロイン」ってだけじゃない強さを終盤に見せてくれてよかった。
posted by 藤村阿智 at 15:40| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月02日

銀の匙12巻(荒川弘)

銀の匙 Silver Spoon 12 (少年サンデーコミックス)
銀の匙 Silver Spoon 12 (少年サンデーコミックス)

これまで11巻もかけてじっくり描いた1年が終わって、12巻は2年生に。
八軒の周囲はめまぐるしく前へ進んでいく。
1年間でつないだ人脈をフル活用して、八軒が新しく決めた進む道を前進する。

いいねえ。
社会人をやってるとねえ、子どもの頃って良かったなあって思うんですよね。
子どもの頃は、全力が許される短い期間なんじゃないだろうか。
とくに高校生なんて、大人と同じぐらいの知力・体力を持って、全力を出すことが許される最高の期間だと思う。
もちろん社会人だって全力出してもいいんだよ。でもそれだけじゃなくなる。
八軒くんも「いいと思うほうへまっすぐ」じゃ成り立たないことにぶち当たったりしていると思う。

お客様のため、従業員のため、でフルに力を出すと「割りにあわなく」なっていくのが社会。
誰かが全力を出し切ってつぶれるしかなくなってしまう。
「もっと良くしてあげたい」と個人が思っても、バランスを考えると全力を出すことばかりが最善ではないんだよね。そこがはがゆくもある。

八軒くんは高校生だけど、人や自分の全力に頼ることもあるけれど、いろんな人がいい場所へ着地してそれぞれ歩いていけるような状態を理想にしているところもあって、大人だなと。


ネタバレを避けたら変な感想になってしまった。

新キャラの後輩ちゃんかわいい。最初男かと思ったけど制服が女子で、よく見れば最初からスカートのようなものを履いている……
あと南九条あやめちゃんがオール1を誇るおバカだったのも衝撃w
ここも八軒の人脈で何とかなるのかもな!(笑)すげえな!



【ちょっとネタバレ】


そういえば八軒くんと御影ちゃんは、サンデー的な「お互いが好きで両想いだけどなかなかくっつかないカップル」だと思ってたのに、いや、くっつかないんですけど、「お互い好きで両想いだけどくっつけない」ことを自分たちでも認識してるところが新しいかも(笑)
邪魔さえ入らなければ予約(?)を入れるところですよ!
そんな二人に感心する後輩ちゃんによって新たな縛りが追加されて八軒の恋はより難易度の高いものに……!
posted by 藤村阿智 at 10:55| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月26日

僕の小規模な生活(福満しげゆき)

福満しげゆきさんの漫画で一番楽しみなシリーズがこの「僕の小規模な生活」シリーズ。
「僕の小規模な失敗」という名作自伝のあとにも、もちろん続いていた生活の話を描いたエッセイ漫画だ。
同じくエッセイ漫画の「うちの妻ってどうでしょう?」もあるんだけど、やっぱり私は4コマと普通のページ漫画だとページ漫画のほうが好きだ。

以下、読み返しながら感想を書いていこうと思います。

僕の小規模な生活(1) (KCデラックス モーニング)
僕の小規模な生活(1) (KCデラックス モーニング)

1巻。最近の巻まで読んでから見ると絵柄の変化があって面白く懐かしい。
私は1巻の頃の絵柄が好きだけど、基本的なところは変わってなくていいな。

全然漫画の仕事がなくてバイトをして毎回やめたくなったり、
少しずつ漫画の仕事が入ったり、妻とけんかしたり。

途中からはこの連載「僕の小規模な生活」が始まるきっかけがあって、その連載、担当さんとのやり取りがあり、他紙の仕事もはいり、「同じような内容の連載を、たくさん書けるタイプでもないのに引き受けた」ことで大手出版社ともめたり……?

1巻はすごく動きがありますね。とにかく妻がかわいい。暴れたり騒いだりするけど支えてくれもするところがもういとおしいですね(人の妻なのにw)私も女なんで大丈夫です心配しないでください(?)

1巻でもうモリタイシ先生出てるんですね。(同い年の漫画家さん)
ここに書かれてる情報だけで「あっ!これモリタイシ先生じゃないかな」って思った私は、そう、モリタイシファンです(笑)確信は持てなかったんだけど、その後にモリ先生の漫画のあとがきでも書かれていてわかりました。

【以下、読み返したら感想書いていきます】
僕の小規模な生活(2) (KCデラックス モーニング)
僕の小規模な生活(2) (KCデラックス モーニング)

僕の小規模な生活(3) (KCデラックス モーニング)
僕の小規模な生活(3) (KCデラックス モーニング)

3巻は男性目線の出産シーンが描かれていて興味深い。
女性目線で「つらかったー」って話はいくらでも妊娠&子育てエッセイに存在するのですが、
当事者すぎて、しかもそのときはたぶん必死(ほんとの意味で……)の思いだと思いますので
男性目線の客観的な感想もいいですね。相当怖いですね。

3巻の表紙だけカラーなのが、発売当時は「路線を変えるのか」と思ったのに、
6巻まで出た今となっては「カラーはだめだったのかな」と思ってしまうところがなんとも。
短期集中連載「東村山あたりの夕日」が巻末に収録。解像度低いまま描いちゃったんだな……
こういうばかばかしいの(ほめてるんですよ!)も好きです(笑)

僕の小規模な生活(4) (KCデラックス モーニング)
僕の小規模な生活(4) (KCデラックス モーニング)

息子ちゃん生まれて、子育て開始です。
医者に不信感を持ったり。
しかし息子ちゃんいい子だな……いい子に、かわいい子に描かれているなあ。
こちらも出産時同様、目線が客観的なところがいい。子どものしぐさの観察とか、親バカの自覚とか(笑)
嫁姑の問題とかなんかわかりすぎるわ〜。こういう風になって困ること多そう。
最近の私の興味は、「相手の善意は受け取らないと人でなしなのか?」って所。嫁姑問題も、いがみあいじゃなくて善意なのはわかるんだけど、善意だからすべて受け取らなければならないのか?ってのは、受けるほうも与えようとするほうも考えたほうがいいよなあ。

僕の小規模な生活(5) (KCデラックス モーニング)
僕の小規模な生活(5) (KCデラックス モーニング)

5巻〜6巻の、中学生編面白かった。なんかこう胸が締め付けられるというか……
「失敗」のほうにもリンクする内容なので両方読んでるとより心動かされるね。
失敗とはいえ、ほんの少しのズレなところが怖い。だれがこうなってもおかしくないし、
そこからいまの状況まで戻ってきているのがすごい。
戻らず落ちていく可能性だってあったわけだから……
童貞喪失話は、なんかかわいそうになっちゃうんですが、もうコレは忘れて妻が最初で最後の人だってことにしておいたほうがよかやっか(間違った博多弁)

僕の小規模な生活(6) (KCデラックス モーニング)
僕の小規模な生活(6) (KCデラックス モーニング)

6巻まで読み返した!
6巻では第二子のご懐妊も発覚、続きが気になるところで終わってしまっている。7巻マダー?

自分もエッセイ漫画描いてるんですが、確かに「描かれた本人はどう思ってるんだろう?」ってのは気になるところ。
ほかのエッセイ漫画描きさんもどうしてるんだろう。私の場合、本人が見そうだなと思ったら無難な話以外は描かないけど……
posted by 藤村阿智 at 12:15| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月25日

xxxHOLiC 戻1巻(CLAMP)

×××HOLiC・戻(1) (KCデラックス ヤングマガジン)
×××HOLiC・戻(1) (KCデラックス ヤングマガジン)

「xxxHOLiC」の続編。
読み方は「ホリック・レイ」とのこと。
無印HOLiCとおなじキャラクターで、あの頃の雰囲気でつづられるエピソード。
物語初期のように、屋敷へやってくる「ヒツゼン」がある人たちの状況を解決するお仕事。
でも解決できるかどうかもすでに「ヒツゼン」なんだろうからなあ。

前作は19巻で完結しているので、この世界はなんなのか、どの時期なのか、それとも……というすべてが謎状態。

最近はこんな感じの「ずっと謎を内包する」物語に疲れてしまって、素直に楽しめないなあ。
ただ、HOLiCは細かいエピソードの中で、小さな謎の発生→解決を繰り返すから、まだ見ていてすっきりするのかもしれない。物語全体に流れている謎やわからないことは、気にしない程度でいいのかもな……
前作でそういう気持ちで読んでたら謎を忘れて、「あれ?なんですかそれ」ってなったりもしましたが。
やっぱりあまり伏線は引っ張られないほうがいいのかも。

【以下HOLiCに限った話ではない】
確かに、物語で「あっ!あれはそういうことだったのか!」という、なぞが解けてすごく震える話もあるんだけど、最初から「これはどういうことだと思いますか?」「でもアレがね……」みたいな思わせぶりな、キャラだけが知ってて読者がわからない思わせぶりなことをしなくても、びっくりする仕掛けってできると思うから、あまり訳知り顔のきゃらが言葉を濁してるのも読者には気持ちのいいものじゃないかな。まあ個人的な感想ですけど。
posted by 藤村阿智 at 12:54| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月21日

本気のしるし(星里もちる)1〜6巻(完結)(ネタバレあり)

文具店を紹介する本を購入しようと思って検索したのに、
まだ発売されたばかりだったからかデータベースに反映されていなくて
代わりに検索結果に出てきたのがこの漫画。




中小文具店に勤める男・辻が主人公。

とのことでしたので、文具店モノ……なのかなあ?と思いつつ、紙の本は絶版のようですので
電子書籍で購入!

実は星里もちる先生の漫画は苦手なものもあって……
「りびんぐゲーム」好きで、リアルタイムでも読んでたし、単行本も持ってたし、
数年前に出たコンビニ廉価版コミックも購入しましたよ。でもそのつもりでほかの作品を買うと、大体最後まで読めないんですよ。

だから、「本気のしるし」は文具店モノということがキッカケになって、私にとっては久しぶりに全部読めた星里もちる先生作品ということになります。

まず、文具度ですが、低いです。
文具が出てくることを期待して購入してはいけないです。ほとんど出てこないです。
あと、辻くんが勤めてる文具店はひどいです、(笑)残念ながら旧態依然とした、古い体質の会社で、こりゃたぶんつぶれるな……って感じです。文房具業界は厳しいんですよ。昔ながらのスタイルでやれてるところもあるけど、たぶんこのムラサメ文具(株)に将来はないですよ。文房具の会社だと思って読んでると逆に切なくなってきてしまいますよ……ある意味リアルで……

辻くんは営業マンだけど、なんか倉庫で在庫を数えてるぐらいで、商品としての文具の姿も出てこないし
その倉庫で後輩のみっちゃんとチュッチュするぐらいです。

【あらすじ】
文具店に勤める辻は、表面の顔だけはつくろって波風立たないよう周りに調子を合わせて生きてきた。
流されるようになんとなく、言い寄ってきた二人の女と付き合ってる。片方の後輩女子は完全に遊び。先輩女子ともなんとなくで付き合ってる。正直どっちもめんどくさい。
そんなつまらない毎日だが、踏み切りで車をエンストさせて危ないところだった不器用な女を助けてしまったところから、そのうそつきでいい加減で頼りないうかつな女のことが放って置けなくなってしまった。
これは恋なのか?
女はふわふわとあっちいったりこっちいったりいなくなったりトラブル持ってきたり擦り寄ってきたりで辻を翻弄する。
辻は地獄を見るのか天国を見るのか?


話の内容はとにかくトラブル続き、どろどろしてる。
妙なリアリティ。これが星里もちる先生のすごいところ。(で、苦手なところ)
トラブルメーカーのヒロイン「浮世さん」は、こんな女いねーよといいたいところだけど、
いる…… こういう人は存在している……
断わるのが下手で、八方美人で、困ったらその一瞬だけごまかせる(すぐにばれる)ウソをつき、
怒られたりしたら即座に謝る。反省して見せる。
でもすぐまた同じような失敗を繰り返し、人を裏切り、「信じて」を連発するのに人を信じない。
こういう人間に「あの人は悪い人じゃない」「あの問題以外は申し分のない魅力的な人」というオプションがついちゃったら、かかわった人間は地獄ですよ。

【浮世さんについて】
浮世さんは不器用で断われなくてうそつきだけど、いい子なんですよ。
風俗でもお客さんのために一所懸命奉仕して働いちゃう。
ホレ、いい子でしょ。でも風俗で働くしか道が無いんですよ。ほかに行くところとか、頼れる人とかが少ないという理由でそこに行くしかないんですよ。なにこのリアル。
断われない、嫌われたくないって八方美人の性格の人に、人から狙われる美貌と身体と金がくっついてしまったから浮世さんの人生は転落してしまっている。大人になったらそんな頼りない人間でも一人で何とかしなくちゃいけないことばかり。
途中で、浮世さんに似たタイプで、でも幸せになってる「昔のお友達」という女性が出てくる。
彼女の悲痛な「自分を守るのが下手な人間もいる、それのどこがいけないのか。悪いのは騙し・つけこんでくる人間ではなく、守るのが下手な人間なのか?」という叫びは、私の心にも刺さる。私もどちらかというと自分を守るのが下手なタイプだからだ。

【辻くん】
辻くんは星里作品ではよく見られる優柔不断男。そこに「人間関係めんどくさい」って性格がくっついたから、結構ひどい人間に見える。ただ、一応 人との摩擦を少なくしたい、うまくやりたいという考えを持った人だから、社会はうまく渡っていて、信頼も築いているし、がんばる姿には周りも好感を持って応援したくなるタイプらしい。そこに助けられている。(辻自身も、読者も)
なあなあで付き合っていた二人の女には、こっぴどくやられてから別れることになる。でも二人とも、ひどい仕打ちをしつつも、実際凹んでる辻を見るとちょっとかわいそうだなって思うところもまたリアル。
意外に、浮世さんには厳しいことを言いつつもひどいことはしていない。そこが最終的に幸せになれるポイントじゃないかな……

【たぶん一番良い人】
最初から最後まで、わけアリでインテリヤクザのような裏社会の男、脇田さんがたぶん一番いい人。
わたし脇田さんが好きだわ。この安定感。この人も、浮世さんに実はメロメロな男の一人なんだろうなあ……


【ムラサメ文具(株)と文房具】
最初のほうに書いたとおり、文具店に勤めながら文房具はほとんど出てこない。
箱が置いてある倉庫で箱を数えるシーンばかり。
ムラサメ文具は中小の文具店だというけど、メーカーでなく小売だとこの規模はかなり大きい。だって部署がたくさん分かれてるし、役職がたくさんあるし、店舗も多数運営してるし、女子は制服着てるし……
ただひどい会社です。会社の規則・仕打ちに何度吹いたことか。ブーッ!!
・社内恋愛禁止。発覚した場合はキャリア関係なく女子が辞めることが暗黙の了解
・社内恋愛の証拠写真をプロジェクターで見せながら弁解させ責任を問う
・営業職の不倫は言語道断。仕事に影響がある。即刻関係を清算せよと詰め寄る
・不倫の証拠をプロジェクターで見せ(略)
・社内の役員が「この会社に未来はない。過去の取引にしがみつくばかりで自社を変える気も無い」とばっさり
・他社へ転職しようとしてることの証拠をプロジェクターで(略)
・発注伝票の改ざんなど嫌がらせが可能
すげえやな会社だな。と最初から最後まで。

最後のほうで、ボールペンに名入れがされてなかったという(元文具小売店勤務としては)肝の冷えるエピソードがあったり、「手にはいりにくい商品」として「B4のレターケース40個」が出てくるあたりは燃えた。
B4のレターケースって手に入りにくいんですよ。特殊なサイズだし。でも漫画の原稿用紙やスクリーントーンはこのサイズで、もしかしたら星里先生が入手に苦労したのかも。



【ラスト・ネタバレあり】


最後は結局幸せになったようです。
断われない性格の浮世さんは、辻くんのことをはっきり大事な人だと意識したことで、自分を変えようとしました。そして、会えない期間に、断わるべきときは断われるように成長してきました。それでも周りに隙がある女と思われてしまう。やはり辻くんはそれが不安な様子。
また死ぬようなエピソードを経て、生還した浮世は、きづくんですね。「自分が美しくなければ男はちょっかい出してこない」ことに……
まあそれだけじゃなく、浮世の成長もあってのラストだと思いますけど、自分をこ汚く(失礼)することで無用のトラブルを避け、男関係の不安を払拭しようってのは、昔の怪談であった「美人で夫が心配するからと自分の鼻を削いだ」って話しみたいじゃないですか。そこまでじゃないけど。
浮世さんが多少醜くなっても、辻くんのほうがいい感じに枯れちゃってるから問題ないかもね。


というわけで、なんだかんだ突っ込みながらもとても楽しく読みました。一気に読んでしまったし。
この二人から目が離せない気持ちになった。キャラクターの心理描写がすごい。じわじわずれていくところに説得力がある。
ひとつだけ、辻くんにほかの家族の姿が見られなかったのは残念。なんで家族出てこないんだろ。浮世さんのほうは「愛されたのは生まれたときと名前をつけられたときだけ」ってセリフで、本当に頼る人がいないのはわかったんですけど。成人男性だと家族がちっとも見えてこなくても普通なのかな?

このじわじわ〜っと転がっていく感じはとても感想文じゃ紹介できない魅力なので、ぜひ最後まで読んでみて欲しいです!

    
ラベル:文房具漫画 Kindle
posted by 藤村阿智 at 14:40| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月15日

呪詛抜きダイエット(田房永子)

呪詛抜きダイエット
呪詛抜きダイエット

母・娘問題に悩んだ過去を漫画に描いて話題の田房永子さんの最新刊。

「エイコ」はずっと自分のことを「醜いんじゃないか、太っているんじゃないか、自分は美しくないからいけないんじゃないか」と悩んでまともに鏡も見られない状態が続いていた。
なんでそんな風になってしまったかを突き詰めたら、子どもの頃から母を始め同級生や身内にかけられた何気ない言葉が積み重なって、エイコに「呪い」をかけていたのだ。

美しくなるための行動をするには、まずその呪いを解かなくちゃいけない。
だから「呪詛抜きダイエット」というわけだね。

現実に欠点もあるわけだけれど、そこを「よく見えるようにしたい」と思えるかどうかというハードルがまず、ある。
確かに「どうせいまさらそこを良くしたって、ほかのところもダメなんだから意味がない……」と思ってしまうとドツボにはまる。
「ちゃんと工夫したり、努力したら一部分でも改善して、うれしい」という気持ちにならないといけないわけだね。

ただ、自分で思い込んでしまった人も抜け出しにくいだろうけど、
周りからの「呪い」でそう思い込んでしまうのはまた別の抜け出し方をしなくちゃいけないから苦しそう。
周りに「食べすぎじゃない?」って言われたら、「太ってるんだ、人から見ても自分はやっぱり太ってるんだ」と確認してしまう。

この漫画の中では、そういうことを一つ一つ気づいていって、呪いを確認していくことで自分への攻撃を和らげて行っている。まず、「美しくなろうとしてもいいんだ」って思うところから。


だからダイエットの方法などはあまり語られていないんだけど、レビューとか読んでると
「参考にならなかった」という人もいますね。
ダイエット方法じゃないからなあ。でも、ダイエットするとか、美容とか、恥ずかしい。っていう気持ちになってる人などは、「そんなことないよ〜」って思えると思うから、この本を読んだらいいんじゃないかな。
このタイトルだと、この作者さんがどういう経験をして何から抜け出そうとしている人なのかを知らない人(前作までを読んでいない人)には肩透かしかもしれないですね。あと、「ダイエットとか、あれは美しい人がするものであって醜い私はやせられないしやせてもしょうがない」と思い込んでる人には届かないかも。そういう人こそ読んだらいいのにって思いますね……


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ここからは激しい自分がたりですが、私は小学生のころいじめられてたもので、
周りに「きたない」「きもちわるい」ってよく言われてたんですよ。
だから、「きたないのか〜……」「どうせ私はきもちわるいんだろうから」と思って、かわいく着飾るとかをあきらめていたし、小学生にして呪いにかかっていたかのように
「こんなかわいい柄やキャラクターの服を着たりしたら、『アイツ自分がかわいいと思ってんのか?』と思われるんじゃないか、実際に言われたらどうしよう」
と考えて、ずっと無地の服や暗い色の服を着ていました。

でも高校にあがるときかな……友達の女の子が「すごいかわいいよ、今日のそれもすごくいいよ、昨日よりかわいいよ」と誉めてくれるようになったんですよね。
最初は「何言ってるんだこの人……私がかわいいわけがない、おせじかな」って思ってたんだけど、どうやら本気みたいだし、ずっと言われてたら少なくとも「もうちょっとかわいくなろうとしてもいいかな?」って思えて、呪いがとけたんですよ。
本当にあの友達には感謝している。

この本を読んでそういう風に思うキッカケに出会えたらいいのに。と思うし、私にもまだまだかけられたままの呪いがこびりついているから、少しずつ確認して解いていけたらと思っています。
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posted by 藤村阿智 at 11:16| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月13日

進撃の巨人14巻(諌山創)

進撃の巨人(14) (講談社コミックス)
進撃の巨人(14) (講談社コミックス)

読みました。

(※以下、多少ネタバレありかもしれないので、まったく情報が要らない人は読まないように
 たいしたこと書かないけど……)

13巻の感想でも書いたけど、
なぞがいっぱいちりばめられすぎて、気が散っちゃう。
たまには謎の答えを提示して欲しいと思ってて(このままだと謎に対する不信感が募る。解決しないんじゃないかと心配だし、覚えていられない)、14巻ではいくつか謎の答えみたいなものも出てくるけど、
それはあくまで推測に過ぎないというものばかりなのがひっかかる。

また、キャラクターの考えていることが伝わってこない(まだ不明のまま)なので、
「なんか深い考えがあってウラをかいているんだろう、たぶん」
「失敗したように見えてこれも作戦とかなの?」
と、まさに調査兵団の下っ端のみんな並に、読者も「はらはらする」まで行かない、
「いま何をさせられてるんだ、信用して頭を空っぽにしてとにかく進むしかないのか」という不安が……

んでとうとう人殺しばかりになってしまいました。
14巻巨人でてこねえ。
アニメ化の壁に挑戦でもしているんだろうか……
posted by 藤村阿智 at 12:28| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月12日

かくかくしかじか(東村アキコ) 4巻

人気漫画家、東村アキコ先生の自伝的漫画。4巻。

かくかくしかじか 4 (愛蔵版コミックス)
かくかくしかじか 4 (愛蔵版コミックス)

3巻でようやく漫画家としてデビューしたアキコが、
人気漫画家へのステップをどんどんあがる様子。

どんな漫画が好きで、どんな漫画を描こうと思っていたのか。
そしてどんな漫画家として求められているのか。
そういうエピソードも見所。

なんかぼんやりといい雰囲気の漫画が好きで、自分も描きたい〜と思っていたのに、
担当さんにはバッサリ「全然話わかんないし 面白くないし」と言われちゃう。
そこから抜け出して、読者が面白いといってくれる漫画を描き始める。

アツいな〜。仕事も、絵画教室も、漫画も、恋もと盛りだくさんに欲張って
こなしていくアキコの姿は、まさに本人が漫画そのもの。

そして、4巻の最後ではとうとう、1巻からそのにおいを感じていたエピソードに突入……
そう、書いたとおり、1巻から「そうなんだろうな」って思ってたことなんですよ。
いつか描かれるんだろう、このエッセイの中の時間が流れていく限り、と思っていたのに、
この本の読者として私はアキコと先生をここまで見守ってきてしまった。
1巻のときに思っていた「そうなんだろうな」とは、感覚が違う。起きていることはおなじなのに、
読者として1巻を読みながら感じた気持ちとは、いまは変わってしまっている。
胸が締め付けられる。


しかし、この漫画の展開やキャラクターのぶっ飛び具合、超人具合、どれを見ても
エッセイ漫画だからこそ、とも思う。
本当にあったことなんだもん。フィクションだったらこんなふうに展開したり描いたりできないよ。
「本当にあったことのちから」こそがエッセイ漫画の醍醐味なんだと思う。
posted by 藤村阿智 at 11:56| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月22日

魔法陣グルグル新装版1〜8(衛藤ヒロユキ)

私が子どもの頃、「ドラゴンクエスト4コマ劇場」から始まって、
続けて楽しんだ衛藤ヒロユキ先生の「魔法陣グルグル」が新装版で登場。
すごく好きでファンクラブにまで入っていたのに、ちょうど漫画を読まなくなった時期と最後のほうが重なっていて、最後まで読んでいないのです。
途中まで単行本を持っているけど、この機会に全部買いなおそうと思いました。

魔法陣グルグル 新装版 (1) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版 (1) (ガンガンコミックスONLINE)

まず1巻、魔法陣グルグルのすごいところは、この序盤で主要キャラがほとんど出揃ってるところかもしれない。
ここで出てくるキャラクターたちはこの後もずっと大事にされていく。
最初はドラクエなどのRPGのパロディとして、お約束ネタを盛り込みながらギャグ中心で進んでいくんだけど、読者も気づかないうちに独特の世界観や設定に引き込まれていく。

いや〜しかし、この新装版1巻には私の中で殿堂入りしているすごいギャグがてんこ盛りで出てきますね。
どんどん惜しまず出してくる感じがテンポもよくて、ずっと笑ってしまう。

魔法陣グルグル 新装版 (2) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版 (2) (ガンガンコミックスONLINE)

2巻のみどころはククリの修行と、ジュジュをつれてはじめての戦闘。
ククリが修行を終えて、ニケと二人レベルアップするんだけど、そんなにレベル低かったのか……と、確かにレベルアップする描写がいままでなかったのに改めておもう。
普通のRPGがレベル上がりすぎだよな。
でもカセギゴールドあたりでレベルアップしてても良かったんじゃ(笑)
2巻後半ではレイドも出てくる。キザですごい魔法使いなのにかっこ悪い、とにかくかっこ悪い。
レイドは、くさい演出が嫌いなギップルの天敵。

短編も収録。「ここのばばあは良いばばあ〜」ってのをよく(日常生活で)歌うんだけど、まあ、伝わらないんですよね……

魔法陣グルグル 新装版 (3) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版 (3) (ガンガンコミックスONLINE)

3巻は「きりなしの塔」攻略〜。
ニケとククリの旅にも目的がハッキリ出てきて、前みたいに「次は何をすれば……」という迷いはなくなったかな。
トマという、強力で賢くて突っ込みも入れてくれつつ自分もぼけるキャラを仲間に加えて、さらに旅は続いていく。
伏線の使い方というか、伝説がなにを表したのかとか、いままで謎だった部分の明かし方なんかはまさにファンタジーRPGの王道を行きつつ、よく練られてるな〜と感動!

魔法陣グルグル 新装版 (4) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版 (4) (ガンガンコミックスONLINE)

ニケのレベルアップには、神様に認められてそのちからを獲得しなくちゃいけないんだけど、
火の神から火の力を手に入れる過程がすごい。
ええ〜〜ギャグだと思って普通に笑って読んでたのにそれが試練だったのかい〜!って感じで驚き。
闇のおねえさんもジュジュも復帰して、キャラクターがにぎやかでいい!
「巻頭カラーに会議やってちゃ動きがない→会議でも動きを出せば良い」って流れが好き(笑)

魔法陣グルグル 新装版(5) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版(5) (ガンガンコミックスONLINE)

5巻は不思議な街アラハビカから。
「ヒッポロ系ニャポーンさ!」てのもすきなセリフで、(笑)なにかわけのわからないものを「アレは何?」って聞かれたときなどに、「ヒッポロ系ニャポーンさ!」って答えることにしています。

5巻あたりからグッと絵がかわいくなってますね。
初期の絵と後半からの絵は全然違うけど、どっちも好きだな〜。
あくまになったククリも、心配だけどかわいいし、普段からダダ漏れだったククリの気持ちが、はっきりみんなに伝わっちゃうところとかニヤニヤしちゃうね。
キタキタ親父の異物感がなくなってきたな。

この巻の後半ぐらいからは、私がコミックスで買ってないあたりに突入。
今後の展開が気になるところです。

魔法陣グルグル 新装版(6) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版(6) (ガンガンコミックスONLINE)

この巻あたりからふたたび、ガラッと絵が変わるな。
冒頭で「かっこいいポーズ」の修行として、普段と違う絵柄を意識して描いたせいじゃないだろうか。
そういうのに引っ張られることはありそう。

話も展開と設定が複雑ですんなり頭に入ってこなくなってしまった。
キャラクターが一気に登場したせいもあるかもしれない。
そんな中でもキタキタおやじだけは安定の不気味さでいいですね。
個人的には、キタキタおやじ好きなので、不気味に思えなくてむしろかわいく見えますが……

魔法陣グルグル 新装版(7) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版(7) (ガンガンコミックスONLINE)

「グルグル」初期は、メタ的でRPGのお約束を下敷きにした世界観とギャグでわかりやすさがあったと思うんですが、後半以降はグルグル独自の世界観とか、ファンタジー設定が多くなってきたため、少々出来事がわかりにくいですね。

ミウチャちゃんとせっかく出会ったのに、いわゆる「リセット」を行ったために
深めた親交がクリアされちゃうエピソードはちょっとさびしかった。
何度やり直しても仲良くなれそうな、どこかつながってるような安心感があるからいいですけどね。
謎のカッコイイ老人軍団「爺ファンタジー」が登場。
8巻にも出てくるかな?まさかコレだけの登場で7巻の表紙を飾ってるんじゃあるめえな(笑)

徹底して、勇者は凡人であるところがいいです。
凡人が凡人でありながら、勇者になっていく。勇者とはなんなのか。
読者も一緒に考えられる仕組みになっています。

次が最終巻か〜。

【続きを読んだら更新予定です】

魔法陣グルグル 新装版(8) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版(8) (ガンガンコミックスONLINE)
posted by 藤村阿智 at 17:47| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月16日

ちはやふる25巻(末次由紀)

ちはやふる(25) (Be・Loveコミックス)
ちはやふる(25) (Be・Loveコミックス)

※以下ネタバレ少しあり

24巻に引き続き25巻も熱かった!
私はスポ根ものは苦手だった気がするんだけど、「ちはやふる」見てるとそんなことを忘れてしまうな。
読んでるほうがダレてしまう試合シーンと違うのは、
・確実に進む、引っ張り過ぎないで試合を進めながら他の要素が語られている
・いままで読むことで積み上げてきた感情から、納得のいく新しい発見がある
というところじゃないだろうか。

いままで、すっかりマンガに流されるまま、周防さんは名人の器ではなく、
ただの天才名人よりも努力してきた選手が名人の座を勝ち取ることを単純に期待してしまっていたけど、
周防名人へのイメージと「勝利して欲しい人物像」がガラッと変わる体験をすることになる。

それは「周防名人も苦労していた」とかそんな単純なことではなくて、いままではっきり輪郭を持たされていなかった周防名人という人間が見えてきてことと、「だれかの情熱を食べるしかない」(34P)というがらんどうの心と動機に光が当たって、読者の心にも動きが出たからだと思う。

千早もいったんは暗黒面に気を取られて、黒い気持ちにとらわれたりするけど、
やっぱりそこから救い上げてくれるのはクイーンしのぶちゃんとかるただね。
さらに原田先生のかるたに対する姿勢から、自分の幼く黒い部分を認識して解いていく千早。
ほんまもんの名人になってしまった周防さん含め、若いもんには間違いなく原田先生のかるたは伝わっていくと思います。

他のキャラが期待するような恋バナが進展しないところは笑った(笑)
あと、ほぼ1冊まるまるおっさんとおっさんの友情とかで埋まっているのも、おいしいけどコレだけ読んだら少女マンガには見えねえ!
そもそも少女マンガだっけ?

おまけマンガも新しいひみつがあかされててオトク!


前巻の感想はこちら。
ちはやふる24巻(末次由紀): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/398028248.html?1405476764
ラベル:ちはやふる
posted by 藤村阿智 at 11:42| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月12日

粘菌―驚くべき生命力の謎

粘菌―驚くべき生命力の謎
粘菌―驚くべき生命力の謎

本屋で表紙を見かけたそのとき、さっと手にとってパラパラッとめくっただけで、
「これが3,500円……安い」とレジに持っていってしまったぐらいの粘菌写真集。

100ページを超える、A4サイズのフルカラー粘菌写真集。
粘菌を一度にたくさん見られるという点でもうれしいし、何しろマクロな世界なので、森で粘菌に出会ったとしても、ここまではっきり細部まではみられないのだから、ほんとうに写真の力だとおもう。

実際森に行っても、こんな風に粘菌を見ることは出来ないと思うのに、
この本を眺めていると森に行って粘菌探しをしてみたいと思ってしまう。
まるで写真から、森の湿った枯れ葉から立ち上る菌類のにおいを感じるような気もする!

漫画好きとしては、巻末の白黒ページの読み物に掲載された「漫画『風の谷のナウシカ』と粘菌」というコラムも、ナウシカに登場する粘菌にスポットを当てた文章で楽しく読める。


ラベル:写真集 粘菌
posted by 藤村阿智 at 12:52| 図鑑・データ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月09日

真夜中猫王子(桑田乃梨子)

真夜中猫王子 (白泉社文庫 く 3-11)
真夜中猫王子 (白泉社文庫 く 3-11)


私が中学生の頃から好きな漫画家さん、桑田乃梨子先生。
読み返す頻度も高いんですが、今回はこの「真夜中猫王子」文庫版を読み返し。

改めて読むと、「猫王子」も面白いなあと再確認。
現在は桑田先生の漫画は、発売前に登録してるネット書店からお知らせが来るので、大体すぐに購入できるけど、
「猫王子」の初出の頃は平成12年〜13年っていうから、情報はいまよりも自分で探しに行かなくちゃならない時代。
でも、猫王子はほぼリアルタイムで購入してたな。
そして、リアルタイムで読んでたころは「すげえ!面白い!」ってすぐにはまるような気持ちにはなっていなかった。
今読むとその理由もわかるし、だからこそ何度読んでも面白いんじゃないかと思える。


フツーの女子高生、駒根 澄(こまね すみ)は、おなじクラスの仲良し男子・日向守永(ひゅうがもりなが)にイケると思って告白したのに、あっさり玉砕。
傷心のまま、告白&フラレ現場におっこちてた猫のマスコットを記念に持ち帰る。(笑)澄ちゃんは日向に未練アリアリ。

持ち帰った猫のぬいぐるみは、なんと呪われた異国の王子だった!
国家を狙う者の手により、王子とその仲間は呪いの魔法をかけられ、昼はぬいぐるみ(マスコットサイズ)、夜ははんぱに顔だけが出る着ぐるみの猫になってしまうのだった……

と、設定は言うまでも無くとっぴなんだけど、あとはいつもの桑田先生のお得意な「キャラクターの会話で読者を引き込んでいく」ちからで引っ張られていく。
読んでいるうちに、設定とかきっかけなんかは、「それのおかげでみんなにあえてよかったな〜」っていう、新しい出会いのためのものにしか思えなくなってくる。

・「わかりました、あきらめましょう」が口癖のおっとりした王子
・軍人で王子の親衛隊長、まじめで固くて「なんか黒っぽい」所だけが特徴のヴィンセント
・細かいことは気にしない、明るい料理人スタニスラス
・教育になってるのか怪しい言動ばかりの教育係スタンリー
・ヴィンセントの婚約者(だというけど二人ともツンデレでどうしようもない)のアンジェラ

全員猫になってる。ごはんはカリカリでいいらしい。
澄ちゃんの家で、帰る日を夢見てにぎやかに暮らしてる。

桑田先生は、きっちり終わらせるタイプの漫画家だと思うので、この「猫王子」もきっちり終わる。
日向と澄の関係も、王子たちとの関係も最初とは変化していく。
終わる頃にはこのキャラクターたちと知り合えたことがうれしくなっている。
posted by 藤村阿智 at 10:37| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月06日

げんしけん 二代目の七(16巻) (木尾士目)

げんしけん 二代目の七(16) (アフタヌーンKC)
げんしけん 二代目の七(16) (アフタヌーンKC)

二代目も七巻に〜。もう通産16巻になるのですが、まだまだ面白いのがすごい。

ここまで見守っていると、かなり近い立場でげんしけんのメンバーを見守ってる友達みたいな気持ちになっているのか、一人ひとりがだいぶ好きになっている気がする(笑)

二代目のキャラたちもそれぞれ魅力的なのがいい。
だいたい「2」にあたるものは、前作のほうがキャラが良かったとかあるもんだけど、違う切り口ながら同じオタクという共通点のおかげか、面白いなあ。

斑目の「モテキ」をめぐる女(?)たちの戦いは、うやむやにせずちゃんと進んでる。
斑目と咲ちゃんの関係だって、うやむやのままでも良かったのにきっちりケリをつけてきた「げんしけん」だから、この戦いにも決着があるんだろうな。まだまだクライマックスまで何個か盛り上がりがありそうなラストで16巻も終了していました。

からかって無責任に応援しててもおかしくなさそうな、腐女子の吉武さんも、周りをみつつ応援する相手を考えているところと、現実的にかなわないところを無責任にけしかけないで選択と熟考をうながすところなんか、ほんとまじめなつくりの話だと思う。

続巻も楽しみ。
posted by 藤村阿智 at 00:54| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする