2014年08月25日

xxxHOLiC 戻1巻(CLAMP)

×××HOLiC・戻(1) (KCデラックス ヤングマガジン)
×××HOLiC・戻(1) (KCデラックス ヤングマガジン)

「xxxHOLiC」の続編。
読み方は「ホリック・レイ」とのこと。
無印HOLiCとおなじキャラクターで、あの頃の雰囲気でつづられるエピソード。
物語初期のように、屋敷へやってくる「ヒツゼン」がある人たちの状況を解決するお仕事。
でも解決できるかどうかもすでに「ヒツゼン」なんだろうからなあ。

前作は19巻で完結しているので、この世界はなんなのか、どの時期なのか、それとも……というすべてが謎状態。

最近はこんな感じの「ずっと謎を内包する」物語に疲れてしまって、素直に楽しめないなあ。
ただ、HOLiCは細かいエピソードの中で、小さな謎の発生→解決を繰り返すから、まだ見ていてすっきりするのかもしれない。物語全体に流れている謎やわからないことは、気にしない程度でいいのかもな……
前作でそういう気持ちで読んでたら謎を忘れて、「あれ?なんですかそれ」ってなったりもしましたが。
やっぱりあまり伏線は引っ張られないほうがいいのかも。

【以下HOLiCに限った話ではない】
確かに、物語で「あっ!あれはそういうことだったのか!」という、なぞが解けてすごく震える話もあるんだけど、最初から「これはどういうことだと思いますか?」「でもアレがね……」みたいな思わせぶりな、キャラだけが知ってて読者がわからない思わせぶりなことをしなくても、びっくりする仕掛けってできると思うから、あまり訳知り顔のきゃらが言葉を濁してるのも読者には気持ちのいいものじゃないかな。まあ個人的な感想ですけど。
posted by 藤村阿智 at 12:54| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月21日

本気のしるし(星里もちる)1〜6巻(完結)(ネタバレあり)

文具店を紹介する本を購入しようと思って検索したのに、
まだ発売されたばかりだったからかデータベースに反映されていなくて
代わりに検索結果に出てきたのがこの漫画。




中小文具店に勤める男・辻が主人公。

とのことでしたので、文具店モノ……なのかなあ?と思いつつ、紙の本は絶版のようですので
電子書籍で購入!

実は星里もちる先生の漫画は苦手なものもあって……
「りびんぐゲーム」好きで、リアルタイムでも読んでたし、単行本も持ってたし、
数年前に出たコンビニ廉価版コミックも購入しましたよ。でもそのつもりでほかの作品を買うと、大体最後まで読めないんですよ。

だから、「本気のしるし」は文具店モノということがキッカケになって、私にとっては久しぶりに全部読めた星里もちる先生作品ということになります。

まず、文具度ですが、低いです。
文具が出てくることを期待して購入してはいけないです。ほとんど出てこないです。
あと、辻くんが勤めてる文具店はひどいです、(笑)残念ながら旧態依然とした、古い体質の会社で、こりゃたぶんつぶれるな……って感じです。文房具業界は厳しいんですよ。昔ながらのスタイルでやれてるところもあるけど、たぶんこのムラサメ文具(株)に将来はないですよ。文房具の会社だと思って読んでると逆に切なくなってきてしまいますよ……ある意味リアルで……

辻くんは営業マンだけど、なんか倉庫で在庫を数えてるぐらいで、商品としての文具の姿も出てこないし
その倉庫で後輩のみっちゃんとチュッチュするぐらいです。

【あらすじ】
文具店に勤める辻は、表面の顔だけはつくろって波風立たないよう周りに調子を合わせて生きてきた。
流されるようになんとなく、言い寄ってきた二人の女と付き合ってる。片方の後輩女子は完全に遊び。先輩女子ともなんとなくで付き合ってる。正直どっちもめんどくさい。
そんなつまらない毎日だが、踏み切りで車をエンストさせて危ないところだった不器用な女を助けてしまったところから、そのうそつきでいい加減で頼りないうかつな女のことが放って置けなくなってしまった。
これは恋なのか?
女はふわふわとあっちいったりこっちいったりいなくなったりトラブル持ってきたり擦り寄ってきたりで辻を翻弄する。
辻は地獄を見るのか天国を見るのか?


話の内容はとにかくトラブル続き、どろどろしてる。
妙なリアリティ。これが星里もちる先生のすごいところ。(で、苦手なところ)
トラブルメーカーのヒロイン「浮世さん」は、こんな女いねーよといいたいところだけど、
いる…… こういう人は存在している……
断わるのが下手で、八方美人で、困ったらその一瞬だけごまかせる(すぐにばれる)ウソをつき、
怒られたりしたら即座に謝る。反省して見せる。
でもすぐまた同じような失敗を繰り返し、人を裏切り、「信じて」を連発するのに人を信じない。
こういう人間に「あの人は悪い人じゃない」「あの問題以外は申し分のない魅力的な人」というオプションがついちゃったら、かかわった人間は地獄ですよ。

【浮世さんについて】
浮世さんは不器用で断われなくてうそつきだけど、いい子なんですよ。
風俗でもお客さんのために一所懸命奉仕して働いちゃう。
ホレ、いい子でしょ。でも風俗で働くしか道が無いんですよ。ほかに行くところとか、頼れる人とかが少ないという理由でそこに行くしかないんですよ。なにこのリアル。
断われない、嫌われたくないって八方美人の性格の人に、人から狙われる美貌と身体と金がくっついてしまったから浮世さんの人生は転落してしまっている。大人になったらそんな頼りない人間でも一人で何とかしなくちゃいけないことばかり。
途中で、浮世さんに似たタイプで、でも幸せになってる「昔のお友達」という女性が出てくる。
彼女の悲痛な「自分を守るのが下手な人間もいる、それのどこがいけないのか。悪いのは騙し・つけこんでくる人間ではなく、守るのが下手な人間なのか?」という叫びは、私の心にも刺さる。私もどちらかというと自分を守るのが下手なタイプだからだ。

【辻くん】
辻くんは星里作品ではよく見られる優柔不断男。そこに「人間関係めんどくさい」って性格がくっついたから、結構ひどい人間に見える。ただ、一応 人との摩擦を少なくしたい、うまくやりたいという考えを持った人だから、社会はうまく渡っていて、信頼も築いているし、がんばる姿には周りも好感を持って応援したくなるタイプらしい。そこに助けられている。(辻自身も、読者も)
なあなあで付き合っていた二人の女には、こっぴどくやられてから別れることになる。でも二人とも、ひどい仕打ちをしつつも、実際凹んでる辻を見るとちょっとかわいそうだなって思うところもまたリアル。
意外に、浮世さんには厳しいことを言いつつもひどいことはしていない。そこが最終的に幸せになれるポイントじゃないかな……

【たぶん一番良い人】
最初から最後まで、わけアリでインテリヤクザのような裏社会の男、脇田さんがたぶん一番いい人。
わたし脇田さんが好きだわ。この安定感。この人も、浮世さんに実はメロメロな男の一人なんだろうなあ……


【ムラサメ文具(株)と文房具】
最初のほうに書いたとおり、文具店に勤めながら文房具はほとんど出てこない。
箱が置いてある倉庫で箱を数えるシーンばかり。
ムラサメ文具は中小の文具店だというけど、メーカーでなく小売だとこの規模はかなり大きい。だって部署がたくさん分かれてるし、役職がたくさんあるし、店舗も多数運営してるし、女子は制服着てるし……
ただひどい会社です。会社の規則・仕打ちに何度吹いたことか。ブーッ!!
・社内恋愛禁止。発覚した場合はキャリア関係なく女子が辞めることが暗黙の了解
・社内恋愛の証拠写真をプロジェクターで見せながら弁解させ責任を問う
・営業職の不倫は言語道断。仕事に影響がある。即刻関係を清算せよと詰め寄る
・不倫の証拠をプロジェクターで見せ(略)
・社内の役員が「この会社に未来はない。過去の取引にしがみつくばかりで自社を変える気も無い」とばっさり
・他社へ転職しようとしてることの証拠をプロジェクターで(略)
・発注伝票の改ざんなど嫌がらせが可能
すげえやな会社だな。と最初から最後まで。

最後のほうで、ボールペンに名入れがされてなかったという(元文具小売店勤務としては)肝の冷えるエピソードがあったり、「手にはいりにくい商品」として「B4のレターケース40個」が出てくるあたりは燃えた。
B4のレターケースって手に入りにくいんですよ。特殊なサイズだし。でも漫画の原稿用紙やスクリーントーンはこのサイズで、もしかしたら星里先生が入手に苦労したのかも。



【ラスト・ネタバレあり】


最後は結局幸せになったようです。
断われない性格の浮世さんは、辻くんのことをはっきり大事な人だと意識したことで、自分を変えようとしました。そして、会えない期間に、断わるべきときは断われるように成長してきました。それでも周りに隙がある女と思われてしまう。やはり辻くんはそれが不安な様子。
また死ぬようなエピソードを経て、生還した浮世は、きづくんですね。「自分が美しくなければ男はちょっかい出してこない」ことに……
まあそれだけじゃなく、浮世の成長もあってのラストだと思いますけど、自分をこ汚く(失礼)することで無用のトラブルを避け、男関係の不安を払拭しようってのは、昔の怪談であった「美人で夫が心配するからと自分の鼻を削いだ」って話しみたいじゃないですか。そこまでじゃないけど。
浮世さんが多少醜くなっても、辻くんのほうがいい感じに枯れちゃってるから問題ないかもね。


というわけで、なんだかんだ突っ込みながらもとても楽しく読みました。一気に読んでしまったし。
この二人から目が離せない気持ちになった。キャラクターの心理描写がすごい。じわじわずれていくところに説得力がある。
ひとつだけ、辻くんにほかの家族の姿が見られなかったのは残念。なんで家族出てこないんだろ。浮世さんのほうは「愛されたのは生まれたときと名前をつけられたときだけ」ってセリフで、本当に頼る人がいないのはわかったんですけど。成人男性だと家族がちっとも見えてこなくても普通なのかな?

このじわじわ〜っと転がっていく感じはとても感想文じゃ紹介できない魅力なので、ぜひ最後まで読んでみて欲しいです!

    
ラベル:文房具漫画 Kindle
posted by 藤村阿智 at 14:40| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月15日

呪詛抜きダイエット(田房永子)

呪詛抜きダイエット
呪詛抜きダイエット

母・娘問題に悩んだ過去を漫画に描いて話題の田房永子さんの最新刊。

「エイコ」はずっと自分のことを「醜いんじゃないか、太っているんじゃないか、自分は美しくないからいけないんじゃないか」と悩んでまともに鏡も見られない状態が続いていた。
なんでそんな風になってしまったかを突き詰めたら、子どもの頃から母を始め同級生や身内にかけられた何気ない言葉が積み重なって、エイコに「呪い」をかけていたのだ。

美しくなるための行動をするには、まずその呪いを解かなくちゃいけない。
だから「呪詛抜きダイエット」というわけだね。

現実に欠点もあるわけだけれど、そこを「よく見えるようにしたい」と思えるかどうかというハードルがまず、ある。
確かに「どうせいまさらそこを良くしたって、ほかのところもダメなんだから意味がない……」と思ってしまうとドツボにはまる。
「ちゃんと工夫したり、努力したら一部分でも改善して、うれしい」という気持ちにならないといけないわけだね。

ただ、自分で思い込んでしまった人も抜け出しにくいだろうけど、
周りからの「呪い」でそう思い込んでしまうのはまた別の抜け出し方をしなくちゃいけないから苦しそう。
周りに「食べすぎじゃない?」って言われたら、「太ってるんだ、人から見ても自分はやっぱり太ってるんだ」と確認してしまう。

この漫画の中では、そういうことを一つ一つ気づいていって、呪いを確認していくことで自分への攻撃を和らげて行っている。まず、「美しくなろうとしてもいいんだ」って思うところから。


だからダイエットの方法などはあまり語られていないんだけど、レビューとか読んでると
「参考にならなかった」という人もいますね。
ダイエット方法じゃないからなあ。でも、ダイエットするとか、美容とか、恥ずかしい。っていう気持ちになってる人などは、「そんなことないよ〜」って思えると思うから、この本を読んだらいいんじゃないかな。
このタイトルだと、この作者さんがどういう経験をして何から抜け出そうとしている人なのかを知らない人(前作までを読んでいない人)には肩透かしかもしれないですね。あと、「ダイエットとか、あれは美しい人がするものであって醜い私はやせられないしやせてもしょうがない」と思い込んでる人には届かないかも。そういう人こそ読んだらいいのにって思いますね……


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ここからは激しい自分がたりですが、私は小学生のころいじめられてたもので、
周りに「きたない」「きもちわるい」ってよく言われてたんですよ。
だから、「きたないのか〜……」「どうせ私はきもちわるいんだろうから」と思って、かわいく着飾るとかをあきらめていたし、小学生にして呪いにかかっていたかのように
「こんなかわいい柄やキャラクターの服を着たりしたら、『アイツ自分がかわいいと思ってんのか?』と思われるんじゃないか、実際に言われたらどうしよう」
と考えて、ずっと無地の服や暗い色の服を着ていました。

でも高校にあがるときかな……友達の女の子が「すごいかわいいよ、今日のそれもすごくいいよ、昨日よりかわいいよ」と誉めてくれるようになったんですよね。
最初は「何言ってるんだこの人……私がかわいいわけがない、おせじかな」って思ってたんだけど、どうやら本気みたいだし、ずっと言われてたら少なくとも「もうちょっとかわいくなろうとしてもいいかな?」って思えて、呪いがとけたんですよ。
本当にあの友達には感謝している。

この本を読んでそういう風に思うキッカケに出会えたらいいのに。と思うし、私にもまだまだかけられたままの呪いがこびりついているから、少しずつ確認して解いていけたらと思っています。
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posted by 藤村阿智 at 11:16| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月13日

進撃の巨人14巻(諌山創)

進撃の巨人(14) (講談社コミックス)
進撃の巨人(14) (講談社コミックス)

読みました。

(※以下、多少ネタバレありかもしれないので、まったく情報が要らない人は読まないように
 たいしたこと書かないけど……)

13巻の感想でも書いたけど、
なぞがいっぱいちりばめられすぎて、気が散っちゃう。
たまには謎の答えを提示して欲しいと思ってて(このままだと謎に対する不信感が募る。解決しないんじゃないかと心配だし、覚えていられない)、14巻ではいくつか謎の答えみたいなものも出てくるけど、
それはあくまで推測に過ぎないというものばかりなのがひっかかる。

また、キャラクターの考えていることが伝わってこない(まだ不明のまま)なので、
「なんか深い考えがあってウラをかいているんだろう、たぶん」
「失敗したように見えてこれも作戦とかなの?」
と、まさに調査兵団の下っ端のみんな並に、読者も「はらはらする」まで行かない、
「いま何をさせられてるんだ、信用して頭を空っぽにしてとにかく進むしかないのか」という不安が……

んでとうとう人殺しばかりになってしまいました。
14巻巨人でてこねえ。
アニメ化の壁に挑戦でもしているんだろうか……
posted by 藤村阿智 at 12:28| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月12日

かくかくしかじか(東村アキコ) 4巻

人気漫画家、東村アキコ先生の自伝的漫画。4巻。

かくかくしかじか 4 (愛蔵版コミックス)
かくかくしかじか 4 (愛蔵版コミックス)

3巻でようやく漫画家としてデビューしたアキコが、
人気漫画家へのステップをどんどんあがる様子。

どんな漫画が好きで、どんな漫画を描こうと思っていたのか。
そしてどんな漫画家として求められているのか。
そういうエピソードも見所。

なんかぼんやりといい雰囲気の漫画が好きで、自分も描きたい〜と思っていたのに、
担当さんにはバッサリ「全然話わかんないし 面白くないし」と言われちゃう。
そこから抜け出して、読者が面白いといってくれる漫画を描き始める。

アツいな〜。仕事も、絵画教室も、漫画も、恋もと盛りだくさんに欲張って
こなしていくアキコの姿は、まさに本人が漫画そのもの。

そして、4巻の最後ではとうとう、1巻からそのにおいを感じていたエピソードに突入……
そう、書いたとおり、1巻から「そうなんだろうな」って思ってたことなんですよ。
いつか描かれるんだろう、このエッセイの中の時間が流れていく限り、と思っていたのに、
この本の読者として私はアキコと先生をここまで見守ってきてしまった。
1巻のときに思っていた「そうなんだろうな」とは、感覚が違う。起きていることはおなじなのに、
読者として1巻を読みながら感じた気持ちとは、いまは変わってしまっている。
胸が締め付けられる。


しかし、この漫画の展開やキャラクターのぶっ飛び具合、超人具合、どれを見ても
エッセイ漫画だからこそ、とも思う。
本当にあったことなんだもん。フィクションだったらこんなふうに展開したり描いたりできないよ。
「本当にあったことのちから」こそがエッセイ漫画の醍醐味なんだと思う。
posted by 藤村阿智 at 11:56| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月22日

魔法陣グルグル新装版1〜8(衛藤ヒロユキ)

私が子どもの頃、「ドラゴンクエスト4コマ劇場」から始まって、
続けて楽しんだ衛藤ヒロユキ先生の「魔法陣グルグル」が新装版で登場。
すごく好きでファンクラブにまで入っていたのに、ちょうど漫画を読まなくなった時期と最後のほうが重なっていて、最後まで読んでいないのです。
途中まで単行本を持っているけど、この機会に全部買いなおそうと思いました。

魔法陣グルグル 新装版 (1) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版 (1) (ガンガンコミックスONLINE)

まず1巻、魔法陣グルグルのすごいところは、この序盤で主要キャラがほとんど出揃ってるところかもしれない。
ここで出てくるキャラクターたちはこの後もずっと大事にされていく。
最初はドラクエなどのRPGのパロディとして、お約束ネタを盛り込みながらギャグ中心で進んでいくんだけど、読者も気づかないうちに独特の世界観や設定に引き込まれていく。

いや〜しかし、この新装版1巻には私の中で殿堂入りしているすごいギャグがてんこ盛りで出てきますね。
どんどん惜しまず出してくる感じがテンポもよくて、ずっと笑ってしまう。

魔法陣グルグル 新装版 (2) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版 (2) (ガンガンコミックスONLINE)

2巻のみどころはククリの修行と、ジュジュをつれてはじめての戦闘。
ククリが修行を終えて、ニケと二人レベルアップするんだけど、そんなにレベル低かったのか……と、確かにレベルアップする描写がいままでなかったのに改めておもう。
普通のRPGがレベル上がりすぎだよな。
でもカセギゴールドあたりでレベルアップしてても良かったんじゃ(笑)
2巻後半ではレイドも出てくる。キザですごい魔法使いなのにかっこ悪い、とにかくかっこ悪い。
レイドは、くさい演出が嫌いなギップルの天敵。

短編も収録。「ここのばばあは良いばばあ〜」ってのをよく(日常生活で)歌うんだけど、まあ、伝わらないんですよね……

魔法陣グルグル 新装版 (3) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版 (3) (ガンガンコミックスONLINE)

3巻は「きりなしの塔」攻略〜。
ニケとククリの旅にも目的がハッキリ出てきて、前みたいに「次は何をすれば……」という迷いはなくなったかな。
トマという、強力で賢くて突っ込みも入れてくれつつ自分もぼけるキャラを仲間に加えて、さらに旅は続いていく。
伏線の使い方というか、伝説がなにを表したのかとか、いままで謎だった部分の明かし方なんかはまさにファンタジーRPGの王道を行きつつ、よく練られてるな〜と感動!

魔法陣グルグル 新装版 (4) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版 (4) (ガンガンコミックスONLINE)

ニケのレベルアップには、神様に認められてそのちからを獲得しなくちゃいけないんだけど、
火の神から火の力を手に入れる過程がすごい。
ええ〜〜ギャグだと思って普通に笑って読んでたのにそれが試練だったのかい〜!って感じで驚き。
闇のおねえさんもジュジュも復帰して、キャラクターがにぎやかでいい!
「巻頭カラーに会議やってちゃ動きがない→会議でも動きを出せば良い」って流れが好き(笑)

魔法陣グルグル 新装版(5) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版(5) (ガンガンコミックスONLINE)

5巻は不思議な街アラハビカから。
「ヒッポロ系ニャポーンさ!」てのもすきなセリフで、(笑)なにかわけのわからないものを「アレは何?」って聞かれたときなどに、「ヒッポロ系ニャポーンさ!」って答えることにしています。

5巻あたりからグッと絵がかわいくなってますね。
初期の絵と後半からの絵は全然違うけど、どっちも好きだな〜。
あくまになったククリも、心配だけどかわいいし、普段からダダ漏れだったククリの気持ちが、はっきりみんなに伝わっちゃうところとかニヤニヤしちゃうね。
キタキタ親父の異物感がなくなってきたな。

この巻の後半ぐらいからは、私がコミックスで買ってないあたりに突入。
今後の展開が気になるところです。

魔法陣グルグル 新装版(6) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版(6) (ガンガンコミックスONLINE)

この巻あたりからふたたび、ガラッと絵が変わるな。
冒頭で「かっこいいポーズ」の修行として、普段と違う絵柄を意識して描いたせいじゃないだろうか。
そういうのに引っ張られることはありそう。

話も展開と設定が複雑ですんなり頭に入ってこなくなってしまった。
キャラクターが一気に登場したせいもあるかもしれない。
そんな中でもキタキタおやじだけは安定の不気味さでいいですね。
個人的には、キタキタおやじ好きなので、不気味に思えなくてむしろかわいく見えますが……

魔法陣グルグル 新装版(7) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版(7) (ガンガンコミックスONLINE)

「グルグル」初期は、メタ的でRPGのお約束を下敷きにした世界観とギャグでわかりやすさがあったと思うんですが、後半以降はグルグル独自の世界観とか、ファンタジー設定が多くなってきたため、少々出来事がわかりにくいですね。

ミウチャちゃんとせっかく出会ったのに、いわゆる「リセット」を行ったために
深めた親交がクリアされちゃうエピソードはちょっとさびしかった。
何度やり直しても仲良くなれそうな、どこかつながってるような安心感があるからいいですけどね。
謎のカッコイイ老人軍団「爺ファンタジー」が登場。
8巻にも出てくるかな?まさかコレだけの登場で7巻の表紙を飾ってるんじゃあるめえな(笑)

徹底して、勇者は凡人であるところがいいです。
凡人が凡人でありながら、勇者になっていく。勇者とはなんなのか。
読者も一緒に考えられる仕組みになっています。

次が最終巻か〜。

【続きを読んだら更新予定です】

魔法陣グルグル 新装版(8) (ガンガンコミックスONLINE)
魔法陣グルグル 新装版(8) (ガンガンコミックスONLINE)
posted by 藤村阿智 at 17:47| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月16日

ちはやふる25巻(末次由紀)

ちはやふる(25) (Be・Loveコミックス)
ちはやふる(25) (Be・Loveコミックス)

※以下ネタバレ少しあり

24巻に引き続き25巻も熱かった!
私はスポ根ものは苦手だった気がするんだけど、「ちはやふる」見てるとそんなことを忘れてしまうな。
読んでるほうがダレてしまう試合シーンと違うのは、
・確実に進む、引っ張り過ぎないで試合を進めながら他の要素が語られている
・いままで読むことで積み上げてきた感情から、納得のいく新しい発見がある
というところじゃないだろうか。

いままで、すっかりマンガに流されるまま、周防さんは名人の器ではなく、
ただの天才名人よりも努力してきた選手が名人の座を勝ち取ることを単純に期待してしまっていたけど、
周防名人へのイメージと「勝利して欲しい人物像」がガラッと変わる体験をすることになる。

それは「周防名人も苦労していた」とかそんな単純なことではなくて、いままではっきり輪郭を持たされていなかった周防名人という人間が見えてきてことと、「だれかの情熱を食べるしかない」(34P)というがらんどうの心と動機に光が当たって、読者の心にも動きが出たからだと思う。

千早もいったんは暗黒面に気を取られて、黒い気持ちにとらわれたりするけど、
やっぱりそこから救い上げてくれるのはクイーンしのぶちゃんとかるただね。
さらに原田先生のかるたに対する姿勢から、自分の幼く黒い部分を認識して解いていく千早。
ほんまもんの名人になってしまった周防さん含め、若いもんには間違いなく原田先生のかるたは伝わっていくと思います。

他のキャラが期待するような恋バナが進展しないところは笑った(笑)
あと、ほぼ1冊まるまるおっさんとおっさんの友情とかで埋まっているのも、おいしいけどコレだけ読んだら少女マンガには見えねえ!
そもそも少女マンガだっけ?

おまけマンガも新しいひみつがあかされててオトク!


前巻の感想はこちら。
ちはやふる24巻(末次由紀): ホンヨンダ 漫画の感想ブログ
http://honyonda.seesaa.net/article/398028248.html?1405476764
ラベル:ちはやふる
posted by 藤村阿智 at 11:42| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月12日

粘菌―驚くべき生命力の謎

粘菌―驚くべき生命力の謎
粘菌―驚くべき生命力の謎

本屋で表紙を見かけたそのとき、さっと手にとってパラパラッとめくっただけで、
「これが3,500円……安い」とレジに持っていってしまったぐらいの粘菌写真集。

100ページを超える、A4サイズのフルカラー粘菌写真集。
粘菌を一度にたくさん見られるという点でもうれしいし、何しろマクロな世界なので、森で粘菌に出会ったとしても、ここまではっきり細部まではみられないのだから、ほんとうに写真の力だとおもう。

実際森に行っても、こんな風に粘菌を見ることは出来ないと思うのに、
この本を眺めていると森に行って粘菌探しをしてみたいと思ってしまう。
まるで写真から、森の湿った枯れ葉から立ち上る菌類のにおいを感じるような気もする!

漫画好きとしては、巻末の白黒ページの読み物に掲載された「漫画『風の谷のナウシカ』と粘菌」というコラムも、ナウシカに登場する粘菌にスポットを当てた文章で楽しく読める。


ラベル:写真集 粘菌
posted by 藤村阿智 at 12:52| 図鑑・データ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月09日

真夜中猫王子(桑田乃梨子)

真夜中猫王子 (白泉社文庫 く 3-11)
真夜中猫王子 (白泉社文庫 く 3-11)


私が中学生の頃から好きな漫画家さん、桑田乃梨子先生。
読み返す頻度も高いんですが、今回はこの「真夜中猫王子」文庫版を読み返し。

改めて読むと、「猫王子」も面白いなあと再確認。
現在は桑田先生の漫画は、発売前に登録してるネット書店からお知らせが来るので、大体すぐに購入できるけど、
「猫王子」の初出の頃は平成12年〜13年っていうから、情報はいまよりも自分で探しに行かなくちゃならない時代。
でも、猫王子はほぼリアルタイムで購入してたな。
そして、リアルタイムで読んでたころは「すげえ!面白い!」ってすぐにはまるような気持ちにはなっていなかった。
今読むとその理由もわかるし、だからこそ何度読んでも面白いんじゃないかと思える。


フツーの女子高生、駒根 澄(こまね すみ)は、おなじクラスの仲良し男子・日向守永(ひゅうがもりなが)にイケると思って告白したのに、あっさり玉砕。
傷心のまま、告白&フラレ現場におっこちてた猫のマスコットを記念に持ち帰る。(笑)澄ちゃんは日向に未練アリアリ。

持ち帰った猫のぬいぐるみは、なんと呪われた異国の王子だった!
国家を狙う者の手により、王子とその仲間は呪いの魔法をかけられ、昼はぬいぐるみ(マスコットサイズ)、夜ははんぱに顔だけが出る着ぐるみの猫になってしまうのだった……

と、設定は言うまでも無くとっぴなんだけど、あとはいつもの桑田先生のお得意な「キャラクターの会話で読者を引き込んでいく」ちからで引っ張られていく。
読んでいるうちに、設定とかきっかけなんかは、「それのおかげでみんなにあえてよかったな〜」っていう、新しい出会いのためのものにしか思えなくなってくる。

・「わかりました、あきらめましょう」が口癖のおっとりした王子
・軍人で王子の親衛隊長、まじめで固くて「なんか黒っぽい」所だけが特徴のヴィンセント
・細かいことは気にしない、明るい料理人スタニスラス
・教育になってるのか怪しい言動ばかりの教育係スタンリー
・ヴィンセントの婚約者(だというけど二人ともツンデレでどうしようもない)のアンジェラ

全員猫になってる。ごはんはカリカリでいいらしい。
澄ちゃんの家で、帰る日を夢見てにぎやかに暮らしてる。

桑田先生は、きっちり終わらせるタイプの漫画家だと思うので、この「猫王子」もきっちり終わる。
日向と澄の関係も、王子たちとの関係も最初とは変化していく。
終わる頃にはこのキャラクターたちと知り合えたことがうれしくなっている。
posted by 藤村阿智 at 10:37| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月06日

げんしけん 二代目の七(16巻) (木尾士目)

げんしけん 二代目の七(16) (アフタヌーンKC)
げんしけん 二代目の七(16) (アフタヌーンKC)

二代目も七巻に〜。もう通産16巻になるのですが、まだまだ面白いのがすごい。

ここまで見守っていると、かなり近い立場でげんしけんのメンバーを見守ってる友達みたいな気持ちになっているのか、一人ひとりがだいぶ好きになっている気がする(笑)

二代目のキャラたちもそれぞれ魅力的なのがいい。
だいたい「2」にあたるものは、前作のほうがキャラが良かったとかあるもんだけど、違う切り口ながら同じオタクという共通点のおかげか、面白いなあ。

斑目の「モテキ」をめぐる女(?)たちの戦いは、うやむやにせずちゃんと進んでる。
斑目と咲ちゃんの関係だって、うやむやのままでも良かったのにきっちりケリをつけてきた「げんしけん」だから、この戦いにも決着があるんだろうな。まだまだクライマックスまで何個か盛り上がりがありそうなラストで16巻も終了していました。

からかって無責任に応援しててもおかしくなさそうな、腐女子の吉武さんも、周りをみつつ応援する相手を考えているところと、現実的にかなわないところを無責任にけしかけないで選択と熟考をうながすところなんか、ほんとまじめなつくりの話だと思う。

続巻も楽しみ。
posted by 藤村阿智 at 00:54| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月01日

志乃ちゃんは自分の名前が言えない(押見修造)

志乃ちゃんは自分の名前が言えない
志乃ちゃんは自分の名前が言えない

大島志乃ちゃんは母音で始まる言葉の発音がむつかしい。
だから自分の名前も言えない。

つまり吃音症のある少女の話なんだけど(作者はあとがきで、あえて吃音・どもりという言葉を使っていないと書いている。感想にも使いたくなかったけど、それだと書くのが難しいから使っちゃう。wikipediaの作品紹介ページはうまく避けて紹介しているな)

よかった。
きっちり一冊に、きれいにまとまっていて読みやすいし無駄なところもぜんぜんない。すごい。
このまま1時間半ぐらいのアニメ映画にできそう。実写じゃなくてアニメがいいなあ。
表情がすごくいいから。

高校へ入学して、自己紹介でやらかしたくないと志乃ちゃんは練習までしてたのに、やっぱりうまくいかない。周りのオトナは理解を示してくれようとするけど、逆につらい。
でも、あることがキッカケで友達ができる。いや、まだ志乃ちゃんは友達だと思えていなくて、疑っていて、友達になれるかもしれないと胸をときめかせているんだろうな。

そもそも購入したきっかけが、吃音ものとしてだったので、しょっぱなから自分と重ねてしまってつらい。
ワタシの話をしてしまうと、実は吃音で誰かにからかわれたり、指摘された記憶はないのだ。
おなじ音を繰り返すんじゃなくて、3音〜5音ぐらいで繰り返してるからわかりにくいのかも。
それ以上に、周りに恵まれている気がする。
子どもの頃は吃音がなかったし、それ以外のところでからかわれてたからな……
ワタシが戦っている気になっている相手も、志乃ちゃんとおなじなのかもしれない。

志乃ちゃんは自己紹介でやらかしたあと、クラスメートの菊池君が、自分のまねをして他人に「アイツ変なんだぜ」って言ってるところに遭遇してしまう。遭遇というより、志乃ちゃんがそこにいることをわかっててやってるから、天然にしてもタチがわるい!

菊池とはあとでつながりが出来るし、菊池の気持ちもあるみたいなんだけど、つき合いには警戒してしまう。私が志乃ちゃんでも簡単には打ち解けられないなあ。そういうところもリアル。
歌なら歌えるって所もいい。スキャットマンも吃音だけど(だからこそ)スキャット上手に出来るもんね。


志乃ちゃんはけっして「いい子」ではない。引っ込み思案だし、ハッキリしないし、嫉妬もする。
でも自分が何と戦ってるのか、自分の敵はなんだったのかを最後に知ることになる。
これからの志乃ちゃんの未来に明るさを感じる。ラストはオチというより終わり方にびっくりした。
posted by 藤村阿智 at 10:37| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月30日

ブーケ基礎レッスン ・ アーティフィシャルフラワー基礎テクニック(渡辺俊治)

ブーケ基礎レッスン―ワイヤリングで花・色・形、自由自在!
ブーケ基礎レッスン―ワイヤリングで花・色・形、自由自在!

自分でブーケを作りたいとおもって、独学&造花でなんとか作れないかと考えていたところ、
本屋で出会ったこの本が一番しっかりわかりやすい内容だとおもったので購入。

生花のブーケを作るときに基礎となるワイヤー使いが、細かい手順と手元の写真つきでちゃんと学べる。
初めてブーケを作る人でも、わからないときにわからない部分を知る方法でもしっかり作れるとおもう。
わたしは造花でブーケを作ったけど、ワイヤリングとか花の配置のコツなんかは造花も生花もおなじ。

この本のとくにいいところは、
☆フルカラーで写真がたくさん
☆見栄えを良くするためのポイントが詳しく説明されている。
 やってはいけない、やりがちな間違いも載っているから、「どうしてそうするのか」がわかりやすい。
☆花の種類ごとに扱い方が載っているので、かなりいろんな花に対応できるとおもう。
 素材がちがうと扱い方ややっちゃいけないポイントとかも変わってきますからね。
 似合うレイアウトも紹介されてて参考になる。
という点。ほんとに初心者がブーケをはじめるときに、一冊持ってると役に立つとおもいます。

アーティフィシャルフラワー基本テクニック―いきいきと見せる使い方と日常に飾るアレンジ
アーティフィシャルフラワー基本テクニック―いきいきと見せる使い方と日常に飾るアレンジ

そして二冊目はアーティフィシャルフラワーの本。
アーティフィシャルフラワーってのはつまり造花なんですけど、
少しクオリティの高い造花というか……より生花に似た造花です。結構高いけど、やっぱり見栄えが違う。

本はその造花を使ったフラワーアレンジの方法やアイディアをたくさん掲載したもの。
やはり初心者向けで、使う道具から説明される。

最初はなんと一輪挿しから。ほんとうにテクニックはいらない、不器用な人でも出来ちゃうような
「花を入れ物に挿すだけ」のところから。でも、こういう簡単なものでも、ちょっとした心配りで見栄えが変わってくる。花の選び方、挿す角度など、シンプルだからこそ違いが説明されたときわかりやすい。

造花は何度も組み替えて飾ることが出来る。
季節によって変えられるオススメのデザインや、簡単アレンジ、本格的な大きなフラワーアレンジなどアイディアがたくさん。
お店にお花を飾りたい人などにも役立つのでは。

うちもブーケであまった花材や、あらたに買ってきてしまった造花などをつかって(笑)
組み替えてフラワーアレンジしています。
どういう器で作ろうかな〜とか、花だけでない小物使いの写真なども見てて楽しいです。
大きな写真がたくさんあるところもいい。
ブーケ、ブートニア、髪飾りなどの使えるアイテムも少し紹介されています。
どちらかというと飾るフラワーアレンジのほうが多いのでインテリア向けかも。

とにかく二冊とも、フラワーアレンジを始めてみようかという初心者の方は
持ってて損はない内容だとおもいます!
ラベル:howto
posted by 藤村阿智 at 09:00| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月29日

凍りの掌(おざわゆき)

凍りの掌
凍りの掌

第二次世界大戦終戦直後の、シベリア抑留で抑留経験のある父親の体験した出来事を中心にしてまとめた漫画。

この漫画との出会いは創作同人誌即売会コミティア。コミティアで知人がおざわさんの本をいただいてきて、
それをイベントの間に借りて読んだ。衝撃。
次のコミティアでその本を購入した。その後は完結するまで、3冊に渡って、新刊が出るたび購入した。
商業で出たこの本も、もちろん発行されてすぐに購入した。

ぼんやりとしかシベリア抑留のことを知らなかった私ですが、この漫画で実際にどういうことが起きていたのか、何があったのかの一部を知ることが出来たような気がします。
ほんとうにすさまじい経験。こんなことが、戦争が終わってからも何年も続いていたということが信じられない。
私なら生き残れる自信がない。そして、これもまた戦争の一側面として、今後も戦争はあってはならないとおもうのである。
posted by 藤村阿智 at 23:12| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月16日

31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる (御手洗直子)

31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる (ウィングス・コミックス)
31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる (ウィングス・コミックス)

これが初めて購入した婚活エッセイだったかな?
これまでは興味なかったんですが、自分の状況も変わって人の婚活やら生活やらに妙に興味が出てしまったようです。

BLとはボーイズラブのことで、男性や少年同士の恋愛がテーマになったマンガということです。
私は少年愛モノは読むし、作中に男性同士が出てきても別に拒絶反応はないけど、とくにそういうテーマの本だからと買って読むようなことは無いので、別ジャンルオタクの日常や思考が垣間見れるのも楽しいところ(笑)
ジャンルは違えどマンガオタクは同じような感じだよねえ〜。

作者・直子さんのズボラっぷりは笑えないレベルかもしれないけど、私のズボラっぷりも笑えないレベルなのでほぼ同属です。あー笑った。ぜひだんなさんにはこれを許容して欲しい。


BLもオタクも関係なく、婚活サイト(というか出会い系)でであった男性が、すごくスペックは高いのに数々のNGワードを繰り出し、失礼なことを言いまくってきたときに、きっぱりと告げて断わる作者さんかっこいい。爽快。
断わるついでに相手の欠点を指摘したというわけじゃなくて、相手が「なぜ断わられるのかが知りたい」って言うわけだから、ちゃんと教えるのはいいとおもうんですよ。

最終的に出会った二人からひとりに絞り込んで、婚活を実らせるところはすごい。
後のエピソードを見ても、良い人に会えたんだろうなあ〜とおもう。
もし私が婚活をするような立場だったら、いい経験になりそうだしチャレンジするかも。
しかしだまされないように、怖い目にあわないようにネット婚活するのは大変そう。私、すぐくじけるかもしれません。

こういうエッセイマンガって、作者が「友達になりたいタイプ」かどうかも面白さに左右されてくるかもしれませんね。私はこの漫画の中で作者が鼻につく、作者に引いてしまうといったところはひとつもなかった。それが楽しめた理由かもしれません。
マンガで読むぶんには「絶対知り合いたくないwww」って人の話でもいいとおもうんですけどね(笑)
posted by 藤村阿智 at 11:05| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月12日

まんが親3巻(吉田戦車)

まんが親 3 (ビッグコミックススペシャル)
まんが親 3 (ビッグコミックススペシャル)

吉田戦車氏の子育てエッセイ「まんが親」も3巻に。
表紙からわかるとおりすっかり大きくなりましたね。
娘はやっぱり、しゃべるしゃべる。
まんが親たちの一日を描いた回も面白かった。

なんとなく、私の好きな育児エッセイって、子どもが主役というよりは
オトナの姿をみて楽しめるものなのかもしれない。
子どもに翻弄されるオトナ。
まんが親も、子どもを中心に、親たちがふりまわされたり楽しんだりしてるところが面白いような気がする。
ほかに好きな子育て漫画といえば「ママはテンパリスト」とか福満しげゆき氏のエッセイまんが。
子どもがなにをしたか、じゃなくて「子どもを親がどう見たか」が読みたいんだなあ。

こちらは、妻の伊藤理佐さんも母親目線で夫と娘をつづったまんがを描いている。
だからこその「まんが親」なわけで、伊藤さんのほうの本も気になるけど、
なーんとなく手に取る気が起きなくてまだ未見。
伊藤さんの実家が自分の実家から近い(高い山を隔ててるけど……)こともあって、妙に親近感はあるのだけど、書店で置かれてた試し読み漫画を読んでみてもなかなか読もうと思えず。
せっかく、おなじ子どものことを両親がどういう風にみてるかが知れる稀有なチャンスなのに!

↑買いたい理由を書いてたら読みたくなってきた。買うか!?



まんが親 1 (ビッグコミックススペシャル)
まんが親 1 (ビッグコミックススペシャル)

まんが親1巻の感想もあります。
リンク貼ろうと思って読み返したらほとんど同じようなことを書いていた……

まんが親 2 (ビッグコミックススペシャル)
まんが親 2 (ビッグコミックススペシャル)
posted by 藤村阿智 at 16:45| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月11日

100回お見合いしたヲタ女子の婚活記(肉子)

100回お見合いしたヲタ女子の婚活記 (Next comics)
100回お見合いしたヲタ女子の婚活記 (Next comics)

結構前に読んだエッセイ漫画ですが、エッセイ漫画強化期間ということで再読!

婚活エッセイもたくさんあるとおもうけど、この本の場合は「ヲタ女子」というところがポイント!
しかも作者の肉子さんと私が同世代!ヲタネタが明らかに同世代で、もとネタがわかるわかる(笑)
容赦なく繰り出されるパロディの数々。

肉子さんは同人で二次創作小説を書かれてるとのことで、そのせいか着眼点とか、面白がるポイントが鋭くて読みやすいしネタの昇華も秀逸。

結婚相談所でお見合いとしてであったいろんな男たちのエピソードももちろん面白いんだけど、
肉子さん目線で「どういうところがイヤだったのか」とか、「引いちゃうポイント」とか、自分を変えていく気持ちとか、そういう婚活だけでなく普通の人付き合いにも大事なことが見えてくる感じが明るくていい。

「行動力があってハキハキしてる人がいいなー」
「そんな人は(結婚相談所には)いません」

と冒頭でばっさり!
この後、普通はなかなか行動力なんてないということを知ったり、自分がてきぱきして場を仕切ることで進めていく能力をつけたり、人のいいところを見つけるポイントが(出会いの数をこなすことで)わかってきたりするところが、読んでて面白い。読者は見合いをしていなくても、ここに登場する人たちと会ったぐらいの体験を得られるんじゃないだろうか。
おなじオタクなら笑いながら勉強できちゃう(笑)

しかしいろんな人がいるなあ〜。
私ならそうそうに疲れて、結婚自体がトラウマになってしまいそう。
女性にはもちろん楽しめると思うけど(腐女子ならさらに?)
男性にも、人付き合いのときにやりがちな失敗とかが知れると思うのでお勧め。
そう、些細なことが「あのときああいってたからもうあの人はムリ」って感じになっちゃうんだよねえ……
気づいてないなら不幸なことです!お互いにとって!

pixivでもかなりのページが無料公開されています。本に載ってないエピソードもアリ。


2016/6/1
続編の感想もUPしました。
100回お見合いしたヲタ女子の出産記(肉子)
posted by 藤村阿智 at 11:59| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月03日

まんがかぞく(大島永遠)1巻、2巻

まんがかぞく 一家4人全員漫画家(1) (アクションコミックス)
まんがかぞく 一家4人全員漫画家(1) (アクションコミックス)

まんがかぞく 一家4人全員漫画家(2) (アクションコミックス)
まんがかぞく 一家4人全員漫画家(2) (アクションコミックス)

ぜんぜん前情報なしに、サブタイトルの「一家4人全員漫画家」という一文に引かれて購入していた本。
読んでみたらびっくり、すごく面白かった。
もっとぬるい感じの漫画家漫画かな?と思ってたのに、がっつり熱い内容のエッセイ。
笑えるところもたくさんあるし、普通のご家庭とおなじ悩みも、まったく普通じゃない悩みも、うれしさも、いろいろ詰まった読み応えのあるエッセイ漫画でした。

両親が忙しい漫画家で、自分も売れっ子として活躍するというなかなかほかにはないエッセイ。
夫婦で漫画家というエッセイ漫画もあるけど、それよりも目線が「家族」「漫画」に食い込んでる感じ。
うまくいえないな……
自分が漫画を描くということも、夫婦だと妻や夫が漫画を描くということも、一歩引いた目で見てしまうと思うけど、親が漫画を描いていて偉大な業績もある、尊敬できる人で、自分も同じ道を行くという内容は、イヤでも自分の主観的な気持ちに絡んできて、葛藤があると思う。


また、漫画家の普段の様子や漫画を描いているところを描く「漫画家漫画」としても、すごく面白い。
アイディアの組み立て方から、作画のはなし、メディアミックスされたときの話、編集さんとのやり取りなど盛りだくさんで、漫画家の仕事が垣間見れる感じが読んでて楽しい。

作者の大島先生には体に気をつけつつ楽しい漫画を書いてほしいとおもうです。
またエピソードがたまったら続巻希望でっす。

posted by 藤村阿智 at 13:17| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月30日

母親やめてもいいですか(山口かこ・にしかわたく)

母親やめてもいいですか
母親やめてもいいですか

発達障害と診断されたお子さんを育ててたお母さんが原作のコミックエッセイ。
amazonレビューは結構散々なことになっている。

みんな登場人物や作者に意見したがりすぎるだろー。
もう過去になってることに「これはだめだ、許せない、共感できない」と言ってもしょうがないし
大体その当時に言われても「他人が思うようにうまくやれる」かどうか?
同じ発達障害のお子さんを持ったお母さん方が「こんなお母さんじゃ子どもがかわいそう」っていう状況は怖い。

本の中身は、娘さんのことを一所懸命見守っていろいろと戦ってたころの目線で、
どういうことがあったのか、周りから何を言われたのか、自分はどうしたのか、そしてどうなったのか
たくさん書かれていていいと思う。
もし私がこの立場でも、どうしたらいいかわかんないだろうな……
あとになれば「こういう風にできたかも」って思うこともあるかもしれないけど、
手探りのときは何にもうまくできないもんだと思いますよ。
特に作者は、うまくいかずに子どもを手放すことになってしまっているから、読者の反感を買いやすいのかもな。

発達障害とかは、その実例を知らなきゃ想像できないもんだと思う。
twitterとかでも、発達障害の子どもを持つお母さんが、そのエピソードを語ったりしているけど、
どれも「ああ、それは発達障害でそうなるのか、そしてこういう対処法で子どもにも接していけるのか」って言う驚きばかり。
アスペルガーの子に、ニュアンスでわかってほしいような言い方をしても伝わらないとか、
具体的なお願いの仕方とか。アスペルガーや発達障害が無くても、「へえ」って勉強になること多いですよ。
「早くして」ってふんわりしたイライラを言っても子どもには伝わりづらいとか。

本書の中でも、療育にいったり病院の先生の話を聞いたりするところは私の知らないことばかりで勉強になった。
あ、そういう意味では、すでに勉強していらっしゃるだろう同じ悩みを持つお母さんたちが、自分を励ますためにとか、より知識を増やしたいというときに読むとイライラするのかもしれない。
まさに十人十色で、同じ方法もなかなか役に立たないだろうし……

ただ、いろんな生き方があることをみとめて欲しいと子どものことで思うなら、
母親にもいろんな生き方があると思えるといいんじゃないかな。
本書を読んで私が感じたことは、登場する母親への同情や怒りではなく、私なら……どうなるんだろうというぼんやりとした感情だった。
posted by 藤村阿智 at 11:39| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月28日

おにぎり通信2巻(二ノ宮知子)


おにぎり通信 2 〜ダメママ日記〜 (愛蔵版コミックス)
おにぎり通信 2 〜ダメママ日記〜 (愛蔵版コミックス)


2巻も楽しみに購入。
かわらず面白い。

漫画家の普段の生活ってのに興味があるので、漫画家について描いた漫画というのを結構読んでいる。
漫画家が自分のことをエッセイ漫画に描いたら、それはすなわち漫画家の普段の生活が見られるということで……

しかも、漫画家は観察力がすごい。
細かいところのしぐさや面白さを見つけてくるな〜と。
普通の人の「うちの子どもが面白かった」という話より、さらに違う目線の子どもや子育てについてのエピソードが読めるんじゃないかな?


たぶん、1巻で評価が低かったのは「漫画家のエッセイ」というより「育児エッセイ」だと思って
読んでるからじゃないかな?
たとえば福満しげゆきさんの「僕の小規模な生活」をよんで、育児エッセイとして役に立たないとか言わないと思うんですよ。福満氏の日常の目線に興味があるわけじゃないですか。
そこに子どもも描かれてたら、子どもがいるんだな〜って程度に見る。
おにぎり通信もそんな感じで読めばいいと思うんだけど。


2巻は具体的な育児エピソードも多かったような気がします。
二人の息子が大きくなって、昔のようなたくさんの荷物を持たなくて良くなったこととか、
二人とも男の子ってのがどういうことになるかとか(笑)
子どもたちの周りにはいつもオトナがたくさんいそうでいいなぁ。

おにぎり通信1巻の感想はこちら
posted by 藤村阿智 at 13:20| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月26日

ちはやふる24巻(末次由紀)

ちはやふる(24) (Be・Loveコミックス)
ちはやふる(24) (Be・Loveコミックス)

【以下少々ネタバレあり】

23巻も燃える展開だった〜。
24巻なんか、ちはやがかるたをとってるシーンは出てきていないんだけど
(ほかのキャラクターたちの試合がメインだから)
いままで20巻を超えるストーリーの中でおなじみになったキャラクターたちの
熱いエピソードが続く!

表紙からして「しのぶちゃんどうした!?」って感じですが、
この巻はクイーン・しのぶちゃんの心の動きが見所。
しのぶちゃんのささやかな「うれしいこと・好きなこと」が支えや自信として強さを守っていたのに、それが崩れてしまう。
そこで最後に残る「自分の中にあった強さ」と向き合いなおすシーンは震える。
崩れたとしのぶちゃんが思ってる「うれしかったこと」たちも、本当は崩れてなんかいないことに気づいて欲しい!と読者は思っちゃうけど、ここはそれすらなくても突き進みそうなしのぶちゃんの強さも楽しみ。
挑戦者の猪熊さんもかわいくて一所懸命で好きなんだよなあ。

名人戦のほうもすごい。原田先生を使ってすら遊ぼうとする周防名人、遊ばれても動じずもてる実力を出し切って挑む原田先生、どっちもすごい。
最後のほうでは周防名人の弱点……とちはやが感じた点があきらかに。
なんと。いままでさりげなく描写されてたいろいろが、ぱっと理解できてくるよう。
「ああ、それで!」っていう感覚。
読者として今後の展開も気になる!
ラベル:ちはやふる
posted by 藤村阿智 at 23:00| マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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